特殊詐欺に加担した受け子は窃盗罪?詐欺と窃盗の違いについて専門弁護士が解説します!

2022年01月28日

特殊詐欺に加担した受け子は窃盗罪?詐欺と窃盗の違いについて専門弁護士が解説します!

  • 特殊詐欺に加担したとして、窃盗罪で逮捕された!
  • 特殊詐欺で捕まると、どのような刑罰を受けるのか?

「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」と呼ばれる特殊詐欺は、詐欺行為を主導する主犯格、現金の受領や引き出し行為を行う受け子、受け子に指示を出す指示役、被害者に電話をかける欺罔行為を行うかけ子など、多数の構成員によって組織的に行われています。

しかしながら、実際に逮捕・検挙されるのは、「受け子」ばかりであり、上位の構成員まで捜査の手が及ばないまま、別の「受け子」が募られて犯行が繰り返されます。
上位者が検挙されない以上、特殊詐欺は一向に無くならないのが現状です。

ところで、刑事実務において、受け子は、詐欺に加担したにもかかわらず、窃盗罪で検挙される例が非常に多くなっています。

ここでは、受け子がなぜ窃盗罪で処罰されるのか、また、窃盗罪で検挙された場合にどのような刑罰を受けることになるのか、弁護士が具体的に解説していきたいと思います。

それでは、早速、まいりましょう。

この記事を監修したのは

篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
立教大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 卒業
金沢市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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詐欺罪と窃盗罪の違いを弁護士が解説

特殊詐欺に加担した受け子が窃盗罪で処罰される理屈を説明するにあたり、まずは詐欺罪と窃盗罪について、簡単に見ていきます。

  • 詐欺罪
  • 窃盗罪
  • 両罪の違い

詐欺罪

詐欺罪の本質は、人を欺罔して、錯誤に陥らせ、財物の占有を移転させる点にあります。一般に「欺罔行為」と呼ばれますが、人を騙すことを指しています。

まず、詐欺は、人に向けられたものでなければならないので、機械に対して詐欺をしても、詐欺罪は成立しません。
また、騙すことと財物の占有移転に因果関係が必要となります。すなわち、騙したことによって、被害者から財物の交付を受けることが必要なので、騙す行為があったとしても、それが財物の占有が移転に対するものでなければ、詐欺罪は成立しないのです。

初期の「オレオレ詐欺」では、受け子が被害者と直接面会して、窮状に陥っているご子息の関係者を演じて被害者から高額な現金の交付を受けます。

被害者としては、ご子息が窮状に陥っていなければ現金を渡すこともありませんし、そもそも受け子がご子息と無関係な人間であったなら絶対に現金を渡すことなどないでしょう。

このように、言葉巧みに人を騙して財物の占有を移転させることが、詐欺の本質なのです。

窃盗罪

窃盗罪の本質は、被害者の意に反して、財物の占有を奪う点にあります。被害者のポケットや、バッグなどから、被害者に気づかれないように財布などを抜き取る行為が典型的な窃盗行為です。

もちろん、窃盗罪は、被害者において財物を携行していなくとも成立します。被害者の支配下・管理下にある財物を無断で持ち去れば、これも十分な窃盗行為です。たとえば、スーパーの店長は、店舗の全ての商品を認識しているわけではありませんが、万引き犯が店長の認識していない商品を盗んでも問題なく窃盗罪が成立します。

両罪の違い

詐欺罪と窃盗罪の違いは、財物の占有移転を受けるにあたり、人を欺くことを手段にしているかどうかによります。言い換えれば、錯誤に陥った被害者を利用して、財物の占有を得たかどうかが、詐欺と窃盗の分水嶺なのです。

たとえば「空から飛行機が落ちてくる!」などと虚偽を述べて、よそ見をさせている隙に財物を奪うことは、詐欺ではなく、窃盗にあたります。なぜなら、被害者は、だまし討ちを受けているものの、これによって盗まれる隙を犯人に与えたにすぎず、占有を移転させるつもりまではないからです。

特殊詐欺の受け子は窃盗罪で実刑の可能性も?弁護士に相談が必要

では、特殊詐欺の受け子として、検挙されて窃盗罪の有罪判決を受けた場合、その受け子はどのような刑罰を受けるのでしょうか。

  • 特殊詐欺の受け子が窃盗で処罰される理由
  • 特殊詐欺は窃盗罪の中でも重く処罰される
  • 弁護士に依頼する必要性

特殊詐欺の受け子が窃盗で処罰される理由

特殊詐欺が世間に認知され始めたころは、かけ子が被害者に現金を振り込ませた後、ATMから現金を引き出した「出し子」が窃盗罪で検挙される例が多くありました。この場合、ATM内の現金は、銀行に占有がありますから、銀行に対する窃盗罪が成立することになるのです。

また、最近は、特殊詐欺の受け子が窃盗罪で検挙される例がよく見られるようになりました。というのも、カードのすり替えを行う手口が増えてきたからです。

すり替えの手口とは、まず電話役が被害者に対して「カードが不正利用されている。カードを交換する必要がある」などとうそを言い、カードを受け取るための受け子を被害者宅などに向かわせます。そして、言葉巧みに、カードと暗証番号の書いた紙を封筒に入れさせた後、封印をするので印鑑を持ってくるように言い、被害者が目を離したすきに、別の封筒とすり替えるのです。

