暴言で離婚したい…まずやるべき3つの準備と証拠の集め方

最終更新日: 2026年04月16日

「お前は何をやらせてもダメだ」「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」――。

配偶者から日常的に浴びせられる鋭い言葉は、目に見えない刃物のように心を削り取ります。

身体的な暴力とは違い、周囲に気づかれにくい「暴言(モラハラ)」の被害者は、多くの場合「自分が悪いのではないか」「これくらいで離婚なんてできるのだろうか」と一人で苦しみを抱え込んでしまいがちです。

結論からお伝えすると、配偶者の暴言を理由に離婚することは十分に可能です

ただし、目に見える怪我がない分、法的に認めさせるためには「言葉の暴力がいかに婚姻関係を破綻させたか」を客観的に証明する戦略的な準備が欠かせません。

この記事では、暴言を理由に離婚を検討している方に向けて、「まず取り組むべき3つの準備」や、「裁判でも有利に働く証拠の集め方」を詳しく解説します。

自分自身を取り戻し、平穏な未来へ一歩踏み出すための具体的なガイドとしてお役立てください。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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目次

夫(妻)の暴言で離婚はできる?まずは現状を把握しよう

配偶者からの毎日のように浴びせられる暴言は、目に見えない暴力(モラハラ)であり、心に深い傷を残します。「こんな状態が続くなら離婚したい」と考えるのは当然のことです。

しかし、いざ離婚を切り出そうとしても、「暴言だけで離婚できるのだろうか」「相手が離婚に応じてくれないのではないか」と不安になる方も多いでしょう。

結論から言うと、配偶者の暴言を理由に離婚することは可能です。

ただし、身体的な暴力(DV)と違って怪我などの分かりやすい外傷がないため、客観的な証明が難しいという壁があります。

まずは焦らず、自分の現状を整理し、法的にどのような準備が必要なのかを把握することが、スムーズな離婚への第一歩となります。

暴言は離婚理由になる?法的な位置づけを解説

暴言は「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性

日本の法律(民法)では、夫婦の合意があればどのような理由でも離婚(協議離婚)が成立します。

しかし、相手が離婚を拒否し、最終的に裁判で争うことになった場合、法律で定められた離婚理由(法定離婚事由)が必要になります。

暴言そのものは法定離婚事由として明記されていませんが、暴言の程度がひどく、夫婦関係が修復不可能な状態にまで破壊されていると認められれば、民法第770条1項5号の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があります。

これにより、裁判でも離婚が認められるケースがあります。

離婚理由となりうる暴言の具体例

では、どのような発言が「離婚理由となる暴言(モラハラ)」とみなされるのでしょうか。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 人格を否定する言葉:「お前は本当に頭が悪い」「生きている価値がない」
  • 容姿をけなす言葉:「ブス」「デブ」「気持ち悪い」
  • 親族を侮辱する言葉:「お前の親の育て方が悪い」「あんな親だからこんな娘になるんだ」
  • 経済的な優位性を盾にした言葉:「誰の金で飯を食っていると思っているんだ」「稼いでいないくせに口出しするな」

これらの言葉が日常的かつ継続的に投げかけられ、精神的な苦痛を与えている場合、重大なモラハラとして離婚理由になり得ます。

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暴言で離婚するためにやるべき3つの準備

準備1:離婚を有利に進めるための証拠を集める

相手が暴言を否定した場合、または離婚や慰謝料の支払いを拒否した場合、第三者(裁判官や調停委員)に事実を認めてもらうための客観的な証拠が不可欠です。

暴言は密室で行われることが多いため、同居しているうちから計画的に証拠を集めておくことが非常に重要です。

後述する具体的な証拠の集め方を参考に、少しずつ準備を進めましょう。

準備2:離婚後の生活設計を立てる

慰謝料・財産分与・養育費の見通しを立てる

離婚後の生活に困窮しないよう、お金の見通しを立てておくことが大切です。

暴言に対する慰謝料はどのくらい請求できるのか、夫婦の共有財産(預貯金、家、車など)はどのように分けるのか、子どもがいる場合は養育費をいくらもらえるのかを計算しておきましょう。

住まいや仕事の確保を検討する

離婚後、または別居後の住まいをどうするか(実家に帰る、賃貸を借りるなど)を決めておく必要があります。

また、専業主婦(夫)やパート勤務の場合、自立した生活を送るための仕事探しも並行して進める、あるいは公的な支援制度(ひとり親家庭向けの補助金など)を調べておくと安心です。

準備3:信頼できる相談先を見つける

配偶者の暴言に長期間さらされていると、「自分が悪いのではないか」と正常な判断ができなくなっている(洗脳状態になっている)ことが少なくありません。

一人で抱え込まず、弁護士、公的な相談窓口(配偶者暴力相談支援センターや警察の生活安全課)、カウンセラーなど、客観的なアドバイスをくれる専門家や信頼できる相談先を確保しましょう。

【重要】暴言の証拠を集める具体的な方法

暴言を録音・録画する

最も強力な証拠となるのが、暴言を吐いている瞬間の音声データや動画です。

スマートフォンや小型のICレコーダーを使って、相手が激昂している様子やひどい言葉を録音しましょう。

相手に気付かれると逆上される危険があるため、録音機器は慎重に隠して使用してください。

メールやLINEのメッセージを保存する

テキストでの暴言も立派な証拠になります。

威圧的な言葉、人格否定、理不尽な命令などが書かれたLINEのトーク画面やメールは、絶対に削除せず保存しておきましょう。

スクリーンショットを撮って自分の別の端末やクラウドにバックアップしておくことをおすすめします。

日記やメモに詳細を記録する

いつ、どこで、どのような状況で、どんな言葉を言われたのかを日記や手帳に詳細に記録しておくことも有効です。

感情的にならず、事実を客観的に、できれば手書きで継続的に記帳することで、証拠としての信用性が高まります。

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※不倫に限らず、証拠収集の基本的な考え方が参考になります。

