妻の浮気による離婚を後悔しないための対策とポイントを弁護士が解説
最終更新日: 2025年02月20日
- 妻が浮気したせいで愛情は冷め切っている。すぐにでも離婚へ踏み切った方がよいだろうか?
- 妻とは離婚を前向きに話し合っているが、離婚条件の内容にやや不安を感じる。
- 浮気した妻と早急に離婚したい。しかし、離婚してからトラブルとならないよう、離婚問題に詳しい人と相談したい。
浮気した妻に怒りを覚え、早く離婚したいと考えている方もいるでしょう。
しかし、妻に対して未練はないか、提案する離婚条件を十分にまとめたかなどを、よく確認してから話し合いを進める必要があります。
そうしないと「妻と離婚するんじゃなかった」「慎重に離婚条件を決めなかったせいで、離婚給付が重い負担となっている」等、後悔する事態となります。
そこで今回は、離婚問題の解決に携わってきた専門弁護士が、妻の浮気が原因で離婚したときに後悔する理由や回避するための対策等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 妻の浮気に対する怒りに任せて離婚条件を慎重に話し合わずに離婚すると、後悔することになる可能性がある
- 浮気した妻との離婚を後悔したくなければ、冷静に離婚条件を取り決めていく必要がある
- 浮気した妻と離婚の話し合いをする前に、弁護士とよく相談した方がよい
妻の浮気による離婚で後悔する理由
妻の浮気が許せず勢いで離婚してしまうと、離婚後いろいろと問題が発生する可能性があります。
妻への愛情が消えておらず離婚を後悔した、子どもへの影響が心配だ、離婚条件にいまだ納得できていない等、様々な後悔や不安、問題が生じる恐れがあります。
未練がある
浮気した妻も自分の責任を認め離婚に同意したが、夫は妻にいまだ愛情が残っていて、離婚に後悔しているというケースです。
妻が夫と離婚すれば周囲から冷ややかな目でみられるかもしれませんが、浮気相手と再婚する可能性もあります。
その場合、離婚した元夫は複雑な感情を抱くこともあるでしょう。
子どもへの影響
子どもへの影響も懸念されます。離婚する夫婦どちらかが親権を持ったとしても、子どもは片親を失った喪失感や肩身の狭い状況になるかもしれません。
次のような事態が想定されます。
- 浮気した妻が子どもの親権を得た場合、浮気相手と再婚すれば、浮気相手と子どもが同居する
- 夫が親権者となっても、母親の浮気が原因で家庭が崩壊した事実を知り、子どもが母親に恨みを抱く
- 浮気が原因で離婚した事実が学校に広まり、子どもがいじめにあう
- 片親となった子どもが経済的に困窮してしまう
親の離婚は子どもにとって、精神的かつ経済的に大きな影響を受ける事態です。
生活が苦しい
離婚条件を十分に考慮せず離婚してしまうと、離婚後、夫が予想外に経済的負担を強いられる可能性もあります。
たとえば、浮気した妻が親権者となれば、非親権者である夫は養育費を支払う必要があります。
子どもが成人して自立するまでは、基本的に養育費の支払いを継続しなければなりません。
状況の変化(例:妻の就職や夫の失業等)で、非親権者が養育費の支給額を再考する必要も出てきます。
離婚前に養育費の支給額・支給年齢、状況の変化に応じた再交渉・調整の取り決めを定めておかないと、夫の生活が苦しくなる場合もあり得るのです。
条件に納得できない
妻と合意した離婚条件に内心納得できていなかったというケースです。
たとえば、浮気した妻に慰謝料を請求したかったが、浮気の有力な証拠がつかめず、慰謝料を拒否された場合や支払われても数万円程度だった場合が該当します。
離婚の協議や調停でも慰謝料の話し合いは可能ですが、有力な証拠がなければ、夫に有利な話し合いとはならないでしょう。
妻の浮気が疑われる場合も、いきなり離婚の話し合いを進めるのではなく、まずは証拠の収集を最優先にする必要があります。
妻の浮気による離婚で後悔しないための対策
夫が妻の浮気を理由に離婚したいときは、前もって浮気の証拠を十分に集め、慰謝料を含めた離婚条件についてまとめておく必要があります。
また、妻と離婚しない選択肢についても、冷静に検討しておきましょう。
本当に離婚すべきか考える
まず浮気した妻と本当に離婚するか否かを真剣に考える必要があります。
「妻が浮気したら離婚するしかない」と考えるのではなく、次の方法で妻の浮気問題を解決するのもよい方法です。
- 妻:あえて慰謝料請求や離婚という措置をとらず、謝罪させる
- 浮気相手:慰謝料請求を行う、妻との面会禁止を約束させる
夫が離婚という方法をとらず、浮気した妻と浮気相手に責任を追及する方法です。
浮気相手に慰謝料請求および妻との面会禁止を要求し、無視や拒否するなら、損害賠償(慰謝料)請求調停や訴訟で責任を追及しましょう。
離婚しない場合の慰謝料は数十万円〜100万円が相場です。
一方、妻とは浮気を謝罪する旨、浮気は2度としない旨を約束させた和解契約書(合意書)を作成します。次のような内容を明記しましょう。
- 浮気した妻が夫に謝罪し、浮気は2度としない
- 今回の浮気では妻に慰謝料請求はしない・離婚もしない
- 妻と浮気相手の面会を禁止する
- 夫婦が以後、今回の浮気を蒸し返さない
- 契約(合意)内容を妻が破った場合、法的措置をとる
和解契約書(合意書)は2通作成し、夫婦それぞれが1通ずつ大切に保管します。
和解契約書(合意書)は妻が再び浮気したとき、慰謝料請求や離婚の調停・裁判を起こした場合、証拠の1つとして提出可能です。
