発信者情報開示請求の回答書とは?拒否できるケースと弁護士に相談するメリット
最終更新日: 2025年05月01日
ある日突然、インターネット会社(プロバイダ)から「発信者情報開示請求に意見照会書」が届いた。
これは、著作権者や被害者が、あなたの名前や住所を開示してほしいと裁判所に申し立てていることを知らせる通知です。
「自分の情報は開示されてしまうのか?」「拒否する方法はあるの?」「回答書って何をどう書けばいいの?」と不安に思う方も多いはずです。
この記事では、発信者情報開示請求に対する「回答書」の役割や提出の流れ、拒否できる可能性、そして弁護士に相談するメリットについてわかりやすく解説します。
発信者情報開示請求とは?
ネット上で他人の権利を侵害するような行為があった場合(例:トレントでの違法アップロード、SNSや掲示板での誹謗中傷など)、その通信履歴(IPアドレスなど)をもとに、権利者が「誰がやったのか」を特定しようとするのが発信者情報開示請求です。
これは裁判所を通じて、あなたが契約しているプロバイダに対して、氏名・住所・メールアドレスなどを開示するよう求める正式な手続きです。
この請求が届いた段階では、まだ裁判所の判断は出ておらず、「あなたの情報を開示していいかどうか、意見があれば出してください」というのが「回答書」の役割です。
回答書とは?どのような内容を書くのか
回答書とは、発信者情報開示請求に対して自分の意見や状況を説明するための書面です。プロバイダに対して「開示に賛成か反対か」「理由は何か」などを伝えるための重要な手続きとなります。
書式はプロバイダから送付され、通常は次のような項目があります:
- 開示に「同意する」か「反対する」かの意思表示
- 反対する場合、その理由(例:本人でない、著作権侵害していない等)
- 契約情報(契約者名や利用場所など)
- 署名・押印
この回答書を期限内に提出することで、プロバイダはそれを踏まえて裁判の中で主張立証をしていきます。
拒否できる可能性があるケースとは?
以下のような事情がある場合は、情報開示を拒否できる可能性があります:
- 契約者本人ではなく、家族など別の人物が使用していた
- 開示請求の理由や証拠が不十分
- 損害が発生していない、もしくは社会的に開示が妥当でないと判断される場合
ただし、これらはすべて裁判所の判断によるものであり、形式的な回答だけでは拒否が認められにくいため、しっかりと根拠を示す必要があります。
弁護士に相談するメリット
発信者情報開示請求に対して適切に回答するためには、法的な視点や過去の裁判例などの知識が求められます。弁護士に相談することで、次のようなサポートが受けられます:
- 回答書の内容について法的なアドバイスを受けられる
- 拒否理由の整理と、説得力ある文章の作成支援
- 拒否が認められなかった場合の次の対応方針(示談や交渉)を一緒に考えられる
実際の相談事例
権利侵害の不成立を説明して拒否成功(40代男性)
トレントでAVをダウンロードしていたことについて、パブリシティ権の侵害と主張されて開示請求を受けた。弁護士がそのような権利侵害は成立しないことを説明した回答書を作成。
→ 請求者は開示請求を断念して終結となった。
速やかに開示に応じて示談成立(30代男性)
主張されている内容に身に覚えがあり、弁護士においても権利侵害を否定することは困難と判断したため回答書には発信者情報開示に同意すると記載し、早速、請求者に示談の申し入れを行った。
→素直に認めたことが評価され、20万円の示談金で示談が成立して解決。
まとめ:不安なときは、まずは専門家に相談を
発信者情報開示請求の通知や回答書の提出は、法律の知識がないと戸惑うことも多く、プレッシャーを感じてしまう方も少なくありません。
「どう対応したらいいかわからない」と感じたら、一人で悩まず、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。回答書の作成からその後の対応まで、あなたの状況に合った対策を一緒に考えてくれるはずです。
よくある質問(FAQ)
回答書を出さないとどうなりますか?
意見を出さなかった場合、裁判所は相手の主張のみをもとに判断することになります。結果として開示が認められる可能性が高まります。
拒否しても必ず開示が止まるわけではありませんか?
その通りです。開示に不同意の回答はできますが、最終的に開示するかどうかは裁判所が判断します。
回答書は誰でも書けますか?
書くこと自体は可能ですが、発信者情報開示請求の法的要件に沿った的確な主張が必要です。弁護士の支援を受けましょう。
弁護士費用が不安です。
初回相談無料の事務所も多く、固定料金をとっているところもあるのでまずは無料相談をして費用を確認してみましょう。
回答書でうまく対応できなかったらどうなりますか?
裁判所が開示を決定する可能性は高くなります。開示されるとその後に損害賠償請求の通知が届くこともあれば、刑事告訴がされて警察から呼び出しを受けることもあります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。