不動産の立ち退き問題で発生する弁護士費用を徹底解説!大家と賃貸人の両面から紹介
最終更新日: 2022年08月23日
- 不動産の立ち退きを弁護士に依頼した場合の弁護士費用はどのくらい必要なのか
- 弁護士費用を払ってでも弁護士に立ち退きを依頼するメリットはあるのか
- 費用対効果の高い立ち退き対応をしてくれる弁護士の選び方を知りたい
賃貸物件の大家・入居者に降りかかる問題としてあるのが立ち退き問題です。
例えば大家の立場から入居者に立ち退きを伝える際に、「建物の老朽化が進んでいるから取り壊すことにした」のような理由1つでは納得してもらえないケースも多く、中には高額な立ち退き料を請求される可能性もあります。
一方、入居者側の立場で言えば、急な立ち退きを要求され一方的に不利な条件で退去せざるを得ない状況に追い込まれることも考えられます。
このような事態を避けるためにおすすめなのが、弁護士に不動産の立ち退きに関する問題を依頼することです。個人での交渉が難しくなることも多い立ち退き請求では、法律の知見を持った弁護士に交渉をしてもらうことで円満な解決も期待できます。
この記事では、立ち退きに必要な弁護士費用を理解するための基礎知識、弁護士費用を支払ってでも立ち退きを依頼するメリット・デメリット、費用対効果の高い弁護士の選び方を解説します。
立ち退きに必要な弁護士費用を理解するための基礎知識
立ち退きに必要な弁護士費用を理解するためにはまず、弁護士に支払いが必要な費用の仕組みを知る必要があります。初めて弁護士に依頼をする場合、弁護士費用はどのくらい支払わなければならないのか、など不安もあるでしょう。
ここでは以下の視点から解説します。
- 弁護士費用の内訳
- 報酬金と立ち退き料の関係
弁護士費用の内訳を解説
弁護士費用の内訳は大きく分けて以下の3つです。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
それでは、1つずつ解説します。
相談料
弁護士費用の内訳の1つ目は、相談料です。
相談料とは、依頼者が弁護士に法律相談をするにあたり支払う費用です。
日常に起こった困りごとを相談することで、弁護士から法律を使った解決方法やアドバイスをしてもらうことができます。
日本弁護士連合会が定めた旧基準である、30分5,000円から10,000円で設定しているところが多い傾向にあります。弁護士法改正に伴い旧基準はすでに廃止となっていますが、合理的であることから、今でも多くの弁護士事務所が旧基準を採用しています。
依頼をしたあとは、同じ案件であれば相談料はかからない法律事務所がほとんどですが、依頼した案件と別件で相談する場合はあらたに相談料が請求されるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
最近では、相談料を無料にすることで敷居が高く感じがちな弁護士事務所に少しでも気軽に来てもらえるようにしている法律事務所もあります。無料相談は弁護士を見極める機会を提供する場にもなっているとも言えます。
着手金
弁護士費用の内訳の2つ目は、着手金です。
着手金とは、弁護士が依頼された案件に着手するにあたり支払う費用です。
弁護士に仕事を依頼した時に支払います。依頼当日に現金で支払う場合もありますが、多くの場合は委任契約後に指定された口座に振り込むことになります。
支払い方法は一括もしくは分割での支払いも相談できる法律事務所があります。
報酬金の手付金や内金と間違えられることもありますが、そのような性質はありません。事件が未解決に終わったり途中で弁護士を解任したり、依頼者側の理由で委任契約が終了するようなことがあっても返還されない費用です。
着手金の金額は、例えば立ち退き料の請求の場合「○○円」と決まっているパターンや、依頼者の経済的利益の○%と計算で決まるパターンがあります。
報酬金
弁護士費用の内訳の3つ目は、報酬金です。
報酬金とは、弁護士に依頼した仕事が一部またはすべて成功した場合に依頼者が支払う費用です。
依頼者が得られた経済的利益の○%、としている法律事務所が多く、「成功報酬」とも呼ばれています。案件が終了しそれぞれの事務所ごとに設けられた報酬規約に沿って計算が行われます。
支払い方法に関しては、経済的利益が代理人である弁護士の口座に入金される場合はその中から相殺する事務所が多いと言えます。
立ち退き料の請求の場合例えば、請求されている立ち退き料から実際に支払う立ち退き料に減額があるような時には、現金という形で経済的利益は得られません。このような時は、減額された金額の○%が依頼者に請求され、一括もしくは分割で弁護士事務所に納めることになります。
報酬金と立ち退き料の関係
報酬金と立ち退き料の関係を以下の2点から解説します。
- 立ち退き料の相場とは
- 着手金なしの成功報酬制の事務所もある
それでは1つずつ解説します。
立ち退き料の相場とは
弁護士に支払う報酬金は、得られた立ち退き料によって変動しますから、弁護士費用を計算するにあたっては、立ち退き料の相場を把握しておく必要があります。
実は、立ち退き料の金額は、法律で決まっているわけではなく、賃貸人が更新拒絶をする際の正当事由の有無によって大きく増減します。また、賃貸人の経済力も大きく影響してくるでしょう。
ただ、多くの事案において最低限補償される可能性の高い費用として、
- 新たに賃貸借契約を締結するための契約金、礼金、その他諸費用
- 引越し代
- 現行家賃と新家賃との差額(1~3年間)
があります。
そのため、単身用居住物件を例に得られる立ち退き料を算出すると70~100万円が相場になると思われます。
着手金なしの成功報酬制の事務所もある
最近では、着手金なしで立ち退き料が発生した場合のみ成功報酬の請求を行なう事務所もあります。この場合のメリットとしては、初期費用が発生しないことであり経済的な負担を回避できる上に、不安を解消できることにあります。
特に、賃借人である入居者が突然の立ち退き請求に合った場合の相談先とするには、負担を最小限に安心して相談できると言えます。
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリット
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットは以下の3つです。
