立ち退き・地上げで地権者が押さえるべき知識を徹底解説!違い・主な流れ・嫌がらせへの対応などを詳しく紹介
最終更新日: 2023年11月24日
- 地権者として立ち退きや地上げについての詳しい知識を知っておきたい
- 地上げは一見するとネガティブな印象を受ける、どのような方法なのだろうか
- 地権者が立ち退き・地上げに関する問題で悩んだ場合、誰に相談するべきなのだろう
地権者は自分の土地の有効活用を目的に、その土地を借りている人に立ち退きを要求する場合があります。
一方で、不動産会社等の地上げに応じ、所有している土地を売却する場合もあります。
両方の立場に立つ可能性がある地権者は、立ち退きおよび地上げに関する方法、注意点を知っておいた方がよいでしょう。
そこで本記事では、数多くの不動産に関する交渉を担当してきた専門弁護士が、立ち退きと地上げの違い、それぞれの手順、問題が起きた場合に弁護士へ相談するメリット等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料で相談することが可能です。
- 地権者が借地人・賃借人に立ち退き要求を行う場合は、正当事由が必要
- 地上げとは不動産会社等が土地を買い付ける業務で、地権者は立ち退きを求められることがある
- 立ち退き、地上げで交渉が行き詰ったり、トラブルが生じたりしないように、前もって弁護士に相談しておいた方がよい
立ち退きと地上げの概要と違い
地権者は所有している土地に関して立ち退き・地上げ、いずれにも関与する可能性があります。
こちらでは、立ち退き・地上げとは何か、双方の違いについて解説しましょう。
立ち退きの概要
立ち退き要求とは、賃貸人が貸している土地または建物の賃借人に退去を求めることです。
立ち退きの正当事由とは、主に次のようなケースが該当します。
- 建物の場合:建物の耐震性に深刻な問題があり、取り壊す必要がある
- 土地の場合:地権者が他に土地を所有しておらず、自分の住居等を建てるため、貸している土地を利用する具体的な計画がある
賃借人が立ち退きに合意したときは、基本的に次のような義務が発生します。
- 建物を借りていた場合:指定された期限内に建物から退去
- 土地を借りていた場合:建築した建物を取り壊した上で、土地を地権者へ返還する
地上げの概要
地上げとは、不動産会社等が土地の買い付けを行う業務です。地上げに対してネガティブなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、合法的な行為です。
なお、地上げは民間会社が行うだけでなく、土地区画整理事業・市街地再開発事業などで、地方自治体等が施行者として用地買収をすることもあります。
地上げの目的とそのために必要となる業務は下表の通りです。
項目 | 内容 |
地上げの目的 | 土地を事業の用に供すること(例:市街地の開発等) |
地上げのために必要な業務 |
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立ち退きと地上げの違い
立ち退き要求と地上げは、共に土地の有効利用を目的として行われる方法です。
地上げは主に事業用地を確保するため、不動産会社等が土地を購入する目的で行われます。そして、土地の購入のとき、その土地に地権者や土地を借りて利用している人がいれば、立ち退きに応じてもらいます。
つまり、地上げの目的を達成する業務の一環として、立ち退き要求が行われるのです。
立ち退き・地上げの主な流れ【地権者】
立ち退き・地上げは、対象となるエリアに住んでいる方々へ多大な影響を与えることになります。退去する人達の希望・要望を尊重し、慎重な手続きが要請されます。
大きく分けて次の3ステップで立ち退き・地上げが進められます。
- 相談
- 交渉
- 合意
それぞれのステップについて解説しましょう。
相談
不動産会社の地上げに関して合意した地権者は、自分の土地または建物を借りている人の立ち退きについて検討しなければなりません。
まず弁護士へ事前に相談し、賃借人との交渉をどのように進めるべきか、アドバイスを受けましょう。
立ち退き交渉を進める前に、弁護士と次のような内容を確認し、賃借人との交渉準備に備えます。
立ち退きに関する内容 | 具体例 |
