リベンジポルノで適用される懲役刑とは?判断ポイント・すべきことも解説
最終更新日: 2023年09月20日
- リベンジポルノで逮捕されたらどのような罪に問われるだろう
- リベンジポルノで逮捕された、懲役刑は何とか避けたい
- 懲役刑を避けるため、弁護士にどのような活動が期待できる
リベンジポルノとは、元交際相手等の性的な画像や動画(私事性的画像記録)の俗称です。そのような画像を、インターネット上に掲載し、不特定多数の人が閲覧できる状態にする行為がいわゆるリベンジポルノ罪として処罰されるのです。
リベンジポルノ防止法の正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」です。
この法律に違反すると、最長3年の懲役刑に処される可能性があります。実刑判決を受ければ最悪の場合、3年間も刑務所に収容され刑に服さなければなりません。
何とかして懲役刑を免れられるよう、できる限りの対応を取るべきです。
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、リベンジポルノの懲役刑の内容や、懲役刑を免れるために取るべき行動や対策等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- リベンジポルノで有罪でも「公表罪」か「提供罪」かで、懲役期間など量刑が異なる
- リベンジポルノを穏便に解決できれば、懲役刑を避けられる可能性が高い
- リベンジポルノ事件に詳しい弁護士を私選弁護人として立てるべき
リベンジポルノでの懲役刑とは
リベンジポルノ防止法では、元交際相手等の性的な画像を自ら「公表」したか、それとも第三者に「提供」したかで、同じ懲役刑でも、懲役期間の長さが異なります。
出典:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 | e-Gov法令検索
3年以下
リベンジポルノの「公表罪」に該当する場合は、3年以下の懲役刑または50万以下の罰金に処される可能性があります(リベンジポルノ防止法第3条第1項)。
公表罪は、加害者や被害者だけではなく、第三者も被害者(撮影対象者)を特定できる方法で、性的な画像を不特定多数の者に提供、または公然と陳列した罪です。
つまり、公表罪が適用される要件は、加害者本人が、被害者の性的な画像を誰でもみれるような状態にすることです。
1年以下
リベンジポルノの「提供罪」に該当する場合は、1年以下の懲役刑または30万以下の罰金に処される可能性があります(同法第3条第3項)。
提供罪は、公表目的で性的な画像を第三者に提供する罪です。たとえば、友人・知人に公表を依頼し、性的な画像を友人や知人と共有した場合が該当します。
リベンジポルノで懲役刑を判断するポイント
リベンジポルノの「公表罪」に該当すると3年以下の懲役刑となり、提供罪よりも重い罪になります。ただ、「提供罪」でも1年以下とはいえ、懲役刑に処される可能性があります。
こちらでは、公表罪・提供罪となるかどうかの判断基準について解説しましょう。
公表罪かどうか
公表罪に該当するのは、まず「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」で、画像が公表されている場合です。
性的な画像に被害者の顔が明確に映っていれば、他人でも容易に撮影対象者を特定できます。問題は被害者の顔部分にモザイク加工処理などを施している場合です。
この場合でも、背景(部屋の様子等)や、身体的な特徴等から被害者を特定することが容易であれば、公表罪が成立する可能性があります。
また、「私事性的画像記録」に該当する写真や動画として、性交、自慰行為、性器(乳房・肛門を含む)等が撮影されていることも要件です。
ただし、撮影対象者自身が第三者への閲覧を認識の上、撮影を承諾または自らが撮影している場合、公表罪に当たりません。
一方で、「電気通信回線」の利用により、あるいは「公然と陳列」して、不特定多数の者が閲覧できる状態にしたのであれば、公表罪が成立します。たとえば、インターネット上で誰もが閲覧可能な状態に置いた場合や、DVDで販売する等の行為が該当します。
ただし、被害者の性的な画像を、被害者本人に限定しメール等で送ったケースは、公表罪に当たりません。
公表を目的とした提供か
提供罪も、第三者が撮影対象者を特定でき、撮影対象者が発表を容認していない性的な画像であり、不特定多数の人が閲覧できる状態の場合に該当します。
