X(旧Twitter)乗っ取りの犯人特定方法!被害者・加害者の対処法を解説
最終更新日: 2024年11月24日
- 私はX(旧Twitter)のアカウントを乗っ取った。自分はどのような罪に問われるのだろう?
- 何者かにX(旧Twitter)のアカウントを乗っ取られてしまった。対応方法を知りたい。
- X(旧Twitter)の乗っ取り問題を解決するため、弁護士に相談した方がよいのだろうか?
X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取られる事態が後を絶ちません。乗っ取られた被害者は、誤った情報等を拡散されてしまう可能性があります。
一方、乗っ取りを行った犯人は、重い刑罰を受けることになるでしょう。
そこで今回は、SNSトラブルの解決に携わってきた専門弁護士が、X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取った犯人が問われる罪、被害者がとる対応方法等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取った犯人は、不正アクセス罪、不正取得罪等に問われる可能性がある
- アカウントを乗っ取られた被害者は、速やかに犯人を特定し、刑事告訴や損害賠償請求を行う
- 乗っ取りの犯人も被害者も、専門弁護士に相談し対処方法を話し合うことが推奨される
X(旧Twitter)乗っ取り犯人で特定されたら問われる罪
乗っ取り犯人が特定され、有罪判決を受けた場合、犯人は「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」に従い罰せられます。
犯人は最悪の場合、懲役刑に処される可能性もあるでしょう。
出典:不正アクセス行為の禁止等に関する法律 | e-Gov法令検索
不正アクセス行為の禁止
不正アクセスを行った場合は、「不正アクセス罪」となり処罰されます(不正アクセス禁止法第3条)。
X(旧Twitter)を乗っ取るとき、自分以外の人物のIDやパスワード等を無断で入力したという行為が不正アクセス罪です。
正規の利用者の許可をとらないまま、利用者のID・パスワードでログインすれば、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります(同法第11条)。
他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止
X(旧Twitter)を乗っ取りに利用するため、他人のID・パスワードを取得すれば「不正取得罪」にあたります(同法第4条)。
他人のID・パスワードを取得する方法は、主に次の通りです。
- 他人のID・パスワードが記録されたUSBメモリ等の受け取り
- 他人のID・パスワードが記載された書面の受け取り
- 自分の使用するスマートフォンやパソコンの画面に、他人のID・パスワードを表示
- 他人のID・パスワードを盗み見て暗記
他人のID・パスワードを不正に取得した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります(同法第12条第1号)。
不正アクセス行為を助長する行為の禁止
業務やその他正当な理由以外で、他人のID・パスワードを第三者へ提供すれば「不正助長罪」となります(同法第5条)。
他人のX(旧Twitter)ID・パスワードを、第三者へ提供するのは非常に危険な行為です。
そのため、不正アクセス行為を助長するとわかっていて提供する場合の他、助長するとは思わなかった場合も処罰対象です。
不正助長罪に問われた場合、次のような罰則を受ける可能性があります。
- 不正アクセス行為を助長するとわかっていて提供:1年以下の懲役または50万円以下の罰金(同法第12条第2号)
- 不正アクセス行為を助長すると知らずに提供:30万円以下の罰金(同法第13条)
他人の識別符号を不正に保管する行為の禁止
不正アクセス行為の利用を目的に、不正に取得した他人のID・パスワードを保管すれば「不正保管罪」となります(同法第6条)。
具体的に次のような方法をとれば不正保管罪です。
- 他人のX(旧Twitter)ID・パスワード情報を書面で保管
- 他人のID・パスワード情報をUSBメモリ等で保管
- 自分が使用するスマートフォンやパソコンに保管
不正保管罪に問われた場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります(同法第12条第3号)。
X(旧Twitter)乗っ取り犯人を特定するステップ
あなたがX(旧Twitter)乗っ取りの被害にあったならば、速やかに犯人を特定する必要があります。
冷静にログイン履歴やDM等の確認、発信者情報開示請求・命令の手続きを進めていきましょう。
ログイン履歴の確認
X(旧Twitter)の乗っ取りに関する確認方法としては、まず身に覚えのないログイン履歴の有無を確認しましょう。
X(旧Twitter)には「Xデータ」という機能が実装され、これまでのログイン日時・ログインに使用した端末履歴の確認が可能です。
直近50件程度のデータを参照できるので、その中に自分が使用していないデバイスや、身に覚えのないログイン情報を探してみましょう。
もしも、身に覚えのないログイン履歴を発見したら、速やかにパスワードを変更する等して、セキュリティ強化に努めます。
操作方法はWindows・MacのOSの場合は次の通りです。
- 1.左メニューもっと見るをクリック
- 2.設定とプライバシーをクリック
- 3.セキュリティとアカウントアクセスをクリック
- 4.アプリとセッションをクリック
- 5.アカウントアクセス履歴を確認
Android・iOSのアプリを使用している場合は次の通りです。
