X(旧Twitter)の削除依頼方法!禁止事項や法的リスク・対応策も解説
最終更新日: 2024年11月24日
- X(旧Twitter)で誹謗中傷されている。誹謗中傷の投稿を削除する方法について知りたい。
- 誹謗中傷の投稿を削除するとき、裁判所に申立てができるのだろうか?
- X(旧Twitter)で私は他人を誹謗中傷したが、どのような罪に問われるのだろう?
X(旧Twitter)で誹謗中傷された場合、該当する投稿の削除は可能です。ただし、削除依頼はX(旧Twitter)の規約に従い進める必要があります。
そこで今回は、SNSトラブルの解決に豊富な実績を持つ専門弁護士が、削除を依頼するときの注意点、削除依頼の手順等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- X(旧Twitter)で誹謗中傷の投稿を削除したい場合、まずは禁止事項を確認する
- 削除依頼の手順は個人で実施する方法、裁判所を経由した方法がある
- 誹謗中傷の加害者も被害者も、専門弁護士に相談し対応を協議しよう
X(旧twitter)の削除依頼の前の注意点
X(旧Twitter)上であなたが誹謗中傷を受けた場合、X(旧Twitter)ヘルプセンターに悪質な投稿の削除を依頼できます。
ただし、依頼前に投稿が禁止事項へ該当するのかを確認しておきましょう。
禁止事項を確認する
まず誹謗中傷とみられる投稿が、X(旧Twitter)ヘルプセンターで指摘されている「禁止事項」にあたるかどうかを確認します。
禁止事項として次の3つがあげられています。
- 安全性:暴力や加害の脅迫を行っている、特定の人物を標的とした嫌がらせ等
- プライバシー:個人情報を許可なく公開された、アカウントを乗っ取られた等
- 信頼性:情報を人為的に拡散された、知的財産権の侵害等
いずれかに当てはまる場合、ヘルプセンターに削除依頼が可能です。
警察には相談すべきではない
誹謗中傷の投稿はX(旧Twitter)ヘルプセンターに報告・削除を依頼しましょう。警察に相談するのは妥当とはいえません。
もしも誹謗中傷があなたの名誉毀損や侮辱にあたるのなら、各都道府県警察の「サイバー犯罪相談窓口」に相談してみましょう。ネット上の誹謗中傷の解決に向けたアドバイスが得られます。
投稿が悪質で事件化が可能な内容ならば、警察が相手の特定に動く可能性もあります。
ただし、次のようなトラブルは刑罰法令で定められた犯罪に該当していません。
- 肖像権、プライバシー権の侵害:X(旧Twitter)上で勝手に自分の顔写真が拡散された、無断で住所が投稿された等
- なりすましのアカウントで嫌がらせされた:X(旧Twitter)上で他人があなたの名前を勝手に名乗り投稿していた等
被害は民事トラブルとして扱われ、警察による対応は困難です。
X(旧twitter)の削除依頼手順(個人で実施)
X(旧Twitter)上であなたに対する誹謗中傷の投稿を見つけたら、X(旧Twitter)のヘルプセンターに報告の準備を行いましょう。
削除依頼は必要な手順を踏んで冷静に進めていきます。
証拠保存
誹謗中傷の投稿を見つけたら、まず証拠を保存しましょう。保存方法・コツは次の通りです。
- スクリーンショットで保存
- スマホ画面よりパソコン画面で投稿をスクリーンショットした方が、投稿内容や投稿日時等を漏れなく保存できる
- 複数の誹謗中傷の投稿はすべて保存
- 誹謗中傷の投稿者の捨てアカウントでもアカウント名、ハンドルネーム、プロフィールの内容等は保存しておく
ヘルプセンターに報告
X(旧Twitter)のヘルプセンターに誹謗中傷の投稿、規約違反の報告を行いましょう。次の手順で進めていきます。
- 1.ヘルプセンター「お問い合わせ 私たちがサポートします。」に進む
- 2.トピックを選ぶ:たとえば他のアカウントからの嫌がらせや脅迫等を受けたら、「Xにおける安全性や、センシティブなコンテンツに関する懸念」を選択
- 3.選んだトピックの質問に回答していく
