立ち退き交渉の代行は誰に依頼するのがオススメ?
最終更新日: 2024年01月26日
- 立ち退き交渉でよく言われる「正当事由」とは何か
- 立ち退き交渉を弁護士に依頼するとどのような効果があるのか
- 立ち退き交渉を弁護士に依頼する場合のポイントを知りたい
賃貸物件では、オーナーの生活環境の変化にともなう建物の自己使用、老朽化した建物の建て替え、あるいは入居者の賃料不払いなど、立ち退き交渉が必要な場面があります。
逆に、賃借人の立場としても、ある日突然退去を求められ、退去に伴う補償(立退料)などの条件について立ち退き交渉が必要な場面があります。
いずれの立場でも、立ち退き交渉は、契約年数や賃貸物件の築年数など様々な状況を加味しながら行わなければならず、当事者が直接交渉すると問題がこじれてしまうケースがよくあります。
今回は、立ち退き交渉に際して弁護士に依頼する前に知っておくべき基礎知識や立ち退き交渉を弁護士に依頼する際のポイントなどを解説します。もっぱらオーナー側の視点で説明をしていますが、賃借人の方が読んでもためになる内容としております。
立ち退き交渉の代行を考える前に知っておきたい基礎知識
立ち退き交渉の代行を考える前に知っておきたい基礎知識として以下の3つの点から解説します。
- 立ち退き交渉とは
- 立ち退き交渉に必要な正当事由とは
- 非弁行為に該当する立ち退き交渉に注意
1つずつ見ていきましょう。
立ち退き交渉とは
立ち退き交渉とは、オーナーが所有物件から退去することを入居者に求めるための交渉です。
オーナーは立ち退きを考えるときに、賃貸借契約の解除・契約の更新拒絶のいずれかを行わなければいけません。
賃貸借契約の解除をする場合、賃借人の承諾があるか信頼関係を破壊するほどの債務不履行が必要です。例えば、賃料の滞納が1度あったというだけでは法的に有効に賃貸借契約を解除することはできません。
また、賃貸借契約の更新拒絶をする場合には借地借家法上、正当事由が求められています。この正当事由については次の項目で説明します。
立ち退き交渉に必要な正当事由とは
オーナーが賃貸借契約の更新拒絶をするのに必要な正当事由は、オーナー側が立ち退きを求める必要性と入居者の賃貸物件利用の必要性を比較して判断されます。
その判断にあたっては、オーナーと入居者の関係性、賃貸の経緯、立ち退き料の提示の有無・金額、不動産の老朽化の程度など様々な事情を考慮して判断されます。立ち退きを求める必要性が弱いケースでは正当事由が認められませんが、相応にその必要性があるケースではある程度の立ち退き料の支払いを条件として正当事由が認められるケースも多くあります。
非弁行為に該当する立ち退き交渉に注意
立ち退き交渉をオーナーと入居者が直接することは何ら問題ありません。しかし、不動産会社や管理会社に立ち退き交渉の代行を依頼し、そこに報酬が発生してしまうと、非弁活動として弁護士法に違反する違法行為となるので注意が必要です。
弁護士法では、弁護士資格の無い者が報酬を得る目的で法律事件に関して、鑑定・代理・仲裁若しくは和解等の法律事務を取り扱うことを禁止しています(弁護士法第72条)
立ち退き交渉の代行を依頼することで得られる効果
立ち退き交渉の代行を弁護士に依頼することで得られる効果は以下の3つです。
- 正当事由を明確にした交渉ができる
- 交渉による負担を大きく軽減できる
- 弁護士に交渉を代行させることによる経済的メリットが大きい
1つずつ見ていきましょう。
正当事由を明確にした交渉ができる
1つ目は、正当事由を明確にした交渉ができることです。
賃貸借契約の更新拒絶をして賃借人に立ち退きを求めるためには、先ほどの説明のとおり、借地借家法の正当事由が必要です。要するに、やむを得ないといえるほどの立ち退きの必要性が求められるということです。
これについて単に老朽化しているや自分が使う必要があるなどを説明しても法的に十分な正当事由とはならないのはもちろん、賃借人の理解を得られず、オーナーが自分勝手なことばかり言って追い出そうとしているという印象を与えて立ち退き交渉が難航する恐れがあります。
立ち退き交渉に精通している専門弁護士であれば、当該事案において正当事由を的確に構成し、それを踏まえて賃借人を説得し、スムーズな立ち退きを実現する可能性が高まります。
交渉による負担を大きく軽減できる
2つ目は、交渉による負担を大きく軽減できることです。
集合住宅の立ち退き交渉の場合、多数の入居者を相手とする立ち退き交渉をする必要があり、オーナー自身で交渉をする場合にはその負担は相当なものとなります。1件だけの住居、テナントの場合であってもすんなり立ち退きに応じてもらえるケースの方が少なく、賃借人との交渉は精神的にも相当な負荷がかかります。
