手遅れになる前に!開示請求に強い弁護士に無料相談!
最終更新日: 2024年05月22日
- 発信者情報開示請求とはどのようなものなの?
- 発信者情報開示請求を受けたときはどうしたらいいの?
- 発信者情報開示請求は弁護士に依頼した方がいいの?
突然、契約しているインターネット回線のプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」なる書類が届き驚き、困惑している方もおられるのではないでしょうか。初めての経験という方がほとんどでしょうから、正しい対応がわからないのは当然です。
一方、インターネット上で誹謗中傷をされ、それを削除したい、犯人を特定して責任を追及したいとお考えの方もおられるかもしれません。
今回は、発信者情報開示請求について専門弁護士が解説します。
開示請求の基礎を専門弁護士が解説
まず最初に、発信者情報開示請求とはどのようなものなのか、またその流れについて簡単に確認しておきましょう。
- 発信者情報開示請求とは
- 発信者情報開示請求の流れ
- 請求側のみを扱う法律事務所もある
発信者情報開示請求とは
インターネット上の掲示板やSNSで他人の名誉を毀損する投稿が匿名で行われると投稿者がどこの誰なのかわかりません。ファイル共有ソフトで違法ダウンロードをした場合もどこの誰がダウンロードしたのかわかりません。
このようなインターネット上の匿名での権利侵害から被害者を救済するために法律が認めた手続きが発信者情報開示請求です。この発信者情報開示請求によって、匿名で他人の権利を侵害した人の氏名や住所などの情報を特定することが可能となります。
そしてなぜ特定するかというと、加害者に対して損害賠償請求や刑事罰を与えるためですから、発信者情報開示請求の後には民事や刑事での法的責任追及が予定されています。
発信者情報開示請求の流れ
次に、発信者情報開示請求の流れについて確認しましょう。現在の法律では以下のとおり、2段階の手続きで行われますが、2020年10月以降施行される法律では一つの手続きになり迅速化されます。
第1段階は、掲示板やSNSなどのサービス管理者に対して裁判手続によって、権利侵害者が使用したIPアドレスを開示させるものです。この手続きは1か月から3か月の時間がかかります。
第2段階は、第1段階で開示されたIPアドレスを保有するインターネットのプロバイダ(ソニーやauなど)に対して裁判手続によって、そのIPアドレスを使用したプロバイダ契約者の氏名や住所などの情報を開示させるものです。この手続きには3か月から6か月の時間がかかります。
なお、個人情報を登録して利用するサービスの場合はサービス管理者に対して権利侵害者の氏名や住所などの開示を求めますので1つの手続きで済みます。
請求側のみを扱う法律事務所もある
発信者情報開示請求の案件では、請求をする人と請求を受ける人がいます。いずれの立場の人にも弁護士が就くことができます。
当然ですが、同じ案件で弁護士が両方の立場の人から相談、依頼を受けることはできません。
ところが、発信者情報開示請求では最終的に発信者情報が開示されるまでは、権利侵害者の氏名や住所がわかりません。そのため、発信者情報開示請求の依頼を受けて弁護士が発信者情報開示を受けたところ、権利侵害者が自分の依頼者だったということになる可能性があります。
このような事態を防ぐために、発信者情報開示請求を扱う法律事務所には請求する側と請求される側、いずれかの立場の相談、依頼のみを受けているというところもあります。当事務所は、請求する側のご相談も、請求を受ける側のご相談もお受けしていますが、利益相反を避けるためにご相談を受ける前に数点確認をさせていただいております。
開示請求への対応を弁護士と検討
発信者情報開示請求の基礎について確認しましたので、次は、発信者情報開示請求を受けたときの対応について検討していきましょう。
発信者情報開示請求を受けたことを最初に知るのはプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」という書類が届いた時です。発信者情報を開示しても良いかどうかを尋ねる書面ですから、これに対しては開示に同意するかどうかの回答書を返送します。
以下、どのような回答書を返送すべきか見ていきましょう。
- 身に覚えがない場合
- 権利侵害がない場合
- 権利侵害がある場合
- 無視したらどうなる?
