【慰謝料請求された方へ】ダブル不倫でも支払う必要はある?相場・減額交渉・今すぐ取るべき対応を解説

最終更新日: 2025年05月26日

【慰謝料請求された方へ】ダブル不倫でも支払う必要はある?相場・減額交渉・今すぐ取るべき対応を解説

ダブル不倫でも慰謝料を請求される可能性は、法的に十分あります。ただし、どんなケースでも全額を支払わなければならないわけではありません

事案内容や交渉内容によっては、支払い義務がないこととできたり、もしくは大幅に減額できる可能性もあります。

この記事では、すでに慰謝料を請求された方が、
・まず何を確認すべきか
・金額や内容が妥当かどうかの見極め方
・交渉で有利に進めるためのポイント
などを、弁護士の視点から丁寧に解説します。

今この状況で悩まれている方が、冷静に正しい判断ができるよう、対処法をわかりやすくお伝えします。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

なぜダブル不倫でも慰謝料請求されるのか?

法律上、不貞行為とは「配偶者がいるにもかかわらず、自由な意思で配偶者以外の異性と性的関係を持つこと」を意味します。
この不貞行為により、配偶者が精神的苦痛を受けた場合、その損害を補うために慰謝料請求が認められているのです。

ダブル不倫であっても、不貞行為により精神的苦痛を被った配偶者ら同士で権利義務が発生するわけではありません。

そのため、ダブル不倫だから「お互い様」となるわけではなく、

  • 不倫相手が既婚者であることを知っていた、または知ることができた
  • 婚姻関係の平穏を害したと判断される

このような事情があれば、一方の配偶者が不倫をした当事者らに対して慰謝料を請求する権利は法的に認められています。

よくある請求のケースと金額

実際のご相談では、次のような状況で慰謝料を請求される方が多くいらっしゃいます:

  • 内容証明郵便で突然慰謝料を請求する書面が届いた
  • 不倫相手の配偶者からLINEや電話で直接連絡がきた
  • 弁護士から通知が届き「裁判にする」と伝えられた

このとき請求される金額は、おおよそ300万円〜400万円台が多く見受けられます。
なかには500万円以上を請求される方もいますが、それが法的に妥当かどうかは別問題です。

裁判で判決となる場合の相場は100万円~200万円程度であることが多く、請求内容が過剰である場合、交渉によって大きく減額される可能性もあるため、金額だけを見て即断するのは避けた方がよいでしょう。

支払い義務が認められやすいパターンとは?

慰謝料の支払いが認められるのは、主に次の3つの条件が揃っているときです。

すべてに該当している場合は、裁判などでも支払い義務が認められやすくなります。

不貞行為(肉体関係)の存在

ホテルの出入り写真、LINEでの肉体関係を持ったことが分かるやりとりなどの証拠がある

相手が既婚者であることを知っていた(または知ることができた)

  • 会話の中で既婚であることが明かされていた
  • SNSや勤務先のプロフィールから明らかだった
  • 配偶者と不貞相手の職場が同じである など

不倫によって夫婦関係が悪化した・離婚に至った

  • 不貞行為発覚前は夫婦円満だった
  • 不倫が原因で家庭崩壊や別居に至った など

減額・免除が可能な場合もある

一方で、次のような事情がある場合は、慰謝料の減額や支払い義務が否定される可能性もあります。

  • 不倫相手の配偶者との関係がすでに破綻していた(別居・離婚協議中など)
  • 相手から独身と告げられていた/既婚者と気づけなかった
  • 一度きりの関係で、継続性や深い関係がなかった
  • 証拠が曖昧で、肉体関係が立証できない
  • 同意なく性的行為をされた

こうした事情がある場合は、弁護士を通じて主張・立証することで、請求金額の大幅な減額や支払義務そのものを否定できるケースもあります。

合意書等を提示されたときの注意点

内容証明と一緒に「合意書」、「誓約書」、「念書」などが同封されているケースも多くあります。
しかし、内容をよく確認せずにサインしてしまうと、不利な条件をそのまま受け入れることになってしまいます。

