強盗罪の刑罰と執行猶予の可能性・弁護士に相談すべき理由を解説

2026年06月10日

強盗罪の刑罰と執行猶予の可能性・弁護士に相談すべき理由を解説

「家族が強盗罪で逮捕された」
「強盗罪はどのくらいの刑罰になるのか」
「執行猶予はつくのか」

強盗罪は刑法上、最も重大な犯罪の一つです。法定刑の下限が「5年以上の拘禁刑」と定められており、起訴された場合はほぼ全件が実刑判決を受ける可能性があります。

一方で、弁護活動の内容——特に被害者との示談・罪名の争い・情状立証——によって、結果が大きく変わります。

この記事では、強盗罪の成立要件・刑罰の種類・執行猶予の可能性・弁護士に依頼することで何が変わるかを弁護士が詳しく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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目次

強盗罪とは?成立要件と他の犯罪との違い

強盗罪の成立要件(構成要件)

強盗罪(刑法第236条)は、「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取すること」によって成立します。単に物を盗むだけでは窃盗罪ですが、相手の反抗を抑圧するだけの暴行・脅迫を加えた場合に強盗罪が成立します。

成立に必要な3つの要素は以下のとおりです。

  • 暴行または脅迫:相手が反抗できない程度の有形力の行使・害悪の告知が必要。軽く突き飛ばす程度では強盗罪が成立しない場合がある
  • 反抗抑圧:暴行・脅迫が、相手の反抗を抑圧するに足りる程度であること
  • 財物の奪取:他人の財物を自己または第三者の支配下に移転させること

これらの要件のいずれかが欠ける場合、窃盗罪・恐喝罪・暴行罪として処理される可能性があり、これが弁護活動の重要な争点になります。

強盗罪・窃盗罪・恐喝罪の違い

強盗罪と類似する犯罪との違いを正確に理解することが、弁護方針を立てる上で重要です。

罪名暴行・脅迫の程度財物取得の方法法定刑
強盗罪反抗を抑圧する程度(強度)相手の意思に反して奪取5年以上の拘禁刑
恐喝罪反抗を抑圧しない程度(軽度)相手が畏怖して交付10年以下の拘禁刑
窃盗罪なし相手の意思に関係なく取得10年以下の拘禁刑

暴行・脅迫の「程度」が強盗罪と恐喝罪・窃盗罪の分岐点です。

弁護士はこの程度を争うことで、強盗罪から恐喝罪・窃盗罪への変更を目指すことができます。罪名が変わると法定刑が「5年以上の拘禁刑」から「10年以下の拘禁刑」に下がり、執行猶予がつく可能性が大きく広がります。

強盗罪の種類と法定刑

強盗罪の種類一覧

罪名条文法定刑成立の典型例
強盗罪刑法236条5年以上の拘禁刑暴力で財布を奪う
事後強盗罪刑法238条5年以上の拘禁刑万引き後に発覚して店員を暴行
昏睡強盗罪刑法239条5年以上の拘禁刑睡眠薬を盛って財物を奪う
強盗致傷罪刑法240条前段無期または6年以上の拘禁刑強盗中に被害者を負傷させた
強盗致死罪刑法240条後段死刑または無期拘禁刑強盗中に被害者が死亡した
強盗・強制性交等罪刑法241条無期または7年以上の拘禁刑強盗と性犯罪が結びついた場合

強盗致傷・強盗致死罪(刑法第240条)

強盗の機会に被害者・第三者を負傷・死亡させた場合に成立します。故意がなく「偶然けがをさせてしまった」場合でも成立するため、強盗行為があった段階でこれらの罪に問われるリスクがあります。

強盗致傷罪の法定刑は「無期または6年以上の拘禁刑」、強盗致死罪は「死刑または無期拘禁刑」と、日本の刑事犯罪の中でも最も重い部類に入ります。被害者の怪我の程度・死亡との因果関係を争うことが弁護活動の重要な論点となります。

事後強盗罪(刑法第238条)

