離婚協議書を弁護士に頼むべき?費用・手続き・注意点をやさしく解説

最終更新日: 2025年06月26日

離婚協議書を弁護士に頼むべき?費用・手続き・注意点をやさしく解説

離婚を決めたとき、「離婚協議書って何?」「誰に相談すればいいの?」と不安になる方も多いと思います。精神的にも余裕がない中で、何から手をつけていいのか分からず、戸惑うこともあるでしょう。

この記事では、離婚協議書とは何か、なぜ弁護士に相談した方がよいのか、費用や手続きの流れ、自分で作る場合との違いまで、できるだけわかりやすくご説明します。

結論としては、あとからトラブルにならないように、法的にしっかりした協議書を作るためには弁護士に依頼するのが安心です。

事例やよくある質問も交えてご紹介しますので、「何から始めればいいかわからない」という方も、どうぞ最後まで読んでみてください。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚協議書ってどんなもの?

離婚協議書とは、夫婦が離婚に合意した内容を文書でまとめたものです。

たとえば、

  • 子どもの親権はどちらにするか
  • 養育費はどれくらい払うか
  • 財産はどう分けるか
  • 慰謝料を支払うかどうか

こういった取り決めを、あとから「言った・言わない」とならないように書面にすることで、将来のトラブルを防ぐことができます。

また、内容によっては「公正証書」にすることで、相手が約束を守らなかったときにすぐ強制的な手続きを取ることもできます

弁護士に依頼すべき理由

離婚協議書は、自分で書くことも可能です。しかし、専門家である弁護士に依頼することで、より安心・確実な内容に仕上げることができます。

その理由を、以下にわかりやすくご紹介します。

法的に有効な内容で作成できる

インターネット上にあるテンプレートを使って作成しても、法的に不備があると協議書に記載した内容の履行を求められない可能性があります。

弁護士であれば、法律の観点から漏れや不備のない協議書を作成することができます。

相手との交渉を代わりに行ってくれる

離婚の話し合いは、精神的にも非常につらいものです。特に感情的になりやすい場面では、冷静なやりとりが難しくなります。

そんなとき、弁護士に依頼すれば交渉の窓口を任せることができ、直接対面せずに済みます。

将来的なトラブルを防止できる

養育費の支払いが滞った、面会のルールを守らない、など、離婚後にトラブルが起きることは少なくありません。

弁護士に依頼すれば、そうしたリスクを事前に想定し、防止策を盛り込んだ協議書を作成できます。

弁護士と行政書士の違い

「離婚協議書の作成なら、行政書士でもできるのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、行政書士も書類を作成する専門家ですが、できることには明確な制限があります。

以下は、弁護士と行政書士の主な違いです。

項目

弁護士

行政書士

協議書の作成

法的アドバイス

×

代理交渉

×

裁判対応

×

行政書士は、あくまで「文書を代筆する」ことが中心で、法律的な助言や相手方との交渉、トラブル対応はできません

一方で弁護士は、法的観点から内容をチェックし、相手との交渉や紛争時の対応も含めて一貫して任せられる「法務の専門家」です。

離婚に関しては、感情面の対立やお金・子どものことなどで揉める可能性も高いため、法的トラブルを見越して弁護士に依頼する方が安心です。

弁護士費用の相場

離婚協議書を弁護士に依頼する場合、気になるのが費用面です。以下は一般的な相場感です。

  • 初回相談料:0円〜1万円程度(最近は無料相談を行う事務所も増えています)
  • 離婚協議書の作成のみ:5万円〜10万円程度
    →すでに当事者間で話し合いが済んでおり、交渉を必要としないケースに適用されます。
  • 協議書の作成+相手との交渉込み:10万円〜20万円前後
    →条件に争いがある場合や、相手が弁護士を立てている場合に対応する際の着手金相当額です。

また、相談回数や交渉の難易度、財産分与や養育費の金額によって、追加で費用がかかることもありますし、交渉の着手金の他、紛争が解決した場合の成功報酬金を設けていることが一般的です。

なお、事務所によっては「定額プラン」や「パック料金」を設けているところもあるので、初回相談時に必ず見積もりを取り、費用の内訳を明確にしてもらいましょう。

弁護士費用以外にかかるもの

弁護士への依頼費用のほかにも、協議書の作成にあたって発生する可能性のある費用があります。以下が主な項目です。

  • 公正証書の作成費用
    協議書を「公正証書」にする場合は、公証役場での作成費がかかります。内容や財産の金額によって変動しますが、おおよそ 1万〜2万円前後 が目安です。
  • 実費(印紙代・郵送料など)
    書類の送付や印紙の購入などにかかる費用で、数百円〜数千円程度発生することがあります。
  • 調停・裁判になった場合の費用
    相手と合意できず、調停や訴訟に進んだ場合は、裁判所に納める印紙代や申立手数料が必要になります。

