離婚にまつわる金銭問題を弁護士が徹底解説!財産分与・慰謝料・婚姻費用・養育費・年金分割などを紹介
最終更新日: 2023年07月04日
- 離婚で金銭的な問題を解決しなければならない
- 離婚時にはどのような金銭問題が起こりうるのか?
- 離婚にまつわる金銭問題の具体例と解決方法を教えてほしい
離婚する場合は、金銭や子どもに関する問題が起こりやすく、トラブルに発展するケースは珍しくありません。金銭や子どもに関する問題は夫婦間で話し合いますが、解決に至らないこともあるでしょう。また、金銭問題では十分な知識を持っていなければ損する恐れがあります。
そこで今回は、離婚問題や男女関係について詳しい専門弁護士が、離婚時にまつわる金銭問題について、財産分与・慰謝料・婚姻費用・養育費・年金分割まで詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- スムーズに金銭問題を解決したい場合は、実績が豊富で交渉力のある弁護士に相談することが大切
- 離婚時の金銭トラブルに発展しやすいものとしては、「財産分与」「慰謝料」「婚姻費用」「年金分割」「養育費」がある
- 金銭問題の具体例として、養育費を挙げると、裁判所が算定した養育費算定表を用いて試算が可能
離婚にまつわる金銭問題とは
離婚するときには生活面だけでなく、金銭面でも大きな変化が訪れ、問題が発生しがちです。特にお金については、夫婦間で話し合いを重ねて、さまざまなことを決めなければなりません。
離婚時の金銭トラブルに発展しやすいものとしては、財産分与・慰謝料・婚姻費用・年金分割・養育費があります。離婚するときには、それぞれについて十分な知識を得ていなければ、受け取れないこともあり得るでしょう。反対に、払わなくてもよい金銭を支払ってしまう可能性もあるため注意が必要です。
離婚を考えたときには、前もってそれぞれの費用について、どのような場合に発生し支払い義務が生じるのかを把握しておくことをおすすめします。
離婚するときの金銭問題といえば慰謝料
離婚するときに問題になりやすいものに、慰謝料があります。そもそも慰謝料とは何で、どのような場合に請求できるのでしょうか。ここでは、慰謝料について下記の3つを解説します。
- 慰謝料とは
- 慰謝料が請求できるケース
- 慰謝料が請求できないケース
慰謝料とは
離婚慰謝料とは、離婚によって受けた精神的な苦痛に対して支払われる金銭のことです。離婚原因を作ったことに責任のある配偶者を有責配偶者といい、慰謝料は、主に有責配偶者から無責配偶者に支払われます。
たとえば、不貞行為が原因で離婚に至った場合、浮気や不倫をした側に対し、もう一方が慰謝料を請求できます。慰謝料は男女問わず、離婚の原因を作った配偶者に請求できると考えて差し支えありません。
慰謝料が請求できるケース
慰謝料が請求できるケースとしては、不貞行為・悪意の遺棄・DV・モラハラなどがあった場合が挙げられます。不貞行為とは、婚姻関係にある人物以外と性的な関係を持つことです。
たとえば、配偶者が第三者と浮気や不倫を行った場合などが、不貞行為に該当します。不貞行為があったことを証明できれば、慰謝料を請求することが可能です。
他にも、配偶者に生活費を渡さない、アルコール依存症で家庭を顧みないなどの行為がある場合も慰謝料を請求できる可能性があるため、各状況に応じた手続きを進めましょう。
慰謝料が請求できないケース
慰謝料が請求できないケースとしては、性格の不一致・価値観の相違・自らに責任がある場合などが挙げられます。
性格の不一致や価値観の相違は、互いの性格やこれまでの生活スタイルの違いによって起こり得ることで、相手だけ、もしくは自分だけに責任があるとは言いにくいものです。どちらか一方だけが責められる問題が起きていない場合は、慰謝料の発生はないと考えてよいでしょう。
また、配偶者が離婚原因を作った場合でも、自分にも責任がある場合は、互いに支払うべき慰謝料があると捉えられ、結果的に慰謝料が発生しないこともあります。たとえば配偶者が不倫をしており、自分も不倫相手がいた場合などがこのケースに該当します。
離婚時の財産分与に関する金銭問題
離婚するときには、夫婦が持っている財産分与に関して問題になることがあります。ここでは、離婚時の財産分与について、下記の3つを解説します。
- 財産分与とは
- 財産分与の対象となる財産
- 財産分与の対象とならない財産
財産分与とは
財産分与とは、婚姻期間に夫婦で蓄えた貯金や現金などの財産を双方に分けることをいいます。財産の分配は、それぞれの貢献度に応じて分けられます。また、分配方法に関しては夫婦が協議したうえで決定します。
複数の財産を所有している場合は、夫婦で話し合いを行って分配方法を決め、振り分けます。一般的には財産の半分ずつを夫婦で分けることが多くみられます。ただし、夫婦で協議してもまとまらなかった場合は、家庭裁判所に調停もしくは審判を申し立てたのち、決定します。