公表罪と違う点は、性的な画像を撮影した加害者本人ではなく、他人に依頼して公表させる目的で画像を提供する点です。
提供の方法はインターネットを介しての他、DVDやUSB等にデータを記録して手渡しても、提供罪が成立します。
リベンジポルノで懲役刑を言い渡される前にすべきこと
検察官によって起訴され、裁判で有罪となり懲役刑が言い渡されると、最長3年間も刑務所に収容されてしまいます。加害者本人だけでなく、家族にも大きな影響が及ぶことになります。
何としても懲役刑を回避するため、可能な限りの対策をとるべきです。
被害者との示談交渉
リベンジポルノ犯罪は親告罪で、被害者が被害届の提出・告訴をせず、または告訴を取り下げた場合、検察は起訴できません。
被害者との示談交渉で告訴しない、または告訴を取り下げる合意があれば、刑事裁判で裁かれずに済むのです。
ただし、被害者は加害者に対して強い処罰感情を抱いているでしょう。加害者本人が示談交渉を申し出ても、話し合いは拒否されてしまう可能性が高いでしょう。
そのようなときは弁護士に示談交渉を依頼し、被害者への説得を任せた方がよいです。
法律の専門家である弁護士の申し出であれば、被害者も冷静に話し合いに応じる可能性があります。
公開した画像・動画の削除
加害者本人の反省と謝罪の意思を示すため、公開した性的な画像は必ずすぐに削除しましょう。
加害者本人が性的な画像の拡散防止に尽力しなければ、被害者への謝罪・誠心誠意の対応とは、認めてもらえないでしょう。
性的な画像の拡散防止に最大限の努力をすれば、たとえ起訴され有罪となっても、裁判所の判断で執行猶予付き判決になるか、減刑を受ける可能性があります。
弁護士のサポートを受ける
リベンジポルノ事件で懲役刑を避けたいのであれば、すぐにでも法律の専門家である弁護士(私選弁護人)と相談しましょう。
加害者本人が逮捕される前に、弁護士と今後の対応を話し合い、どのような行動・対策をとるのか決めましょう
弁護士は、的確なアドバイスをすることはもちろん、迅速に示談交渉を進めていきます。
加害者が弁護士への依頼前に逮捕されたとしても、逮捕の一報を聞いた家族から弁護士に早急に依頼してもらえれば、弁護士はいつでも面会に応じます。
リベンジポルノで懲役刑に詳しい弁護士の探し方
リベンジポルノ事件を穏便に解決したいのであれば、弁護士は慎重に選ぶ必要があります。
弁護士にもそれぞれ得意分野があり、刑事事件を得意とする弁護士もいれば、特許事件や民事事件を得意とする弁護士もいます。
こちらでは、実績豊富な弁護士を選ぶコツについて解説しましょう。
刑事事件を豊富に扱っているか
まずは法律事務所のホームページをチェックしましょう。
そのとき次のような項目が明記されていれば、刑事事件に経験豊富な弁護士事務所といえます。
・刑事事件の相談実績等が明記されている(例:事務所設立からの相談実績〇〇〇〇件等)
・刑事事件の具体的な弁護活動の流れが明記されている
・刑事事件の相談事例が掲載されている
・リベンジポルノの判例や話題などが豊富に掲載されている
候補となる事務所を複数選び、自分のニーズにより合う事務所から相談をしていきましょう。
被害者への対応が得意か
リベンジポルノ事件の場合、弁護士は被害者と示談を成立させ、告訴を取り下げてもらえるように尽力します。そのため、示談交渉が得意な弁護士を選びたいものです。
被害者への対応が得意かどうかは、やはり弁護士と実際に会って相談してみればわかります。
穏やかな口調で高圧的にならず、相手の言い分等をよく聴いて、的確な提案のできる弁護士であれば、安心して任せられます。
法律相談は30分5,000円が目安です。法律事務所の中には初回相談無料のところもあります。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、リベンジポルノで有罪となったときの懲役刑の内容、有罪となって懲役刑を言い渡される前に行うべき対応等について詳しく解説しました。
リベンジポルノは親告罪であり、示談が成立し被害者から告訴を取り下げてもらえれば、不起訴処分となります。もちろん、懲役刑を受ける心配も無くなります。
しかし、多くの被害者は心に深い傷を負っています。リベンジポルノの加害者は示談のとき、示談金を支払うだけでなく、公表した性的な画像の削除はもちろんのこと、被害者に誠心誠意の謝罪を行う必要があります。
懲役刑を回避したいのであれば、速やかに弁護士と相談し、穏便に解決するための方策をすぐ検討しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。