離婚調停は同居しながらできる?デメリットなども専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月21日

  • 同居しながら離婚調停を進めたい
  • 同居しながら離婚調停を進めるメリット・デメリットを知りたい
  • 同居しながら離婚調停を進める方法を知りたい

離婚調停を考えているけど、そもそも同居しながら離婚することはできるのか、疑問に思う人も多いことでしょう。同居しながら離婚調停をすることは可能ですが、メリットやデメリットもあるので注意が必要です。

そこで今回は、同居しながら離婚調停をするための基礎知識・メリット・デメリット・進める方法について解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 同居しながらの離婚は、相手が離婚を拒絶している場合に、認められにくくなる可能性がある
  • 調停離婚のメリット・デメリットの一例を挙げると、メリットは「経済的な不安が減る」、デメリットは「ストレスがたまる」などがある
  • 同居しながら離婚する主な流れは、「お互いの離婚意思を確認する」→「離婚調停をする」→「審判離婚をする」→「離婚裁判をする」

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚調停を同居しながらするための基礎知識

離婚調停とはどのような手続きなのでしょうか。ここでは、離婚調停について詳しく解説します。1つずつ、見ていきましょう。

離婚調停とは?

離婚調停とは、夫婦間の話し合いによる協議離婚では解決できない場合に、家庭裁判所において調停委員に間に入ってもらい、離婚や離婚の条件について話し合う手続きです。

離婚調停では、離婚だけではなく離婚後の子どもの親権や面会交流、養育費・離婚に際しての財産分与・年金分割の割合・慰謝料などの財産に関する話し合いができます。

協議離婚では離婚成立が難しい場合、離婚裁判をする前に調停を行わなければなりません。離婚調停は、あくまでも話し合いの手続きです。裁判とは異なり、勝ち負けを争うものではないのが特徴です。

家庭裁判所により選任された2名の調停委員が夫婦間の意見を伝え合い、納得して合意に達すれば調停が成立します。

離婚裁判とは?

離婚裁判とは、調停では離婚の合意が得られない場合に、夫婦のどちらか一方が家庭裁判所に離婚訴訟を提起することにより、裁判官の判決にて離婚を成立させる手続きです。

離婚裁判は、書面を中心に手続きが進められます。当事者のいずれかの住所地の家庭裁判所に訴えを提起することで裁判が始まります。

離婚裁判を提起するには、相手の不貞行為・相手からの悪意の遺棄・相手の生死が3年以上不明・相手が強度の精神病・その他婚姻を継続しがたい重大な理由のいずれかに該当する事実が必要になります。

裁判離婚は、判決により当事者を離婚させる判決離婚、被告が原告の離婚請求を認諾することで離婚が成立する認諾離婚、当事者が裁判上の和解によって離婚に合意して離婚を成立させる和解離婚の3つがあります。

