ネットの開示請求とは?請求方法と通知を受けたときの対処法を徹底解説

最終更新日: 2024年11月08日

ネットの開示請求とは?請求方法と通知を受けた際の対処法を徹底解説

  • インターネット上で誹謗中傷の被害に遭ってしまった、なんとか加害者に責任を追及したい。
  • 誹謗中傷の加害者を特定するには、どのような方法があるのだろう?
  • 発信者情報開示請求の方法について知りたい。

インターネット上であなたが誹謗中傷された場合、相手が特定できないと損害賠償の請求は困難です。

まずは冷静に発信者情報開示請求等を進め、相手を特定する必要があります。

そこで今回は、ネットの誹謗中傷問題の解決に携わってきた専門弁護士が、発信者情報開示請求の手順、事前に準備しなければいけない事柄等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 発信者情報開示請求が認められれば、誹謗中傷した加害者の身元が特定できる
  • 発信者情報開示請求の他、迅速な対応を図るため「発信者情報開示命令」が新設された
  • 誹謗中傷の加害者も被害者も、問題解決のため専門弁護士に相談し対処方法を検討する

発信者情報開示・削除に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

ネットの開示請求とは何か

インターネット上で誹謗中傷されても、泣き寝入りせずに加害者を特定し、損害賠償請求することは可能です。

しかし、加害者を特定するにはまず、加害者(発信者)情報の開示手続きを進める必要があります。

出典:プロバイダ責任制限法 | e-Gov法令検索

発信者情報開示請求

発信者情報開示請求とは、加害者が利用したプロバイダ等に対し、加害者に関する情報開示を求める手続きです(プロバイダ責任制限法第5条)。

基本的には、サイト運営元への任意開示請求、裁判所への仮処分申立て、IPアドレスによるプロバイダ特定、プロバイダに発信者情報開示請求訴訟を行う、という流れとなります。

なお、2022年10月1日の法改正により「発信者情報開示命令」が追加されました(同法第8条)。新設された開示命令により、情報開示の手続きが簡素化され、迅速に誹謗中傷した者の特定が図られるようになりました。

有効性

発信者情報開示請求を行えば、裁判所の関与なしに、加害者の利用したプロバイダがわかる可能性もあります。

加害者を特定する第一歩として、サイト運営元にIPアドレス開示を請求する必要があります。IPアドレスが判明すると、加害者の利用したプロバイダの特定が可能です。

プロバイダが判明しないままであれば、3〜6か月程度でプロバイダの保管している発信者情報が消失してしまうリスクもあります。

サイト運営元に任意開示請求をすれば、裁判所で手続きを行う必要がないので、迅速にプロバイダを特定できるでしょう

ただし、サイト運営元が任意開示請求に応じないと、あなたは裁判所で仮処分申立てを行わなければいけません。

判明する内容

加害者が利用したプロバイダを特定できたなら、発信者情報開示請求訴訟をプロバイダに提起します。

加害者の情報開示を認める判決が出たら、あなたは次の情報を取得できます。

  • 加害者氏名、住所、メールアドレス
  • IPアドレス、ポート番号
  • スマートフォンのインターネット接続サービス利用者識別番号
  • SIMカード識別番号
  • 発信時間(タイムスタンプ)

情報が確認できたら、加害者に対して損害賠償請求の準備を進めていきましょう。

開示請求の流れ

情報開示の方法は、発信者情報開示請求をする方法と、発信者情報開示命令をする方法の2通りが選べます。

発信者情報開示請求の流れは次の通りです。

  1. サイト運営元にIPアドレス任意開示・ログ保存を要求
  2. サイト運営元が応じない場合、裁判所にログ保存仮処分申立て・発信者情報開示仮処分
  3. サイト運営元がIPアドレス開示・プロバイダ特定
  4. プロバイダに発信者情報開示請求訴訟を提起
  5. 情報開示を認める判決後、加害者特定へ

迅速に情報開示を行いたいなら、発信者情報開示命令の手続きを進めましょう。

  1. 裁判所に発信者情報開示命令の申立て
  2. 裁判所で審理後、サイト運営元に対して「IPアドレス提供命令」、サイト運営元とプロバイダに発信者情報の消去禁止を命じる「消去禁止命令」を下す
  3. サイト運営元がIPアドレス開示・プロバイダ特定
  4. 裁判所がサイト運営元とプロバイダに発信者情報開示命令を行う
  5. 開示された情報をもとに、加害者特定へ

開示命令の場合、1回の裁判手続きで加害者が特定できます。

ネットの開示請求ですべきこと

あなたが誹謗中傷の被害者ならば、まずは怒りを抑え、証拠収集や加害者の利用しているプロバイダの特定を図ります。

また、自分一人の力で解決しようとせず、法律の専門家である弁護士のサポートも検討しましょう。

証拠収集

インターネットに投稿されたあなたへの誹謗中傷の内容や画像、投稿日時、URL等を保存しましょう。

次のような内容を見つけたら、スクリーンショット等で撮影します。

  • あなたを誹謗中傷の口コミ、侮辱する画像や動画等
  • 誹謗中傷の投稿が確認されたスレッドの名称・URL
  • レスポンスの投稿番号
  • 誹謗中傷が投稿された日時 等

