不倫で慰謝料を請求されたらどうする?弁護士が教える拒否・減額のポイントと対処法

最終更新日: 2024年11月08日

不倫で慰謝料を請求されたらどうする?弁護士が教える拒否・減額のポイントと対処法

  • 不倫の慰謝料を請求され悩んでいる
  • 不倫で慰謝料を請求されたが減額できないか
  • 身に覚えがない不倫に対して慰謝料を請求されている

突然、不倫の慰謝料を請求されれば、身に覚えがあった場合はもちろんのこと、全く身に覚えがなかったとしても、慌てて、焦ってしまうのではないでしょうか。

不倫の慰謝料は、不倫をされたと主張する本人からの請求だけでなく、最初から弁護士が請求をしてくることもあります。また、請求方法も、手紙(内容証明郵便)や電話、メールなど多様です。

では、突然、不倫の慰謝料を請求されてしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

そこで今回は、不倫に関する事件を多数取り扱っている弁護士が、実際に不倫の慰謝料請求を受けてしまった場合の対処法について、徹底的に解説いたします。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 不倫相手の配偶者に精神的苦痛を与えたならば慰謝料を請求される
  • 不倫の慰謝料を減額や拒否できるケースもある
  • 不倫の慰謝料を請求されても安易に応じず、まずは弁護士に相談する

不倫慰謝料に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

弁護士 南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部卒業
京都大学法科大学院卒業
大阪市内の総合法律事務所勤務
当事務所入所

詳しくはこちら

不倫で慰謝料を請求された!その理由は?

あなたの不倫が原因で、不倫相手の配偶者に精神的苦痛を与えたならば、慰謝料を請求される理由となり得ます。

不倫により精神的苦痛を受け、平穏かつ円満に夫婦生活を送る権利が侵害されたと主張し、あなたに慰謝料請求を行う場合があります。

あなたが不倫を行い、慰謝料を請求されても仕方がないと感じたら、請求を無視せず今後の対応方法について検討する必要があるでしょう。

一方、次のようなケースも想定されます。

  • 請求者の夫または妻と親しく付き合っていたが、キスも肉体関係にも至っていない
  • 付き合っていた男性または女性が、まさか結婚していたとは知らなかった
  • やむにやまれぬ事情で肉体関係を持った 等

このような場合は、安易に慰謝料請求へ応じず、請求者側へあなたの言い分を伝えた方がよいです。

請求された不倫の慰謝料を減額や拒否できるケース

慰謝料を請求されたあなたにやむを得ない理由があったならば、慰謝料の減額・拒否ができる場合もあります。

自分の力だけで解決を図ろうとせず、法律の専門家である弁護士に相談し、サポートを得た方がよいでしょう。

肉体関係がない

慰謝料を請求した人の「勘違い」であった場合は、その旨を率直に伝えましょう。

請求者の配偶者とあなたが仕事の同僚で、たまたま2人が営業している現場を撮影されてしまう場合もあります。

このような誤解があったならば、どのような状況で撮影されたのかを詳しく説明した方がよいでしょう。

一方、あなたが請求者の配偶者と親しく付き合っていたものの、キスも肉体関係にも至っていない場合は、不倫とは認められないか、慰謝料の大幅な減額が可能です。

<肉体関係がなかったため慰謝料が少額になった判例>
不倫相手との肉体関係までは認められなかったものの、夫は不倫相手に数万円程度のプレゼントを何回か送り、数日旅行に出かけ、妻(原告)は精神的苦痛から精神安定剤を服用していたという事案があります。妻は精神的苦痛を理由に、不倫相手へ慰謝料を請求しました。本事案で裁判所は被告である不倫相手に、慰謝料10万円の支払いを命じています(東京簡易裁判所平成15年3月25日判決)。

たとえ夫婦生活の平穏を害する事実があったとしても、肉体関係がなければ、少額の慰謝料にとどまるケースが多いといえます。

不倫だと知らなかった

交際していた相手に配偶者がいたと知らなかった場合、基本的に慰謝料請求を拒否できます。

たとえば、交際相手に「自分は未婚だ。」「独り身なんで外食ばかりだ。家庭の味が恋しい。」等と告げられれば、独身者であると信じてしまうでしょう。

また、既婚者であると告白されなかった、2人のデートや宿泊は交際相手宅からずっと離れた場所だった等のように、交際相手が既婚者である事実に気付く状況でなければ、慰謝料を支払う必要はありません。

