アカウント削除されても証拠は残る?開示請求の流れを解説
最終更新日: 2024年12月02日
- 誹謗中傷されたので相手に対して損害賠償を請求したい!
- 損害賠償の話をしようとしたがアカウントが削除されてしまうかもしれない
- アカウントが削除されてしまうと証拠がなくて開示請求ができなくなるのでは?
SNSで誹謗中傷や名誉毀損などの被害にあった場合に、相手に対して損害賠償請求や刑事告訴をしようとしても、具体的なアクションをすると、アカウントを削除して逃げられてしまうかもしれません。
このように、アカウントを削除されてしまっても証拠は残るのか、相手を特定するための開示請求は可能なのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アカウント削除されても証拠は残るのか、開示請求や損害賠償請求は可能なのか等について解説します。
本記事のポイントは以下の通りです。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- SNSのアカウントが削除されてもログが残っている間は開示請求ができる。
- アカウントの情報は30日程度、ログは3~6か月は残っている
- 弁護士に依頼してスピーディーに手続きを行うべき
アカウントが削除されていても開示請求はできる?
SNSなどのアカウントが削除されていても開示請求は可能です。
アカウントが削除されても、SNSによっては一定期間はアカウントの記録がWeb上に残っていることがあります。
また、仮にインターネット上のアカウントが削除された場合でも、SNSの運営者はアクセスログを一定期間程度保持しており、開示請求をすることでIPアドレスの開示を受けられます。
このように、開示請求ができる期間は非常に短く、手続きも複雑なので、開示請求を考えている場合にはなるべく早く手続きに取りかかるようにしましょう。
アカウントが削除されてから記録が消えるまでの開示請求が可能な期間
アカウントが削除されてされてから記録が消えるまでの期間について見てみましょう。
X(旧Twitter)のアクセス記録は30日
X(旧Twitter)のアクセス記録は30日間保存されています。
これは、Xではアカウントを削除する場合、いったんアカウントを停止して30日間再度ログインをしなければ削除されるという運用を取っているためです。
参考:アカウントを停止する方法|Xヘルプセンター
なお、30日を超えてもアクセス記録が残っていることもあります。
ほかにもSNSプラットフォームはログイン情報やIPアドレスなどのアクセスログを一定期間保存しています。
たとえば、インスタグラムも同様に、アカウントを停止して30日間アクセスしなければ消えるとされており、完全な削除には最大で90日かかるとしています。
参考:Instagramアカウントを完全に削除または利用解除する|インスタグラムヘルプセンター
保存期間は一般的には非常に短いため、開示請求をする場合には迅速な対応が求められます。
プロバイダのアクセス記録は3〜6か月
プロバイダのアクセス記録は、3か月~6か月保管されています。
アクセス記録の保管期間は、プロバイダによって異なるため一概には言えないのですが、おおむね一般的にはアクセスログの保存期間は3か月から6か月程度です。
基本的には3か月しか保管していないと考えておくのがよいでしょう。
削除されたアカウントの開示請求は有効?難しい?
削除されたアカウントの開示請求は可能ではありますが、難しいケースもあります。
削除されたアカウントでも、一定期間は情報が残っているのは短期間です。
情報が残っている間は開示請求が可能なのですが、どのような場合に開示してもらえるか確認しましょう。
開示請求が有効なケース
削除されたアカウントで次のような行為があれば、開示請求をしてもらえる可能性があります。
- 名誉毀損・誹謗中傷:名誉を傷つける投稿や誹謗中傷をする内容があり名誉毀損罪となる場合
- プライバシー侵害:氏名や住所や電話番号などが無断で公開されている場合
- 著作権侵害:無断で著作権者である自分の著作物が使われた場合
- 営業妨害・信用毀損:投稿が刑法の業務妨害罪・信用毀損罪を構成する場合
- 脅迫やストーキング:投稿やDMが脅迫罪に該当する行為やストーカー規制法違反行為に該当する場合
- 侮辱:公然と個人を侮辱する内容があり侮辱罪に該当する場合
これらのように権利・利益を侵害している場合には開示請求が通る可能性があります。
開示請求が難しいケース
一方で、次のようなケースでは開示請求は難しいといえます。
- 何らの権利も侵害していない
- 目的なく開示請求をしているにすぎない
- 情報がすでに消えてしまっている
開示請求はあくまで本来秘匿すべき情報を例外的に開示するものです。
そのため、どうしても必要な場合に限られます。何らの権利も侵害しておらず損害賠償請求ができないようなケースや、損害賠償を目的としない単なる情報開示請求の場合は、応じてもらえません。
また、情報がすでに消去されており、存在しない場合には開示ができません。
削除されたアカウントの開示請求をする流れ
削除されたアカウントの開示請求をする流れは次の通りです。
- 証拠を収集する
- 弁護士に相談する
- プラットフォームに発信者情報開示請求をする
- プロバイダに発信者情報開示請求をする
以下順番に内容を確認しましょう。
証拠を収集する
証拠を収集します。まず、誹謗中傷の内容を証拠として確保します。
具体的には、該当する投稿やアカウント情報のスクリーンショットを撮影し、投稿が行われた日時や内容が分かる形で記録しておきます。
もっとも、削除されたアカウンㇳの投稿や、削除されたアカウントの情報については見られなくなります。
この場合、SNSごとに何かしらの痕跡があることがあるので、丁寧に探してみましょう。
たとえばXの場合、問題となる投稿にリプライやリポストがついていて、そこに元ツイートのスクショがされている場合があります。
また、Googleの検索履歴にキャッシュが残っている場合、投稿されていた内容を検索すると、検索結果に出てくる可能性があります。
検索結果はすぐに見られなくなってしまうので、気付いた段階で確保するようにしましょう。
弁護士に相談する
収集に成功した証拠や、誹謗中傷投稿からの期間などから、開示請求ができるかどうかについては、弁護士に相談するのがよいでしょう。
判断は非常に難しいので、インターネットトラブルに強い法律事務所への相談をおすすめします。
弁護士は、以下のような対応を行いサポートします。
プラットフォームに発信者情報開示請求をする
XなどのSNSを提供している会社(プラットフォーム)に対して発信者情報開示請求を行います。
請求が認められれば、発信者のIPアドレスやログイン情報などを開示してもらえます。
IPアドレスを取得すれば、投稿者がどのプロバイダを利用しているかが判明します。
プロバイダに発信者情報開示請求をする
プラットフォームから得たIPアドレスを基に、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して発信者情報開示請求を行います。
ISPに対する開示請求が認められると、実際の発信者の住所や氏名などの情報が特定できます。
ISPもログを一定期間しか保存していないため、速やかに手続きを進めることが重要です。
裁判所へ申立てをする
ケースによっては裁判所に申立てをします。開示請求に対してSNSやプロバイダがすぐに応じない場合、裁判所による発信者情報開示命令が有効です。
裁判所の命令が下ることで、SNSやISPが情報を開示しやすくなります。
削除されたアカウントの開示請求は弁護士に相談を
本記事ではネットトラブルの解決に実績を持つ弁護士が、削除されたアカウントの開示請求について解説しました。
SNSのアカウントが削除された場合でも、30日程度は情報が残っている他、ログは3か月程度残っていることがあり、開示請求ができる場合があります。
証拠の収集が非常に難しく、かつスピード勝負となるので、削除されたアカウントの開示請求をご検討の方は弁護士に相談してスピーディーに手続きを行いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。