性的不能を理由に離婚はできる?別れるポイントや注意点を弁護士が解説

最終更新日: 2023年02月18日

  • 配偶者が性的不能になってしまった
  • 性的不能を理由にできるのか?
  • 離婚するときのポイントや注意点を知りたい

ある日、配偶者が性的不能になってしまったことにより、夫婦間で性交渉がなくなるケースがあります。性交渉は法律上、夫婦関係を継続していく上で必須ではありません。

ただし、円満な夫婦関係を築くための重要な要素になり得ます。場合によっては性的不能で性交渉がなくなった場合、離婚を検討する方もいます。

そこで今回は、男女問題や離婚問題を多く取り扱う弁護士が、性的不能を理由に離婚はできるのか、別れるポイントや注意点をわかりやすく解説していきます。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 性的不能とは勃起不全(ED)などの性機能障害により、性交渉ができない状態のこと
  • 配偶者の性的不能による離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
  • 配偶者の性的不能による離婚を考えているなら、「まずは医療機関に相談する」「性的不能が原因で夫婦関係が破綻したことを示す」「浮気・不倫の問題に注意する」の3つがポイント

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

性的不能とは?離婚を考える前の知識

性的不能とは勃起不全(ED)などの性機能障害により、性交渉ができない状態のことをいいます。性機能障害は、身体的要因の他に心理的要因があることも少なくありません。

たとえば、職場でのプレッシャーによるストレス、食事や運動といった生活習慣など、人によって原因は異なります。また、疾患や病気などが原因で性的不能になるケースも考えられます。

また、身体的な問題がストレスになり、さらにそれが身体的な原因となって性機能障害を引き起こすことも考えられます。性的不能は高齢により性的能力が低下するだけでなく、若年者でも起こり得ます。

性的不能を理由に離婚はできる?

配偶者が性的不能になり、離婚を考えてしまう場合もあるでしょう。ここでは、性的不能を理由に離婚できる方法として、以下の2つのケースを解説します。

  • 協議離婚の場合
  • 離婚裁判の場合

協議離婚の場合

協議離婚の場合は、理由を問われずに離婚への話し合いが進められます。また、調停離婚であっても協議離婚と同様です。

当事者のどちらかが配偶者の性的不能を理由に離婚の意思を示した場合、協議もしくは調停を行い、二人で婚姻関係を解消するのか決定します。

当事者同士が協議・調停して離婚に合意した場合は、離婚届を役所に提出して受理されれば、婚姻関係を解消することが可能です。

離婚裁判の場合

協議離婚や調停離婚で夫婦の合意ができないときには、家庭裁判所に離婚を提起することになります。これを、離婚裁判といいます。

離婚裁判は協議離婚とは異なり、離婚事由がなければ話し合いを進められません。法定離婚事由は民法770条に記載されており、以下の5つが挙げられます。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

出典:民法 | e-GOV法令検索

性的不能が理由で離婚裁判を進める場合は、5の婚姻を継続し難い理由に、性的不能が原因であることを証明する必要があります。

性的不能が法定離婚事由になるケースとは?

性的不能が法定離婚事由になるケースとして、性的不能により性交渉が継続的に不能であり、今後も期待できない場合において離婚事由に認められる可能性があります。法定離婚事由としては、「婚姻を継続し難い重大な事由」が該当します。

夫婦間においては、会話・態度などの日常的なコミュニケーションが重要ですが、夫婦が男女関係の一形態であることから、性交渉も重要だと考えられています。性交渉は子どもを授かるための行為以外にも、愛情の確認や表現の意味合いも含まれているためです。

そのため性的不能により性交渉が全くできない、治療を行っても回復が見込めない、医学的な治療をすれば回復するかもしれないのに、配偶者が拒否するなどの場合は、離婚事由として認められる可能性があるでしょう。

性的不能を理由に離婚するときのポイント

性的不能が原因で離婚するときには、何に注意すればよいのでしょうか。ここでは、性的不能を理由に離婚するときのポイントを下記の3つ紹介します。

  • まずは医療機関に相談する
  • 性的不能が原因で夫婦関係が破綻したことを示す
  • 浮気・不倫の問題に注意する

まずは医療機関に相談する

まずは、医療機関に性的不能であることを相談しましょう。性交渉ができなくなった原因を特定する必要があります。夫婦は婚姻関係を継続するために、お互いに協力し合うべきと考えられているため、二人で解決に向けて行動することが大切です。

専門医を受診することにより性的不能の原因が特定できれば、治療方法が見つかり解決する可能性があります。もしも解決策が見つからなかった場合は、再び夫婦で話し合う機会を設ける必要があるでしょう。

性的不能が原因で夫婦関係が破綻したことを示す

配偶者の性的不能が原因で夫婦仲が平穏な形で継続できず修復不可能になったことを示すために、具体的な出来事を記録していくことをおすすめします。配偶者が性的不能というだけでは、離婚事由だと認められない可能性があるためです。

性的不能により性交渉がなくなったことが原因で、夫婦間の会話や一緒に出かける回数が減ったなどの、婚姻関係の継続が難しくなったことを証明する必要があります。

夫婦関係の破綻を示すような具体的な出来事を日記などに詳細に記し、証拠として残しておくことが大切です。

浮気・不倫の問題に注意する

性的不能を理由に離婚するときは、浮気・不倫の問題に注意しましょう。いくら配偶者の性的不能が原因で不満が募っていたとしても、配偶者以外の方と性交渉をしてしまうと不貞行為があったとされてしまいます。

配偶者以外の異性と性交渉してしまうと有責配偶者として判断されてしまい、裁判での離婚請求が認められにくくなってしまいます。また、配偶者から慰謝料を請求されることも起こり得るでしょう。

離婚が成立するまでは、浮気や不倫を避けながら手続きを進めてください。新たな出会いや交際などに関しては、離婚が成立したあとにすべきでしょう。

まとめ

今回は、男女問題や離婚問題を多く取り扱う弁護士が、性的不能を理由に離婚はできるのかと、別れるポイントや注意点を解説してきました。

協議離婚や離婚裁判であれば、性的不能が理由であっても夫婦が合意していれば離婚を成立させることができます。一方、離婚裁判に関しては、法律上の離婚事由に該当する必要があるでしょう。

離婚事由を立証するためには準備が大切になるため、法律の専門家によるサポートが重要です。配偶者が性的不能で離婚を決意したときには、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

離婚に強い弁護士はこちら

離婚のコラムをもっと読む