これらの費用も含めて、事前に弁護士に「総額でどれくらいになるか」を確認しておくことが大切です。

見積もりを提示してくれる事務所が多いので、遠慮なく質問してみましょう。

費用を安く抑えるコツ

離婚協議書の作成費用は決して安くはありませんが、工夫次第で出費を抑えることも可能です。

  • 初回無料相談を活用する:費用が発生する前に相談できる事務所を選ぶと、無駄な支出を避けられます。
  • 事前に内容を整理しておく:相談時に話がまとまっていれば、打ち合わせ回数を減らせるため、時間単価が下がることもあります。
  • 交渉が不要な場合はその旨を伝える:交渉まで含めると料金が上がるため、作成のみ希望であることを伝えるのがポイントです。
  • 見積もりを複数取り比較する:費用構成を見て、自分に合った料金設定の事務所を選びましょう。

弁護士費用に不安がある方も、まずは気軽に相談するところから始めてみてください。

離婚協議書作成の流れ

弁護士に離婚協議書の作成を依頼した場合、一般的には以下のようなステップで進行します。

相談予約(電話・メール・WEBフォームなど)

まずは法律事務所に連絡し、面談の予約をとります。最近ではオンライン相談に対応している事務所も多く、対面が難しい場合でも相談可能です。

法律相談・ヒアリング

面談では、離婚に至った経緯や現在の状況、希望する条件(親権・財産分与・養育費など)について詳しく聞かれます。ここで伝えた内容が協議書の骨子になります。

協議書の原案作成

ヒアリングをもとに、弁護士が協議書の原案を作成します。法律上の不備がないか、将来のトラブルを防ぐ内容になっているかをしっかりと確認したうえで文面が整えられます。

内容確認・修正対応

原案をもとに、依頼者の要望を反映させながら文面を調整します。相手方との条件交渉が必要な場合には、弁護士が代理人として対応することもあります。

協議書への署名・押印

文案に双方が納得したら、正式な協議書として署名・捺印を行います。この段階で契約としての効力が生じます。

公正証書化(希望者のみ)

協議書に強制力を持たせたい場合は、公証役場で「公正証書」として作成してもらいます。これにより、たとえば養育費の不払いなどが発生した際に、裁判をせずに給与差押えなどの手続きが可能になります。

全体の所要期間は、協議内容がスムーズに決まれば2〜4週間ほどが一般的です。交渉が長引く場合は1ヶ月以上かかることもありますが、その分しっかりとした文書になります。

事例紹介

自分で作って後悔したケース

会社員のAさんは、費用を抑えようとネットの雛形を使って協議書を自作しました。

一見スムーズに離婚が成立したものの、数ヶ月後に離婚時は相手方もいらないと言っていた財産分与や慰謝料についてやっぱり支払ってほしいと請求されてしまいました。

弁護士に相談したところ、協議書には、財産分与請求権や慰謝料請求権の取り扱いについて正確に記載されておらず、離婚に至った事情を踏まえると法的にも相手方からの請求が認められる状況だと判明しました。

結果として、弁護士に依頼して相手と交渉し、協議書も作成し直すことになり、時間も費用も二重にかかってしまいました。最初から弁護士に任せていれば、こうしたトラブルは防げたと強く後悔したそうです。

相談事例②:相手と直接交渉せずに済んだケース(約300字)

自営業のBさんは、離婚には同意していたものの、相手と連絡を取るのが精神的に苦痛で弁護士に相談。

弁護士が代わりに相手方と交渉し、条件のすり合わせから協議書の作成、公正証書化まで対応してくれました。

Bさんは一度も相手とやり取りせずに離婚が成立し、精神的なストレスを最小限に抑えることができたと話しています。事後のトラブルもなく、安心して新生活をスタートできたとのことです。

よくある質問(FAQ)

Q:まだ離婚を決めていなくても相談できますか?

はい、可能です。離婚するかどうかを悩んでいる段階でも、法律上の選択肢や準備すべきことを知るための相談が有効です。

Q:自分で作った協議書をチェックしてもらうことはできますか?

できます。内容に不備がないか、法的に有効かどうかなどのチェックを依頼するだけでも大丈夫です。

Q:公正証書にしないと効力はないの?

協議書だけでも契約書としての効力はありますが、公正証書にすることで強制執行力がつきます。養育費など継続的な支払が予定される場合は、支払を怠った場合に備え、強制執行力のある公正証書にすることをお勧めいたします。

Q:相手が協議に応じてくれない場合はどうすれば?

弁護士を通じて交渉したり、家庭裁判所で調停を申し立てる方法があります。

Q:子どものこと(親権・面会交流)も書けますか?

はい。親権者の指定や面会の頻度など、子どもに関する取り決めも詳しく盛り込むことができます。

まとめ:トラブル防止の第一歩は「専門家への相談」

離婚協議書は、離婚後の生活を穏やかにスタートさせるための大切な土台です。自分たちで作ることも可能ですが、将来のトラブルや予期せぬリスクを防ぐためには、弁護士のサポートを受けるのが安心です。

特に、感情的になりやすい場面で冷静な判断をするのは難しいもの。第三者の視点からアドバイスをもらいながら、法的にしっかりした文書を作ることで、後悔のない離婚を実現することができます。

まずは無料相談などを活用して、信頼できる弁護士に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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