誘拐で捕まるとどうなる?逮捕の可能性に対して加害者がすぐにすべきこと
最終更新日: 2023年09月13日
- 誘拐事件で逮捕されてしまった、黙秘するだけで罪を免れるだろうか
- 誘拐事件で逮捕された後、どのような手続きが進められるのか知りたい
- 不起訴や減刑を望むが、それにはどのような方法をとるべきか
何からの目的・理由で誘拐事件を起こしてしまう場合もあるかもしれません。しかし、誘拐事件で有罪とされたら重い刑罰を受ける可能性があります。
たとえば、身代金目的で誘拐事件を起こしたら、無期懲役の判決が下るおそれもあります。
そこで本記事は、数多くの誘拐事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、誘拐で捕まる可能性が高い状況や誘拐で捕まった後の流れ、弁護士のサポートを受ける有効性について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 誘拐事件の発覚は、行方不明者届などの提出や目撃者からの通報が想定される
- 誘拐事件で逮捕された状態で何もしなければ、逮捕された本人は益々不利となる
- 弁護士のサポートを受ければ、不起訴処分や減刑の可能性が高くなる
誘拐で捕まる可能性が高い状況
誘拐は他人を騙し・誘い出して連れ去る行為です。連れ去った相手方が助けを求めなければ、誘拐で捕まらないと考える人がいるかもしれません。
しかし、次のようなケースで誘拐が発覚し、逮捕される可能性があります。
行方不明者届などの提出
家族の行方不明者届や被害届提出、告訴で刑事事件化するケースが考えられます。
たとえば、SNS等で家出をしたい未成年と知り合い、言葉巧みに自分の支配下へおいたならば、その未成年者が警察等に助けを求める可能性は少ないかもしれません。
しかし、「親とは疎遠なので、自分がいなくなっても心配しない」という相手の言葉を信じて連れ出したものの、家族から行方不明者届等が提出されるケースはあります。
当然、未成年を連れ出した本人には誘拐の嫌疑がかけられます。
警察は聞き込み調査、防犯カメラの解析等を駆使し、被害者の足取りを調べ、被疑者の特定を進めます。誘拐の被疑者が特定されれば、警察から逮捕されるでしょう。
目撃者による通報
誘拐・略取の場面を目撃した第三者の通報により、逮捕されるケースも考えられます。
たとえば、自分と同じくらいの年齢の相手を略取(暴行や脅迫して連れ去り)し、自分の支配下においた場合、「たとえ連れ歩いても、周りからは恋人同士としか思われないだろう。」と安心するかもしれません。
しかし、連れまわされている相手の友人がたまたま通りかかり、不審に思って警察に通報、誘拐が発覚する可能性もあります。
通報を受けた警察は、被害者を保護するとともに、誘拐の被疑者を逮捕することになります。
誘拐で捕まった後の流れ
誘拐事件で逮捕された後は、警察から取り調べを受け、送検、勾留、起訴または不起訴、刑事裁判に進みます。
自分が不利とならないよう、都合の悪い事実は黙秘したいものです。しかし、逮捕された本人が黙秘しても、捜査や手続きは進められていきます。
また、誘拐の罪を犯したという事実が証拠上明らかな場合、黙秘を続けると非常に不利となるでしょう。
ただし、弁護士に弁護を依頼すれば、早期に解放されるか、不起訴処分になる可能性があります。
逮捕・取り調べ
まず警察官は、次の手順で被疑者に説明します。
- 逮捕した被疑者へ犯罪事実についての要旨を説明
- 弁護人を選任できる旨を伝える
- 弁解の機会を与え、弁解録取書を作成
警察官は被疑者の逮捕期間中も、被疑者の取り調べを行い、被害者を誘拐した経緯等を詳しく聴きます。取り調べをしたら供述調書が作成されます。
なお、被疑者が逮捕前に弁護士を選び(私選弁護人)、弁護の依頼をしていれば、逮捕の直後でも弁護士を呼び、今後の対応を相談できます。
逮捕時は、自分のスマートフォンやパソコンは取り上げられてしまいますが、警察官に弁護士(私選弁護人)を呼んでもらえます。
もちろん、逮捕の報告を受けた被疑者の家族が、弁護士に依頼しても構いません。
送検
警察官は、被疑者の留置が必要と判断したら、被疑者の身体を拘束してから48時間以内に、検察官へ送致する手続きをとります(送検)。
