【薬物所持で逮捕】拘禁は何年?初犯の執行猶予と家族ができること
2026年04月28日

もしも大切な家族が「薬物で逮捕された」と連絡を受けたら、頭が真っ白になり、「これからどうなるのか」「拘禁は何年になるのか」という不安でいっぱいになることでしょう。特に薬物犯罪は報道のイメージも強く、厳しい罰が科されるのではないかと心配になるのは当然です。
この記事では、薬物事件で逮捕された場合の拘禁年数がどのように決まるのか、法律や薬物の種類による違い、そして「営利目的」の有無が刑罰に与える大きな影響について、分かりやすく解説します。
また、「初犯なら執行猶予がつくのか」「実刑になるのはどんなケースなのか」といった量刑の相場から、逮捕後の手続きの流れ、そして家族としてやるべきことまでを具体的にまとめました。漠然とした不安を解消し、ご本人とご家族にとって最善の道を歩むためにも、ぜひ最後までお読みください。
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薬物所持で逮捕された場合の懲役年数
薬物所持で逮捕された場合、拘禁刑が何年になるかは、関与した薬物の種類、所持量、そして「営利目的」があったかどうかによって大きく変動します。一概に「薬物で逮捕されたら拘禁刑〇年」と言えるものではなく、個別の事案ごとに判断されます。まずは、刑罰を決める上での基本的な考え方を理解することが重要です。
薬物の種類と法律による刑罰の違い
日本における薬物犯罪は、主に取り扱う薬物の種類によって適用される法律が異なります。それぞれの法律で規制内容や罰則が定められており、これが拘禁年数を決める上での第一の基準となります。
- 覚醒剤取締法:
覚醒剤(シャブ、スピード等)の所持、使用、譲渡、譲受などを規制します。特に依存性が高く、心身への影響が大きいことから、他の薬物犯罪に比べて刑罰が重くなる傾向があります。 - 麻薬及び向精神薬取締法:
大麻、 ヘロイン、コカイン、MDMA、LSDなどの麻薬や、睡眠薬・精神安定剤などの向精神薬の規制を目的としています。規制される薬物の種類が非常に多く、それぞれに罰則が細かく定められています。 - あへん法:
あへんやケシガラの所持、栽培、使用などを規制します。 - 毒物及び劇物取締法:
シンナーやトルエンなどの有機溶剤の乱用を規制します。
これらの法律によって、拘禁刑の上限・下限(法定刑)が定められています。
「営利目的」の有無で刑罰は大きく変わる
薬物事件の刑罰を決定する上で、自己使用のための「単純所持」か、販売など利益を得るための「営利目的所持」かは極めて重要な分岐点です。「営利目的」が認定されると、刑罰は大幅に加重されます。
例えば、覚醒剤の単純所持の法定刑が「10年以下の拘禁」であるのに対し、営利目的所持の場合は「1年以上の拘禁(上限20年)」となり、情状により「500万円以下の罰金」が併科されることもあります。
営利目的と判断される主なケースは以下の通りです。
- 所持量が個人使用の範囲を大幅に超えている
- 多数の小分けされた袋や計量器(パケやハカリ)を一緒に所持している
- 薬物の売買に関する連絡履歴(スマホのデータなど)がある
- 多額の現金を持っている
このように、逮捕された際に「何年くらいになるのか」を考える上では、営利目的の有無が最も大きな影響を与える要素の一つと言えます。
【一覧表】薬物別の法定刑まとめ
代表的な薬物について、単純所持・使用と営利目的の場合の法定刑を一覧にまとめました。実際の判決はこれらの範囲内で、様々な事情を考慮して決定されます。
薬物の種類 | 犯罪行為 | 法定刑 |
覚醒剤 | 単純所持・使用・譲受 | 10年以下の拘禁刑 |
営利目的所持・譲渡・譲受 | 1年以上の有期拘禁刑(または情状により懲役+500万円以下の罰金) | |
大麻 | 使用 | 7年以下の拘禁刑 |
単純所持・譲受・譲渡 | 7年以下の拘禁刑 | |
営利目的所持・譲受・譲渡 | 1年以上10年以下の拘禁刑(または情状により拘禁+300万円以下の罰金) | |
栽培 | 1年以上10年以下の拘禁刑 | |
営利目的栽培 | 1年以上20年以下の拘禁刑(または情状により拘禁刑+500万円以下の罰金) | |
麻薬(ヘロイン等) | 単純所持・使用・譲受 | 10年以下の懲役 |
