好き嫌い.comの誹謗中傷に直面したら?加害者・被害者が取るべき対処法を解説
2024年11月21日
- 好き嫌い.comでエキサイトしてしまい、相手の悪口を投稿した。私は罪に問われるのだろうか?
- 好き嫌い.comで誹謗中傷されてしまった。加害者を特定する方法が知りたい。
- 好き嫌い.comで誹謗中傷で悩んだら、弁護士に相談した方がよいのだろうか?
好き嫌い.comは「みんなのホンネが集まる場所」ですが、誹謗中傷の投稿も後を絶ちません。
気に入らないコメントを見つけて相手を誹謗中傷すると、刑事罰を受ける可能性があります。
そこで今回は、ネット上のトラブル解決に携わってきた専門弁護士が、好き嫌い.comの誹謗中傷で問われる罪、誹謗中傷をしてしまった場合の対処法等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 好き嫌い.comで誹謗中傷を行うと、名誉棄損罪や侮辱罪、脅迫罪等に問われる可能性がある
- 誹謗中傷した相手の特定には、発信者情報開示請求・命令という方法がある
- 誹謗中傷の加害者も被害者も、専門弁護士に相談し対処法を協議しよう
好き嫌い.comの誹謗中傷への対応
好き嫌い.comでは、ユーザーがコメントを投稿するとき、誹謗中傷や脅迫行為と思われる書き込みに対し、警告文が表示されます。
他人を傷つける内容でないか、もう一度確認するよう求めるメッセージが出て、投稿を控えたり、別の内容に書き直す目安となります。
ただし、運営がコメント内容をすべてチェックしているわけではありません。
もしも、あなたを誹謗中傷するコメントがあった場合、次のような方法をとります。
- コメントに表示されている「通報ボタン」を押す
- 運営にメールで報告する
ただし、運営側が必ず誹謗中傷コメントの削除を行うとは限りません。いつまで経っても削除されない場合は、別の方法で対応する必要があるでしょう。
好き嫌い.comで誹謗中傷が多発する理由
好き嫌い.comで誹謗中傷が多発している理由は、主に次の通りです。
- 利用は基本的にユーザーの自己責任
- 運営者情報、連絡先、利用規約等が不明
- 完全匿名でコメント可能
- 誹謗中傷を確実に止める機能がない
つまり、誰が(どのような会社が)運営しているのか全くわからない上に、誹謗中傷コメントを確実に削除する方法もありません。
あなたが誹謗中傷された場合は、投稿した加害者を特定後、損害賠償請求を請求したり、刑事責任を追及したりして、誹謗中傷をやめさせるのが最善の方法といえます。
好き嫌い.comの誹謗中傷で問われる罪
好き嫌い.comで誹謗中傷を行った場合、刑事責任を問われるおそれがあります。
加害者は有罪判決を受けると懲役刑や禁錮刑、罰金刑等に処される場合もあるので注意が必要です。
名誉毀損罪
名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、特定の個人や団体の名誉を侵害する罪です。
名誉毀損罪の特徴は次の通りです。
- 事実の摘示には真実の情報や、嘘の情報も含まれる
- 特定の個人や団体の社会的評価を失墜させると、本罪に該当する
- 有罪判決を受けた場合、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金(刑法第230条第1項)
たとえば、好き嫌い.comの有名人「好き」「嫌い」に関するコメントで、「嫌いに決まっているだろ。有名人〇〇は性犯罪者だ。キャバクラ嬢へ性的暴行を振るったのにお金で解決した。」と投稿すると、名誉毀損罪にあたる可能性があります。
侮辱罪
侮辱罪は、公然と事実を摘示せず、特定の個人や団体を侮辱する罪です。
侮辱罪の特徴は次の通りです。
- 具体的な事実を述べていない
- 特定の個人や団体の悪口を投稿すれば、本罪に該当する
- 有罪判決を受けた場合、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料(刑法第231条)
たとえば、好き嫌い.comの有名人「好き」「嫌い」に関するコメントで、「有名人〇〇なんて好きなわけないだろ。こんなキチガイ。」と投稿すると、侮辱罪にあたる可能性があります。
脅迫罪
脅迫罪は、特定の個人およびその親族の生命や名誉、財産等に害を加えると告知し、脅迫した場合に適用される罪です。
脅迫罪の特徴は次の通りです。
- 脅迫の内容が拡散されなくとも、相手方に告知すれば本罪が適用される
- 有罪判決を受けた場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金(刑法第222条第1項)
たとえば、好き嫌い.comのコメントに「個人名〇〇本人や家族を皆殺しにする。」と投稿すると、脅迫罪にあたる可能性があります。
信用毀損及び業務妨害罪
信用毀損及び業務妨害罪(偽計業務妨害罪)とは、偽計により特定の個人や団体の業務を妨害したとき適用される罪です。
信用毀損及び業務妨害罪の特徴は次の通りです。
- 相手方の業務へ何ら影響が生じなくとも本罪は適用される
- 虚偽の情報の拡散はもちろん、特定かつ少数の人たちへ伝える行為も本罪に該当する
- 有罪判決を受けた場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第233条)
たとえば、好き嫌い.comのコメントに「〇月〇日〇時、株式会社〇〇の本社を爆破する。」と投稿すると、信用毀損及び業務妨害罪にあたる可能性があります。