身に覚えがない場合
請求者が権利侵害だと主張している事実に全く身に覚えがないという方もおられるかもしれません。身に覚えがないというのは覚えていないということではなく、絶対に自分であるはずがないということです。
プロバイダからの書類はあくまでプロバイダの契約者に届きます。そのため、同居する家族が権利侵害をしている可能性があります。家族に権利侵害者がいるにもかかわらず、権利侵害はしていないという対応を取りますと大事になります。正直に名乗り出てもらうことが重要です。
それでもやはり身に覚えがある人が見当たらないという場合ですが、ご自身が権利侵害者であることは発信者情報開示の要件ではありません。そのため、違法な権利侵害が認められる限り、氏名、住所などの発信者情報開示は開示されてしまいます。
そして、その後に民事裁判や刑事告訴がなされますが、そこでご自身が権利侵害者ではないことを説得的に主張立証する必要があります。それに失敗すると、真実は権利侵害者ではないのに権利侵害をしたことを前提に法的責任を負わされることになります。
権利侵害がない場合
請求者が権利侵害だと主張している事実が権利侵害には該当しないこともしばしばあります。そのため、請求者の主張が果たして本当に妥当なものなのか、法的観点からしっかりと検討することが重要です。
この場合、プロバイダへの回答書においては、違法な権利侵害が認められないことの法的主張を展開します。その結果、請求者が発信者情報開示請求を断念するケースがありますし、その後に発信者情報開示請求訴訟をしても敗訴するケースもあります。
なお、ファイル共有ソフトによる著作権侵害の場合は、ほとんどのケースで違法な権利侵害が明らかなため、発信者情報開示に同意する回答書を返送することになります。
権利侵害がある場合
請求者の主張を検討した結果、確かに違法な権利侵害が認められるという結論に至ることもあります。この場合、争っても負けることになりますので、発信者情報開示には同意をして、速やかに相手に対して謝罪とともに和解の申し入れをしていきます。
なぜなら、開示に不同意としても、裁判所は発信者情報開示を認めますし、そうなれば裁判に要した弁護士費用の賠償まで求められることになり、開示に同意しないことはデメリットしかないからです。また、不同意とすれば相手の気持ちを害し、和解も難しくなります。
無視したらどうなる?
プロバイダから届いた「発信者情報開示請求に係る意見照会書」を無視して何も回答しないという対応をする方が稀におられます。
しかし、結論として、無視という対応は厳禁です。
プロバイダに対して何も回答しなかった場合、特に意見はないものとみなされ、請求者の主張だけを考慮して発信者情報を開示すべきか判断されてしまいます。しっかりと反論しておけば開示を避けられたかもしれないのに開示されてしまうことがあるのです。
また、裁判所が発信者情報開示を認めた場合、その裁判にかかった数十万円の弁護士費用を請求されることになります。明白な権利侵害が認められる場合に開示に同意する回答書をプロバイダへ送っておけばこのような余計な出費は避けられたのです。
このようにプロバイダに回答書を送らない対応、無視をする対応にはデメリットはあってもメリットはありません。
AVメーカーからの発信者情報開示請求も弁護士に相談を
ここで、最近増えているAVメーカーからの発信者情報開示請求について説明します。ビットトレントなどのファイル共有ソフトはその仕組み上、ファイルをダウンロードすると自身もアップロードすることになります。AV(アダルトビデオ)をダウンロードする方が多く、その結果、AVメーカーから著作権侵害を理由に発信者情報開示請求がなされるケースが増えているのです。
AV制作会社の対応
AV制作会社は、自社の作品について権利侵害がなされていないか外部の調査会社に継続的な調査を依頼しています。そして、権利侵害が判明したら、その証拠をもとに顧問弁護士に発信者情報開示請求をするよう依頼しています。
この調査結果の信頼性については裁判所も認めているところですので、発信者情報開示請求がなされるとほぼ全件について裁判所は発信者情報開示を命じる決定を出しています。
発信者情報開示請求を受けた方の中には、AVメーカーによる請求だから怪しい、詐欺ではないかと考えて警察に相談に行かれる方もいるようですが、このように正当な請求のため警察は助けてくれません。
むしろ、怪しい請求だからと放置したり、不同意の回答をしたところ、後日、警察が著作権侵害での令状をもって家宅捜索に来たというケースもしばしばありますので、しっかりと対応していく必要があります。
正しい対応とは?