窃盗の犯人が、財物を取り返されることを防ぐため・逮捕を免れるため・罪跡を隠滅するために暴行・脅迫を行った場合に成立します。

万引きを行った後、店員に捕まりそうになって突き飛ばした場合などが典型例です。「万引きに暴行が加わっただけ」と軽く考えがちですが、強盗罪と同等の厳しい処罰を受ける点に注意が必要です。

強盗罪で執行猶予はつくか

原則として執行猶予は難しい

拘禁刑を言い渡される場合、執行猶予がつくためには「3年以下の有期拘禁刑」が条件(刑法第25条)ですが、強盗罪の最低刑は「5年以上の拘禁刑」です。

そのため通常の強盗罪では、法律上の減軽(刑法第68条)または裁判官の裁量による酌量減軽(刑法第66条)がなければ、執行猶予はつきません。

酌量減軽で執行猶予がつくケース

以下のような事情が複数認められた場合、酌量減軽によって拘禁刑3年以下まで刑が軽くなり、執行猶予がつく可能性があります。

  • 被害額が極めて少額、または財物の奪取に至らなかった(未遂)
  • 被害者との示談が成立し、被害者が寛大な処罰を求めている
  • 初犯で前科・前歴が一切ない
  • 暴行・脅迫の程度が軽微だった
  • 計画性がなく突発的・偶発的な犯行
  • 深い反省と具体的な再犯防止策がある

執行猶予が認められる条件や期間・取り消しリスクについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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実際の傾向

強盗罪で執行猶予がつくケースは少数であり、特に被害者に怪我を負わせた場合(強盗致傷罪)は、執行猶予はほぼ期待できません。

それでも弁護活動によって、実刑期間の短縮(求刑から1〜4年の減刑)は十分に目指せます。弁護士は「執行猶予の可能性」と「実刑になった場合の刑期短縮」の両面から弁護方針を立てます。

逮捕後の手続きの流れ

段階内容期間目安
逮捕現行犯・逮捕状による身柄拘束最大48時間
検察官送致(送検)警察から検察へ事件を引き継ぐ逮捕から48時間以内
勾留請求・決定検察官が裁判所に勾留を請求送検から24時間以内
勾留拘置所・警察署での身柄拘束最大20日間(延長含む)
起訴強盗罪はほぼ全件公判請求逮捕から最大23日以内
公判(裁判)強盗致死・致傷は裁判員裁判の対象数ヶ月〜1年以上
判決有罪・無罪・量刑の決定

強盗罪で接見禁止がつく理由と解除方法

強盗事件では、逮捕直後に接見禁止がつくことが多くあります。

接見禁止とは、弁護士以外の家族・知人との面会・手紙のやり取りを一切禁止する措置です。「共犯者との口裏合わせ」「証拠隠滅」のリスクが高いと判断された場合に裁判官が認めます。

接見禁止がついている場合でも、弁護士はいつでも接見できます。弁護士への依頼が、逮捕直後の「家族との唯一のつながり」を作る手段となります。

また弁護士は、接見禁止の一部解除申立を行うことができます。「家族との面会のみ許可する」旨の申立が認められれば、面会が可能になります。

取調べで身を守るために重要な黙秘権の正しい使い方や注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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強盗罪で弁護士にできること

被害者との示談交渉

示談成立は強盗罪の量刑を左右する最重要要素です。特に「被害者が処罰を求めない」という宥恕条項を含む示談書が締結できれば、裁判官の量刑判断に大きくプラスに働きます。

ただし強盗事件の被害者は精神的なダメージが大きく、直接の謝罪・交渉を強く拒絶するケースも少なくありません。

弁護士が被害者側の代理人と交渉することで、本人が直接接触できない状況でも示談を進めることができます。強盗事件では被害者への接触が禁じられていることも多いため、弁護士を通じた交渉が唯一の手段となります。

示談が不可能な場合でも、被害弁償の意思を示す「供託」によって裁判所に誠意を示すことができます。

刑事事件における示談の重要性や示談金の相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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罪名の争い(窃盗罪・恐喝罪への変更)

