違法ダウンロードは逮捕される?開示請求の適切な対処法
最終更新日: 2026年01月19日

プロバイダから発信者情報の開示請求に関する通知(意見照会書)が届いた段階は、すでに権利者側の手続きが進んでいるサインです。
直ちに逮捕というわけではありませんが、放置や独断の対応は、身元特定・損害賠償・刑事化のリスクを高めます。
まずは通知の意味と回答期限を正確に把握し、落ち着いて必要な準備を進めることが大切です。弁護士への相談は、開示や逮捕のリスク、社会的影響を最小限に抑えるために有効な方法です。
通知(意見照会書)の意味:どこまで進んでいるのか
権利者は、違法配信・ダウンロードの痕跡からIPアドレスを把握し、プロバイダに発信者情報の開示を求めます。
2022年の法改正による制度整備により、裁判所が発信者情報開示命令を出す新手続も広く使われるようになり、アクセスプロバイダ(契約者情報)まで一気に開示が進むケースが増えています。通知が届いた時点で、身元特定まであと一歩という状況が多いです。
意見照会書には開示に同意するか否かの選択や、反論・事情説明の欄、回答期限が記載されています。一般的には14日程度が目安とされ、期限を過ぎると開示に不利に働く可能性があります。
違法ダウンロードで「いきなり逮捕」される可能性は?
「違法ダウンロードをしてしまったかもしれない」「警察が突然自宅に来るのではないか」と、不安を感じてこのページをご覧になっている方もいらっしゃるかもしれません。
結論からお伝えすると、違法ダウンロードのみを理由として、ある日突然警察が逮捕に来る可能性は、現時点では高いとは言えません。
法律上、違法ダウンロードは犯罪として刑罰の対象とされていますが、実務上は逮捕に至るまでのハードルが比較的高いのが実情です。
ここでは、なぜ逮捕に至るケースが少ないのか、その理由と法的な考え方について解説します。
違法ダウンロードで逮捕者が出にくい3つの理由
2012年の法改正により、違法ダウンロードは刑罰の対象となりました。しかし、それでも個人のダウンロード利用者が逮捕されるケースは多くありません。その背景には、主に次の3つの理由があります。
権利者の告訴が必要な「親告罪」であること
違法ダウンロード罪は、被害を受けた著作権者が「処罰を求める」という意思表示を行い、警察に告訴しなければ起訴できない「親告罪」に分類されています。
著作権者が個々の利用者のダウンロード行為を特定し、一件ずつ告訴するには、時間や労力の面で大きな負担が生じるため、現実的には難しいケースが多いといえます。
「証拠」の確保が容易ではないこと
逮捕や起訴に至るためには、「特定の人物が違法ファイルを端末に保存していた」という客観的な証拠が必要です。
しかし、違法ダウンロードした加害者を特定するためにはウェブサイトのサーバー管理者に協力を求める必要がありますが、管理者の特定が困難な場合が少なくありません。また、仮に協力を得られたとしても違法ダウンロードをした加害者を特定できるだけのログがサーバーに残っていない可能性もあります。
このように違法ダウンロードの証拠確保が容易ではないケースが多いのです。
警察は「違法アップロード」の摘発を重視していること
違法ダウンロードの背景には、ファイルを無断で公開・配布しているアップロード行為があります。
そのため、捜査の実務上は、個々のダウンロード利用者を対象とするよりも、違法にファイルを拡散しているアップロード者やサイト運営者を摘発することが優先される傾向にあります。
ただし、トレントなどP2Pソフトウェアでは、多くの場合ユーザーはダウンロードすると自動的にアップロードする主体にもなります。ですから、ダウンロードだけしてるつもりでもアップロードした行為について摘発されるケースがあるので注意が必要です。
どこからが犯罪?刑罰の対象となる条件
すべてのダウンロード行為が、直ちに刑事罰の対象となるわけではありません。
刑事罰(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)の対象となるのは、次の要件をすべて満たす場合とされています。
・正規版が有償で提供されている著作物であること
・違法にアップロードされたものであると知りながらダウンロードしたこと(故意)
・継続的・反復的に行われていること
特に重要なのが、3つ目の「継続的・反復的」という点です。
一度だけ誤ってダウンロードしてしまった場合や、違法だと認識せずに保存してしまったケースについては、通常、刑事罰の対象にはならないと考えられています。
「視聴のみ」「スクリーンショット」は逮捕される?
