公然わいせつの逮捕や回避方法について専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月10日
- 公然わいせつ罪はどういう刑罰なのか
- 公然わいせつをして逮捕されるとどうなるのか
- 公然わいせつでの逮捕を回避することはできるのか
軽い気持ちで公然わいせつをしてしまいその場から逃走したものの、今後、自分はどうなるのか不安になっている方もいるかもしれません。逮捕されると人生を狂わせてしまうこともあります。
そこで今回は、公然わいせつ事件を数多く解決してきた実績のある刑事事件専門の弁護士が、公然わいせつで逮捕された場合に科される刑罰や逮捕のタイミング、逮捕後はどのような流れになるのかなどについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 不特定多数の人が認識できる状態でわいせつな行為を行うことを公然わいせつという
- 他のわいせつ罪よりも刑罰が軽い
- まずは公然わいせつ罪の対応実績が豊富な弁護士に相談することが大切
公然わいせつで逮捕?まずは基礎を確認
逮捕の可能性もある「公然わいせつ」とは、どのような犯罪なのでしょうか?
ここでは、以下の2点を弁護士が解説します。
- 公然わいせつとは?
- 適用される法律・刑罰
それでは一つずつ見ていきましょう。
公然わいせつとは?
公然わいせつとは、不特定多数の人が認識できる状態でわいせつな行為を行うことです。
公然わいせつの「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状況をいいます。たとえば、公園、駅、道路、電車内、商店街などが公然といえるでしょう。公然は、不特定または多数の人が認識できる状況であれば足ります。実際に不特定多数の人にわいせつ行為が認識されたのかどうかは必要ではありません。
わいせつとは、局部の露出や性行為など、いたずらに人の性欲を刺激し興奮させる、善良な性的道徳観念に反する行為をいいます。ただし、露出部分によっては、軽犯罪法の身体露出の罪が成立する場合もあります。
適用される法律・刑罰
公然わいせつで適用される法律は、刑法の公然わいせつ罪(174条)です。
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する
公然わいせつ罪で適用される刑罰は、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、拘留もしくは科料です。
拘留は1日以上30日未満の期間に刑事施設に収容される刑罰で、科料は1,000円以上10,000円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰です。
公然わいせつは現行犯逮捕か通常逮捕
公然わいせつをした場合、現行犯逮捕または通常逮捕をされることになります。
ここでは、逮捕の種類や可能性について解説します。
- 現行犯逮捕
- 通常逮捕
それでは、1つずつ見ていきましょう。
現行犯逮捕
公然わいせつをした場合には、まず現行犯逮捕される可能性があります。
現行犯逮捕とは、犯行中または現に罪を行い終わった者をその場で逮捕することです(刑事訴訟法212条)。
現行犯逮捕は犯人と犯行行為が明白であることから、裁判所の逮捕状は必要ありません。
現行犯逮捕は、警察官などの司法職員だけではなく一般人でも逮捕することが可能です。たとえば、わいせつ行為の行われた場所の管理人や目撃者、被害者本人から逮捕されることもあります。目撃者から被害報告を受けた第三者が犯行場所で逮捕する場合もあるでしょう。
公然わいせつの典型的なケースが公園での性行為ですが、公園は公然な場所であり、性行為が公園の来訪者を羞恥させることになれば逮捕される可能性があります。
通常逮捕
公然わいせつをした場合には、通常逮捕される可能性もあります。
通常逮捕とは、裁判官から発布された逮捕状を取得した警察官などの捜査機関による逮捕をいいます(刑事訴訟法199条)。
通常逮捕するためには、犯罪をしたと疑うのに十分な理由と逃亡や証拠隠滅のおそれがあることが必要です。たとえば、防犯カメラなどに公然わいせつの現場が映っている映像があれば、これらを証拠にして逮捕状をとり、後日逮捕される可能性は高いといえるでしょう。
また、公園での性行為、駅構内での局部の露出、いわゆる乱交パーティで性行為をする、なども通常逮捕される可能性は高いといえます。
公然わいせつで逮捕された後の流れ
もし公然わいせつで逮捕されたらどうなるのでしょうか?