プロバイダ特定

プロバイダとは、あなたのパソコン・スマートフォンをインターネットに接続する会社です。

プロバイダは、ヤフー、ドコモ、ソフトバンク、J:COM等の大手をはじめ、多数の業者が存在します。サイト運営元がIPアドレスを開示すれば、加害者の利用したプロバイダが判明します。

プロバイダに発信者情報開示請求訴訟を提起するか、発信者情報開示命令を行わないと、加害者の情報開示は進みません。

裁判手続きに手間取りそうな場合、弁護士に相談しサポートを依頼した方がよいでしょう。

弁護士への相談

弁護士に相談するときは、インターネット上でのトラブルや人権問題に詳しい弁護士を探しましょう。

弁護士は、被害者であるあなたの事情をよく聴いたうえで、次のような提案を行います。

  • 発信者情報開示請求・命令手続きの進め方
  • サイト運営元がIPアドレス任意開示を拒否するリスク
  • 裁判手続きの進め方
  • 加害者に損害賠償を請求するときの方法や金額の目安

インターネット上での法律問題に詳しい弁護士を選ぶ場合、まず法律事務所のホームページを閲覧してみましょう。

ネットに関するトラブルの相談実績や、トラブル解決の成功事例、損害賠償請求の手順や費用が明記されているなら、インターネット上での法律問題を得意とする弁護士と判断できます。

あなたが選んだ法律事務所にまずは連絡し、相談予約を行いましょう。

ネットの開示請求の通知を受けたらすべきこと

もしもあなたが誹謗中傷の加害者で、あなたの情報が被害者から特定されたとしても、自暴自棄にならず、冷静に問題の解決を図りましょう。

また、誹謗中傷したつもりで投稿したわけではないなら、その旨をしっかりと主張しましょう。

内容確認

あなたの契約しているプロバイダが、あなたに対し「発信者情報開示請求に係る意見照会書」を送付する可能性があります。

誹謗中傷されたと主張する被害者が発信者情報開示請求を行った場合、あなたに情報開示へ同意するか否かを確認するための書類です。

あなたが記載した意見照会書の内容は、プロバイダが裁判手続き時、被害者(開示請求者)の主張に反論する資料として使用される可能性があります。

そのため、あなたが情報開示に同意しない場合、説得力のある理由を具体的に主張しなければなりません。誹謗中傷をしていないという明確な証拠があるならば、意見照会書に添付して返送します。

期限確認

プロバイダから送付された意見照会書には返送期限があり、一般的には14日以内と定められています。

返送期限をよく確認し、誹謗中傷とみなされても仕方がないと判断したら、情報開示に同意した方がよいでしょう。

一方、請求内容に納得がいかない場合は、情報開示に同意しない旨を回答します。

なお、意見照会書への回答はあくまで任意なので、無視しても法律違反にはなりません。

ただし、あなたが無視した場合、プロバイダが自主的に情報開示を決定する可能性もあります。また、裁判所から発信者情報開示の判決または命令を受けた場合、結局、あなたの情報は開示されてしまいます。

弁護士への相談

「意見照会書を送付した方がよいか悩んでいる」「自分がどうなるか不安だ。」と感じたら、弁護士に相談しましょう。

弁護士は、あなたの事情をよくヒアリングした後、次のような提案を行います。

  • 意見照会書の記載内容についてのポイント
  • あなたの投稿が誹謗中傷にあたるかどうか
  • 示談で解決を図る重要性
  • 損害賠償請求訴訟・刑事告訴されるリスク
  • 弁護士にサポート任せる有効性

あなたが「インターネット上で誹謗中傷をした」という自覚を持っているなら、弁護士にサポートを依頼し、示談交渉で解決を図りましょう。

弁護士のアドバイスを受けながら、被害者との示談を進めていくことができます。弁護士は被害者との交渉役になるので、直接被害者と会わずに交渉を進めることが可能です。

示談書に記載する内容は、主に次の通りです。

  • 被害者への率直な謝罪
  • 示談金額と支払い方法
  • 誹謗中傷の投稿を全て削除する旨
  • 今後、双方ともこの問題を蒸し返さない旨

ネットの開示請求に対応する費用相場

弁護士への相談は30分で5,000円〜が一般的です。初回相談を無料で受け付けている良心的な法律事務所もあります。

被害者からの誹謗中傷の削除要求を弁護士がサポートする場合、着手金は5万円程度・成功報酬は10万円程度が目安です。

発信者情報開示請求を弁護士がサポートする場合、着手金は20〜30万円程度・成功報酬は20〜30万円程度となります。

ただし、弁護士費用の他に裁判手数料やプロバイダ手数料等も含めれば、50万円以上かかる可能性があります。

一方、誹謗中傷した側(発信者側)の弁護は、着手金が20万円程度・成功報酬20万円程度です。

ネットの開示請求なら弁護士への相談がおすすめ

今回はネットの誹謗中傷問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、発信者情報開示請求・命令の内容や手順等を詳しく解説しました。

春田法律事務所では、初回相談を無料で提供しています。まずは気軽に事務所を訪問し、発信者情報開示請求の不明点や疑問点について、弁護士に相談してみましょう。

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