- 不安からの解放
- 時間を無駄にしない
- 経験と専門性に基づいた高い交渉力
それでは1つずつ解説します。
不安からの解放
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットの1つ目は、不安からの解放です。
立ち退きの交渉はもちろん本人でも可能です。しかし例えば交渉する側の賃貸人が自身の正当性ばかりを主張して結果的に賃借人を感情的にさせてしまった場合、居座られてしまったり、必要以上の立ち退き料を請求される可能性があります。
賃借人の立場である場合、本来請求できる金額より低い金額で同意してしまい退去しなければならなくなる可能性があります。
そうなると、双方がそれぞれの立場でストレスを感じるようになります。
しかし弁護士に依頼をすることで、法律的な知見から問題を解決することが可能になります。
心理的負担の解消は本来弁護士に求められる依頼人の経済的利益ではありませんが、通常の生活が送れることだけでも大きなメリットと言えます。
弁護士が依頼者の代理人として交渉を行ったり、裁判になった場合は裁判所に出頭してもらえます。任せてしまうだけでより良い着地点に導いてもらうことが可能です。
時間を無駄にしない
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットの2つ目は、時間を無駄にしないことです。
賃貸人と賃借人が直接交渉をすることで、お互い話が平行線をたどり解決までに必要以上の時間を要する場合もでてきます。
自身で交渉を行なう場合であっても法律的な知識は必要であり、これまでの判例なども見ておく必要があります。
しかしいざ交渉となると不慣れな分、取り入れた情報をうまく利用することができない可能性があります。
交渉で済まない場合、裁判となり結果的に弁護士に依頼をするということにもなるため、できる限り短い期間での解決を望むのであれば弁護士に依頼することがおすすめです。
経験と専門性に基づいた高い交渉力
立ち退きを弁護士費用を払ってでも依頼するメリットの3つ目は、経験と専門性に基づいた高い交渉力です。
弁護士は過去の裁判例を読み解き、事務所に集まる相談を解決していくことで交渉力やノウハウの蓄積など経験値をあげていきます。そのため、経験値の高い弁護士に依頼をすることは交渉がスムーズに進むことにつながると言えます。
立ち退きの案件に慣れている弁護士であれば、賃貸人と賃借人の落とし所をうまく探った上で交渉をするため、双方が納得のいく形で短期間での解決も期待できます。
立ち退きに弁護士費用を支払うデメリット
立ち退きに弁護士費用を支払うデメリットとは特にないと言えます。高い交渉力があり高い経験値を持つ弁護士に依頼できれば、支払った報酬だけかそれ以上の効果が期待できます。
立ち退き対応の費用対効果を高めるための弁護士の選び方
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方には、以下の3つのポイントが挙げられます。
- 初回相談で弁護士の方針を確認する
- 対応が柔軟な事務所を選ぶ
- 不動産の立ち退きに精通している事務所を選ぶ
それでは、1つずつ解説します。
初回相談で弁護士の方針を確認する
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方のポイントの1つ目は、初回相談で弁護士の方針を確認することです。
初回相談を有効に活用することで、「この弁護士はどのような方針で解決していくのだろうか」ということを依頼する前に時間をかけて確認することができます。
相談料がかかると言うとできるだけ相談を手短に済ませようとしてしまいがちですが、本来大切に考えなければならない自身が納得のできる解決へ導いてくれるのかを確認するという目的を達成しないままになることも考えられます。
そうならないためにも、初回相談では時間を有効に使って、弁護士との認識合わせを確実に行なうことが大切です。
最近では、当事務所も含めて初回相談料を無料にしている事務所も出てきています。
対応が柔軟な事務所を選ぶ
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方のポイントの2つ目は、対応が柔軟な事務所を選ぶことです。
相談をするにあたっての面談を来所だけの対応ではなく、電話やSkypeを使って行っている事務所であれば、時間や場所にとらわれず事務所を選ぶことが可能です。
また、不動産の立ち退きに関する相談で重要なのは立ち退き料の金額だけではありません。できるだけ不安や精神的なストレスを軽減したい場合は、解決のスピードを早めることも大切です。
依頼者が何を一番重要視しているのかを汲み取り、望ましい方向で解決してくれる柔軟な対応のできる弁護士事務所を選ぶことがおすすめです。
不動産の立ち退きに精通している事務所を選ぶ
立ち退き対応の費用対効果を高める弁護士の選び方のポイントの3つ目は、不動産の立ち退きに精通している事務所を選ぶことです。
医師に専門科目があるのと同じように弁護士にもやはり専門分野があることが多く、依頼する際には不動産の立ち退きに精通している弁護士に依頼することが重要です。
選ぶ際には、ホームページに取扱分野として不動産の立ち退きを挙げ、解決実績の掲載があったり、ブログやコラムなどを書くことでホームページを見る人にわかりやすく情報提供をしていることを確認するなど、相談前に調べておくと良いでしょう。
まとめ
この記事では、立ち退きに必要な弁護士費用を理解するための基礎知識、弁護士費用を支払ってでも立ち退きを依頼するメリット・デメリット、費用対効果の高い弁護士の選び方を解説しました。
円満な不動産の立ち退きを実現するためには、正当な事由が必要でありこの事由によって立ち退き料も大きく変わるとも言えます。
これまでに多くの案件を解決した実績を持つ弁護士事務所に依頼をすることでスムーズな解決が期待できます。
不動産の立ち退きに関して、悩みや相談したいことがある場合はぜひ弁護士事務所に行かれることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にある「LINEで無料相談」のボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。