詐欺罪で懲役刑に?量刑や弁護士に相談するメリットを解説
最終更新日: 2023年09月13日
- 詐欺罪に問われたら、どのような刑罰に処されるのか
- 詐欺罪となる行為にはどのようなものがあるのか
- 詐欺罪で逮捕されたとき、弁護士はどのような弁護活動を行うのか
詐欺罪とは、他人を騙してお金や財産を取得、または第三者に提供させる行為を対象とした犯罪です。
詐欺罪で有罪となったら、最悪の場合は10年の懲役刑が言い渡される可能性があります。有罪判決の内容によっては、詐欺を行った本人・家族に重大な影響が及ぶおそれもあるのです。
そこで今回は、数多くの詐欺事件に携わってきた専門弁護士が、詐欺罪で有罪となった場合の刑罰、弁護士に相談・弁護活動を行ってもらうメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 詐欺罪は最長10年の懲役刑で、罰金刑は法定されていない
- 詐欺罪の量刑を裁判官が決めるとき、行為態様の悪質性と、結果の重大性が重視される
- 詐欺罪で逮捕されても、弁護士に弁護活動を依頼すれば不起訴や減刑となる可能性がある
詐欺は懲役刑になる?量刑は?
詐欺には「オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」や「ワンクリック詐欺」等、新たな詐欺が続々と登場しています。
詐欺の中でも、特殊詐欺(架空請求等)や保険金詐欺は悪質性が高いと判断され、初犯でも実刑になる可能性が高いとされています。
こちらでは詐欺罪の法定刑・量刑についてみていきましょう。
詐欺罪の法定刑
詐欺罪は他人からお金を騙し取ったり、または第三者に提供させたりする行為を対象とした犯罪です。
詐欺罪で有罪となれば「10年以下の懲役に処する」と刑法に明記されており、罰金刑には処されません(刑法第246条)。
したがって、検察官により起訴されると、無罪にならない限り、実刑判決または執行猶予付き判決のいずれかが言い渡されます。
量刑で重視されること
2021年(令和3年)の詐欺の認知件数は33,353件と、前年より2,885件増加しています。また、2021年の検挙件数は16,527件(前年より+1,257件)で、検挙率は49.6%となっています。
そのうち、刑事裁判で第一審における有期刑(懲役・禁錮)科刑状況(3年以下・3年を超える科刑状況)は、3,351件中、2年以上3年以下の科刑が1,701件と最も多くなっています。
執行猶予付き判決は3年以下の懲役刑が対象となるため、そのほとんどのケースに執行猶予が付きそうに思われるでしょう。
しかし、詐欺罪の場合は、裁判官が量刑を決めるとき、行為態様の悪質性と、結果の重大性を重視します。
中でも、特殊詐欺や保険金詐欺は悪質性が高く、3年以下の懲役刑であっても実刑判決を受ける可能性が高いのです。
実際に、2年以上3年以下の科刑を受けた1,701件の内、569件が実刑を言い渡されています。詐欺を行った約30%の加害者には、執行猶予を認めない判決が下っています。
詐欺罪で懲役刑となりうる手口
詐欺の手口は非常に種類が増えています。以前から問題となっている詐欺事件もあれば、意外な犯行も詐欺事件として扱われています。
こちらでは、様々な詐欺の手口をみていきましょう。
特殊詐欺
特殊詐欺は、電話・はがき・封書等を利用し詐欺を行う者と対面しない形で、親族や公務員等と名乗り被害者を信じ込ませ、金銭を騙し取る手口です。
お金の受け渡しは、主に銀行やコンビニのATMを使った送金、レターパック等が使用されています。
最近様々な種類の詐欺が登場しています。
- オレオレ詐欺(振り込め詐欺)
- 架空請求詐欺
- 還付金等詐欺
- 融資保証金詐欺
- ギャンブル必勝法詐欺
- 異性との交際あっせん詐欺 等
いずれも特殊詐欺と呼ばれる手口です。
保険金詐欺
交通事故・不慮の事故などを装い、虚偽の報告を保険会社に行い、保険金を騙し取る行為です。
故意に交通事故を起こし、自ら負傷したり、身内を死亡させたりする等、重大な結果を起こしたうえで保険金請求を行います。
詐欺行為なのか、本当に事故が起きたのか、区別がつき難い巧妙な手口であり、非常に悪質な詐欺行為とされています。
結婚詐欺
結婚を前提に、相手方からお金を騙し取る詐欺が「結婚詐欺」です。こちらも財産を騙し取る、または財産上不法の利益を得ることにより成立する犯罪です。
「結婚を約束したのに、彼が他の人を好きになってしまった」「結婚すると約束していたのに、彼がなかなか結婚しようとしない」というような理由では、財産を騙し取るに当たらないため、結婚詐欺には該当しません。
借用詐欺
「〇年〇月〇日までに返済するから、お金を貸してほしい」等、最初から返すつもりは無いにもかかわらず嘘をいい、金銭貸借を装い、金銭を騙し取る手口です。
たまたま返済が遅れただけでは借用詐欺になりませんが、民事的な金銭トラブルとの区別がつかない厄介な詐欺と言えます。
無銭飲食・無賃乗車
飲食店等で飲食しお金を払う段階で、「財布を忘れてしまった」等と嘘を言って、支払いを免れる行為は詐欺罪の1つです(無銭飲食)。
同じような手口ですが、目的地に到着すればお金を支払うように装い、タクシー等を利用した上で、精算時に支払いを免れる行為も詐欺罪に該当します(無賃乗車)。
また、安い運賃の切符を購入して電車に乗車、目的地で降車のときは定期券等の切符を使い、途中の運賃支払いを免れる行為(キセル乗車)も、詐欺の手口の1つです。