営利目的所持・譲渡・譲受 | 1年以上の有期拘禁刑(または情状により1年以上の有期拘禁刑+500万円以下の罰金) | |
麻薬(コカイン、MDMA等) | 単純所持・使用・譲受 | 7年以下の拘禁刑 |
営利目的所持・譲渡・譲受 | 1年以上10年以下の拘禁刑(または情状により1年以上10年以下の拘禁刑+300万円以下の罰金) |
※上記は代表的な例であり、輸入・輸出などの場合はさらに重い刑罰が科されます。
初犯なら執行猶予?量刑相場と実刑になるケース
「薬物で逮捕されたら何年くらいで、初犯なら刑務所に行かなくて済むのか?」これは多くの方が抱く疑問です。ここでは、初犯の場合の量刑相場と、実刑判決との分かれ目について解説します。
薬物事件の初犯は執行猶予がつく可能性が高い
営利目的ではなく、自己使用のための単純所持で、所持量も微量である場合、初犯であれば執行猶予付き判決となる可能性が高いのが実情です。
執行猶予付き判決となる場合、たとえば「拘禁刑1年6か月、執行猶予3年」という判決がなされることになります。これは、「判決としては拘禁刑1年6ヶ月を言い渡すが、その執行を3年間猶予する。この3年間、再び罪を犯すことなく過ごせば、刑の言い渡しは効力を失い、刑務所へ行く必要はなくなる」という内容です。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、必ず執行猶予がつくわけではありません。
執行猶予を獲得するためのポイント
執行猶予付きの寛大な判決を得るためには、裁判官に「社会内での更生が期待できる」と判断してもらう必要があります。そのために重要となるポイントは以下の通りです。
- 罪を素直に認め、深く反省していること:
取り調べや裁判で正直に事実を話し、反省の態度を示すことが基本です。 - 薬物依存からの脱却に向けた具体的な行動:
専門の医療機関での治療や、ダルク(DARC)などの自助グループへの参加を始めていることは、更生意欲の証明として非常に高く評価されます。 - 家族など監督者の存在:
家族が身元引受人となり、本人の更生を監督・サポートする環境が整っていることを示すことが重要です。 - 薬物との関係を断ち切る環境調整:
薬物仲間との連絡を絶つ、薬物を入手した地域に近づかないなどの具体的な誓約も有効です。
初犯でも実刑判決となる場合とは?
初犯であっても、以下のようなケースでは執行猶予がつかず、実刑判決(刑務所に収監されること)となる可能性が高まります。
- 営利目的が認められた場合:
前述の通り、営利目的は悪質と見なされるため、初犯でも実刑判決のリスクが格段に上がります。 - 所持量が非常に多い場合:
個人使用の範囲を逸脱していると判断され、常習性や依存性の高さ、あるいは潜在的な営利目的を疑われ、実刑になりやすくなります。 - 犯行態様が悪質な場合:
他人を薬物犯罪に引きずり込んだ、公道で酩酊状態に陥り事故を起こしたなど、第三者への影響が大きいケースでは厳しく処罰されます。 - 全く反省の態度が見られない場合:
罪を否認し続けたり、反省の弁を述べなかったりすると、更生の意欲がないと判断され、実刑判決につながることがあります。
再犯の場合の量刑相場
薬物犯罪は再犯率が非常に高いという特徴があり、裁判所も再犯には厳しい態度で臨みます。
- 執行猶予期間中の再犯:
この場合、法律上、原則として実刑判決となり、前回の執行猶予も取り消されます。つまり、「今回宣告される拘禁刑」+「前回猶予されていた拘禁刑」の期間、刑務所に収監されることになります。 - 執行猶予期間満了後の再犯:
いわゆる「前科あり」の状態での再犯です。この場合も実刑判決となる可能性が極めて高くなります。回数を重ねるごとに拘禁年数も長くなる傾向にあります。
薬物事件で逮捕されてから判決までの流れ
家族が逮捕されたと連絡を受けても、すぐに面会できるわけではありません。刑事手続きは法律で厳格に定められており、その流れを理解しておくことが重要です。
逮捕・取り調べ(逮捕から72時間以内)
逮捕されると、まずは警察署で取り調べを受けます。警察は48時間以内に、身柄と事件を検察官に送致(送検)するか、釈放するかを決定します。送検後、検察官は24時間以内に、裁判官に勾留請求をするか、釈放するかを判断します。この逮捕から最大72時間は、原則として家族であっても面会(接見)することはできません。