「暴行・脅迫の程度が反抗を抑圧するに至らなかった」「財物奪取の故意がなかった」などの事情がある場合、罪名を窃盗罪(10年以下の拘禁刑)や恐喝罪(10年以下の)として争うことができます。

罪名が変わると法定刑が大幅に下がり、執行猶予がつく可能性が生まれます。

弁護士は防犯カメラ映像・目撃者証言・被告人の供述を精査し、暴行・脅迫の「程度」を法的に分析して主張を構築します。

事後強盗罪においては、「逃走目的の暴行ではなく、偶発的に相手に触れてしまった」という事実関係の争いも有効な手段です。

量刑の軽減・情状弁護

示談が成立しない場合でも、被告人の反省の態度・更生可能性・家族の支援体制・被害弁償の意思(供託)を詳細に立証することで、求刑より短い実刑期間を目指します。

強盗致傷罪で求刑8〜10年のところを5〜6年に減刑できた事例もあります。

弁護士は被告人の生い立ち・生活環境・犯行に至った経緯を丁寧に掘り起こし、情状酌量を求める「情状弁護」を裁判で展開します。再犯防止プログラムへの参加・依存症治療の開始なども、情状として効果的です。

早期釈放・接見禁止解除・保釈申請

強盗事件は勾留が長期化しやすく、起訴後も保釈が認められにくい類型です。弁護士は準抗告・勾留取り消し申立によって早期釈放を目指し、起訴後には保釈申請を行います。

特に強盗罪の保釈は証拠隠滅・逃亡のリスクを理由に却下されやすいため、弁護士が接触遮断措置の誓約書・家族の監督誓約書などを整備した上で、詳細な保釈申請書を作成することが重要です。

また接見禁止の解除申立によって、家族との面会実現を並行して目指します。

保釈金の相場や保釈申請の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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よくある状況と対応例

ケース①:窃盗との境界が争点になり罪名変更が認められたケース

▶ 状況
コンビニで万引き中に店員に腕をつかまれ、振り払って逃走した30代男性。事後強盗罪として逮捕。本人は「逃げようとして振り払っただけで、傷つける意図はなかった」と主張。

▶ 対応
弁護士が防犯カメラ映像を精査し、振り払いの動作が一瞬かつ軽微であることを確認。「相手の反抗を抑圧する程度の暴行には当たらない」として検察官に窃盗罪への変更を求める意見書を提出。被害弁償と謝罪で示談を成立させた。
→ 結果:窃盗罪として起訴。初犯・示談成立の事情で執行猶予付き判決(拘禁刑1年6月・執行猶予3年)。強盗罪のまま起訴されれば実刑が避けられない事案だった。

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

ケース②:強盗致傷罪で示談成立により大幅な減刑が実現したケース

▶ 状況
20代男性。深夜に路上で通行人に暴行し財布を奪い、被害者が転倒して全治2週間の怪我を負った。強盗致傷罪として起訴。検察側の求刑は拘禁刑8年。家族が「できる限り刑期を短くしたい」と相談。

▶ 対応
弁護士が被害者と複数回交渉。精神的苦痛に寄り添いながら誠実な謝罪と慰謝料・治療費の弁償を提示し、宥恕条項付きの示談書を締結。初犯・深い反省・家族の監督体制・具体的な就労計画を情状として詳細に立証した。
→ 結果:拘禁刑5年(求刑8年)。示談成立と情状弁護の相乗効果で3年の減刑を実現した。

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

ケース③:共犯として逮捕されたが共謀を否認し軽い罪名で解決したケース

▶ 状況
40代男性。強盗事件の共犯として逮捕されたが、「現場には居合わせたが強盗計画を知らなかった」と一貫して否認。主犯格の供述では共謀が主張されていた。

▶ 対応
弁護士がLINEのやり取り・行動記録を精査し、事前の共謀がないことを示す証拠を収集。主犯格の供述の信用性を詳細に弾劾する意見書を提出し、一貫した供述を維持するよう接見で指導した。
→ 結果:強盗罪の共犯は不成立。現場での行為のみ器物損壊罪として認定され、略式命令(罰金30万円)で終結。

