離婚の弁護士費用は誰が払う?相手に請求できる?

最終更新日: 2026年02月05日

離婚で弁護士費用は誰が払う?例外パターンとすべき対策を徹底解説

離婚を考える際、手続きや新しい生活への不安に加えて、大きな懸念となるのが弁護士費用ではないでしょうか。

特に「費用は一体誰が支払うのか」「相手に請求することは可能なのか」といった金銭的な疑問は、多くの方が抱える切実な問題です。この疑問を解消しないままでは、弁護士への相談や離婚の準備になかなか踏み出せないかもしれません。

結論、弁護士費用は依頼した本人が支払うのが原則です。しかし、例外的に相手に請求できるケースもあります。

以下、詳しく解説していきます。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
宅地建物取引士
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離婚の弁護士費用は「依頼した本人」が支払うのが原則

離婚問題において弁護士に依頼する場合、最も基本的なルールとして、弁護士費用は「依頼したご本人」が支払うのが原則となります。これは、弁護士との契約はあくまで依頼者個人と法律事務所との間で交わされるものであり、その契約に基づいて発生する費用はご自身の責任で負担するという考え方に基づいています。

たとえ離婚の原因が相手方の不貞行為やDV(ドメスティック・バイオレンス)といった明確な有責行為にあったとしても、この自己負担の原則は変わりません。残念ながら、日本の民事裁判では、敗訴した側が相手の弁護士費用まで負担する、という制度は基本的にありません。裁判でたとえ全面的に勝訴したとしても、判決の中で「相手は依頼者の弁護士費用を支払いなさい」と命じられることは、ごく一部の例外を除いてないのです。

そのため、弁護士に依頼する際には、まずご自身で費用を支払う準備が必要だということを理解しておくことが、スムーズな手続きを進める上での出発点となります。この原則を踏まえた上で、次に解説するような例外的なケースや費用を抑える方法を検討していくことになります。

例外!弁護士費用を相手に請求できる2つのケース

離婚の弁護士費用は基本的にご自身で負担していただくものですが、特定の状況下では相手にその一部または全額を請求できる例外的なケースも存在します。経済的な不安から弁護士への依頼を躊躇されている方もいらっしゃるかもしれませんが、これからご紹介する2つのケースに該当しないか、ぜひご確認ください。

ケース1:不法行為(不貞行為など)の慰謝料請求に上乗せする

一つ目の例外は、相手の不法行為が原因で離婚に至った場合です。具体的には、不貞行為(不倫)やDV(ドメスティック・バイオレンス)、悪意の遺棄などがこれに該当します。これらの行為は精神的な苦痛を与える不法行為とみなされ、その損害賠償として慰謝料を請求することができます。この慰謝料の請求に際し、弁護士に依頼した費用の一部を「不法行為によって生じた損害」として、上乗せして請求することが可能です。

ただし、請求した弁護士費用全額が認められるわけではありません。裁判所が認めるのは、一般的に「不法行為に対する慰謝料として認められた金額の1割程度」が目安とされています。例えば、相手の不貞行為が原因で慰謝料として200万円が認められた場合、その1割にあたる20万円程度を弁護士費用相当額として上乗せ請求できる可能性がある、ということです。この金額は、弁護士費用の一部を補填する形で認められるものであり、ご自身の弁護士費用が全額相手に請求できるわけではない点にご留意ください。

ケース2:相手との交渉で合意を得る

二つ目の例外は、裁判所の判断を待たずに、当事者間の話し合いによって相手が弁護士費用を負担することに合意するケースです。これは、協議離婚や調停離婚の場で起こり得ます。

例えば、相手方が自身の有責性を強く認識しており、早期解決を望んでいる場合や、ご自身の経済状況が非常に厳しいことを考慮してくれる場合などに、相手が弁護士費用の一部または全額を負担することに同意してくれることがあります。

このような合意に至った場合、必ずその内容を離婚協議書や調停調書などの書面に明記しておくことが極めて重要です。口約束だけでは後々のトラブルにつながりかねません。

書面として残すことで、法的な効力を持たせ、万が一の際に相手に請求する根拠となります。弁護士が介入することで、冷静かつ具体的な交渉が進み、このような合意が形成されやすくなることもあります。

離婚協議書の作成費用については、以下の記事で解説しています。

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弁護士費用が払えない…そんな時の対処法

離婚を進めるにあたり、弁護士費用は大きな不安要素の一つとなるでしょう。しかし、費用の問題があるからといって、弁護士への依頼を諦める必要はありません。

費用を一括で支払うことが難しい場合でも、利用できるさまざまな制度や支払い方法があります。このセクションでは、弁護士費用でお悩みの方が利用できる具体的な対処法について詳しく解説しますので、費用面での不安を解消し、安心して次の一歩を踏み出すための参考にしてください。

法テラスの民事法律扶助(立替制度)を利用する

弁護士費用を支払うことが経済的に困難な場合、「法テラス(日本司法支援センター)」が提供する民事法律扶助制度の利用を検討しましょう。この制度は、法テラスが弁護士費用(着手金や実費など)を一時的に立て替えてくれるもので、利用者は後から法テラスに対し、月々5,000円から10,000円程度の無理のない範囲で分割返済していく仕組みです。これにより、まとまった費用が手元になくても弁護士に依頼することが可能になります。