- 4.Xユーザー名、メールアドレス、報告対象のアカウントのユーザー名等を入力し、削除依頼送信
入力自体は数分程度で完了します。
メールによる本人確認
削除申請後、X(旧Twitter)側から本人確認のためのメールが送信されるので、指示に従い本人確認を行いましょう。
スマートフォン等で撮影した顔写真付きの本人確認書類(例:運転免許証、パスポート等)の画像をアップロードします。
その後、運営の方から数日〜10日程度で、削除依頼に応じられるかどうかの連絡が届きます。
X(旧twitter)の削除依頼手順(裁判所経由)
削除申請をしても、X(旧Twitter)側が何らの対応を行わない場合は、裁判所に「削除依頼の仮処分の申立」が可能です。
必要書類等を準備し、X(旧Twitter)運営者を相手方として裁判所に申立てをしましょう。
証拠収集
必要書類と誹謗中傷の投稿の証拠を揃えます。
仮処分の申立書には、次の事項をわかりやすく記載します。
- X(旧Twitter)上でのどのような投稿が、あなたの権利を侵害しているのか
- 投稿を削除しないと、どのような被害を受けるおそれがあるのか
申立書の他、あなたの主張内容の疎明(一応、確かであると認められる)が可能な次の証拠も添付しましょう。
- 誹謗中傷の投稿日時、内容、投稿先等がわかる資料:投稿ページを印刷
- 投稿が原因で、何らかの被害が生じているとわかる資料
申立て・受理面接
裁判所に仮処分の申立書、証拠書類を提出します。
申立て後、審理を円滑に進めるため、申立人であるあなたに裁判所が事情を聴きます。面接の日時は、申立て後に調整します。
面接当日は、X(旧Twitter)上での誹謗中傷に困っている旨をわかりやすく説明しましょう。
呼び出し
X(旧Twitter)運営が裁判所から呼び出しを受けます。これで「審尋」の準備が整います。
審尋のときは申立人であるあなた、X(旧Twitter)運営双方が出廷しなければいけません。
審尋のときに、あなたもスムーズに自分の主張を話せるよう、内容をまとめておいた方がよいでしょう。
主張
申立人やX(旧Twitter)運営双方の言い分を確認後、主張の当否について裁判官が判断する、審尋の手続きが進められます。
審尋の回数は単純な事件であれば1回で終了します。双方の争いが大きいような場合は、数回実施される場合もあるでしょう。
審尋後、裁判所が仮処分の必要性を認める場合、申立人へ担保金を供託するように命じます。速やかに、裁判所から指定された金額(30〜50万円程度)を法務局へ預けましょう。
裁判所から「担保を立てる必要がなくなった。」と認められたなら、担保金を取り戻せるので安心してください。
発令
あなたが法務局へ担保金を供託すれば、供託証書が発行されます。供託証書を裁判所に提出すると、仮処分による削除命令が発令されます。
X(旧Twitter)運営側は削除命令に従い、削除措置をとる可能性が高いです。削除措置が確認できたら、以後の訴訟提起は不要となります。
仮処分の申立から仮処分命令が発令されるまで、1〜2か月程度かかります。
X(旧twitter)の誹謗中傷の削除依頼で投稿者が問われる法的リスク
あなたがX(旧Twitter)上で誹謗中傷の投稿を行い、被害者から特定されたならば、刑事告訴を受け、逮捕・起訴される可能性もあるでしょう。
有罪判決を受ければ、懲役刑や禁錮刑のような重いペナルティを受けるおそれがあります。
ここでは、誹謗中傷で問われる可能性がある名誉毀損罪・侮辱罪を取り上げましょう。
名誉毀損罪
名誉毀損罪はX(旧Twitter)上で、公然と特定の個人や団体に関する事実を摘示し、名誉を侵害する罪です。
名誉毀損罪の特徴は次の通りです。
- 事実の摘示には、特定の個人や団体に関する本当の情報や、虚偽の情報も含まれる
- 相手の社会的評価を失墜させると、本罪が適用される
- 有罪判決を受けると、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処される(刑法第230条第1項)
