違法ダウンロードは逮捕される?開示請求の適切な対処法
2025年08月26日
プロバイダから発信者情報の開示請求に関する通知(意見照会書)が届いた段階は、すでに権利者側の手続きが進んでいるサインです。
直ちに逮捕というわけではありませんが、放置や独断の対応は、身元特定・損害賠償・刑事化のリスクを高めます。
まずは通知の意味と回答期限を正確に把握し、落ち着いて必要な準備を進めることが大切です。弁護士への相談は、開示や逮捕のリスク、社会的影響を最小限に抑えるために有効な方法です。
通知(意見照会書)の意味:どこまで進んでいるのか
権利者は、違法配信・ダウンロードの痕跡からIPアドレスを把握し、プロバイダに発信者情報の開示を求めます。
2022年の法改正による制度整備により、裁判所が発信者情報開示命令を出す新手続も広く使われるようになり、アクセスプロバイダ(契約者情報)まで一気に開示が進むケースが増えています。通知が届いた時点で、身元特定まであと一歩という状況が多いです。
意見照会書には開示に同意するか否かの選択や、反論・事情説明の欄、回答期限が記載されています。一般的には14日程度が目安とされ、期限を過ぎると開示に不利に働く可能性があります。
違法ダウンロードで逮捕される可能性
違法ダウンロードは、違法だと知りながら行った場合に法的責任が問われます。
文化庁のQ&Aでも、有償の正規版がある作品を、違法と知りつつ継続的・反復的にダウンロードする行為などが刑事罰の検討対象になると説明されています。
刑罰の上限は2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、またはその両方です。実務上はまずアップロード側の摘発が優先されやすい傾向にありますが、警告後も継続した場合などは、悪質性が高いと判断されて刑事対応が始まる可能性もあります。
2021年の法改正により、違法ダウンロードの対象は音楽・映像からすべての著作物へ拡大しました。ただし、スクリーンショットの写り込みや軽微な保存など、除外規定もあります。具体的事情に応じた法的評価が重要です。
通知が届いた直後に避けるべき行動
放置や無視
期限を過ぎると開示や追加手続に不利になったり、警察へ告訴され、刑事事件化するリスクが高まります。
相手(権利者)へ直接連絡
不用意な発言や認め方は、不利な記録として残るおそれがあります。
SNS等での言及
投稿が新たな証拠や火種になる可能性があります。
データの消去や機器の初期化
証拠隠しとみなされ、心証が悪化する場合があります。通信ログは外部にも残るため、削除では解決しません。
安易な謝罪文や念書への署名
金額や事実関係が不明確なまま署名すると、後の対応が制限される危険があります。
通知が届いたら最初にやるべきこと
書類の保全
封筒や同封物をすべて保管し、請求者・対象作品・主張の根拠・回答期限を整理します。
利用環境の整理
家族共用PC、自宅Wi-Fi、テザリングの使用状況、P2Pソフトの有無、ストレージの状態などを確認します。
相談に備えた情報整理
通知原本の写真データや、事実経過、利用環境の概要をまとめておくことで、専門家への相談がスムーズになります。
再発防止の対応
ファイル共有ソフトの停止・アンインストール、違法サイト利用の中止、アカウントの使い回し見直しなどを行います。
弁護士へ相談するメリット
開示請求への適切な対応ができる
意見照会書の記載内容や期限を確認し、適法かつ不利にならない形で回答書を作成できます。
身元特定や刑事化のリスクを下げられる
再発防止策や事情説明を行い、権利者側がそれ以上追及しないよう働きかけます。
高額な損害賠償請求を回避・減額できる可能性がある
請求額や根拠を精査し、妥当性がない場合には交渉で減額や取り下げを目指します。
万一の刑事対応にも備えられる
任意出頭や取調べへの同行、勾留回避の手続きなど、刑事手続きに精通した対応が可能です。
プライバシーや社会的信用を守る
職場・学校・家族への不要な情報拡散を防ぐための助言ができます。
よくある質問(FAQ)
Q:通知が来たら逮捕されるのですか?
直ちに逮捕されるわけではありませんが、身元特定の終盤に差し掛かっている可能性があります。放置すると権利者に警察へ告訴され、刑事事件化してしまうリスクがあることから、期限内に対応することが大切です。
Q:ダウンロードだけでも逮捕されますか?
違法と知りながら反復して継続的にダウンロードしていた場合などは、刑事対応の対象になる可能性があります。特に警告後の継続は危険です。
Q:データを消せば証拠は消えますか?
通信ログや外部記録が残るため、消えません。罪証隠滅の疑いで心証が悪くなる場合もあります。
Q:回答期限はどのくらいですか?
多くは14日前後です。期限を過ぎると開示される可能性が高まりますので、かならず回答期限を確認するようにしてください。
Q: 刑罰はどの程度ですか?
2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金(併科あり)です。ただし適用要件は限定的で、事案により異なります。
まとめ
通知が届いた時点で、手続きは着実に進んでいます。
期限管理をしっかり行い、弁護士のサポートを受けることで、身元開示・高額請求・刑事事件化・生活への影響を大きく減らすことが可能です。
慌てる必要はありませんが、期限を守り、落ち着いて行動することが解決への近道です。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。