YouTubeの誹謗中傷を徹底解説!刑罰・すべきこと・解決方法も紹介
最終更新日: 2023年12月29日
- YouTubeで誹謗中傷を受けたが、どう対応をとればよいか教えて欲しい。
- YouTubeに誹謗中傷が含まれる投稿をし、相手が法的措置を取ってきた。
- YouTubeでのトラブル解決のため、弁護士はどのような対応をするのだろう?
「YouTube」とは、オンライン動画共有プラットフォームとして、アクティブユーザー数25億6,200万人(2022年1月時点)を誇るウェブサイトです。
YouTubeでは世界中の人達が投稿した動画を楽しめる反面、他人の誹謗中傷を行う投稿の被害が後を絶ちません。
投稿の被害を受けた人は、何とか悪質な投稿を削除してもらいたいものです。
そこで今回は、YouTubeの動画投稿トラブルに対応してきた専門弁護士が、動画投稿を削除するための方法、投稿者が受けるペナルティ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- YouTubeで個人や法人の誹謗中傷をした投稿者は、重い法的責任を負う
- 個人や法人の誹謗中傷をした投稿者は、被害者から身元を特定される可能性がある
- 誹謗中傷された被害者も、誹謗中傷した加害者も、なるべく早く弁護士に相談した方がよい
YouTubeにおける誹謗中傷の問題とは
YouTubeでの誹謗中傷は、動画はもちろんコメント欄の投稿も想定されます。どのような投稿が誹謗中傷に該当するのかを説明します。
悪口等
YouTubeの投稿者が特定の個人の顔や容姿等を無断で撮影する行為はもちろん、動画で相手の容姿や行動に関して暴言を吐くような投稿が誹謗中傷となります。
また、YouTubeの動画が悪質な投稿でなくても、それを視聴した人がコメント欄に正当な批判ではなく悪口を記載するなら、こちらも誹謗中傷にあたります。
根拠のない嘘等
YouTubeで根拠ない嘘を流布する行為も誹謗中傷に該当します。
たとえば、YouTube上で卑猥な動画・文書とともに、個人・法人の名称や電話番号、メールアドレスを掲載し、あたかも売春行為に手を染めているかのような虚偽の投稿は誹謗中傷です。
たとえ事実であったとしても、他人を貶め嘲笑する目的で醜聞を投稿する行為は、誹謗中傷にあたるので注意しましょう。
特定の個人や法人のした行為が事実だからという理由で投稿しても、ケースによっては投稿者が法的責任を問われる事態も想定されます。
YouTubeの誹謗中傷で問われる罪
YouTubeで誹謗中傷を受けた被害者が、YouTube投稿者の氏名・住所等を突き止めたならば、法的措置をとる可能性があります。
YouTube投稿者は刑事告訴(名誉毀損罪、侮辱罪)されたり、不法行為を理由とした損害賠償請求が行われたりするリスクに要注意です。
名誉毀損罪
投稿者がYouTubeで公然と個人や団体の事実を摘示し、社会的評価を低下させたら名誉毀損罪に問われるおそれがあります。
たとえば、「大学教授〇〇〇〇は学生〇〇〇〇を愛人にしている」等の投稿は名誉毀損罪です。それが事実であっても嘘であっても本罪に該当します。
名誉毀損罪で起訴され、刑事裁判で有罪になれば「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
侮辱罪
投稿者がYouTubeで事実を摘示せずに公然と個人や団体を侮辱したら、侮辱罪に問われるおそれがあります。
たとえば、個人や団体に対し「害虫」「クズ」等と投稿した場合は侮辱罪です。
侮辱罪で起訴され、刑事裁判で有罪になると「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
不法行為による損害賠償
投稿者がYouTubeで誹謗中傷を行い、個人や団体に損害が生じた場合、不法行為責任を問われる可能性もあるので注意しましょう。(民法第709条)。
不法行為責任では被害者から金銭賠償を求められます。この場合はまず示談で解決するのが一般的です。
ただし、交渉が決裂したならば、被害者は損害賠償請求訴訟を提起し、裁判による解決を図ります。
誹謗中傷の場合の賠償金額(慰謝料額)は名誉毀損が10〜50万円程度(団体50〜100万円程度)、侮辱の場合は1〜10万円程度です。
ただし、YouTubeで誹謗中傷で被害者が深刻な損害を受けているなら、賠償金額は数百万円に達するケースもあります。
財産以外の損害の賠償
YouTubeで誹謗中傷により名誉感情が侵害された被害者は、次の侵害を主張し投稿者の不法行為責任(民法第710条)を追及する可能性があります。
- 肖像権侵害:被害者に無許可で顔や容姿等を撮影しYouTubeへ使用・公表する行為
- プライバシー権侵害:他人の私生活の情報をYouTubeに無断で投稿する行為
肖像権侵害やプライバシー権侵害による賠償金額(慰謝料額)は、概ね10〜50万円程度が想定されます。
YouTubeで誹謗中傷をしたら起こり得ること
