高校生の子が薬物で逮捕…学校や進路はどうなる?親がすぐに取るべき対応とは
最終更新日: 2025年06月26日
未成年の薬物事件は、家庭裁判所での審判に進むケースが多く、進学や進級・退学といった学校生活にも大きく影響する可能性があります。
この記事では、逮捕後の流れ、学校への通知・退学処分のリスク、親ができること、弁護士に依頼することで進路への影響を抑える可能性、そして実際の事例やよくある質問までをわかりやすく解説します。
お子さんの将来を守るため、今すぐ知っておきたい知識をお伝えします。
高校生が薬物で逮捕された場合の流れ
高校生が薬物(大麻や覚醒剤など)で逮捕された場合、成人とは異なり「少年事件」として家庭裁判所に送致されるのが原則です。
主な流れは以下のとおりです:
- 逮捕(警察による身柄の確保)
- 勾留又は勾留に代わる観護措置(約10日~20日の身柄拘束の継続)
- 観護措置(2週間~4週間の少年鑑別所への収容)
- 家庭裁判所での少年審判
- 保護処分(少年院送致・保護観察など)または不処分
大人のように刑務所に入ることはほとんどありませんが、長期間身柄拘束されたり、少年院送致になれば進路や生活に影響を及ぼすことは避けられません。
学校にバレる?退学になる?気になる進路への影響
多くの親御さんが一番気にしているのが、「このことが学校にバレたら退学になるのではないか?」という点だと思います。
学校に通知される可能性はある?
結論から言えば、逮捕された事実が学校に伝わることはあります。
とくに、警察が自宅や学校で捜査を行った場合や、学校が立ち会った場合は高い確率で知ることになります。
また、家庭裁判所が学校に対して「意見照会書」(生徒の普段の様子を確認する文書)を送ることもあり、この時点で学校側が事件を把握することもあります。
退学処分になる可能性は?
校則に「薬物の使用や所持が発覚した場合、退学または停学とする」と定めている学校は少なくありません。
ただし、実際に退学処分になるかどうかは以下の事情が考慮されます:
- 事件の内容(所持か使用か、反復性があるか)
- 反省の程度
- 家族の対応(再発防止策の有無)
親が今すぐできること
突然の事態に戸惑っていても、親としてできることはあります。
以下の対応が、本人の処分への影響に直結します。
弁護士に相談・依頼する
逮捕段階では、弁護士以外の者が本人と面会することができません。弁護士であれば、接見(面会)ができ、本人の状況や事件内容を把握できます。
また、保護処分を軽くしたり、裁判所に再発防止策を伝える弁護活動も行うことができます。
学校との連携をとる
事件を知った学校側と話す際には、感情的にならず冷静に対応することが大切です。
「親としてどのように向き合っているか」「再発を防ぐために何をしているか」を伝えることで、学校側も柔軟な対応を取ってくれる可能性があります。
ただし、学校が少年の非行事実をまだ知らない場合は、保護者や弁護士から知らせるかどうかは慎重な検討が必要となります。
弁護士に依頼することでできること
薬物事件は、単に法的な問題だけでなく、「家庭」「学校」「医療」「再発防止」など、幅広い視点からの対応が求められます。
弁護士はそのすべてを整理し、最も穏便に、そして希望ある着地点へと導くためのサポートをしてくれます。
弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットは、以下のとおりです。
少年との接見(面会)と精神的ケア
家族でも会えない状況の中、弁護士は本人と直接会って状況を確認し、必要な情報を整理してくれます。
突然身柄を拘束された本人は、強い不安と孤独を抱えています。弁護士が早期に接見することで、本人の混乱や焦りを和らげることができます。
家庭裁判所への働きかけ(意見書・報告書)
家庭裁判所の審判では、本人の反省の程度や家庭の再発防止策が重視されます。
弁護士は、本人の反省・家族の支援体制・カウンセリング受診予定などを整理し、裁判所に提出する意見書や報告書を作成します。
これにより、より軽い保護処分(保護観察など)で済む可能性が高まります。
学校との関係調整・進路への影響軽減
「退学だけは避けたい」という思いは、ほとんどのご家族が抱える強い願いです。
学校に対して誠意を持って状況を伝え、本人が更生しようとしている姿勢を明確に示すことで、停学や指導措置で済む可能性も出てきます。
医療機関・支援機関の活用
薬物使用が疑われる場合、医療機関での診断や治療が必要になることもあります。
弁護士は、薬物事件に精通している医療・支援ネットワークを紹介したり、少年審判や意見書の資料として活用したりするなどし、家族が抱える不安を包括的にサポートします。
親への精神的な支えにも
逮捕という出来事を受け止めきれず、自責の念や焦りに苛まれているご両親も少なくありません。
そんなとき、話を聞いてくれる存在がいて、「大丈夫、今できる最善策を一緒に考えましょう」と言ってもらえることは、大きな安心につながります。
よくある質問(Q&A)
Q:高校生でも逮捕されたら前科がつきますか?
原則として、「前科」は成人事件で有罪判決を受けた場合につきます。
高校生の場合は、少年事件となり、殺人や強盗致死等の一部の極めて重大な犯罪を除いて、家庭裁判所の少年審判保護処分(保護観察や少年院送致など)を受け前歴はつきますが、「前科」はとは扱われません。
Q:学校に必ず知られてしまいますか?
警察の介入状況や家庭裁判所の対応によって、学校に通知されるケースがあります。特に家庭裁判所から「意見照会書」が送付されると学校が事件を把握します。
ただし、少年が学校から処分を受けることは不利益が大きく、かえって更生の妨げになる場合もありますので、全ての事件で家庭裁判所が学校照会を行うわけではありません。
Q:退学を防ぐことはできますか?
一般的に薬物の事件では、学校に知られた場合、退学になる可能性が高いです。
もっとも、弁護士の活動により逮捕や長期間の勾留を回避して、在宅事件で進めることができれば、学校に知られずに事件を終えられる可能性が高まります。
Q:弁護士に相談するタイミングはいつが良いですか?
できるだけ早い段階が望ましいです。
警察に逮捕、勾留される前や観護措置が決定され少年鑑別所に収容される前に対応を始めることで、処分の軽減につながる可能性があります。
Q:薬物依存が疑われる場合はどうすればいいですか?
医療機関の受診やカウンセリングを受けることが重要です。
依存症に理解のある医療機関や支援機関と連携したり、裁判所や学校に対して再発防止への真剣な取り組みを示したりすることで、より良い結果につながるケースがあります。
まとめ|お子さんの未来を守るために、親ができる最善の行動を
高校生が薬物で逮捕されたという現実は、親にとって大きな衝撃です。
でも、今どう対応するかによって、お子さんの将来は変わります。
- 弁護士に相談し、家庭裁判所・学校と適切に連携する
- 家族として再発防止に本気で取り組む
- 一人で抱え込まず、プロの力を借りる
当事務所では、ご家族とお子さんが前を向いて再出発できるよう、全力でサポートいたします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。