立ち退き交渉の代行を弁護士に依頼をすれば、これらの負担の一切を弁護士に任せることができるため、時間的にも精神的にも余裕をもって立ち退きを進めることができます。
弁護士に交渉を代行させることによる経済的メリットが大きい
3つ目は、弁護士に交渉を代行させることによる経済的メリットが大きいということです。
専門弁護士が立ち退き交渉を代行すればご自身で交渉するよりも早期に立ち退きを実現できる可能性が高まり、機会損失や出費を減らすことができます。
また、立ち退きには立退料が必要となるケースが多くありますが、専門弁護士によれば立退料無しで立ち退きの合意を取ることや低額の立退料で立ち退きの合意をとることができる可能性が高まり、オーナーにとっての経済的メリットは大きくなります。
立ち退き交渉の代行を依頼する費用
それでは実際に弁護士に立ち退き交渉を依頼した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。弁護士費用の内訳は下記のとおりです。
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬金
- 実費
相談料は、依頼人が弁護士に法律相談をするにあたって支払う費用です。通常は30分で5000円から1万円で設定されています。当事務所のように初回の相談料を無料に設定をしている法律事務所もあります。
着手金は、弁護士が依頼された案件に着手するにあたって支払う費用です。着手金の金額を一律に設定している場合もあれば、依頼者の経済的利益の〇%で算出する場合もあります。当事務所の場合は、対象物件の数にもよりますが通常は20,30万円の着手金にて対応しております。
成功報酬金は、案件が終了時に委任契約所定の計算方法で算出される金額で、弁護士に依頼した仕事の一部または全てが成功した場合に依頼者が支払う費用です。成功報酬はケースによって金額は大きく異なってきますが、例えば、区分所有マンションの一室の立ち退きであれば成功報酬は20万円ほどが通常でしょう。
立ち退き交渉の代行を依頼する際のポイント
立ち退き交渉の代行を弁護士に依頼する際のポイントは以下の3つです。
- 立ち退き交渉の経験値が高い弁護士を選ぶ
- 初回相談で弁護士の方針を見極める
- 対応の柔軟性も評価の1つ
1つずつ見ていきましょう。
立ち退き交渉の経験値が高い弁護士を選ぶ
1つ目は、立ち退き交渉の経験値が高い弁護士を選ぶことです。
立ち退き交渉では、当事者間の話し合いで立ち退き料が支払われる場合もありますが、多くの場合、専門知識が不足していたり、過去の裁判例から出される相場観に関する知識が無いために、納得できる内容に達しない可能性があります。
こうした場合、立ち退き交渉に精通した経験値の高い弁護士を選ぶことがおすすめです。交渉のプロに依頼して双方が合意に至り、最善の結果を得ることができます。
初回相談で弁護士の方針を見極める
2つ目は、初回相談で弁護士の方針を見極めることです。
初回の相談で弁護士の考え方・進め方・相性など、相談時のやりとりを通して見極めることが重要です。立ち退き交渉を経験値が高い法律事務所に依頼することで、解決までの時間を短縮でき、スムーズに進むことが期待できます。
最近では初回無料相談を実施している法律事務所も増えています。聞いておきたいことを予めメモし、明確な回答が得られるように事前に準備をしておきましょう。
対応の柔軟性も評価の1つ
3つ目は、対応の柔軟性も評価の1つ、ということです。
都度、来所面談を求められる弁護士事務所もあるようです。一方で、お客様の状況に合わせて電話やビデオ通話など柔軟に対応している法律事務所もあります。
当事務所でも電話やオンライン面談はもちろん、メールでの契約も可能です。全国対応をしていますのでご活用ください。
まとめ
今回は、立ち退き交渉に際して弁護士に相談・依頼する前に知っておくべき基礎知識や立ち退き交渉を弁護士に依頼する効果、弁護士費用、依頼する場合に気をつけておきたいポイントを解説しました。
立ち退き問題を弁護士に依頼することで、正当事由を明確にして効率的な交渉ができたり、交渉における当事者の様々な負担を軽減したり、さらには立ち退き料について納得できる合意に至る期待ができることお伝えしました。
何よりも立ち退き問題に精通し、依頼人の意向を充分に汲み取ってくれる弁護士に依頼することができれば、メリットがデメリットを大きく上回る結果につながります。無料相談を活用して、納得のいく解決へと導いてくれる弁護士に出会うことでスムーズな解決を目指しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。