- 1.画面左上の縦三本線アイコンをタップ
- 2.設定とプライバシーをタップ
- 3.アカウントをタップ
- 4.X(旧Twitter)データをタップ
- 5.アカウント履歴を確認
身に覚えのないツイート
身に覚えのないポスト(ツイート)をされていないか、よく確認してみましょう。
自身のプロフィールから、ポスト(ツイート)した投稿内容を調査していきます。
自分の送信したポスト(ツイート)を辿っていくと、投稿した記憶のない話題が、X(旧Twitter)上に載せられているかもしれません。
投稿した記憶のない話題があれば、不正ログインされたとみてよいでしょう。
身に覚えのないDM
あなたが身に覚えのないメッセージを送っていないか、よく確認してみましょう。
ダイレクトメールを送った場合は、送り先の一覧が掲載されます。送り先へのメッセージを念入りに調べる必要があります。
ダイレクトメールを送った覚えのないユーザーが一覧に掲載されていたら、不正ログインを疑った方がよいでしょう。
アカウント情報の変更
あなたがアカウント情報を何も変更していないのに、メールで「X(旧Twitter)のアカウント情報が変更されました。」という通知が届いていた場合は要注意です。
身に覚えのない変更完了通知が届いているならば、第三者から不正にログインされ、登録している個人情報が変更された疑いもあります。
すでにパスワードを変更されてしまった場合、あなたは自身のアカウントに再度ログインができない可能性もあるでしょう。ログインできない場合は、迅速に何らかの対応をしなければいけません。
発信者情報開示請求
X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取った犯人を特定するならば、「発信者情報開示請求」「発信者情報開示命令」の2種類の手続きを利用しましょう。
発信者情報開示請求とは、Xを運営しているTwitter Japan株式会社や犯人が利用したプロバイダに対し、投稿者に関する情報開示を求める手続きです(プロバイダ責任制限法第5条)。
情報開示の手順は次の通りです。
- 1.Twitter Japan株式会社に任意開示請求:犯人特定は不可能だが、IPアドレスの開示で利用したプロバイダがわかる
- 2.Twitter Japan株式会社が開示に応じないならば、裁判所に仮処分手続きを申し立て、IPアドレスを開示させる
- 3.プロバイダが判明したら、あなたがプロバイダに発信者情報開示請求訴訟を提起する
- 4.プロバイダの発信者情報開示で、犯人の氏名、住所、メールアドレス等がわかる
発信者情報開示命令は、裁判所に申し立てTwitter Japan株式会社とプロバイダへの開示請求を、まとめて行う方法です(プロバイダ責任制限法第8条)。
- 1.あなたが裁判所に発信者情報開示命令を申し立てる
- 2.申立てを認めたら、裁判所はTwitter Japan株式会社に「IPアドレス提供命令」を、Twitter Japan株式会社およびプロバイダに発信者情報の消去を禁じる「消去禁止命令」も下す
- 3.裁判所がプロバイダに発信者情報開示を命じる
- 4.プロバイダの発信者情報開示で、犯人の氏名、住所、メールアドレス等がわかる
情報開示・命令のうち、どちらの方法を選ぶかはあなたの自由です。ただし、迅速な犯人の特定を目指すなら、1回のみの裁判手続きで情報開示を求められる、開示命令を選びましょう。
X(旧Twitter)の乗っ取り犯人を特定したらすべきこと
発信者情報開示請求・命令を行い、犯人を特定できたならば、迅速に対応措置をとりましょう。
被害者であるあなたは、捜査機関への刑事告訴や、犯人に損害賠償の請求も可能です。
被害申告
X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取られたあなたは、警察署に告訴状(被害届)を提出しましょう。
アカウントの乗っ取りは、不正アクセス禁止法に違反する犯罪行為です。そのため、あなたからの申告により捜査が開始され、事件として立件される可能性があります。
なお、不正アクセス罪等は「非親告罪」です。被害者が申告をしなくとも、捜査機関が不正アクセス行為を確認すれば、捜査を開始する場合もあります。
X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取った犯人に、証拠隠滅や逃走のおそれがあれば、捜査機関の判断で逮捕に踏み切るでしょう。
損害賠償請求
あなたが不正アクセスにより精神的苦痛を受けた、何らかの損害が発生したという場合、犯人に不法行為を理由とした損害賠償請求が可能です。
損害賠償請求は犯人に通知(内容証明郵便が好ましい)しても、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しても構いません。
訴訟時は、裁判所へX(旧Twitter)のアカウントを乗っ取られた証拠の提出が必要です。
なお、犯人側が慰謝料の支払いを条件に、示談交渉を申し出てくる可能性もあります。示談交渉に応じるかどうかはあなた次第です。
弁護士への相談
X(旧Twitter)のアカウントを乗っ取られたとき、どのような対応をしてよいかわからなければ、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
弁護士は乗っ取りを受けた状況について確認し、次のアドバイスを行います。
- 証拠保全の方法
- 犯人がどのような罪に問われるのか
- 発信者情報開示請求・命令の方法
- 被害申告の方法
- 損害賠償請求の手順
- 犯人が示談を申し込んできた場合の対応
弁護士をあなたの代理人にすれば、発信者情報開示請求・命令の手続き、犯人との交渉、法的措置等の全てを委任できます。
X(旧Twitter)乗っ取りで犯人特定できなかったらどうなる?