詐欺罪で懲役刑にならずにすむための方法
特殊詐欺等が社会問題になっている背景もあり、マスメディアは詐欺罪そのものにも非常に関心を持っている状況と言えます。
そのため、詐欺の被疑者として逮捕された場合、実名報道されるおそれがあるのです。
したがって、詐欺罪を犯した人も、身に覚えがない人も、不必要な報道や処分・科刑を免れるために迅速な対応が必要となります。
再犯の恐れがないことを主張する
詐欺罪を犯したときは、再犯の恐れがなく、懲役刑の実刑を受ける必要もないと主張しましょう。
検察官が、逮捕した被疑者は再犯のおそれが高く処罰の必要性があると考えたときは、起訴される可能性があります。
そのため、被疑者は再犯のおそれを断ち切ることを示す具体的な行動に移らなければなりません。たとえば、特殊詐欺の受け子として組織的犯行に加担していた場合は、その詐欺グループと明確に絶縁することです。
絶縁するためには、まず信頼できる身元引受人の確保が大切です。身元引受人とは被疑者の日常生活を指導・監督する人を指します。
身元引受人は、同居している家族が理想的です。家族に適任者がいない場合は、親戚、知人等に依頼してもよいでしょう。
しかし、これまで他人を騙してきた被疑者の主張は、警察や検察から信用されない可能性があります。
そのため、自分の主張を代弁する「弁護士」にサポートしてもらう方が、成功する確率は確実に上がるでしょう。
被害者と示談する
被害者との示談交渉がうまくいけば、被害届等を取り下げてもらい、検察官に示談は成立している旨を主張できます。
示談が成立した事実や、加害者が真摯に反省し、捜査によく協力した等の事情を考慮し、検察官が不起訴処分を決める可能性もあります。
ただし、加害者が直接被害者に示談を働きかけても、騙されたという怒りと不信感で、示談交渉に応じないケースが多くあります。
被害者に交渉へ応じてもらえるよう、何らかの対応をとる必要があります。
無実の場合は否認する
無実であるにもかかわらず、詐欺罪で捕まった場合は否認を貫く必要があります。
たとえば借用詐欺の場合、借りた人の詐欺か民事的な金銭トラブルかは、明確な区別がつかず、借りた人と貸した人との解釈に大きな隔たりが生じている可能性もあります。
警察官の取り調べの勢いに負け、行ってもいない罪を自白したのでは、自分自身にとって取り返しのつかない事態となりかねません。
身に覚えが全く無く無実の罪で逮捕された人は、刑事事件に詳しい弁護士を立てて、徹底して無罪を主張していきましょう。
詐欺罪の懲役刑などについて弁護士に相談するメリット
詐欺を行い逮捕されそうだと感じたら、逮捕前に弁護士へ相談し、弁護を依頼した方がよいでしょう(私選弁護人)。
また、相談前に逮捕されても、家族から弁護士に依頼する方法もあります。なるべく早く弁護士のサポートが得られれば、不起訴や減刑となる可能性も高くなります。
被害者との示談交渉を依頼できる
弁護士は被害者との示談交渉に尽力します。
加害者との示談を拒否していた被害者でも、弁護士との示談交渉には応じる場合があります。
弁護士は被害者の被害金額や心情を考慮し、示談条件・示談金額を提案します。被害者が内容に合意したならば、合意書を取り交わし示談成立です。
検察官は示談成立と、示談書に記載された「被害者は加害者を許す。」という文言、加害者の反省している点等を考慮し、不起訴処分を決定するかもしれません。
また、たとえ検察官から起訴されたとしても、情状が酌量され刑事裁判で執行猶予付き判決を受ける可能性もあります。
取り調べの受け答えについてのアドバイス
逮捕前に弁護士へ弁護活動を依頼していれば、たとえ逮捕されても私選弁護人として逮捕直後から面会が可能です。
今後の刑事手続きの流れ、どのような対応を進めていくかについて弁護士から説明します。
もちろん警察官の取り調べに対して適切な返答をする方法も聴けるので、弁護士の指示に従えば、慌てずに受け答えができます。
逮捕後すぐに弁護活動を始める
自分が逮捕された場合、弁護士はまず早期釈放するよう捜査機関に働きかけます。
弁護士は逮捕された本人(被疑者)の勾留請求を防ぐため、身元引受人・出頭の誓約書等を用意し、逃亡や証拠隠滅のおそれはないと主張します。
この弁護士の釈放要求が認められれば、すぐ自宅に戻れます。
ただし、早期に釈放されても詐欺罪が免責されたわけでは無いので注意しましょう。 その後、示談交渉がうまく進まず、被疑者が反省していない、捜査に非協力的と捜査機関から判断されたら、検察官から起訴され実刑判決を受ける場合もあります。
加害者本人は油断せず、真摯な謝罪と捜査へ積極的に協力し、最善の対応を弁護士と共に進めていきましょう。
まとめ
今回は多くの詐欺罪事件に携わってきた専門弁護士が、詐欺罪の法定刑・量刑や手口、弁護士を立てる有効性等について詳しく解説しました。
詐欺は、他人に暴力を振るったり、恐怖により財物を奪ったりする犯罪ではありません。しかし、他人を騙しその財物を得ようとする卑劣な犯罪です。
詐欺は世間の人々の注目を集める社会問題であり、実名報道はもちろん、実刑判決を受けやすい犯罪と言えるでしょう。
詐欺罪に問われたら、速やかに弁護士へ相談し、最善の対応策を検討してみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。