よくある不利な条件の例

  • 裁判での相場より大幅に高い慰謝料額(300万円以上など)
  • 既に一方の不貞行為当事者が慰謝料を支払済みであるのに他方の不貞行為当事者がそれとは別に慰謝料支払を約束すること
  • 一括払い(=分割払い不可)
  • 今後一切の異議申し立てをしないこと
  • 接触禁止、SNSでの言及禁止などの義務条項
  • 違反時の違約金が高額に設定されている

こうした内容がある場合、署名・押印する前に、必ず法律の専門家にチェックしてもらうことが重要です。

弁護士に相談するメリット

弁護士に相談することで、次のようなメリットが得られます:

  • 慰謝料を払う必要があるかどうかを法的に判断してくれる
  • 請求金額が相場と比べて適正かどうかを確認できる
  • 相手との直接のやりとりを避けられる(代理交渉)
  • 合意書の不利な条項を見直してくれる
  • 裁判に発展した際のリスクを最小限に抑えられる

「できる限り穏便に解決したい」「配偶者に知られずに終わらせたい」とお考えの方にとって、弁護士による対応は非常に心強い味方になります。

実際の相談事例

ダブル不倫発覚後、双方の配偶者から慰謝料請求(男性)

相手配偶者から100万円を請求され、自身の配偶者も不貞相手に慰謝料請求をしたケース。

弁護士が四者間で交渉し、最終的に双方支払なしで和解成立

四者間和解で請求ゼロに(女性)

相手配偶者から慰謝料200万円の請求を受けたケース。

双方の配偶者も交えて四者間で教示をした結果、最終的に双方支払なしで和解成立。

まとめ:ダブル不倫の慰謝料請求には専門的な対応が必要です

ダブル不倫の慰謝料請求は、突然やってくるものです。
しかし、「請求された=必ず全額払わなければいけない」というわけではありません。

  • 本当に法的責任があるのか?
  • 請求金額は妥当か?
  • 合意書の内容は適正か?

こうした点をしっかり確認することで、支払い義務を軽減・解消できる可能性があります。
まずは一人で抱え込まず、早めの相談をおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q:お互い既婚者だった場合でも、慰謝料を払わなければならない?

はい。不倫された側の配偶者から請求された場合、法的に支払いは認められます

ただし、双方の夫婦が離婚せず同一家計での生活を続ける場合などは双方支払なしとして和解を成立させることができる場合もあります。

Q: 高額な請求をされたが、払わなければ裁判になる?

裁判に発展する可能性もありますが、まずは交渉の余地があります。弁護士が入ることで円満に解決するケースも多いです。

Q:合意書にサインしてしまったが、不利な条件に気づいた。取り消せる?

原則として難しいですが、強迫・錯誤などの事情がある場合は無効主張が可能なこともあります。

Q:相手が既婚者だと知らなかった場合でも責任を問われる?

既婚者だと知らなかったことについて過失があったといえなければ支払い義務を否定できる可能性があります。

Q: 内容証明を放置しているとどうなる?

訴訟提起や支払督促といった裁判所を通じた手続を申し立てられる可能性があります。

訴訟等に進んだ場合、裁判所からの呼び出しや強制執行のリスクがあります。放置は避けるべきです。

Q:既に関係を終わらせたあとでも請求されるの?

はい。過去の不貞行為に対しては、被害者が知ったときから3年間の時効期間内であるか、時効期間経過後であっても債務を認めてしまった場合には請求される可能性があります。

Q:既に離婚したあとでも請求されることはありますか?

3年間の時効期間内であるか、時効期間経過後であっても債務を認めてしまった場合には不貞の慰謝料請求をされる可能性があります。

Q:協議で済ませたい場合も弁護士は必要ですか?

はい、合意書の内容次第で後からトラブルになる可能性があるため、弁護士の関与を強くおすすめします

特に秘密保持条項や再請求を防止するための条項などの文言には注意が必要です。

Q: 慰謝料を払ったら夫(妻)にバレますか?

相手が連絡を控えるとは限りません。ただ、可能な限り弁護士を通して対応し、配偶者に知られにくい解決方法を模索しましょう。

 

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