違法ダウンロードで逮捕や多額の賠償?専門弁護士が解説
最終更新日: 2024年01月07日
- 違法ダウンロードを行ってしまい、逮捕されてしまうか不安
- 違法性が疑われるWebサイトで動画を視聴するだけでも犯罪なのだろうか
- 違法ダウンロードを疑われたときはどうすればよいのか
インターネットでは現在話題の映画・アニメや漫画、TVドラマ等の視聴が可能です。多くの視聴者は正規の方法でそのサービスを楽しんでいるはずです。
しかし、世の中には違法にアップロードされたコンテンツも存在します。そこからダウンロードする行為も違法です。
そこで本記事では、多くの著作権問題に携わってきた専門弁護士が、違法ダウンロードをした場合どうなってしまうのか、逮捕されてしまったときの対応等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 違法ダウンロードと判断されるには、録画と録音を伴う行為が必要
- 被害者側から告訴された場合、まず弁護士に相談する
- 違法ダウンロードの事実があれば、弁護士に相手との示談交渉を行ってもらい解決する
違法ダウンロードを弁護士が解説
違法ダウンロードとは、違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードする行為を指します。
違法ダウンロードは、多くの場合、自宅等で行われるため、その行為は発覚しないと思われるかもしれません。しかし、権利者(著作権者)の告訴により、違法ダウンロードを行った事実が判明する場合もあります。
当然、違法ダウンロードをした事実が突き止められたら、逮捕され刑罰を受ける可能性があります。
なぜバレるのか
違法ダウンロードをする場合も、自分の氏名や住所、電話番号等を入力して録画・録音を行うわけではないはずです。
そのため、違法ダウンロードをしようとする人は、「秘匿性が確保された状態だから安心。」と思っているかもしれません。
しかし、違法にアップロードされた動画等の著作権を有する権利者(著作権者)が告訴して、警察が捜査を開始した場合、その過程で違法ダウンロードをした人の身元が特定されてしまいます。
また、著作権者が違法ダウンロードをした人に責任追及をする目的で、特定の請求手続きを行った場合も、身元が特定される可能性はあります。
民事と刑事で違法となる行為の違い
著作権侵害に関しては、民事・刑事の両面で責任が追及されます。ただし、責任を追及される対象に違いがあります。
民事の場合
民事では、動画等の著作物を違法にアップロードした者が、不法行為を理由として損害賠償請求を受ける可能性があります。
民事の場合は著作権法第114条第1項「損害の額の推定等」の規定で、損害額を算定します。損害額を算定するのは以下のような計算式です。
たとえば1回1,500円の利益となる動画を違法にアップロードし、それが5万回ダウンロードされた場合、7,500万円(1,500円×5万回)の請求を受けてしまいます。
なお、正規の方法で販売した場合、2万回が限度だったと判断された場合、請求額は3,000万円(1,500円×2万回)となります。
刑事の場合
刑事では、動画等の著作物を違法にアップロードした者または違法にダウンロードした者、いずれも刑事罰が適用されます。
なお、動画・音楽を違法ダウンロードした場合、1回のダウンロードでも刑事罰の対象です。
しかし、漫画の違法ダウンロードでは、その漫画の正規版が有償で発売されていて、反復継続的にダウンロードしたとき、刑事罰の対象になります。
罰則
違法にアップロードした者はダウンロードした者より重く罰せられます。下表をご覧ください。
著作権を侵害した者 | 罰則 |
違法にアップロードした者 | 10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはそれを併科(著作権法第119条第1項) |
違法にダウンロードした者 | 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはそれを併科(著作権法第119条第3項) |
違法なアップロードを行った者は、こちらの罰則だけではなく、違法なアップロードで得たとされる犯罪収益も没収されてしまいます。
違法ダウンロードで弁護士に相談すべき状況
違法ダウンロードを自宅等でこっそり行っても、その違法行為が発覚する可能性はあります。
違法ダウンロードで罰せられるのか心配な人は、主に以下のような状況となった場合、弁護士への相談をおすすめします。
- 違法だと知ってダウンロードした場合
- 発信者情報開示請求された場合
- 被害者側から告訴された場合
違法だと知ってダウンロードした場合
違法と知ってダウンロードした場合は刑事罰に問われる可能性があります。