ここでは、公然わいせつで逮捕された後の刑事手続きの流れを解説します。
- 警察で取り調べを受ける
- 検察に送検される
- 勾留される
- 起訴・不起訴が決まる
- 刑事裁判が開かれる
それでは、1つずつ見ていきましょう。
警察で取り調べを受ける
公然わいせつで逮捕されると、まず警察で取り調べが行われます。
取り調べでは、警察官が被疑者から事件の内容などを聴き取り供述調書にまとめます。この供述調書は、その後の処分に影響する可能性があるので注意が必要です。
逮捕後の刑事手続きには時間制限があり、警察での取り調べは最長48時間です。その期間内に警察は取り調べを終えて事件を検察官に送致しなければなりません。
警察での取り調べの最中は、原則として弁護士以外は面会が禁じられています。逮捕されると携帯電話やスマートフォンなどの携帯品を没収されるので、外部への連絡もできません。
弁護士は被疑者と「接見」という手続きを通じて面会し、公然わいせつの事件の内容の確認、取り調べを受ける上での様々なアドバイスを行います。
検察に送検される
逮捕から48時間以内に被疑者の身柄は検察に送検されます。送検とは、逮捕された被疑者の事件や証拠を検察官に引き継ぐことをいいます。
送検には、身柄送検と書類送検の2種類があります。前者は被疑者の身柄の引継ぎをいい、後者は被疑者を拘束せずに書類・証拠のみを送検することで在宅事件とも呼ばれます。
送致を受けた検察官はさらに被疑者の取り調べを行い、24時間以内に被疑者を勾留するか、釈放するかの決定を下します。
24時間の取り調べだけでは事件の全容がわからないため、さらに時間を要する場合は、裁判所に勾留の手続きを行います。
勾留請求は、送検されてから24時間以内に行わなければなりません。検察官が勾留の必要がないと判断すれば、被疑者を施設より釈放して在宅事件に切り替えます。
勾留される
検察官が勾留請求を行い裁判所がこれを認めた場合は、被疑者は10日の勾留をされることになります。
検察との面談に時間を要する場合には10日間の延長勾留を請求することができ、裁判所が認めればさらに10日間の拘束が続きます。
被疑者は合計で最長20日間にわたり身柄を拘束される可能性があります。検察官は、この期間内に起訴・不起訴の決定を行います。
検察官が不起訴の決定を下した場合は、被疑者は身柄を釈放され、事件終結となります。
被疑者の勾留が決定された場合、弁護士は被疑者に有利な証拠や証言を得たり被害者がいる場合には示談交渉にあたったりして、検察官に釈放を求めます。
起訴・不起訴が決まる
検察官は、被疑者の勾留期間が終わるまでに起訴・不起訴の決定をします。
捜査の結果、検察官が事件を起訴すると、約1か月後に第1回の公判期日が開かれます。
被疑者は被告人と呼ばれ、公判で被告人の罪状が争われます。
起訴された時点で被告人に弁護士がいない場合には、私選の弁護士を依頼するか、あるいは国選の弁護士を付けるように裁判所に申請します。
弁護士は、起訴された時点で裁判所に被告人の保釈の申請をすることができます。逮捕・勾留中で起訴前の段階では、保釈申請はできません。
弁護士が保釈の申請を行い、裁判官がこれを許可すれば、保釈金を納付して被告人は釈放されます。
刑事裁判が開かれる
通常裁判であれば、起訴された日からおよそ1か月後に1回目の公判が始まります。罪状を認めた場合には、情状が酌量されて減刑がされる場合もあります。
公然わいせつでは、たとえ起訴されても公判に事件を持ち込まずに、略式命令が下される可能性が高くなります。
略式命令とは、公判手続を経ずに罰金科料を科す刑事手続です。
簡易裁判所で略式命令が発布された後に、被告人が罰金または科料を納付すれば、この時点で事件は終了します。前科がつくデメリットがありますが、事件を迅速に終わらせることができるでしょう
公然わいせつでの逮捕を回避するためのポイント
ここでは、公然わいせつでの逮捕を回避するための3つのポイントについて解説します。
- 弁護士に相談する
- 自首する
- 示談交渉する
それぞれ見ていきましょう。
弁護士に相談する
公然わいせつでの逮捕を回避するための1つ目のポイントは、弁護士に相談することです。
刑事事件の手続は、時間との勝負です。公然わいせつ事件をおこしてしまった場合には、迅速に弁護士に相談することが非常に重要になります。
弁護士にすぐに相談することで、家族と連絡をとれたり、自首に付き添ってもらえたり、被害者がいる場合には示談など解決に向けた早急な対応を行うことが可能です。
初動の速い弁護士であれば、逮捕から保釈申請に至るまで早期釈放を目指して事前に対策をたてアドバイスします。
自首する
公然わいせつでの逮捕を回避するための2つ目のポイントは、自首することです。
公然わいせつ事件をおこしてしまった場合でも、自首することで事件化する前に報道や逮捕を回避する可能性が高まります。
公然わいせつの罪を自首する際には、わいせつ行為の証拠は必要ではありません。ただし、本人が自首しても防犯カメラの映像や目撃者の証言など何もないような場合には、事件として立件されないことが多くなります。
証拠がなければ、刑事事件として扱われないため被疑者にもなりません。
示談交渉をする
公然わいせつでの逮捕を回避するための3つ目のポイントは、示談交渉することです。
公然わいせつ事件で被害者がいる場合には、弁護士に依頼すれば代理で示談交渉を行ってくれます。
被害者への謝罪の方法や適正な賠償金額など、弁護士に依頼したほうがスムーズに示談交渉が進むでしょう。
公然わいせつ事件の加害者となってしまい後日逮捕が心配な方は、できるだけ早い時期に刑事事件の経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
公然わいせつをしてしまったらすぐに弁護士に相談しよう
公然わいせつをしてしまい、万が一逮捕されてしまったら最長で23日間という長い間、施設に拘束される可能性もあります。
初動の速い弁護士に依頼することで、被疑者の早期釈放を目指しましょう。
また担当弁護士といつでも連絡がとれるように携帯番号などを教えてくれる事務所もあります。弁護士といつでも相談ができることは、被疑者や家族の心の支えになります。
まとめ
今回は、多くの公然わいせつ事件を解決してきた実績のある刑事事件専門の弁護士が、公然わいせつをしてしまった場合は必ず逮捕されるのか、逮捕された場合に科される刑罰や逮捕のタイミング、逮捕後はどのような流れになるのかなどについて解説しました。
公然わいせつ事件は、不起訴や略式裁判になる可能性も十分にある犯罪ですので、早急に弁護士に依頼して早期解決に努めることが重要です。お困りの方は、まずは弁護士に相談してください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。