YouTubeで誹謗中傷をしても投稿者が、自らの顔や実名、住所を公表していなければ、すぐに自分の身元は特定されません。
しかし、被害者が「プロバイダ責任制限法」に則り開示請求をすれば、投稿者の個人情報が開示されてしまう可能性が高いです。
本人特定
プロバイダ責任制限法では、誹謗中傷を行った投稿者の特定のため「発信者情報開示請求」が法定され、更に同法改正(2022年10月施行)で「発信者情報開示命令」が新設されました。
誹謗中傷を受けた被害者が、いずれかの方法で情報開示を求めれば、投稿者の身元が特定されてしまいます。
請求の手順はそれぞれ異なります。
(1)発信者情報開示請求
- YouTube側に、まず発信者情報開示請求(任意開示)を行い、悪質な投稿者のIPアドレスの開示を求める
- IPアドレスの開示で投稿者の利用している経由プロバイダ(例:NTT、ソフトバンク等)が判明する
- 経由プロバイダに発信者情報開示請求訴訟を提起
- 被害者は開示請求が認められれば、裁判所は経由プロバイダに情報開示命令
- 誹謗中傷した投稿者の氏名、住所等が判明する
(2)発信者情報開示命令
- 被害者が裁判所に発信者情報開示命令を申立て
- 裁判所はYouTube側にIPアドレス提供命令、経由プロバイダに発信者情報消去禁止命令を下す
- 被害者は開示請求が認められれば、裁判所は経由プロバイダに情報開示命令
- 誹謗中傷した投稿者の氏名、住所等が判明する
開示命令は裁判所への申立てで、YouTubeと経由プロバイダの双方に一括請求できるので、投稿者の身元が早く特定される可能性もあります。
損害賠償請求等
不法行為責任を理由に被害者から損害賠償請求され訴訟となったり、刑事告訴を受け捜査機関(警察)から逮捕されたりする可能性があります。
損害賠償請求訴訟も刑事告訴も、投稿者本人だけで対処するのは難しいものです。
被害者が開示請求した後、経由プロバイダから投稿者に意見照会書が通知され、被害者に投稿者の氏名・住所等を開示して良いかと質問されます。
この通知が届いたら速やかに弁護士と相談し、どのように対応していくのか協議しましょう。
YouTubeでの誹謗中傷トラブルをスムーズに解決するための方法
YouTubeで誹謗中傷を受けた被害者も、誹謗中傷をした投稿者(加害者)も、迅速な問題の解決を図りたいなら、まずは弁護士へ相談しましょう。
こちらでは、誹謗中傷トラブルの穏便な解決方法について説明します。
冷静な対応
YouTubeで誹謗中傷を受けた被害者は、速やかに悪質な投稿を削除し、再投稿や拡散を防ぐ必要があります。
一方、誹謗中傷をした投稿者(加害者)は、穏便な解決を図り、警察からの逮捕や検察官から起訴される事態を回避したいものです。
そのため、互いに対立を深め問題解決が遅れる事態は避けなければいけません。
被害者と投稿者(加害者)とがそれぞれ弁護士を立て、交渉による解決を目指すのが最良の方法と言えます。
交渉
被害者と加害者が示談交渉をすれば、迅速に問題解決が図れる可能性は高いです。しかし、当事者間での直接交渉は更なるトラブルを生んでしまうこともあります。
そのため、交渉においては直接当事者が話し合うのではなく、弁護士を代理人に立てたほうがよいでしょう。
弁護士は豊富な法律の知識を有していると共に、示談の仕方も熟知しているので、安心して交渉を任せられます。
交渉で取りまとめる示談の条件は主に以下の通りです。
- 加害者がYouTubeでの誹謗中傷を被害者に謝罪、悪質な投稿を削除し、拡散防止に努める
- 加害者が再び誹謗中傷を行ったならば刑事告訴する
- 被害者に支払う慰謝料(示談金)の金額、支払方法、支払期限の提示
- 被害者は加害者を告訴しない、すでに告訴したているなら取り消す
示談交渉が成立したら、弁護士は和解の証拠として「示談書(合意書)」を2通作成します。示談書(合意書)は被害者と加害者がそれぞれ1通ずつ大切に保管します。
弁護士への依頼
YouTubeの誹謗中傷を相談する場合は、ウェブサイトでのトラブルに詳しい弁護士へ相談する必要があります。
ネットでの誹謗中傷に関する交渉や訴訟問題に対して実績豊かな弁護士かどうかは、法律事務所のホームページである程度判断できます。
- 「ネット上の権利侵害の相談実績は〇〇〇〇件以上」等と明記されている
- ネット上の権利侵害の相談事例やコラムが数多く掲載されている
- ネット上の権利侵害の解決方法や手順、報酬等が明示されている
上記のような内容が明記されていれば、その分野に精通した弁護士とみて間違いないでしょう。
法律事務所でじっくり相談したうえで、自分の代理人を任せたいのなら、委任契約を締結します。
YouTubeで誹謗中傷したらすぐに当事務所へ相談を
今回はYouTubeのトラブル解決に豊富な実績を有する専門弁護士が、誹謗中傷の投稿への対処法について詳しく解説しました。
迅速な解決には、弁護士を代理人とした示談(和解)が最も有効な方法です。示談成立のため弁護士は最大限の努力をします。
まずは弁護士のアドバイスを受けながら、冷静に対応策を検討してみてはいかがでしょうか。