薬物中毒の旦那と離婚したい?離婚すべき場合や方法を専門弁護士が解説

最終更新日: 2024年01月07日

  • 薬物を使用する旦那と離婚したい
  • 薬物を使用することが離婚の原因となるのか
  • 薬物を使用する旦那と離婚する方法

旦那が薬物を使用していたことがわかると、「離婚したい」という気持ちが出てくることがあるでしょう。「薬物を使用している旦那が冷静に離婚を決断してくれるのか」「薬物の使用は離婚の原因として認められるのか」など、知りたいこともでてきます。

そこで今回は、離婚の専門弁護士が、離婚の原因となる薬物依存とは何か、離婚に至るまで薬物に依存する理由や離婚を検討するべき薬物依存の症状や薬物を使用する旦那と離婚する方法について解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 薬物が原因による離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
  • 離婚を検討すべき薬物依存症の症状は、「人格が変わった」「薬物使用の道具が出てきた」「逮捕された」などがある
  • 薬物を使用する旦那と離婚する主な方法は、「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「離婚裁判」の4つ

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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離婚の理由となる薬物依存

そもそも薬物依存しているとはどのような状況なのでしょうか?ここでは、離婚の理由となる薬物依存を、以下の3点から解説します。

  • 薬物乱用
  • 薬物依存症
  • 薬物事件

1つずつ見ていきましょう。

薬物乱用

離婚の理由となる薬物依存の1つ目は、薬物乱用の状態です。

薬物乱用は、違法な薬物や医薬品を不適切に使用することをいいます。薬物を服用するにあたり医師の指示に従わないことが含まれます。

薬物乱用は健康に悪影響を与え、社会的問題を引き起こす可能性があります。

薬物依存症

離婚の理由となる薬物依存の2つ目は、薬物依存症が見られる場合です。

薬物依存症は、薬物に対する強い依存を示す病気です。薬物を服用し続けることで、脳の神経伝達物質のバランスが乱れ、薬物を服用せざるをえない状態を生じさせます。治療を受けない場合、症状は長期的に続き問題を引き起こす可能性があります。

薬物事件

離婚の理由となる薬物依存の3つ目は、薬物事件を起こした場合です。

薬物事件とは、薬物に関連した不適切な行動・犯罪を犯すことをいいます。薬物事件には、違法な薬物の製造・販売・所持・使用などが含まれます。薬物乱用・薬物依存症が原因で犯罪を犯すことも少なくありません。

薬物事件は、社会的問題を引き起こし、夫婦だけではなく家族や多くの人々に影響を与えることから深刻な問題であるといえます。

離婚に至るまで薬物に依存する理由

離婚に至るまで、薬物に依存してしまうには何らかの理由がある可能性が考えられます。ここでは、離婚に至るまで薬物に依存する理由を、以下の3点から解説します。

  • ストレス解消
  • 気分転換
  • 現実逃避

1つずつ見ていきましょう。

ストレス解消

離婚に至るまで薬物に依存する理由の1つ目は、ストレス解消です。

ストレスとは、日常生活で直面するさまざまな問題や困難から来る心理的な負担をいいます。ストレスを感じることは「正常な状態」ともいえますが、長期的にストレスを感じ続けることで、健康に悪影響を与える可能性があります。

薬物は、そのようなストレスを紛らわせる効果があるとされるため、使用してしまうのです。長期的に薬物を使用し続けることによって、薬物依存を引き起こす可能性があります。

気分転換

離婚に至るまで薬物に依存する理由の2つ目は、気分転換です。

仕事でのストレスが溜まっていたり落ち込んだりしたとき、気分転換を求めて薬物を摂取することが考えられます。しかし、薬物に頼って気分転換することは、一時的な対処方法でしかなく、長期的には解決しない問題が残ります。

本来は、問題の根本原因を探り、適切な治療を受けることが重要といえます。

現実逃避

離婚に至るまで薬物に依存する理由の3つ目は、現実逃避です。

薬物に依存する理由として、現実逃避があります。これは、不快な現実や問題、ストレスなどから逃避するために、薬物を使用することを指します。

薬物を服用することで、現実から目を背けることができ、自分自身の問題や現実から逃避することができるため、薬物依存に陥ってしまう傾向があります。

薬物を服用することで、現実から逃避するために、薬物を使用する習慣が形成され、それが薬物依存に発展していくことがあります。

離婚を検討すべき薬物依存症の症状

離婚を検討したほうがよい薬物依存症の場合、さまざまな症状があります。ここでは、離婚を検討すべき薬物依存症の症状を、以下の3点から解説します。

  • 人格が変わった
  • 薬物使用の道具が出てきた
  • 逮捕された

1つずつ見ていきましょう。

人格が変わった

離婚を検討すべき薬物依存症の症状の1つ目は、人格が変わった場合です。

薬物依存症の症状には、人格の変化があります。薬物依存者は、薬物を使用することで、心理的な変化を起こします。これにより、薬物依存者の人格特性が変化し、薬物使用によって変化した性格が現れることがあります。