好き嫌い.comで誹謗中傷した相手の特定方法
好き嫌い.comは完全匿名でコメントが可能なので、誹謗中傷した投稿者の特定は非常に困難です。
そのため、発信者情報開示請求・命令の手続きを行い、投稿者の特定を図りましょう。
投稿の保存
好き嫌い.comで誹謗中傷を受けた場合、まずは悪質な投稿を保存する必要があります。次のような点に注意し、記録を残します。
- スクリーンショットで誹謗中傷にあたる投稿を保存
- パソコン画面で投稿日時等を漏れなく保存
- 誹謗中傷の複数投稿はすべて保存
- レスアンカー(例:>>番号)で投稿が続いているならば、連続性がわかるよう保存
投稿を保存したら速やかに、発信者情報開示請求・命令の手続きを開始しましょう。
発信者情報開示請求
誹謗中傷した投稿者を特定する方法として、「発信者情報開示請求」「発信者情報開示命令」の2種類が利用できます。
発信者情報開示請求
発信者情報開示請求とは、好き嫌い.com(サイトの運営元)、投稿者が利用したプロバイダに対し、投稿者に関する情報開示を求める手続きです(プロバイダ責任制限法第5条)。
情報開示の手順は次の通りです。
- 1.好き嫌い.comに任意開示を求める:投稿者特定はまだできないが、IPアドレスの開示により利用しているプロバイダがわかる
- 2.好き嫌い.comが開示に応じない場合、裁判所に仮処分手続きを行い、IPアドレスの開示を求める
- 3.プロバイダが判明後、発信者情報開示請求訴訟を提起する
- 4.プロバイダが発信者情報を開示し、投稿者の氏名、住所、メールアドレス等が特定される
発信者情報開示命令
発信者情報開示命令は、1回の裁判手続きで好き嫌い.comとプロバイダに対する請求を、まとめて行える方法です(プロバイダ責任制限法第8条)。
- 1.裁判所に発信者情報開示命令の申立てをする
- 2.裁判所は好き嫌い.comに対して「IPアドレス提供命令」、好き嫌い.comとプロバイダに発信者情報の消去禁止を命じる「消去禁止命令」を出す
- 3.裁判所がプロバイダに発信者情報開示命令を行う
- 4.プロバイダが発信者情報を開示し、投稿者の氏名、住所、メールアドレス等が特定される
被害者であるあなたは、情報開示・命令いずれの方法を選んでも構いません。ただし、開示命令の方が簡易な手続きで進められるので、短期間で投稿者の特定につながることでしょう。
弁護士への相談
好き嫌い.comで誹謗中傷されたら、なるべく早くネット上のトラブル解決に実績のある弁護士へ相談しましょう。
弁護士は誹謗中傷の内容を確認し、次のアドバイスを行います。
- 投稿内容が誹謗中傷にあたるか
- 発信者情報開示請求・命令の手続き方法
- 投稿者が特定された場合の対応
- 損害賠償請求の方法
- 刑事告訴の手順
弁護士に代理人を依頼すれば、発信者情報開示請求・命令の手続きや法的措置等も、すべて弁護士に任せられます。
好き嫌い.comで誹謗中傷をしてしまった場合の対処法
あなたが好き嫌い.comで相手を誹謗中傷した場合、被害者から個人情報が特定され、損害賠償請求や刑事告訴される事態になるかもしれません。
深刻な事態を避けるため、迅速な対応が必要となるでしょう。
書き込み削除
なるべく早く、誹謗中傷した投稿の削除を運営に依頼しましょう。
投稿したあなた側から削除する場合も、通報ボタンやメールで運営側に知らせます。
複数の相手を誹謗中傷していた場合、その全員から損害賠償請求や刑事告訴を受ける可能性があります。
相手が誹謗中傷の投稿を見つける前に、削除を依頼する必要があるでしょう。ただし、運営側があなたの依頼通りに投稿を削除するとは限りません。
示談交渉
誹謗中傷された相手が発信者情報開示請求をすれば、あなたの自宅に契約中のプロバイダから、「発信者情報開示請求に係る意見照会書」という書類が届きます。
意見照会書は、あなたが情報開示に同意するか否かを確認するための書類です。
この通知が届いたら、相手側は損害賠償請求や刑事告訴の準備を進めているといえます。
あなたが、被害者への誹謗中傷や誹謗中傷とみなされても仕方がない投稿をしたと認めるなら、情報開示に同意し、示談による解決を検討した方がよいでしょう。
示談交渉では、あなたが被害者に謝罪し二度と誹謗中傷の投稿を行わない旨、示談金額(慰謝料)や支払方法・期日、被害者が告訴をしない(または取下げる)等の条件について取り決めます。
弁護士への相談
自分の行った誹謗中傷をどのように解決してよいかわからないなら、まず弁護士に相談しましょう。
弁護士はあなたの不安や希望をヒアリングしたうえで、次のアドバイスを行います。
- 投稿内容がどのような罪に問われるのか
- 意見照会書が届いた後の対応
- 示談交渉の必要性
- 示談書を作成するポイント
- 示談交渉中に逮捕されるリスクはあるのか
- 示談交渉不成立の場合のリスク
弁護士に代理人を依頼すれば、示談交渉を任せられるので、あなたが被害者と直接会う必要もありません。
好き嫌い.comでの誹謗中傷にお悩みなら弁護士に相談を
今回は、ネット上のトラブル解決に尽力してきた専門弁護士が、好き嫌い.comでの誹謗中傷に関する対応方法等を詳しく解説しました。
誹謗中傷の加害者も被害者も自分の力だけで対応するより、専門弁護士に相談した方が、迅速かつ納得できる内容で解決を図れる可能性があります。
まずはネット上でのトラブル解決の交渉・裁判に経験豊富な弁護士を見つけ、今後の対応を協議してみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。