このすり替えの手口において、被害者にはカードの占有を移転させた認識がないので、詐欺とはならず、単に被害者のすきをついてカードを奪ったとして、窃盗罪が成立するのです。

特殊詐欺は窃盗罪の中でも重く処罰される

ひと言に窃盗罪と言っても、様々なバリエーションがあります。万引き、置き引き、スリ、ひったくり、空き巣などです。窃盗は、通常、初犯であれば罰金相当が多いのですが、空き巣やひったくりなど悪質な例になると、実刑判決を受けることもあります。

このうち、特殊詐欺に加担する窃盗は、非常に深刻な社会問題であるとともに、被害者の人生を狂わせるほどの損害を与える悪質な犯罪です。そのため、警察・検察ともに特殊詐欺を厳しく取り締まっており、初犯でも実刑判決を受ける例があります。

受け子は、特殊詐欺の末端構成員としての立場であるものの、特殊詐欺に加担した以上は、厳しい処罰を受けることになります。よく幇助犯などの主張もされることが多いですが、受け子が犯罪成立に不可欠であることからすると、このような主張が認められることも少ないでしょう。

弁護士に依頼する必要性

特殊詐欺に加担したとして窃盗罪で逮捕される例は、最近になって非常に多くみられるようになっています。
「自分に限って」
「うちの子に限って」
そのような考えがあって、絶対に詐欺などとは縁がないと思われるかもしれませんが、一般の方が知らぬままに詐欺に加担しているということも珍しくないのです。

実のところ、インターネットでアルバイトなどと称して受け子が毎日のように募られており、これまで犯罪と縁がなかったような大学生なども逮捕されています。よく事情を知らされないまま、カードを受け取るだけで高額報酬を得られるとの謳い文句に踊らされてしまうのでしょう。

しかしながら、特殊詐欺に加担することの責任は非常に重く、事情を知らされなかったでは済みません。長期間の勾留と厳しい取調べを覚悟する必要があります。また、弁護方針を誤ると、たとえ初犯であっても、長期間の懲役刑を受けることにもなりかねません。

特殊詐欺に加担したとして、窃盗罪で逮捕された場合、最善の途を探るためにも、まずは弁護士に依頼するべきでしょう。

特殊詐欺の受け子が窃盗罪で起訴されるまでに弁護士ができること

では、特殊詐欺の受け子として逮捕されてしまった場合、弁護士はどのような活動ができるのでしょうか。身柄拘束中の活動内容、取調べ対応の助言に関する活動内容という観点から見ていきましょう。

  • 身柄拘束中の対応
  • 取調べ対応への助言

身柄拘束中の対応

特殊詐欺で逮捕された場合、起訴されるまで身柄が解かれる事案はごくわずかです。しかも、身柄拘束中は、接見等禁止措置が付されるので、弁護人以外の者との面会、文書のやりとりが全て禁止されます。

しかも、特殊詐欺は、再逮捕が繰り返されることによって身柄拘束期間が長期化することがほとんどです。

逮捕者にとっては、長期間にわたり、誰とも会えず、誰とも手紙のやり取りなどもできないことから、弁護士とのやりとりが全てなのです。
もっとも、両親などであれば、証拠隠滅のおそれがないと認められる限りにおいて、接見等の禁止が解除されることもあります。このような手続きを行うにしても、弁護士の助けがなければ困難でしょう。

取調べ対応への助言

警察・検察は、特殊詐欺に対して厳格な態度で臨むことから、厳しい取調べが予想されます。この取調べに対して、適切な対応方法を助言できるのも、弁護士の重要な役割です。

受け子は、被害者と直接相対するため、犯罪の証拠を残しやすく、最もリスクが高い役割です。そのため、検挙された場合には、有罪になる証拠が十分に揃っていることが多く、無罪や嫌疑不十分による不起訴を狙うことも困難といえます。

特に、受け子の立場としては、詐欺に加担させられているとは聞いていなかった、普通の営業業務だと思っていたとの弁解をすることが多いです。このような弁解は、共謀や、故意を否定する趣旨でありますが、キャッシュカードを高齢者から受け取るなどという業務など想定しがたいので、共謀や故意を否定することは相当困難です。

このことから、無罪や不起訴の可能性がないことを即座に見極め、認める方針に切り替える旨を指示することも、弁護士の重要な役割です。

特殊詐欺に加担した以上は、素直に犯行を認めることは重要ですが、捜査側が押し付けてくる事実が全て正しいとは限りません。
事実と異なる点は、正確に伝えることが重要で、必要以上に自身の罪状を重くするべきではないのです。被害金額、被害弁償によっては、受け子なら執行猶予を狙うこともできますが、情状が悪いと執行猶予が付かなくなります。

弁護士の的確な指示を受けて、情状が軽くなるような取調べ対応をすべきでしょう。

まとめ

今回は、特殊詐欺をもとに、詐欺罪と窃盗罪の違いを説明しました。

特殊詐欺は重大犯罪であり、弁護士としても根絶されなければならない犯罪であると考えています。しかし、それでも特殊詐欺はなくならず、巧妙化を続けています。その過程において、特殊詐欺に関わってしまう一般人も増えています。

もしご自身やご家族が特殊詐欺に関わってしまった場合には、取り返しがつかなくなる前に、すぐに弁護士に相談してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にあるLINEの友達追加ボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。

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この記事を監修したのは

篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
立教大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 卒業
金沢市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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