民事法律扶助制度を利用するには、収入や資産が一定の基準以下である必要があります。具体的には、月収が手取りで単身者の場合約18.2万円以下(家賃・住宅ローン負担がある場合は約20万円以下)、資産が単身者の場合約180万円以下など、いくつかの資力基準が設けられています。これらの基準は家族構成によって変動するため、ご自身の状況が該当するかどうかは法テラスの窓口やウェブサイトで確認することをおすすめします。

ただし、法テラスの制度を利用する場合、依頼できる弁護士は法テラスと契約している弁護士に限られる場合があります。また、事件の内容によっては利用できないケースや、審査に時間がかかる可能性もあるため、早めに相談し、詳細を確認することが重要です。

分割払いや後払いに対応している弁護士を探す

法テラスの利用条件に該当しない場合や、より自由に弁護士を選びたい場合は、法律事務所が独自に提供している支払い方法を検討してみましょう。一部の法律事務所では、着手金を「分割払い」にしたり、慰謝料や財産分与など、離婚手続きによって最終的に得られる金銭から弁護士費用を支払う「後払い」に対応しているところもあります。

これらの支払い方法は、依頼者の経済的負担を軽減するための有効な手段です。ただし、すべての法律事務所が分割払いや後払いに対応しているわけではありません。そのため、弁護士に初めて相談する際には、必ず支払い方法についても確認し、ご自身の状況に合った選択肢があるかどうかを事前に問い合わせることが重要です。

親族に一時的に借りる

弁護士費用を捻出するための、より現実的な選択肢として、親や兄弟姉妹などの親族に一時的に費用を借りることも考えられます。これは専門的な制度ではありませんが、緊急で費用が必要な場合に、比較的迅速に資金を確保できる可能性があります。

親族から援助を受ける際は、後のトラブルを避けるためにも、借りる金額や返済の目処、返済計画などを正直に伝え、誠実な対応を心がけましょう。必要であれば、借用書を作成しておくなど、お互いが安心して手続きを進められるように配慮することが大切です。

離婚の弁護士費用に関するよくある質問

ここでは、離婚の弁護士費用に関して、皆さんが特に疑問に感じやすい点についてQ&A形式でお答えしていきます。費用に関する不安を解消するため、ぜひ参考にしてください。

Q. 裁判に負けたら相手の弁護士費用も払わないといけない?

いいえ、日本の民事裁判では、原則として「弁護士費用は各自が負担する」とされています。そのため、裁判で負けたとしても、相手の弁護士費用を支払う義務は基本的にありません。

ただし、裁判手続きにかかった収入印紙代や郵便切手代などの「訴訟費用」は、敗訴した側が負担を命じられることがあります。しかし、この訴訟費用には弁護士費用は含まれませんのでご安心ください。例外として、不貞行為などの不法行為による損害賠償請求の場合に限り、弁護士費用の一部が損害として認められ、相手に請求できることがあります。

Q. 弁護士費用を夫婦の共有財産から支払ってもいい?

原則として、弁護士費用を夫婦の共有財産から支払うことは認められません。弁護士費用は、あくまで弁護士に依頼した個人の「個人的な債務」とみなされるため、夫婦が協力して築き上げた「共有財産」から支出すべきではないと考えられています。

もし、共有財産から弁護士費用を支払ってしまった場合、財産分与の計算をする際に、その支払額が共有財産に「持ち戻し」されるのが一般的です。これは、弁護士費用を支払った側が、その分だけ受け取る財産が減ることを意味します。財産分与の公平性を保つためにも、個人的な弁護士費用は個人の財産から支払うのが望ましいでしょう。

Q. 弁護士費用特約は使えますか?

ほとんどの場合、自動車保険などに付帯している弁護士費用特約は、離婚問題では使うことができません。弁護士費用特約は、交通事故などの「偶然の事故」によって発生した損害に関するトラブルを補償の対象としているのが一般的です。

離婚は個人の身分に関する問題であり、一般的に「偶然の事故」には該当しないため、特約の適用外となるケースがほとんどです。念のため、ご自身の加入している保険契約の内容を確認することをおすすめしますが、離婚での利用は期待できないと考えておいた方が良いでしょう。

まとめ:離婚の弁護士費用が不安なら、まずは無料相談から始めよう

ここまで、離婚の弁護士費用について、誰が支払うのかという原則から、相手に請求できる例外的なケース、支払いが難しい場合の対処法までを詳しく解説してきました。弁護士費用は決して安価なものではありませんが、その原則は自己負担です。しかし、不法行為による慰謝料請求に上乗せしたり、相手との合意によって費用負担を求めたりできるケースがあることもご理解いただけたかと思います。

離婚の弁護士費用に関して不安を感じている方は、費用というハードルを前に諦めてしまうのではなく、まずは金銭的な負担のない初回無料相談を積極的に活用してみてください。専門家から具体的な見通しやアドバイスを得ることが、あなたの抱える問題を解決し、前に進むための第一歩となるはずです。

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