上記のとおり裁判所はAVメーカーからの発信者情報開示請求を認めますので、プロバイダからの意見照会に対しては開示に同意する内容の回答をした方が、その後の解決がスムーズです。ただし、中には肖像権やパブリシティ権の侵害など必ずしも権利侵害が成立しないケースもありますので、同意すべきケースかどうかは念のため、専門弁護士に確認をしてください。
そして、回答書を送ったままですと、民事裁判や刑事告訴に進む恐れがありますので、並行して弁護士に依頼をして、弁護士からAVメーカーへ示談の申し入れをしていく必要があります。スムーズに行けば概ね1か月前後で示談が成立します。なお、示談成立後に更に複数の発信者情報開示請求が届くケースもありますので、それを考慮して示談をする必要があります。この点も専門弁護士にご相談ください。
開示請求を弁護士に依頼するメリット
次に、発信者情報開示請求を弁護士に依頼することのメリットを3点、説明します。
開示請求の失敗を避けることができる
まず、発信者情報開示請求の手続きは専門性が高く、弁護士に依頼せずに手続きを行うことが非常に難しい手続きです。そのため、ご自身で対応した場合、本来なら発信者情報開示が認められたはずなのに、発信者情報開示請求に失敗する可能性が高まります。
また、プロバイダにはアクセス記録の保存期間があります。そのため、発信者情報開示請求の手続きに時間がかかっていると保管期間が経過して、発信者情報開示請求に失敗する恐れがあります。
このように、発信者情報開示請求は簡単な手続きではありませんので、間違いなく手続きを行うことができるのが弁護士に依頼する最大のメリットです。
発信者情報開示を阻止できる
2つ目は、発信者情報開示請求を受けた場合に弁護士に依頼するメリットです。
発信者情報開示請求がなされたとしても、必ず、発信者情報開示が認められるわけではありません。発信者情報開示が認められるためには、権利侵害の明白性などの要件を満たす必要があります。
そして、このような要件を満たさないと判断できる場合には、その旨を主張して発信者情報開示を阻止しなければなりません。
発信者情報開示請求に係る意見照会書を受け取った場合、弁護士に依頼をすれば、発信者情報開示が認められるケースであるのか判断することができます。
そして、認められないと判断される場合には、その点を法的に説明する回答書を作成し、発信者情報開示を阻止することができます。
速やかに示談で解決できる
3点目も発信者情報開示請求を受けた場合のメリットですが、速やかに示談で解決できる点が挙げられます。
確かに権利侵害が認められるケースでは、発信者情報開示に同意をした上で、一刻も早く示談をするべきです。手続きが進むと調査費用や弁護士費用の賠償まで加算され、賠償金額が大きくなってしまうからです。
弁護士に依頼をすれば、どれ位の金額での示談が可能であるのか正しく見通しをつけて、速やかに解決できるよう相手と示談交渉を進めることができます。
開示請求の弁護士費用
当事務所の発信者開示請求に関する弁護士費用は以下のとおりです。
請求をする側
発信者開示請求をする場合の弁護士費用は、着手金が20万円から30万円、成功報酬が20万円から30万円です。総額で40万円から60万円ほどいただいております。
請求を受けた側
発信者開示請求を受けた側の弁護士費用は、着手金が20万円、成功報酬が20万円です。総額40万円をいただいております。
開示請求には弁護士に相談せずに対応できる?
以上、発信者開示請求について概説しました。
発信者情報開示請求をするためには専門知識が必要なため、弁護士以外による請求は非常に困難であるのが現状です。
また、発信者開示請求を受けた場合も、身に覚えがない場合の説得的な主張立証や、権利侵害がない場合の法的な反論には専門的な知識経験が必須です。
さらに、発信者情報開示請求には同意をして相手と和解交渉をする場合も、請求側にはほとんどの場合に弁護士が就いていますので、弁護士と和解交渉をすることになります。ご自身が望む和解内容に向けて弁護士と交渉をすることは弁護士でなければ困難です。
したがって、弁護士費用はかかりますが、発信者情報開示請求については専門の弁護士に対応を依頼することが得策です。