立ち退きを要求する正当な事由 | 市街地開発事業により、立ち退きが必要等 |
立ち退き要求を行う期間 | 契約期間満了の半年〜1年前に、立ち退き交渉が可能か |
立ち退き条件 |
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交渉
賃貸借契約の解約通知を行い、賃借人全てと交渉を開始します。解約通知書には「賃貸借契約の内容」「立ち退き理由」「立ち退き条件」「賃貸物件の情報」などを明記します。
通知書は地権者側が賃借人へ直接手渡すか、通知の日付を確定する「配達証明付き内容証明郵便」で郵送しましょう。
立ち退き条件に不満を主張する賃借人がいたら、その主張を良く聴き、双方が歩み寄れる条件で合意を目指します。
合意
立ち退き条件で賃借人の合意を得られたなら、地権者・賃借人双方との間で、合意書(契約書)等を取り交わしましょう。
双方が立ち退き内容に合意し義務の履行を約束した証拠として、合意書に地権者・賃借人双方が署名・捺印します。書類は基本的に2部作成して、それぞれが1部ずつ保管します。
地権者が立ち退き・地上げで嫌がらせをされた場合
地上げを行う不動産会社は、その大部分が法律に則り、誠実に業務を行っています。地権者の土地の購入も、地権者側の希望を取り入れつつ、粘り強い交渉が行われるはずです。
ただし、地上げを行う不動産会社の中には、反社会的勢力と手を組み、卑劣な方法で目的を達成しようとする者もゼロとはいえません。
次のような嫌がらせを受けたら、速やかに最寄りの警察署へ被害届を提出しましょう。
- 暴力を振るってきた
- 承諾もなくトラック等で私有地へ侵入した
- 自宅や工作物にいたずら書きをする
- 自宅に怒鳴りこむ
- 自宅にいたずら電話をする
- 自宅に脅迫文や汚物を送付する など
嫌がらせへの対応や損害賠償等については、弁護士にも相談しアドバイスを受けましょう。
地権者が立ち退き・地上げで弁護士に相談するメリット
地権者だけで立ち退き・地上げの交渉を行うのは、やはり限界があるはずです。そのようなときは弁護士に相談しサポートを受ければ、手続きをスムーズに進められることでしょう。
弁護士に相談するメリットは、主に次の3つがあります。
- 直接交渉するストレスからの解放
- 適正額の算出
- 豊富な経験に基づく対応
それぞれのメリットについて解説しましょう。
直接交渉するストレスからの解放
地権者が交渉前に弁護士に相談すれば、交渉のポイントや注意点について詳しくアドバイスしてくれるはずです。
その後、弁護士に交渉を依頼すると、地権者の代理人として地上げを行う不動産会社等や、自分の土地または建物の賃借人との立ち退き交渉も進めてくれます。
当事者同士で話し合うとお互いが感情的になるケースもあるので、弁護士に交渉を任せれば、直接交渉をするストレスから解放されます。
適正額の算出
たとえば立ち退き交渉を賃借人と行う場合、賃借人からその金額が低すぎると指摘される場合もあります。
弁護士から立ち退き料を正確に算出してもらえたなら、説得力のある金額を賃借人側に提示できるはずです。もちろん立ち退き料に関しての説明や交渉も、弁護士に任せられます。
豊富な経験に基づく対応
立ち退き交渉に関して実績豊富な弁護士は、たとえば「このような提案をすれば賃借人が納得する」「立ち退き料が家賃〇か月分を提示すれば合意できる」というような経験則を有しているはずです。弁護士の経験則を活かし、立ち退き交渉は円滑に進むことでしょう。
なお、実績豊富な弁護士に任せたいなら、法律事務所のホームページをチェックします。そのホームページで立ち退き交渉の内容が豊富に紹介されている場合、その交渉を得意としている弁護士といえるでしょう
立ち退き・地上げは実績豊富な弁護士に相談を
今回は数多くの不動産に関する交渉を行ってきた専門弁護士が、地上げ・立ち退きの違いや、その手順、弁護士に相談するメリット等を詳しく解説しました。
地上げ・立ち退き交渉は賃借人にも大きな影響を与えます。弁護士の助言の下で慎重に手続きを進めた方がよいでしょう。
地上げ・立ち退き交渉を円滑に行うために、弁護士のサポートを得たうえで、交渉成立を目指してみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。