その後、検察官は、送検された被疑者に弁解の機会を与えなければなりません。
検察官から引き続き被疑者の身柄拘束が必要だと判断された場合、被疑者の勾留を裁判官に請求します。
ただし、請求には次の両方の条件を満たす必要があります。
検察官が被疑者の送致を受けたときから24時間以内
最初に被疑者が身体を拘束されたときから72時間以内
なお、弁護士(私選弁護人)は、被疑者が証拠隠滅を図らず逃走もしないと、警察や検察に主張することが可能です。
弁護士の主張が認められれば、早期の解放が期待できます。
勾留
検察官の勾留請求を受け、裁判官は被疑者に勾留質問を行った後、勾留の当否を審査します。
被疑者に誘拐の罪を犯した疑いがあり
- 罪証(証拠)隠滅のおそれ
- 逃亡のおそれ
- 住居不定
のいずれかがある(考えられる)場合、裁判官は勾留状を発付します。
勾留期間は基本的に10日間です。ただし、やむを得ない事情があれば検察官の請求で、裁判官が更に10日間以内の勾留延長を認めるケースもあります。
つまり、最長20日も身柄を拘束される可能性があるのです。
弁護士は裁判官に対しても、勾留は不要である旨を主張し、できるだけ早い被疑者の解放を目指します。
起訴・不起訴
原則として勾留期間中に、検察官は、起訴・不起訴の判断をしなければなりません。
検察官は誘拐の被疑事実について、様々な証拠に基づき、有罪判決を得られる見込みが高いならば、原則として起訴を決めます。
しかし、誘拐に関する罪は親告罪であるため、加害者と被害者が示談をした場合、被害者側は被害届や告訴を取り下げてしまうでしょう。
その場合、検察官は加害者を不起訴処分とする可能性が高いです。
裁判
検察官が起訴する場合、裁判所に起訴状を提出し、公訴を提起します。そして刑事裁判が開始され、誘拐に関する罪で有罪となるか、無罪となるかが判断されるのです。
なお、被疑者は起訴されると「被告人」と呼ばれます。
刑事裁判が開始されても、弁護士は最後まで被告人の立場にたって、無罪または減刑を得るための弁護を行います。
誘拐で捕まる前に今すべきこと
誘拐で逮捕された場合、加害者本人や家族に大きな影響が出てしまうのは避けられません。
逮捕される前に、真摯に罪を認め、次のような対応を検討しましょう。
弁護士への相談
自分の犯した罪を後悔し、反省しているならば、弁護士に相談し今後の対応を検討します。
弁護士であれば警察や検察への対応も熟知しています。また、弁護士は被害者との示談を提案します。
示談が成立すれば、被害者側は被害届を取り下げるので、警察の捜査を中断させられる可能性もあります。
罪を認める
警察への自首を検討しましょう。もちろん、弁護士が付き添っても構いません。
自首をして、しっかり反省している態度を警察に示せたなら、警察側が誘拐の証拠隠滅や逃亡のおそれは無いと判断して、逮捕されない可能性もあります。
たとえ刑事裁判になっても、自首を理由に減刑されるかもしれません。
示談交渉
示談交渉は逮捕される前でも可能です。ただし、加害者本人が直接被害者と交渉するのは極めて困難です。
弁護士が示談交渉を行えば、法律の深い知識や経験から、冷静に話し合いを進めます。
交渉のときは、加害者側の主張の他に、被害者の状態等も踏まえ、示談に応じそうな金額・条件を提示し、被害者側の合意を引き出す努力が行われます。
被害者側との合意に達したら、示談書が作成されます。
示談書には、示談金額および支払方法や期日の他、被害者が警察署で被害届の取り下げ、事件の口外をしない等、取り決めた内容を明記します。
示談書の内容を双方がチェックし、署名・押印すれば完成です。
加害者・被害者の間で示談となっているならば、警察も捜査のために、加害者の逮捕までは行わない可能性が高いです。
誘拐で捕まる可能性があるなら弁護士にご相談を
今回は多くの誘拐事件に携わってきた刑事事件の専門弁護士が、誘拐事件で逮捕された場合の手続きの流れ、逮捕される前に行うべき対応等を詳しく解説しました。
誘拐事件の被害者は、多くの場合、心に大きな傷を負っています。そのため、加害者は示談金を支払うだけでなく、真摯に反省し、誠心誠意の謝罪が必要です。
誘拐事件を引き起こしたら、弁護士のアドバイスやサポートを受けながら、早期の問題解決を目指してみてはいかがでしょうか。