違法ダウンロードに関しては、行為の内容について誤解されていることも少なくありません。以下のようなケースは、区別して考える必要があります。
動画の視聴(ストリーミング)
YouTubeなどの動画サイトで、動画を再生・視聴するだけの行為は、端末にデータを保存しない限り、違法ダウンロードの刑罰対象にはなりません。一時的にキャッシュが保存される場合でも、通常は処罰の対象外とされています。
スクリーンショット(軽微な保存)
漫画の1コマや画像の一部が写り込む程度のスクリーンショットなど、法令上「軽微なもの」と評価される保存行為については、違法とはならず、処罰の対象外とされています。
もっとも、逮捕に至る可能性が低いからといって、法的なリスクがまったくないわけではありません。
刑事事件として立件されない場合でも、著作権者から民事上の責任を追及され、プロバイダを通じて発信者情報開示請求(意見照会書)が届くケースは実際に増えています。
このあとでは、実際に権利者から通知が届いた場合の対応や、発信者情報開示請求のリスクについて、さらに詳しく解説します。
通知が届いた直後に避けるべき行動
放置や無視
期限を過ぎると開示や追加手続に不利になったり、警察へ告訴され、刑事事件化するリスクが高まります。
相手(権利者)へ直接連絡
不用意な発言や認め方は、不利な記録として残るおそれがあります。
SNS等での言及
投稿が新たな証拠や火種になる可能性があります。
データの消去や機器の初期化
証拠隠しとみなされ、心証が悪化する場合があります。通信ログは外部にも残るため、削除では解決しません。
安易な謝罪文や念書への署名
金額や事実関係が不明確なまま署名すると、後の対応が制限される危険があります。
通知が届いたら最初にやるべきこと
書類の保全
封筒や同封物をすべて保管し、請求者・対象作品・主張の根拠・回答期限を整理します。
利用環境の整理
家族共用PC、自宅Wi-Fi、テザリングの使用状況、P2Pソフトの有無、ストレージの状態などを確認します。
相談に備えた情報整理
通知原本の写真データや、事実経過、利用環境の概要をまとめておくことで、専門家への相談がスムーズになります。
再発防止の対応
ファイル共有ソフトの停止・アンインストール、違法サイト利用の中止、アカウントの使い回し見直しなどを行います。
弁護士へ相談するメリット
開示請求への適切な対応ができる
意見照会書の記載内容や期限を確認し、適法かつ不利にならない形で回答書を作成できます。
身元特定や刑事化のリスクを下げられる
再発防止策や事情説明を行い、権利者側がそれ以上追及しないよう働きかけます。
高額な損害賠償請求を回避・減額できる可能性がある
請求額や根拠を精査し、妥当性がない場合には交渉で減額や取り下げを目指します。
万一の刑事対応にも備えられる
任意出頭や取調べへの同行、勾留回避の手続きなど、刑事手続きに精通した対応が可能です。
プライバシーや社会的信用を守る
職場・学校・家族への不要な情報拡散を防ぐための助言ができます。
よくある質問(FAQ)
Q:通知が来たら逮捕されるのですか?
直ちに逮捕されるわけではありませんが、身元特定の終盤に差し掛かっている可能性があります。放置すると権利者に警察へ告訴され、刑事事件化してしまうリスクがあることから、期限内に対応することが大切です。
Q:ダウンロードだけでも逮捕されますか?
違法と知りながら反復して継続的にダウンロードしていた場合などは、刑事対応の対象になる可能性があります。特に警告後の継続は危険です。
Q:データを消せば証拠は消えますか?
通信ログや外部記録が残るため、消えません。罪証隠滅の疑いで心証が悪くなる場合もあります。
Q:回答期限はどのくらいですか?
多くは14日前後です。期限を過ぎると開示される可能性が高まりますので、かならず回答期限を確認するようにしてください。
Q: 刑罰はどの程度ですか?
2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金(併科あり)です。ただし適用要件は限定的で、事案により異なります。
まとめ
通知が届いた時点で、手続きは着実に進んでいます。
期限管理をしっかり行い、弁護士のサポートを受けることで、身元開示・高額請求・刑事事件化・生活への影響を大きく減らすことが可能です。
慌てる必要はありませんが、期限を守り、落ち着いて行動することが解決への近道です。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。