婚姻期間中に築いた財産は、財産分与にて一定程度を請求できる権利があるため、手続きを忘れないようにしましょう。また、のちのトラブルを回避するためにも、取り決めたことは離婚協議書や公正証書に記録しておきましょう。
財産分与の対象となる財産
財産分与の対象となる財産は、現預金・株式・家財道具・不動産・自動車などが挙げられます。財産分与は財産の名義や婚姻期間に関わらず、請求可能です。
数か月の婚姻期間だったとしても、期間中に夫婦が築いた現金や株式などの財産については財産分与の対象となります。共有財産は、婚姻期間が長いほど多くなる傾向にありますが、貢献度に応じて公平に分配されます。
財産分与の対象とならない財産
財産分与の対象とならない財産としては、婚姻前に貯めた現預金や、すでに取得していた株式などが挙げられます。さらに、婚姻後に相続・贈与された特有財産は、対象にはなりません。
特有財産は、第三者から無償で取得した財産などで、結婚中の夫婦の協力によって形成されたものではないと捉えられるためです。たとえば、親から相続した預貯金や不動産などが特有財産にあたります。
婚姻費用に関する離婚時の金銭問題
離婚時には、婚姻費用に関するものもトラブルになりやすいものです。ここでは、婚姻費用に関する離婚時の金銭問題について、下記の2つを解説します。
- 婚姻費用とは
- 婚姻費用が請求できるケース
婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦が生活を送るために必要なお金のことです。夫婦や子どもが共同生活を行ううえで、さまざまな費用がかかります。食費・光熱費などの衣食住にかかる費用・医療費・教育費などが婚姻費用の対象になる生活費です。
離婚が成立していない場合は夫婦で婚姻費用を分担しなければならないため、収入に応じて請求することができます。婚姻費用は、夫婦で話し合ったうえで金額を決定します。協議がまとまらないときは弁護士に依頼したり、家庭裁判所で調停もしくは審判したりするケースもあるでしょう。
婚姻費用が請求できるケース
婚姻費用が請求できるケースとしては、別居状態で生活費を渡していない場合や同居している状態であっても生活費を渡していない場合が該当します。夫婦は協力しながら共同生活を送るべきだというのが民法の考え方であるため、収入の割合に応じた生活費を負担しなければなりません。
たとえば、夫婦が別居している場合、収入が多い配偶者が少ない配偶者に対し、適切な生活費を渡す必要があります。仮に生活費を渡していない場合は、婚姻費用を請求されます。
例外的に婚姻費用の分担が認められないケースもありますが、婚姻関係である以上、夫婦で生活費を負担するのが一般的です。
養育費も離婚時に解決したい重要な金銭問題
離婚時には、養育費も解決したい重要な金銭問題の一つです。未成年の子どもがいる場合、子どもと一緒に暮らす親権者が、相手方に対して養育費を求められます。
養育費は、未成年の子どもが自立するまでにかかる費用のことをいいます。具体的な費用には食費・医療費・学費・家賃などが挙げられます。養育費の金額は、裁判所が算定した養育費算定表を基準に決定されることが多いでしょう。
年金分割も離婚するときに金銭問題となる
婚姻期間が長い夫婦が離婚する場合には、年金分割について問題になることがあります。ここでは年金分割について、下記の2つを解説します。
- 年金分割とは
- 年金分割の種類
年金分割とは
年金分割とは、厚生年金に加入していない配偶者が夫婦間の合意もしくは家庭裁判所で決定した割合の年金を受け取れる制度です。離婚後に夫婦間で年金額に不公平が生じることを防ぐ目的があります。
年金分割の対象は、厚生年金もしくは共済年金に限られており、国民年金は含まれません。離婚するときは、年金分割の対象となるのかを確認したうえで、手続きを進めましょう。
年金分割の種類
年金分割の種類は、合意分割と3号分割に分かれています。合意分割は、夫婦間や家庭裁判所で決定した割合で分割する制度のことです。分割割合の上限は2分の1と定められています。
一方、3号分割は夫婦間で決めることなく、厚生労働大臣に請求することで2分の1の割合で分割される制度です。制度を利用する場合は条件があるため、ご自身のケースが該当するのかを事前に確かめる必要があるでしょう。
まとめ
今回は、離婚問題や男女関係について詳しい専門弁護士が、離婚時にまつわる金銭問題について、財産分与・慰謝料・婚姻費用・養育費・年金分割まで詳しく解説しました。
離婚するときは、お金や子どもについての話し合いが難航し、トラブルにまで発展するケースも珍しくありません。金銭についてはさまざまな項目があるため、1つずつ解決していくことが望ましいでしょう。
当事者間で話し合ってもまとまらないときには、離婚問題の解決実績を持つ弁護士に相談することをおすすめします。法律の専門家からアドバイスを受けながら、手続きを進めましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。