たとえば、薬物依存者は、抑うつや不安な気分から逃避するために薬物を使用することが多いため、薬物を使用しない状態では抑うつや不安が強くなり、社交性が低下します。

逆に、薬物を使用しているときは、気が大きくなり不適切な行動を取ることもあります。そのため、薬物依存が進行するにつれて、薬物依存者は自己中心的になり、他人に対して暴力的になることがあります。

このような人格の変化は、家族・友人・仕事などに悪影響を与える懸念があります。

薬物使用の道具が出てきた

離婚を検討すべき薬物依存症の症状の2つ目は、薬物の道具が出てきた場合です。

薬物依存者は、薬物を使用するための注射器や吸引するための道具を隠し、家や車などに持ち込むことがあります。これらの道具が見つかった場合は、その人が薬物依存症であることを示す重要なサインだといえます。

逮捕された

離婚を検討すべき薬物依存症の症状の3つ目は、逮捕された場合です。

薬物依存症が原因の逮捕は、本人だけでなく家族にとっても大きな負担といえます。薬物依存症の克服に必要な治療には、家族のサポートが必要になりますが、そのときは家族のサポートが必須になりますが、相当な時間とエネルギーを使うことになります。

治療のためのサポートに時間とエネルギーを割く必要があるのか、悩む場合もあるでしょう。薬物依存症によって逮捕された場合は、離婚を強く意識してしまう可能性があります。

薬物を使用する旦那と離婚する方法

薬物を使用する旦那と離婚するには、どのような方法があるでしょうか?ここでは、薬物を使用する旦那と離婚するための4つの方法を詳しく解説します。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

1つずつ見ていきましょう。

協議離婚

薬物を使用する旦那と離婚する方法の1つ目は、協議離婚です。

協議離婚とは、離婚する双方が自分たちで合意した内容をもとに、離婚をする方法です。双方が協議し合意した内容について、「離婚協議書」を作成します。そのうえで双方のどちらかからお互いの署名が入った離婚届を提出することで、離婚が成立します。

なお、離婚協議書は法的な強制力を持たせるために、公正証書を作成しておくことがおすすめです。「子どもの養育費が支払われない」「慰謝料の支払いがされない」など万が一、協議した内容が守られない場合は、強制執行などの手続きを取ることができます。

協議離婚は、離婚する双方が自分たちで合意した内容をもとに離婚できるため、裁判をすることなく簡便かつ迅速に離婚が成立します。

ただし、協議離婚は双方が協議し合意することが前提となるため、協議がうまくいかない場合があります。

調停離婚

薬物を使用する旦那と離婚する方法の2つ目は、調停離婚です。

調停離婚とは、離婚する双方が話し合って合意することができない場合に、裁判所から指名された調停委員が間に入り、離婚に関する問題を調整し、双方が合意する方法を提案する方法です。

調停委員は、夫と妻の双方から意見を聞いて合意に向けた調整を行いますが、合意できない場合は、調停不成立となり離婚には至りません。

不成立となった場合は、審判が下るか裁判をすることになる可能性があります。

審判離婚

薬物を使用する旦那と離婚する方法の3つ目は、審判離婚です。

審判離婚とは、離婚する双方が話し合って合意することができない場合や、協議離婚・調停離婚によってあと一歩のところで合意できなかった場合に、裁判所が審判を下すことをいいます。

審判離婚は、家事事件手続法第284条「調停に代わる審判」で定められています。

審判離婚は、離婚裁判を回避できるため、必要以上に時間・費用をかけずに離婚が成立するメリットがありますが、どちらか一方が拒否すると、離婚が成立しません。

出典:家事事件手続法 | e-Gov法令検索

裁判離婚

薬物を使用する旦那と離婚する方法の4つ目は、裁判離婚です。

裁判離婚とは、離婚する双方が話し合ったり、調停委員による調整を行っても合意することができない場合に、裁判上の離婚を認める方法です。裁判上の離婚には、該当する事由が必要であり、事由は民法第770条に以下の通り定められています。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

出典:民法 | e-GOV法令検索

薬物依存症の旦那と離婚を考えたら弁護士に相談しよう

薬物依存症の旦那との離婚を考える場合、弁護士に相談することは重要です。

弁護士は、離婚に関する法律上の問題を解決するために、必要な情報を収集し、適切な戦略を立てることができます。また、離婚後の生活も想定して、慰謝料の請求や財産分与といった離婚に関する問題に、適切なアドバイスをします。

薬物依存症の旦那とは冷静に離婚の話をすることが難しい可能性もあるため、専門家の介入で離婚を進めることをおすすめします。

まとめ

今回は、離婚の専門弁護士が、離婚の原因となる薬物依存とは何か、離婚に至るまで薬物に依存する理由や離婚を検討するべき薬物依存の症状、薬物を使用する旦那と離婚する方法について解説しました。

薬物依存症は、家族のサポート無くして更生することが難しいといえます。しかし、更生するまでサポートし続けられるかどうかは、夫と妻とのこれまでの関係に大きく左右されるでしょう。

薬物依存症の旦那との離婚の合意は難しい可能性があり、専門家を挟んで話し合いを進めることをおすすめします。薬物・離婚のどちらにも詳しい弁護士であれば、安心して任せられるでしょう。

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