立ち退き料はいくらもらえる?迷惑料や休業補償も?

最終更新日: 2024年01月29日

いくら貰える?立ち退き料の計算方法

・立ち退きを求められたけど立退き料はもらえるの?
・ネットで家賃の6か月分が立ち退き料の相場って見たけど本当なの?
・立ち退き料の計算方法や相場があるなら知りたい

自宅、店舗、事務所を借りていたところ、物件の建て替えなどを理由に大家から立ち退きを求められるケースがあります。このような場合に補償として立ち退き料を貰えることをご存じの方も多いでしょう。

しかし、いくら貰えるのか、立退き料の計算方法は法律にも書いてありませんので疑問を解消できずにいる方もおられるのではないでしょうか。

今回は、立ち退き問題の専門弁護士が立退き料の算定方法や相場について解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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立ち退き料はいくらもらえる?まずは基礎知識

立ち退き料がいくら貰えるのかを知るためには、立ち退き料について最低限の基礎知識は知っておいた方が良いでしょう。そこで、以下簡単に説明します。

立ち退き料とは?

立ち退き料とは、退去してもらうために賃貸人が賃借人に支払うお金で、補償や迷惑料の意味合いがあります。

つまり、引っ越し費用や移転先の礼金や仲介手数料の補償、移転先の家賃が高くなる場合の補償、移転の迷惑をかけることの迷惑料、慰謝料などを含むものです。

立ち退き料が貰える理由

では、なぜ賃借人はこのような立ち退き料が貰えるのでしょうか。実は、法律には立ち退き料を支払いなさいとか、支払ってもらう権利があるということは書いていません。

賃借人を保護するために、借地借家法は賃貸借契約を終了させるためにはそれを正当とする事由がなければならないと定めています。この正当事由は賃貸人・賃借人それぞれの物件使用の必要性、賃貸借の従前の経緯、物件の現況などの事情から判断されます。

しかし、これらの事情だけで正当事由が認められることは少なく、大半のケースでは立ち退き料の支払いによる補完があって初めて正当事由が認められます。

このように多くのケースでは立ち退き料を支払わなければ賃貸借契約を終了させるための正当事由が認められないことから、賃借人は立ち退き料が貰えるのです。

立ち退き料はいくらもらえる?計算方法について

次に、立ち退き料はいくら貰えるのか、その計算方法について解説します。

立退き料の計算方法といっても数字を代入すれば算出されるような計算式が法律に定められているわけではなく、下記のような各種項目の金額を考慮して事案ごとに妥当と考えられる立ち退き料の金額が柔軟に判断されています。

引っ越し費用

まず引っ越し費用はいかなる立ち退きでも発生します。立ち退きをしなければ支出が不要な費用ですから立ち退きを料として補償してもらうことになります。

一般的な住居であれば10万円から30万円ほどに収まるケースが多いでしょう。一方、店舗やオフィス、倉庫、工場などになると移転費用は莫大になりますから、立ち退き料の予算が十分でないと賃貸人は立ち退きを実現することは難しいでしょう。

仲介手数料、礼金

次に、仲介手数料や礼金などの引っ越し先、移転先の契約に要する費用も立ち退き料に含まれます。

ただし、敷金や保証金は退去時に戻って切るのが原則ですから、通常は立ち退き料の計算において考慮されません。

差額賃料

差額賃料とは現在の物件の賃料と移転先の賃料との差額です。近時、家賃相場は上昇していますので、10年以上など長く借りていた場合には現在の家賃相場よりも相当安い賃料であり、移転先の賃料と大きく差があるかもしれません。

このように立ち退き、移転によって高い家賃を払うことになるため、その差額賃料の補償も立ち退き料の計算に含めることが多くあります。ただ、ずっと補償し続けるわけにはいきませんので、概ね1年から3年分の差額賃料が補償になることが一般的です。

以上の引っ越し費用、仲介手数料と礼金、差額賃料を合わせた金額が立ち退き料の最低金額として参考にされることがよくあります。

迷惑料、慰謝料

立ち退きに伴う迷惑料や慰謝料を裁判所が考慮することはありませんが、交渉においては、これらを調整要素として考慮して立ち退き料の金額を計算することはよくあります。

実際、大家都合での立ち退きを求められる賃借人には多大なストレス、負担をかけますので、迷惑料や慰謝料という名目で立ち退き料を計算しますと賃借人の理解を得られやすいでしょう。

休業補償

住居の場合は問題になりませんが、店舗など事業のテナントの場合には休業補償が問題になります。

立ち退きによる移転の期間、営業をすることができず売上、利益が減ることの補償も立ち退き料に含めて計算するのが通常です。経営状態によってはこの休業補償も多額になることがあります。

立ち退き料はいくらもらえる?相場について

ここまでで立ち退きの基礎知識から計算の考え方までを見てきました。では、実際に立ち退き料はいくら貰えるのか、相場はどれくらいなのか。具体的な数字を挙げて説明します。

住居の立ち退き料

一般的な住居の場合には、100万円から200万円が立ち退き料の相場です。もちろん、あくまで相場ですからケースによって300万円になることもあれば、80万円くらいになるケースもあります。

事業用物件の立ち退き料

一方、店舗やオフィス、倉庫など事業用物件の場合には、ビジネスの内容によって立ち退き料は大きく異なりますので相場を示すことは不可能です。ただ、先ほどの住居の立ち退き料よりは高い水準になることが普通であり、ケースによっては数千万円の立ち退き料になることも少なくありません。

まとめ

以上、立ち退き料の基礎知識やいくら貰えるのか、相場について説明をしました。

立ち退き料は交渉次第で貰える金額が大きく異なってきます。弁護士費用をかけても専門弁護士に交渉を依頼した方がメリットは大きいケースが多いですから、まずは立ち退き料の専門弁護士に相談をしてみましょう。

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