勾留(最長20日間)
検察官の請求により裁判官が「勾留」を決定すると、原則10日間、身柄拘束が続きます。さらに捜査が必要と判断されれば、追加で最大10日間、勾留が延長される可能性があります。つまり、逮捕から起訴・不起訴の判断が下るまで、最大で23日間、警察署の留置場などで身柄を拘束されることになります。
起訴・不起訴の決定
検察官は、勾留期間中に捜査を尽くし、被疑者を刑事裁判にかけるかどうか(起訴・不起訴)を最終的に判断します。
- 不起訴処分:
証拠不十分や、情状(反省の度合い、初犯であることなど)を考慮して起訴しないと判断されることです。不起訴になれば、その時点で身柄は解放され、前科もつきません。 - 起訴(公判請求):
刑事裁判にかけることが相当と判断されることです。起訴されると、被疑者は「被告人」となり、刑事裁判を待つことになります。
刑事裁判・判決
起訴されると、約1~2ヶ月後に第一回の公判が開かれます。薬物事件の多くは、事実関係に争いがなければ1~2回の公判で結審し、その後判決が言い渡されます。この判決で、拘禁何年になるのか、執行猶予がつくのかといった最終的な処分が決定します。
家族が薬物所持で逮捕されたらすぐにやるべきこと
家族が薬物で逮捕されたという知らせは、大きな衝撃と混乱をもたらします。しかし、動揺している間にも刑事手続きは進んでいきます。家族として、冷静に、そして迅速に行動することが本人の将来を大きく左右します。
まずは弁護士に相談し、接見を依頼する
家族が逮捕されたら、何よりも先に刑事事件に強い弁護士に相談・依頼してください。逮捕後72時間は家族でも面会できませんが、弁護士はいつでも、警察官の立ち会いなく本人と接見できます。 弁護士は本人に以下の重要なアドバイスを行います。
- 黙秘権などの権利について説明する
- 取り調べで不利な供述をしないよう助言する
- 今後の手続きの流れと見通しを伝える
- 家族からのメッセージを伝え、本人を精神的に支える
この初動対応が、後の勾留阻止や不起訴処分の獲得、ひいては懲役年数にも大きく影響します。
身元引受人として更生をサポートする環境を整える
裁判官が執行猶予を付けるかどうか判断する際、「本人が社会内で更生できる環境があるか」を非常に重視します。家族が身元引受人となり、監督・支援体制を整えていることを具体的に示すことが不可欠です。
- 身元引受書を作成する:
裁判所に提出し、家族が本人を監督することを誓約します。 - 同居を約束する:
家族の目の届く範囲で生活させ、再犯を防ぐ環境を作ります。 - 情状証人として出廷する:
裁判で、今後の監督計画や本人の更生への思いを証言します。
身元引受人の存在は、執行猶予付き判決を得るための最も重要な情状の一つです。
本人の治療やカウンセリングに協力する
薬物依存は「意志の弱さ」ではなく「病気」です。再犯を防ぐためには、専門的な治療が不可欠です。家族として、本人が治療に専念できる環境を整え、サポートする姿勢を見せることが重要です。
- 薬物依存の専門病院やクリニックを探し、予約する
- ダルク(DARC)などの自助グループの情報を集め、参加を促す
- 通院やカウンセリングに付き添う
こうした具体的な行動は、本人の更生意欲の証明となり、裁判でも有利な情状として考慮されます。
逮捕後の生活への影響(仕事・学校)に備える
逮捕・勾留による長期の欠勤・欠席は、職場からの解雇や学校からの退学処分につながるリスクがあります。 無断欠勤の状態が続けば、それだけで解雇理由になり得ます。弁護士を通じて、会社や学校にどのように説明し、どのような配慮を求めるか(例:病気療養として扱ってもらうなど)を慎重に検討する必要があります。早期に身柄が解放されれば、社会復帰へのダメージを最小限に抑えられる可能性が高まります。
薬物事件を弁護士に依頼するメリット
薬物事件で逮捕された場合、弁護士への依頼は任意ですが、その有無が結果を大きく左右します。弁護士に依頼することで、本人と家族は多大なメリットを得ることができます。
早期の身柄解放(釈放・保釈)を目指せる
弁護士は、不当な逮捕・勾留に対して法的な手段で対抗し、早期の身柄解放を目指します。
- 勾留決定前の意見書提出:
検察官や裁判官に対し、勾留の必要がないことを主張し、勾留決定を阻止する活動を行います。 - 準抗告:
勾留決定がなされた場合でも、その判断に不服を申し立て(準抗告)、決定の取り消しを求めます。 - 保釈請求:
起訴された後、保釈保証金を納付することで身柄を解放してもらう「保釈」の請求手続きを行います。
早期に身柄が解放されれば、会社や学校への影響を最小限に抑え、裁判に向けた準備も十分に行うことができます。
不起訴や執行猶予付き判決の可能性が高まる
弁護士は、本人にとって有利な情状を収集・整理し、検察官や裁判官に効果的に主張することで、より寛大な処分を目指します。
- 示談交渉:
薬物事件では被害者がいないことが多いですが、例えば薬物の影響で他人に迷惑をかけた場合は、示談交渉を行うことがあります。 - 有利な証拠の収集:
家族の監督体制を示す資料、治療計画書、本人の反省文などを準備し、意見書として提出します。 - 効果的な情状弁護:
裁判において、本人がいかに更生の道を歩もうとしているかを論理的に主張し、裁判官に執行猶予の判断を促します。
これらの専門的な弁護活動により、不起訴や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が格段に高まります。
家族の精神的負担を軽減し、適切な対応ができる
家族が逮捕されると、どうしていいかわからず、大きな不安に苛まれます。弁護士は、法的な手続きの代理人であると同時に、家族の精神的な支えとなります。
- 今後の見通しを具体的に説明し、不安を和らげる
- 本人との面会が制限される中で、伝言役を担う
- 家族が今何をすべきかを的確にアドバイスする
一人で抱え込まず、専門家である弁護士を頼ることで、家族は冷静さを取り戻し、本人を支えるという最も重要な役割に集中することができます。
【よくある質問(FAQ)】
Q:薬物所持の初犯だと、懲役は何年くらいになりますか?
A:営利目的がなく、自己使用のための単純所持で所持量も微量な場合、初犯であれば執行猶予付きの判決となる可能性が高いです。ただし、所持量が多かったり、犯行態様が悪質だったりすると、初犯でも実刑判決となることがあります。
Q:執行猶予とは何ですか?刑務所に行かなくて済むということですか?
A:はい、執行猶予期間を無事に満了すれば、刑務所に行く必要はありません。執行猶予とは、有罪判決による刑の執行を一定期間(1年~5年)猶予する制度です。この猶予期間中に再び罪を犯すことなく過ごせば、判決の言い渡しの効力がなくなり、刑務所へは収監されません。しかし、もし猶予期間中に再度犯罪を犯してしまうと、原則として執行猶予が取り消され、前回の刑と今回の刑を合わせた期間、服役することになります。
Q:家族が逮捕されました。すぐに面会できますか?
A:いいえ、逮捕から検察官に送致され、勾留が決定するまでの最大72時間は、原則としてご家族は面会(接見)することができません。この期間に、罪証隠滅などを防ぐ目的で接見が禁止されるためです。しかし、弁護士であればこの期間中も時間や回数の制限なく本人と接見し、取り調べへのアドバイスや家族からの伝言を伝えることができます。だからこそ、逮捕の知らせを受けたらすぐに弁護士へ依頼することが非常に重要です。
まとめ
「薬物で逮捕されたら拘禁刑は何年になるのか」という問いに対する答えは、薬物の種類、営利目的の有無、初犯か再犯かといった多くの要素によって決まります。特に自己使用目的の初犯であれば執行猶予が付く可能性はありますが、所持量が多い場合や営利目的が疑われる場合は実刑のリスクも十分にあります。
もし大切なご家族が薬物で逮捕されてしまったら、最も重要なのは、早い段階で刑事事件に精通した弁護士に相談することです。弁護士は、早期の身柄解放、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得に向けて最善を尽くしてくれます。また、先の見えない不安の中で、家族が取るべき行動を具体的に示し、精神的な支えとなってくれるでしょう。
本人の更生と社会復帰への第一歩は、逮捕直後の迅速かつ適切な対応にかかっています。まずは専門家である弁護士の力を借りることを強くお勧めします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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