ギャンブル癖のある配偶者と離婚したい!借金の返済義務や慰謝料について解説

最終更新日: 2023年07月04日

  • ギャンブル癖のある配偶者と離婚したい
  • 配偶者の借金がある場合は返済しなければならないのか?
  • 離婚するときは返済義務や慰謝料などを含めて、弁護士に相談すべきなのか?

パチンコやカジノなどのギャンブルに依存した結果、仕事もせず借金を抱えてしまうことは珍しくありません。結婚後に配偶者が日頃からギャンブルにのめり込んで、家族にまで影響を及ぼしている場合、離婚を決意することもあるでしょう。

そこで、多数の離婚問題を解決へと導いてきた専門弁護士がギャンブル癖のある配偶者と離婚する場合についてと、借金の返済義務や慰謝料などを解説していきます。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • ギャンブル癖を理由にした離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
  • 配偶者が個人的に作った借金に関しては、他方の配偶者に返済する義務はない
  • 離婚するときは、慰謝料や養育費に関する公正証書の作成も含め、離婚問題の経験が豊富な弁護士に相談した方が良い

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

ギャンブルを理由に離婚できる?

パチンコやスロット、競艇や競馬などに持っているお金をすべてつぎ込んでしまう配偶者に嫌気がさして離婚を決意することもあるでしょう。ギャンブルを理由にして離婚は可能なのでしょうか。ここでは、ギャンブルを理由に離婚する場合について下記の2つを解説します。

  • 夫婦で離婚に合意しているか
  • 裁判離婚では法定離婚事由があるか

夫婦で離婚に合意しているか

離婚する方法には、協議離婚・審判離婚・調停離婚・裁判離婚の4つの種類があります。このとき、夫婦で離婚に合意しているかどうかによって離婚手続きの進め方が異なります。

協議離婚の場合、配偶者が離婚に合意していることが前提です。協議離婚は離婚話を持ちかけて、相手が同意し、役所に離婚届を出せば離婚が成立します。

一方、配偶者が離婚に合意していない場合は離婚調停を行います。さらに、話し合いが難航して調停で離婚が不成立となれば、裁判所が調停に代わる審判により離婚を命ずることがあり、これを審判離婚といいます。さらに、次のステップとして裁判離婚の手段を取ります。

裁判離婚では法定離婚事由があるか

最終手段である裁判離婚は、裁判所に離婚を認めてもらうために、法定離婚事由を立証する必要があります。配偶者のギャンブルを理由とする場合、法定離婚事由としては、悪意の遺棄や婚姻を継続しがたい重大な事由が挙げられるでしょう。

悪意の遺棄とは、夫婦の同居・協力扶助義務を果たさず、婚姻関係を破綻させる行為のことをいいます。

悪意の遺棄になる例としては、ギャンブルにのめり込み生活費を渡さない場合や、健康であるにもかかわらず職につかず生活費を渡さないなどの場合が当てはまります。また、ギャンブルによって自宅に戻ってこないケースも該当します。

そして婚姻を継続しがたい重大な事由には、ギャンブルにより生活を圧迫したり、ギャンブルが高じて犯罪行為をしたりする場合などが挙げられます。ギャンブルを日常的にしていたとしても生活を圧迫しない場合は、当てはまらない可能性があるため注意が必要です。

ギャンブル癖が原因で離婚!借金の返済義務はどうなる?

配偶者がギャンブルで作った借金を返済していくのに苦労して、離婚へと踏み出す方もいるでしょう。離婚後も自分に借金の返済義務があると、生活苦から逃れられなくなってしまいます。

ここでは、ギャンブル癖のある相手に借金があったときに返済しなければならないのかを詳しく解説します。

自己都合の借金には返済義務はない

配偶者が個人的に作った借金に関しては、他方の配偶者に返済する義務はありません。夫婦関係を継続するために必要な金銭ではないためです。

たとえば、一方の配偶者が趣味で釣り道具を大量に購入した場合、他方の配偶者は返済しなくても問題ありません。婚姻生活を円滑にするために不必要なものに関しては、返済する義務がないためです。

生活のための借金は返済義務がある

夫婦が日常生活を送るために必要な費用の借金は、離婚したとしても夫婦で返済する義務を負います。民法では、婚姻生活を継続するために必要な費用は、夫婦は連帯して責任を負わなければならないと考えるためです。

たとえば、夫婦で生活するための、食費・光熱費・家電製品を購入する費用などが該当します。また、被服費や家賃、子どもの養育費・学費・医療費などを工面するために借り入れた借金があれば、離婚したとしても返済しなければなりません。

夫婦で生活を営むために必要な費用のための借金は、夫婦で返済しなければならないことを理解しておきましょう。

ギャンブル癖が原因で離婚!慰謝料や養育費はもらえる?