心療内科や精神科の診断書を取得する

暴言によってうつ病や適応障害、不眠症などを発症してしまった場合、心療内科や精神科を受診し、診断書をもらっておきましょう。

「配偶者の暴言によるストレスが原因」といった記載があると、暴言がもたらした被害の大きさを証明する強力な証拠になります。

第三者(友人・親族など)に相談し証人になってもらう

暴言の被害について親族や友人に相談していた履歴(メールやLINEでのやり取り)や、実際に暴言の現場を目撃した第三者の証言も証拠として扱われることがあります。

孤立を避けるためにも、信頼できる人に状況を伝えておくことは重要です。

暴言を理由に離婚する手続きの流れ

STEP1:まずは夫婦での話し合い(協議離婚)

まずは夫婦間で離婚に向けた話し合いを行います。

双方が離婚に合意し、親権や財産分与、慰謝料などの条件がまとまれば、離婚届を役所に提出するだけで離婚が成立します。

ただし、暴言を吐くような相手との直接の話し合いは恐怖を伴い、平行線になることも多いのが現実です。

STEP2:家庭裁判所での話し合い(調停離婚)

当事者同士での話し合いが難しい、または相手が離婚を拒否した場合、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚調停)」を申し立てます。

調停では、2名の調停委員が間に入って双方の意見を聞くため、直接顔を合わせずに話し合いを進めることができます。ここで集めた証拠が大きな意味を持ちます。

STEP3:最終的な判断を求める(裁判離婚)

調停でも合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に離婚訴訟(裁判)を起こすことになります。

裁判では、法律上の離婚理由(婚姻を継続しがたい重大な事由)があるかどうかが争点となり、裁判官が提出された証拠をもとに離婚を認めるかどうか、また慰謝料や財産分与の額を判決で言い渡します。

暴言による離婚は弁護士への相談がおすすめな理由

精神的な負担を軽減できる

暴言を吐く配偶者と自分で直接交渉するのは、想像を絶するストレスがかかります。

弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代理人として相手と交渉してくれます。

相手と一切連絡を取る必要がなくなり、精神的な負担が大幅に軽減されます。

法的に有利な条件で離婚できる可能性が高まる

弁護士は法律の専門家として、あなたが集めた証拠を法的にどのように活用すべきかを的確に判断します。

相手が強気な態度に出てきても、法律のプロが理論的に反論するため、不利な条件で無理やり離婚させられる事態を防ぐことができます。

慰謝料や財産分与の適正額を請求できる

暴言(モラハラ)による慰謝料や、夫婦の財産分与について、素人では相場や計算方法が分からず損をしてしまうことがあります。

弁護士が介入することで、過去の判例に基づいた適正な金額を算出し、漏れなく請求することが可能です。

今後の見通しや具体的な手続きを明確にしてくれる

初めての離婚手続きは分からないことだらけです。

「今後どうなるのか」「どのくらい期間がかかるのか」という不安に対し、弁護士は明確な見通しを提示してくれます。調停や裁判に発展した際も、書類作成から期日の出廷まで徹底的にサポートしてくれます。

暴言による離婚に関するよくある質問

暴言を理由に慰謝料は請求できる?相場は?

暴言によって精神的苦痛を受けた場合、慰謝料を請求することは可能です。

暴言(モラハラ)による慰謝料の相場は、一般的に数十万円から300万円程度と言われています。

暴言の期間、頻度、内容の悪質さ、精神疾患の発症の有無などによって金額は変動します。高額な慰謝料を獲得するには、やはり確固たる証拠が不可欠です。

子どもがいる場合、親権は取れますか?

暴言を吐く配偶者から子どもの親権を取ることは十分に可能です。

裁判所は「どちらが親権者になることが子どもの利益や幸福につながるか」を最優先に考えます。これまであなたが主として子育てを担ってきた実績があり、離婚後も安定した養育環境を提供できるのであれば、親権を獲得できる可能性は高いでしょう。

相手の暴言が子どもにも向けられている場合は、さらに有利な事情となります。

すぐに別居した方がいい?生活費(婚姻費用)はもらえますか?

同居を続けることで心身に危険が及ぶ、または精神的に限界が来ている場合は、無理をせずにすぐに別居することを検討してください。

別居中であっても、夫婦にはお互いの生活を支え合う義務があるため、収入の少ない側は多い側に対して生活費(婚姻費用)を請求することができます。

別居前に当面の生活費を確保し、別居と同時に婚姻費用分担請求を行うのが一般的な流れです。

まとめ

配偶者の暴言による離婚は、決して甘えやわがままではありません。

あなたがこれ以上傷つかないためにも、まずは客観的な証拠を少しずつ集め、離婚後の生活に向けた準備を始めることが重要です。

暴言を吐く相手との交渉は非常に困難を極めることが多いため、一人で抱え込まずに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

正しい知識と準備を持って、平穏な新しい生活への第一歩を踏み出しましょう。

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