生活費の見通し
前もって、離婚後の収入や支出をシミュレーションしてみましょう。
夫婦が共働きだった場合、妻と離婚してしまえば、その分収入は少なくなります。妻が生活費を入れない状態となっても、家計に影響が出ないか把握する必要があります。
離婚後、両親や子どもの面倒を夫がみる場合、生活費だけでなく、介護費用や医療費・教育費等の出費にも注意が必要です。
証拠収集
妻の浮気の証拠を収集する必要があります。
妻と利用した記憶がないホテルの領収書や、メール・LINEなどによる浮気相手とのやりとりの記録を証拠として集めましょう。
裁判で妻と浮気相手の責任を追及する場合は、次のような有力な証拠を取得した方がよいです。
- 妻と浮気相手の性行為の画像や動画
- 妻と浮気相手の性行為が推認できる画像や動画:2人がラブホテルに出入りした画像や動画等
- 妻の出産・堕胎に関する証明書
妊娠や出産・堕胎に関する証明書は夫から気付かれる前に、妻が破棄している可能性が高いです。
夫が慰謝料・離婚の協議・調停・裁判を有利に進めたいのであれば、妻と浮気相手の性行為または性行為が推認できる画像や動画の取得が現実的でしょう。
ただし、一人だけの力では浮気現場の撮影が非常に難しい場合もあるので、探偵に浮気調査を依頼した方がよいです。
請求可能なお金の洗い出し
浮気した妻に請求する慰謝料相場を確認しておきましょう。妻と離婚する場合、浮気に関する慰謝料の相場は200〜300万円です。
妻に慰謝料を支払えるだけの資力がない場合は、慰謝料はあえて請求せず、夫婦の共有財産を分配する「財産分与」で調整してもよいでしょう。
財産分与の割合は夫婦の2分の1ずつが原則です。しかし、夫婦で分与割合を自由に設定できるので、慰謝料を請求しない代わりに、夫が多めに受け取る取り決めも有効です。
共有財産の把握
妻が浮気した場合であっても、原則、財産分与を行います。
財産分与を行うときには、まず婚姻中に夫婦で協力して形成してきた「共有財産」を調査します。
婚姻中に得られた夫婦の収入や、購入した不動産・動産は基本的に共有財産です。
ただし、婚姻前に開設した預金口座や所有物、婚姻中であっても被相続人から承継した遺産は「特有財産」となるため、財産分与の対象外です。
特有財産と慎重に分け、共有財産を把握しておきましょう。
養育費・親権
夫婦間で親権や養育費についてしっかりと話し合います。
夫が「浮気をして、家庭を崩壊させた妻に親権は譲れない」と考えるときは、その旨をはっきりと妻に伝えましょう。
一般的に調停や裁判では、「妻の方が親権者に適している」と判断される可能性が高いです。ただし、離婚の原因が妻にある場合は、妻が有利なわけではありません。
妻が親権を獲得する場合は、夫が養育費を支払います。
夫婦で自由に給付額は設定できますが、裁判所の公表している「養育費算定表」を参考に取り決めた方がよいでしょう。
その他条件の抜け・漏れはないか
夫婦が話し合い離婚条件に合意できたときは「離婚協議書」を作成します。
財産分与や妻の慰謝料支払い、親権・養育費・面会交流・年金分割等の条件をしっかり話し合ったか、今一度確認しましょう。
離婚条件を確認できたら離婚協議書を2通作成し、夫婦がそれぞれ1通ずつ大切に保管します。また、離婚の合意後は市区町村役場へ「離婚届」の提出が必要です。
妻の浮気による離婚で後悔しないためのポイント
離婚原因が妻の浮気の場合、夫が感情的になってしまうのは当然でしょう。しかし、冷静に離婚手続きを進めないと、離婚後にトラブルとなる可能性もあります。
弁護士と相談して、対応の仕方を考えていくのもよい方法です。
一人で抱え込まない
妻の浮気が発覚したら、妻本人や浮気相手に対する怒りが爆発してしまうかもしれないでしょう。
しかし、妻や浮気相手を脅迫したり、暴力を振るったりすれば、刑事事件になってしまいます。
感情的になってしまい、妻や浮気相手との交渉が難しいと感じたときは、まず弁護士と相談し、離婚の協議や慰謝料請求についてのアドバイスを受けましょう。
弁護士への相談
離婚の協議や慰謝料請求をスムーズに進めたいのであれば、離婚問題に強い弁護士と相談しましょう。
弁護士は夫婦の事情を聴き、次のようなアドバイスをします。
- 妻の浮気で慰謝料を請求できるかどうか
- 証拠は十分に揃っているか(揃っていない場合、探偵を紹介する場合もある)
- 請求できる慰謝料の相場
- 慰謝料を含めた離婚の協議が不成立だった場合の措置 等
相談している間に「妻との離婚の協議、慰謝料請求は弁護士に任せた方がよい」と思ったときは、そのまま委任契約を締結してもよいでしょう。
弁護士は妻との慰謝料・離婚の協議はもちろん、浮気相手との慰謝料請求の交渉も可能です。
交渉がうまくいかなかった場合は、弁護士に調停・裁判手続きも任せられるので、依頼者にとって頼もしい存在です。
妻の浮気離婚で後悔しないために
今回は離婚問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、妻の浮気が原因で離婚するときに、後悔しないためのポイント等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は離婚問題の解決に強い法律事務所です。まずは弁護士と、妻への慰謝料請求・離婚の協議に関する方法をよく話し合ってみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。