たとえば、違法な動画サイトで違法ダウンロードを繰り返していたが、著作権者からその動画サイトが提訴されているとマスメディアを通してわかり、ダウンロードした自分も罪に問われるか心配、という場合は弁護士に相談してみましょう。
発信者情報開示請求された場合
著作権を侵害された著作権者は、違法な動画サイトの管理者等に、違法ダウンロードが行われたとき利用されたIPアドレスの開示を請求できます。
このIPアドレスからプロバイダを特定後、著作権者はそのプロバイダへ発信者情報開示請求をします。この段階では、著作権者から違法ダウンロードをした人物が特定されるわけではありません。
しかし、プロバイダが発信者情報開示請求に応じたり、著作権者から本請求の訴えを提起された場合、最終的には違法ダウンロードをした人物が特定されてしまうはずです。
マスメディア等を通じ、著作権者がプロバイダへ発信者情報開示請求を行った、またはその訴えを起こした、という事実を知ったならば弁護士へ相談してみましょう。
被害者側から告訴された場合
被害者側(著作権者)から違法ダウンロードをした事実について特定され、自分が告訴されてしまったなら、速やかに弁護士へ相談し、対策を協議しましょう。
著作権問題に詳しい弁護士に相談をすれば、その後の対応が迅速に進み、最小限の損失で問題が解決する可能性も高くなります。
違法ダウンロードで弁護士が対応できること
違法ダウンロードを行った者が、常習性が高く悪質と判断されてしまうと、警察に逮捕されてしまう可能性も高まります。
逮捕された場合は速やかに弁護士と面談し、その後の対応についてよく話し合いましょう。
違法ダウンロードではないことの証明
違法ダウンロードを行った本人が、違法行為とは気付いていなかった場合、その事実をしっかりと弁護士へ伝えておきましょう。
ダウンロードした動画等が違法にアップロードされたものだと知らなかったならば、刑事罰に問われません。弁護士はダウンロードした経緯を踏まえ、警察側にわかりやすく主張します。
ただし、明らかに海賊版サイトと一目でわかるようなサイトからダウンロードしたケースでは、知らなかったという弁解はまず認められません。
逮捕後の勾留回避
逮捕された後、72時間以内に勾留請求するかしないかの判断が行われます。
勾留の決定は、次のいずれかの要件を満たす場合に行われます。
- 逮捕された本人が住所不定だった
- 逮捕された本人に逃亡のおそれが認められる
- 逮捕された本人に証拠隠滅のおそれが認められる
違法ダウンロードで逮捕された場合、証拠隠滅のおそれが認められると、勾留となる可能性は高くなるはずです。
その場合に弁護士は、本人に証拠隠滅のおそれがなく、警察からの呼び出しへ真摯に応じる旨を主張します。
相手側との示談交渉
示談は加害者(違法ダウンロードした本人)と被害を受けた著作権者が、話し合いで問題を解決する方法です。加害者が著作権者に賠償金を支払い、和解を図ります。
ただし、刑事事件で被害を受けた著作権者と示談交渉するには、弁護士を介して交渉に臨む必要があります。弁護士は著作権者との示談の条件、賠償金額の調整を図ります。
著作権者との示談締結に成功し、特に加害者が初犯であれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
逮捕後の不起訴処分獲得
たとえ勾留が決定されたとしても、その後20日以内には検察官が事件を起訴するか、それとも不起訴とするかの判断を下します。
そのときに、著作権者が示談に応じていたり、加害者が真摯に反省している点を情状酌量し、不起訴になる可能性もあります。
加害者が不起訴処分を獲得すれば、すぐに釈放され事件も終了し、もとの日常生活へ戻れます。
訴訟
著作権者が示談に応じず起訴されてしまっても、弁護士は加害者側にたって主張・立証をします。
なお、軽度な罰金刑が見込まれる事件ならば「略式起訴」となり、その日のうちに釈放されるはずです。
たとえ起訴されても、弁護士は加害者のために最小限の損失で済むよう、諦めずに弁護活動を行ってくれます。
違法ダウンロードを疑われたらすぐ弁護士へ相談を
今回は多くの著作権問題に携わってきた専門弁護士が、違法ダウンロードで処罰される可能性や、告訴された場合の対応策について詳しく解説しました。
違法ダウンロードという行為は、被害者に暴力を加えたわけでも、金品を奪い取ったわけでもありません。しかし、著作権を侵害する行為である以上、重い刑事罰が科せられる可能性はあります。
違法ダウンロードを疑われている、または違法ダウンロードと知っているにも関わらず行い告訴された場合は、速やかに弁護士と相談し対策を話し合いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。