相手の夫婦関係が不倫より前に破綻していた

不倫関係になる前、交際相手とその配偶者の夫婦関係が破綻していた場合、慰謝料請求を拒否できます。

なぜなら、不倫で害される夫婦関係はすでにないので、平穏かつ円満に夫婦生活を送る権利が侵害されたと認められないからです。

夫婦関係が破綻しているか否かは、次の事情を考慮し判断されます。

  • 夫婦がすでに別居している
  • 離婚協議を開始している
  • 夫婦の肉体関係の有無 等

ただし、夫婦関係の破綻を決める判断基準が法定されていくわけではありません。実際は夫婦の事情を踏まえ、ケースバイケースでの判断になります。

自分の意思ではない場合

あなたの自由意思で不倫関係になったわけではない場合、慰謝料請求を拒否できます。

自由意思とは強制(例:脅迫や暴行)を伴わず、自分が主体に考えることを指します。

脅迫や暴行を伴うのは次のようなケースが該当します。

  • 自分の弱みを握られ周囲に暴露しないのと引き換えに、性行為や性交類似行為をした
  • 相手の暴力を受け、やむを得ず性行為や性交類似行為をした

このような場合、自由意思で相手と肉体関係を持ったとはいえません。

不倫の慰謝料を請求された場合に押さえるべきポイント

これまで説明してきたように、場合によっては、不倫の慰謝料を請求されたとしても、これに応じる必要がないこともあります。

では、実際に不倫の慰謝料請求を受けた場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、不倫の慰謝料を請求された場合に押さえるべきポイントについて以下の3つを解説します。

  • 慰謝料請求を放置・無視しない
  • 支払わなくてもよいケースかどうか確認する
  • 請求された金額の妥当性を確認する

それでは、1つずつ解説します。

放置・無視しない

慰謝料の請求は、基本的には、不倫相手の配偶者本人からか、その配偶者から依頼を受けた弁護士からの請求が想定されます。

請求の方法にも特に定めはなく、口頭での請求や電話での請求、郵便物(内容証明郵便など)での請求が考えられます。

手紙は自宅に届くことが原則ですが、場合によっては勤務先などに配達されることもあります。

たとえば、突然、電話で慰謝料の請求を受けた場合、動揺した状態で相手からの質問に回答してしまうおそれがあります。

手紙での請求であっても、内容が気になったり、腹が立ったり、怖くなったりして、手紙の差出人に電話連絡をしたくなるかもしれません。

しかし、何よりも大切なのは、落ち着いて請求の内容を確認・検討することです。手紙であれば、一度、内容をじっくりと読み直してみてください。

電話の場合でも、すぐに具体的な回答をするのではなく、期限を決めて折り返すなど約束をするといった方法をとるべきです。

ただ、相手方の心情にも配慮し、誠意のある対応を心がけることは大切です。

慌てて応対をすることは避けるべきですが、慰謝料請求を放置したり、無視したりすることも、やってはならない対応の一つです。

慰謝料請求を無視することで、本来であれば減額や分割での支払を交渉するチャンスがあったにも関わらず、これを逸してしまい、裁判での解決によらざるを得ないおそれもあります。

また、何より、不倫で精神的なダメージを負った当事者からの請求を無視するのですから、不誠実な対応であると受け取られてしまい、対立がより深まってしまうことも懸念されます。

慰謝料請求のときに、期限が設定されることも多いため、この期限も踏まえたうえで、相手方に応答することは非常に重要です。

支払わなくてもよいケースかどうか確認する

まずは、あなたが法的責任を負うのかどうか検討する必要があります。 法的責任がない場合には、当然、慰謝料を支払う理由はありません。

慰謝料を払わなくてもよい場合に該当するのか否かの検討が必要です。

しかし、本人が実際にこれを判断するのは困難でしょう。 請求を受け取った場合には、迅速に弁護士に相談することをおすすめします。

請求された金額の妥当性を確認する

もしあなたに法的責任があり、慰謝料を請求された場合、その請求額を全額支払う必要があるのでしょうか。

不倫の慰謝料請求事案は、裁判実務上、多くの事例の集積があり、慰謝料を算定するときに考慮される事情や要素についても言及されています。

たとえば、不貞期間、不貞の回数・頻度、婚姻期間、不貞発覚による別居・離婚の有無、夫婦間の子どもの有無、不貞行為発覚後の対応等が、慰謝料を検討するときの要素として指摘されています。

あなたの事件と全く同じ事件は存在しませんが、これらの要素を考慮したうえで、類似の事例から、裁判実務上認められるであろう慰謝料額を想定することは可能です。

実際に請求を受けた金額が、裁判実務上認められ得る金額なのか、それよりも高額な請求がなされているのか、見定めたうえで、回答の内容を決めることが重要です。

請求された不倫の慰謝料の支払い

ここまで不貞慰謝料を請求された場合には、決して放置をすることなく、内容を吟味したうえで、回答する必要があることをお伝えしてきました。

では、検討をした結果、一定額の慰謝料を支払う必要があるものの、そのお金を準備できない場合には、どうすればよいのでしょうか。

  • 妥当な金額に向けて減額交渉を行う
  • 一括での支払が難しい場合には、分割での支払を希望する
  • 慰謝料を支払うのは示談書を取り交わしてから!