たとえばX(旧Twitter)上で、「政治家〇〇のバカ息子〇〇は、自分の行った不祥事を父親の権力で握りつぶしてもらっている。」等と投稿すると、名誉毀損罪に該当する可能性があります。
侮辱罪
侮辱罪はX(旧Twitter)上で、公然と事実を摘示せずに、特定の個人や団体を侮辱する罪です。
侮辱罪の特徴は次の通りです。
- 具体的な事実が明示されてはいない
- 特定の個人や団体の悪口を投稿すると、本罪が適用される
- 有罪判決を受けると、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処される(刑法第231条)
たとえばX(旧Twitter)上で、「バカ野郎、お前なんか大嫌いなんだよ。」等と投稿すると、侮辱罪に該当する可能性があります。
X(旧Twitter)の削除依頼が受理されなかった場合の対応策
X(旧Twitter)運営から誹謗中傷の投稿が削除されない場合でも、焦らずに対応方法を検討しましょう。
たとえ誹謗中傷を投稿した加害者に削除するようDMで要求しても、拒否される可能性が高いです。
誹謗中傷の投稿を削除させ、拡散を防止するため、加害者に対する損害賠償請求や刑事告訴の準備を進めましょう。
法的な対処
まずX(旧Twitter)上で誹謗中傷の投稿をした加害者の特定を行うため、「発信者情報開示請求」「発信者情報開示命令」いずれかの手続きを進めましょう。
開示請求・命令ともに、加害者の利用したプロバイダ等に、加害者の情報開示を求める方法です。
それぞれの手順で開示手続きを進めていきます。
- 発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法第5条):X(旧Twitter)運営側に任意開示の請求や、裁判所へ仮処分の申し立てを行い、開示されたIPアドレスからプロバイダを特定。当該プロバイダに発信者情報開示請求訴訟を起こす。
- 発信者情報開示命令(同法第8条):裁判所に開示命令を申し立て、裁判所がX(旧Twitter)運営とプロバイダに発信者情報開示命令を行う。
手続きを経れば、プロバイダは加害者の氏名、住所、電話番号、メールアドレス等をあなたに開示します。
開示請求・命令どちらの手続きをとるかはあなた次第です。なお、速やかに加害者を特定したいなら、手続きが簡素化されている発信者情報開示命令を選んだ方がよいでしょう。
加害者を特定したら次の対応をとります。
- 刑事告訴→警察署に告訴状を提出、加害者の逮捕を図る
- 慰謝料請求→加害者に通知(内容証明郵便が好ましい)、または不法行為責任を理由に損害賠償請求訴訟の提起も可能
- 示談交渉→告訴しない代わりに、加害者に投稿の削除、拡散防止措置、慰謝料支払いを求め和解する
上記の対応により加害者は自らの投稿を削除する他、刑事責任を負ったり、金銭賠償を命じられたりする可能性もあるでしょう。
一方、あなたは加害者を刑事告訴しつつ、民事裁判である損害賠償請求訴訟を提起しても構いません。
なお、逮捕・起訴をおそれる加害者側から、示談交渉を申し込んでくる場合もあります。交渉に応じるかどうかはあなた次第です。
弁護士への相談
「削除依頼がうまく進まない。」「自分だけで問題解決は図れない。」と感じたら、弁護士に相談しましょう。
弁護士はX(旧Twitter)上での誹謗中傷の状態を確認し、次のアドバイスを行います。
- 誹謗中傷の投稿がどのような罪にあたるか
- 削除依頼の手順
- 刑事告訴のポイント
- 適正な慰謝料の金額
- 加害者に示談交渉を申し込まれた場合の対応
弁護士に早い段階で代理人を依頼していれば、削除依頼の仮処分の申立や、発信者情報開示請求・命令の手続き、損害賠償請求訴訟等をすべて委任できます。
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※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。