離婚調停を同居しながらするメリット・デメリット

同居しながら離婚調停をすることは可能です。ここでは、同居しながら離婚調停をするメリット・デメリットを解説します。

メリット

同居しながら離婚調停をするメリットは、以下の2つです。

  • 経済的な不安が減る
  • 証拠を手に入れやすい

1つずつ見ていきましょう。

経済的な不安が減る

同居しながら離婚調停をするメリットの1つ目は、経済的な不安が減ることです。

夫婦には同居義務と同様に生活扶助義務があり、収入の多い側が少ない側を扶助する義務を負います。

別居することで引っ越し費用や生活費の負担がさらに増えるため、収入が多い側がこれらの負担をしなければならなくなります。

同居しながら離婚調停を進めることで、こうした引っ越し費や生活費などの経済的な負担を減らすことができます。

証拠を手に入れやすい

同居しながら離婚調停をするメリットの2つ目は、証拠を手に入れやすいことです。

離婚調停や離婚裁判では、当事者の請求も証拠がなければ説得力に欠けるため、これらの請求が認められることは難しくなります。

同居を続けることで相手の身辺を探りやすく、相手が何か隠している場合には、別居よりも証拠となる事実を断然見つけやすくなります。

離婚調停での請求について根拠が持てる状態となるまでは、我慢してでも同居するメリットがあるといえるでしょう。

デメリット

同居しながら離婚調停をするデメリットは、以下の3つです。

  • ストレスがたまる
  • 暴言や暴力を受ける可能性がある
  • 離婚が認められにくくなる可能性がある

1つずつ見ていきましょう。

ストレスがたまる

同居しながら離婚調停をするデメリットの1つ目は、ストレスがたまることです。

離婚する相手と同居することは、もめている相手と日常的に顔を合わせることになるので、大きなストレスを感じることになります。

特に調停や裁判において、相手方の意見や提出された書面を受け取ることで余計に感情的になることも多くなります。

こうしたストレスにより家の中で大喧嘩に発展してしまうと、解決できる事案も解決できなくなります。ストレスがたまりすぎる場合には、別居を検討しましょう。

暴言・暴力を受ける可能性がある

同居しながら離婚調停をするデメリットの2つ目は、暴言・暴力を受ける可能性があることです。

普段は暴言や暴力をふるう相手ではなくても、離婚という大きなストレスの中で生活していると、どうしても感情的になり手が出てしまう場合もあるでしょう。

特に、DVを受けていたことが離婚の原因であるような場合には、同居のままで離婚の手続きを進めると、さらに暴言・暴力を受ける可能性が高まります。

同居を継続することで身の危険を感じる場合は、早めに別居することをおすすめします。

離婚が認められにくくなる可能性がある

同居しながら離婚調停をするデメリットの3つ目は、離婚が認められにくくなる可能性があるということです。

離婚裁判において、不倫やDVなどの明確な離婚原因がないケースでは、3年から5年以上の別居期間が必要といわれています。

特に、相手が離婚を拒絶している場合に同居を継続すると、婚姻は破綻していないと主張されてしまい裁判官もそのような心証を形成しやすくなります。

相手が離婚を拒絶している場合には、別居したほうが離婚が認められやすくなるでしょう。

離婚調停を同居しながら進める方法

同居しながら離婚調停を進めるためには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、同居しながら離婚調停を進める方法を、4つのステップで解説します。

  • STEP1:お互いの離婚意思を確認する
  • STEP2:離婚調停をする
  • STEP3:審判離婚をする
  • STEP4:離婚裁判をする

1つずつ見ていきましょう。

STEP1:お互いの離婚意思を確認する

同居しながら離婚調停を進めるための最初のステップは、お互いの離婚意思を確認することです。

協議離婚は、裁判手続きを経ずに夫婦間の話し合いのみで離婚する方法です。協議離婚をするためには、相手と話し合いお互いの離婚意思を確認することが必要になります。

離婚の話し合いでは、財産分与・慰謝料・年金分割・子どもの親権や養育費・面会交流について合意することが必要です。合意内容は離婚協議書として書面化し、公正証書を作成しておくことが望ましいでしょう。

離婚協議書に双方が署名捺印し、離婚届を作成して役場に提出すると離婚が成立します。

STEP2:離婚調停をする

同居しながら離婚調停を進めるための2番目のステップは、離婚調停をすることです。

夫婦での話し合いによって合意に至らない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。調停申立書・戸籍謄本・1,200円の収入印紙と連絡用の郵便切手が必要です。

調停では何度か期日が開かれて、調停委員に夫婦間の意見を伝え合います。夫婦が直接顔を合わせることがないため、感情的になってしまう場合には有効な手段といえるでしょう。

調停委員や裁判官の介入により合意に達すれば、離婚調停が成立します。

STEP3:審判離婚をする

同居しながら離婚調停を進めるための3番目のステップは、審判離婚をすることです。

審判離婚とは、離婚調停不成立時、家庭裁判所が離婚が妥当だと判断した場合に職権により離婚を成立させる手続きです。

審判離婚は、離婚の合意はできているが財産分与などの離婚条件にわずかな相違があり合意に達しない場合や、当事者の一方が何らかの理由により調停に出席できないが離婚意思が明確であるような場合に、利用されます。

審判離婚は、審判の日から2週間以内に異議申立てをすると効力がなくなります。その後は、離婚裁判をすることになります。

STEP4:離婚裁判をする

同居しながら離婚調停を進めるための最後のステップは、離婚裁判をすることです。

離婚裁判は、調停とは異なり、自分の住所地を管轄する家庭裁判所に訴訟提起をすることもできます。ご自身の便利な方を選んで提訴の手続きを進めましょう。

離婚裁判では、訴状・戸籍謄本・調停不成立証明書・証拠書類とともに、収入印紙と郵便切手を納めます。収入印紙代は、離婚の請求のみは13,000円ですが、養育費や財産分与の請求があれば加算されます。

法律上の離婚原因が認められれば離婚判決となり、離婚が成立します。判決内容に不服がある場合、当事者は控訴をすることができます。

離婚調停を同居しながらするには弁護士に相談

同居しながら離婚調停を考えたら弁護士に相談することがおすすめです。

たとえ費用がかかっても、離婚問題を専門とする経験豊富な弁護士に依頼することで、事案に応じた適切な解決に導いてくれるからです。

同居しながら離婚調停を進めることは、ときに精神的にも大きなダメージを受けることもあるでしょう。

不安になったときには、直接弁護士に相談することで精神的な支えを得ることができ、その後に生じる問題も見据えた法的なアドバイスを受けることも可能です。早い段階で弁護士と面談して相談することをおすすめします。

まとめ

今回は、同居しながら離婚調停をするための基礎知識・メリット・デメリット・進める方法について解説しました。

同居しながら離婚調停は可能なのか、と不安に考える人も少なくありませんが、さまざまな解決方法があります。財産分与や養育費の額などについても的確に説明してくれるので、まずは弁護士に相談してみましょう。

離婚に強い弁護士はこちら

離婚のコラムをもっと読む