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

ケース④:被害者が示談拒否のケースで供託と情状弁護に全力を注いだケース

▶ 状況
30代男性。強盗致傷で起訴。被害者が「絶対に示談しない」と意思を明確にしており示談交渉は不可能な状況。実刑は避けられないが、できる限り刑期を短くしたいと家族が相談。

▶ 対応
示談に代わる弁償の意思を示すため供託を実施。依存症専門クリニックへの通院・カウンセリング受講を即座に開始し再犯防止の具体的取り組みを立証。家族5名の監督誓約書・職場の継続雇用誓約書を提出した。
→ 結果:拘禁刑6年(求刑10年)。被害者の示談なしで4年の減刑を実現。情状弁護の充実が大きく貢献した。

※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。

強盗罪に関するよくある質問(FAQ)

Q. 強盗未遂でも逮捕されますか?

A. はい。強盗未遂罪(刑法第243条)として逮捕される場合があります。

財物を実際に奪えなかった場合でも、暴行・脅迫を行った段階で未遂が成立し、強盗罪に準じた重い刑が科せられます。

「奪えなかったから大丈夫」という認識は誤りです。

Q. 強盗罪で示談すれば不起訴になりますか?

A. 強盗罪はほぼ全件起訴されるため、示談が成立しても不起訴になることはほとんどありません。

ただし示談は量刑に大きく影響し、執行猶予・刑期短縮の可能性を高めます。「不起訴は難しいが、示談によって結果は大きく変わる」という点を弁護士とともに正確に理解することが重要です。

Q. 強盗致死罪では死刑になりますか?

A. 強盗致死罪の法定刑は「死刑または無期拘禁刑」です。

すべてのケースで死刑になるわけではなく、量刑は事件の態様・被告人の背景・被害者への弁償状況・弁護活動の内容によって決まります。

弁護士は無期拘禁刑への減刑・死刑回避を目標に情状弁護を徹底的に行います。

Q. 家族が強盗で逮捕された場合、いつ面会できますか?

A. 強盗事件では逮捕直後に接見禁止がつくことが多く、弁護士以外の一般面会は制限されます。

ただし弁護士はいつでも接見できます。まず弁護士に依頼し、弁護士から状況を伝えてもらうことが最初のステップです。

弁護士が接見禁止の一部解除申立を行うことで、家族との面会が可能になる場合があります。

Q. 裁判まで何ヶ月かかりますか?

A. 強盗致死・強盗致傷は裁判員裁判の対象事件になる場合があり、準備に時間がかかります。

起訴から判決まで6ヶ月〜1年以上かかるケースが多く、共犯が複数いる事件では1年を超えることもあります。その間の保釈申請も弁護士が対応します。

Q. 強盗罪の保釈は認められますか?

A. 強盗罪は「短期1年以上の拘禁刑に当たる罪」(権利保釈の例外)に該当するため、保釈が認められにくい類型です。

ただし裁量保釈の申請は可能であり、弁護士が接触遮断措置・家族の監督誓約・居住地確定などを詳細に準備した上で申請することで、保釈が認められる場合があります。

まとめ:強盗罪は速やかな弁護士依頼が最重要

強盗罪は法定刑が非常に重く、逮捕後の早期対応が将来を大きく左右します。特に「被害者との示談」「罪名の争い」は弁護士が早期に動かなければ実現が難しい活動です。

強盗事件対応のポイントをまとめます。

  • 即日の弁護士依頼:逮捕当日の弁護士介入が最善の結果につながる
  • 被害者との示談が最重要:示談成立が量刑軽減・執行猶予獲得の最大要素
  • 罪名の争い:窃盗・恐喝罪への変更で法定刑を大幅に下げられる可能性
  • 情状弁護の充実:示談なしでも供託・治療・家族支援で求刑から大幅減刑を目指せる
  • 接見禁止解除・保釈申請:家族との連絡再開・身柄解放も弁護士が対応

「強盗罪で逮捕された」「家族が逮捕された」という場合は、早い段階で弁護士にご連絡ください。初回相談は無料、24時間受付しています。

刑事事件の弁護士相談については、こちらをご覧ください。

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