アカウントの乗っ取りを確認したら、迅速に対応方法を決めなければなりません。
あなたが犯人を特定するのに手間どっている場合や、乗っ取られた後に何も対策を講じていない場合は、深刻な事態が発生するケースもあるでしょう。
ログインできない状態が続く
X(旧Twitter)アカウントが乗っ取られると、自分のアカウントなのにログインできなくなる事態が発生します。
これは犯人が、あなたがログインできないように設定変更し、アカウント情報を変えたからです。
ログインできない状態が発生したら、システムエラーと決めつけず、乗っ取りの可能性も検討しましょう。
勝手にフォロー&解除される
犯人が勝手に他のアカウントをフォローしたり、逆にブロックしたりするおそれがあります。
嫌がらせ目的で、あなたがフォローしているアカウントをどんどんブロックしていく事態も想定されます。
また、犯人があなたを装い、フォローしている方々を犯罪・詐欺に巻き込むような利用の仕方もあるでしょう。
勝手にツイートされる
犯人から勝手な内容でポスト(ツイート)する可能性もあります。
他のユーザーから見ると、あなたがポスト(ツイート)しているように見えるので、発信・投稿の誤解をまねく事態となるでしょう。
犯人が攻撃的・差別的な発言を投稿すれば、あなたのアカウント名で不適切な情報が流布されたり、他のユーザーとのトラブルに発展したりする可能性があります。
勝手にDMを送る
犯人から、他のユーザーに対してダイレクトメッセージが送られてしまうおそれもあります。
メッセージ機能を利用すれば、ユーザー同士1対1でやり取りが可能です。この機能を使い、他のユーザーを犯罪・詐欺に巻き込むような利用も想定されます。
他のユーザーとトラブルになれば、乗っ取られたあなたも責任を追及されるおそれがあるので注意しましょう。
アカウントが転売される
犯人が乗っ取ったX(旧Twitter)アカウントを、第三者に転売する可能性があります。
特にフォロワーの多いアカウントならば、その分影響力が大きくなるでしょう。そのため、高額で取り引きされる場合があるのです。
アカウントの売買はX(旧Twitter)の利用規約で禁止されているものの、犯罪目的等で利用したいユーザーの間で、アカウントが取り引きされているケースも存在します。
誤情報が拡散される
乗っ取られたアカウントから、フォロワーや閲覧者に間違った情報が拡散される事態も想定されます。
乗っ取られたアカウントに、多くのフォロワーがいたならば、虚偽や詐欺関連のリポスト(リツイート)が拡散されるかもしれません。
犯人は、多くのフォロワーからお金をだまし取ろうと企てている場合もあるでしょう。あなたばかりではなく、大切なフォロワーも何らかの被害に遭う可能性があります。
X(旧Twitter)乗っ取りで犯人特定された場合の対処法
あなたがX(旧Twitter)アカウントを乗っ取った犯人の場合、被害者からいずれ特定されてしまうことでしょう。
深刻なペナルティを受ける前に、何らかの対応をとる必要があります。
示談交渉
あなたが被害者に示談交渉を申し出て、和解するように働きかけましょう。
示談交渉を成立させるには、被害者への謝罪やアカウントの返還、拡散防止措置はもちろん、示談金額の支払いが必要です。
示談金額の調整には難航が予想されるものの、冷静に低姿勢で被害者側の同意が得られるよう、交渉していきましょう。
なお、不正アクセス罪は非親告罪なので、たとえ示談が成立しても、捜査機関から逮捕・起訴される可能性はあります。
しかし、被害者との示談がすでに成立している、乗っ取ったアカウントで詐欺等の重大な犯罪を行っていない、金銭的な損害がない等、諸般の事情を総合的に考慮し、検察官が不起訴処分を行う場合もあります。
弁護士への相談
あなたが被害者から特定されてしまい、捜査機関からの逮捕を恐れている場合は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
弁護士は事情を聴き、次のようなアドバイスを行います。
- どのような罪に問われるのか
- 捜査機関に逮捕された場合の対応
- 被害者との示談交渉の必要性
- 示談交渉が不成立の場合の対応
- 弁護士を私選弁護人とするメリット
弁護士を私選弁護人としたならば、あなたが逮捕されても速やかに面会ができ、捜査機関に対して早期に釈放するよう説得を試みます。
また、被害者との示談成立を目指し、交渉に全力を尽くします。
X(旧Twitter)乗っ取りで犯人特定された・したいなら弁護士にご相談を
今回はSNSトラブルの解決に尽力してきた専門弁護士が、X(旧Twitter)アカウントの乗っ取りに関する対応方法等を詳しく解説しました。
乗っ取った犯人も被害者も、問題を解決したいならば、弁護士と相談し冷静に今後の対応を協議してみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。