妥当な金額に向けて減額交渉を行う

請求された金額が相場よりも高い場合、まずは減額交渉を行います。

請求側としても、相場より高い金額を請求するときは、一定の減額交渉がなされることを見越している可能性が高いです。

相場を踏まえ、また相手方の感情にも配慮しつつ、提案をしましょう。

具体的な金額や交渉方法については、専門的な知識や技術も必要になるので、弁護士に委ねることも重要です。

一括での支払が難しい場合には、分割を希望する

いわゆる「相場」と言われる金額を、一括では支払えない場合もあるでしょう。

その場合には、分割での支払を提案することになります。

分割の内容にもよりますが、請求側も、合理的な内容で支払を受けられるのであれば、裁判などを回避するために、分割での提案を受け入れる場合も多くあります。

あまりに長期の分割の提案しかできない場合には、実際に十分な経済力がないことを説明できれば、請求側の納得を得られる可能性が高いでしょう。

たとえば、給与明細や1か月の家計収支を示す方法などがあげられます。

支払うのは示談書を取り交わしてから

では、慰謝料の金額や支払の方法が決まれば、すぐに慰謝料を払ってしまってもよいのでしょうか。

早く事件から解放されたいという思いで、すぐにお金を払おうとする方もいるかもしれません。

しかし、ここでも焦るのは禁物です。お金を支払う前に、示談書や合意書といった書面を取り交わすことが極めて重要です。

示談書には、慰謝料の金額や支払の時期、支払の方法を記載するだけでなく、その他の条件(たとえば、接触禁止や、口外禁止、求償権の処理について)も記載することが一般的です。

その中でも、清算条項と呼ばれる条項が重要です。名前のとおり、「清算」をする条項で、今後はこの不倫の件について、お互いに権利や義務を負うものではないという趣旨を記載します。

これによって同じ不倫の事件について、追加で金銭の請求を受けたとしても、もう事件は解決済みで清算されていると反論し、請求を跳ねのけることが可能です。

示談書を取り交わしたら、記載された支払期限までに、必ず慰謝料を支払いましょう。

なお、現金を交付するのであれば領収書を、振込をするのであれば振込の明細などの保管が必要です。

万が一、支払がされていないとのトラブルが起きた場合にも、これらの書類があれば、適切に支払をしたことを証明できます。

不倫で慰謝料を請求された後の流れ

あなたが不倫で慰謝料請求されたならば、慌てずに弁護士へ相談し、アドバイスやサポートを受けながら、冷静に対応していく必要があります。

離婚や不法行為の問題解決に実績豊かな弁護士を選びましょう。

弁護士への相談

慰謝料請求された後、なるべく早く弁護士に相談し、最善の対応を検討していきましょう。

弁護士は不倫で慰謝料請求された現状を詳しくヒアリングし、次のようなアドバイスを提供します。

  • 実際に不倫をしたかどうかの確認
  • 慰謝料請求後の対応手順を説明
  • 示談交渉の必要性
  • 示談交渉決裂後の裁判手続きの流れ 等

離婚や不法行為に関する協議・裁判へ実績豊かな弁護士を選ぶ場合、まず法律事務所のホームページを確認しましょう。

  • 離婚や不法行為をはじめ民事関連の相談実績が、具体的に掲示されている
  • 離婚や不法行為問題の解決事例や、解決手順・弁護士費用の目安を明示している

このような内容が確認できたなら、民事関連の問題に強い弁護士と判断できます。

示談交渉

あなたが不倫を自覚しているのであれば、示談で解決を図れるよう弁護士と話し合いましょう。

示談が成立すれば、裁判で争わずに迅速な問題解決が行えます。

弁護士が代理人となれば、あなたに代わり慰謝料を請求した相手側と交渉します。示談で決めるのは次の内容です。

  • あなたが不倫を謝罪し、配偶者とは二度と会わない・不倫を行わない旨
  • 示談金(和解金)の金額、支払方法
  • 配偶者と再び不倫をした場合のペナルティ
  • 今後、お互いに今回の不倫問題を蒸し返さない旨

あなたと相手が示談内容に合意したら、弁護士は示談書を作成し、当事者が内容を確認後、署名・捺印します。

裁判手続き

示談で合意できなかった場合のみならず、交渉も経ずにいきなり裁判を起こされる可能性もあります。

損害賠償(慰謝料)請求訴訟を起こされた場合、弁護士はあなたの立場にたって主張・立証を行います。

あなたの不倫の証拠を原告(慰謝料を請求した側)が持っていれば、あなたに不利な状況となるでしょう。

しかし、弁護士は最後まであなたのために弁護を行い、慰謝料を減額できるよう尽力します。

不倫で慰謝料を請求されたら早急に弁護士への相談を

不倫の慰謝料請求を受けた場合の対処法について解説しました。

突然の請求に戸惑うことがあるかと思いますが、まずは落ち着いた対応を心がけてください。また、請求の内容が妥当なものなのかどうか、どのような交渉をすればよいのかわからない等のお悩みも出てくるでしょう。

不倫問題に悩んだら、この分野の経験が豊富な春田法律事務所にまずは無料相談してみてください。

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