離婚の原因が配偶者のギャンブル癖にあった場合、慰謝料や養育費は請求できるのでしょうか。ここでは、ギャンブル癖が原因で離婚した場合にもらえる金銭について詳しく解説します。

慰謝料

配偶者の行動が不法行為と判断された場合は、慰謝料を請求できます。不法行為とは、他人の権利や利益を侵害したり、損害を与えたりする行為です。故意や過失により配偶者に損害を与えると該当する恐れがあります。

たとえば、不法行為としては不貞行為・DV・モラハラ・多額の借金などが挙げられます。ギャンブル癖のある配偶者が過大な借金を作ったり、暴力を振るったりすると不法行為に該当する可能性があります。

配偶者の態度が不法行為だと認められた場合、被害を受けた側は慰謝料を請求できる可能性があるでしょう。

養育費

ギャンブルが理由で離婚した場合で、配偶者に借金があったとしても養育費は請求できます。養育費は子どものために使われる費用です。仮に配偶者がギャンブルで借金を抱えている場合や、自己破産していた場合であっても、養育費は請求可能です。

養育費の金額は、双方の収入や子どもの人数・年齢によって異なります。裁判の場合は、養育費算定表を基準に決められることが多いでしょう。

夫婦で養育費の話し合いを行うときには、強制執行条項を記載した公正証書を作成することをおすすめします。公正証書があれば、支払いが滞ったときに、配偶者の給料や財産を差し押さえることも可能になるためです。適切な手続きを取っておくことにより、不払いのリスクを回避できます。

ギャンブル癖が原因で離婚するときの注意点

ギャンブル癖が原因で離婚するときには、下記の3つに注意する必要があります。

  • 連帯保証人になっていないかを確認する
  • 慰謝料を払ってもらえない恐れがある
  • 子どもに借金が相続される恐れがある

連帯保証人になっていないかを確認する

配偶者にギャンブルで作った借金がある場合、自分が連帯保証人になっていないかを確認しておきましょう。連帯保証人は返済責任を逃れることができず、本人に代わって返済を行わなければなりません。

連帯保証人になっていると、婚姻関係ではなくなったとしても、解除することは基本的にできません。たとえば、相手の借金やローンの連帯保証人になっていた場合、元夫や元妻の借金の支払いが滞ると返済を求められてしまいます。

慰謝料や養育費を払ってもらえない恐れがある

ギャンブル癖のある配偶者と離婚するときには、慰謝料や養育費を払ってもらえない恐れがあるため、対策を講じておくことをおすすめします。離婚時には、話し合いで決めた財産分与や慰謝料、養育費については公正証書に残しておきましょう。

慰謝料を分割払いにしていた場合、突如支払ってもらえなくなることも考えられます。その後、支払いを促したとしても滞ることもあり得るでしょう。不払いが起こったときには、公正証書があれば、裁判を提起しなくとも相手の財産や給料を差し押さえることができます。

協議離婚をするときにも、離婚条件を離婚協議書にまとめるとともに公正証書として書類に残しておきましょう。

子どもに借金が相続される恐れがある

ギャンブル癖のある配偶者と離婚するときに注意したいのは、子どもに借金が相続されることです。夫婦が離婚したとしても、子どもは親の相続人であることに変わりありません。

たとえば、夫婦が離婚した後に借金を抱えた夫が亡くなった場合、子どもが資産だけではなく、負債も相続します。多額の借金を負うことにより、子どもが返済に苦労することになるかもしれません。

相続放棄や限定相続などの方法を取ることで、借金の返済を逃れられる可能性があります。早めに弁護士へ相談を行い、適切な手続きを進めましょう。

まとめ

本記事では、離婚問題に詳しい専門弁護士が、ギャンブル癖のある配偶者と離婚する場合についてと、借金の返済義務や慰謝料などを解説しました。

配偶者のギャンブルにより離婚を行うことは可能ですが、離婚の手続きの種類によっては法定離婚事由が必要です。また、離婚する場合に借金の返済義務が生じるケースもあるため、注意しなければなりません。

ギャンブル癖のある配偶者との離婚を考えたときには、慰謝料や養育費に関する公正証書の作成も含め、自分に有利な状況へと進めるためにも、離婚問題の経験が豊富な弁護士に相談しましょう。

離婚に強い弁護士はこちら

離婚のコラムをもっと読む

※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。