離婚調停が不成立になった場合の弁護士費用:状況別の対応と節約ポイント
最終更新日: 2025年02月14日
離婚調停が不成立になった場合、弁護士費用はどうなるのでしょうか?
弁護士に依頼して離婚調停を行ったものの、不成立に終わってしまった場合、弁護士費用を支払う必要があるのか、不安に感じる方は多いでしょう。
調停の成立には相手の同意が不可欠であり、話し合いが依頼者にとって有利に進んでも、相手が和解に応じなければ調停は不成立となります。
そこで今回は、多くの離婚問題に携わってきた弁護士が、調停不成立時の弁護士費用の取り扱いについて、注意点や費用を抑える方法と併せて詳しく解説します。
離婚調停不成立の場合の弁護士費用はどうなる?
離婚調停で和解が成立するとは限りません。
調停が不成立となった場合、弁護士費用を支払う必要があるのかどうか、気になる方もいるでしょう。
調停不成立の主な理由
調停不成立となるのは、夫婦の一方が離婚を頑なに拒否し、離婚に同意しない場合です。
調停不成立となった場合、夫婦の関係修復を目指して話し合いを続けるか、裁判で解決を目指すかは当事者の判断に委ねられます。
調停の代理人として弁護士を立てていた場合、依頼者の弁護士費用がどうなるのか、不安を感じる方は多いでしょう。
弁護士費用
弁護士に依頼した場合、離婚調停が不成立でも費用は発生します。
弁護士費用は主に着手金、成功報酬金、その他費用(日当など)に分けられます。
どのような弁護士費用が設定されているかは、法律事務所の規定や契約書で確認しましょう。
法律事務所のホームページで弁護士費用について詳しく紹介している場合もあります。気になる方は、契約前に離婚調停が不成立になった場合の弁護士費用の取り扱いを確認しておきましょう。
離婚を希望していた場合の調停不成立時の弁護士費用
弁護士費用は、基本的に「着手金」「成功報酬金」「その他費用(日当など)」の3種類です。
調停が不成立となっても、支払いが必要な弁護士費用があることに注意しましょう。
着手金
弁護士に調停の代理人を依頼するときに、必ず支払わなければならない費用です。
着手金の相場は44〜66万円です。協議離婚の段階から弁護士に依頼していれば、すでに支払った着手金分を控除する法律事務所もあります。
着手金は一括払いが基本です。調停が成立しても不成立でも、返金されないので注意しましょう。
成功報酬金
調停が成立した場合に弁護士に支払う費用です。
次のようなケースの場合は、基本的に支払う必要はありません。
- 離婚を目指して話し合ったが、相手が同意しなかったため調停不成立となった
- 調停委員の和解案に、夫婦いずれも納得できず、裁判に移行することになった。
成功報酬金の相場は、解決した内容によって異なります。
- 離婚:約11~55万円
- 親権:約11~55万円
- 面会交流:約11~33万円
- 財産分与:経済的利益の約5.5~11%(最低約11万円)
- 慰謝料:経済的利益の約11%(最低約22万円)
- 婚姻費用・養育費:経済的利益の2年分の約11%(最低約11万円)
調停で解決したい内容によっては、「経済的利益の〇%」という形で成功報酬金が設定されているケースもあります。
成功報酬金に関しては分割払いが可能な法律事務所も多いです。
なお、成功報酬金のみの完全報酬制の法律事務所もありますが、着手金がない分、高額となってしまう場合もあるでしょう。
その他費用
着手金・成功報酬金以外にも、弁護士費用として請求される費用があります。
たとえば、日当です。契約時に日当も請求されるかどうかを確認しておきましょう。日当は、調停などのために弁護士が時間的な拘束を受けたときに発生する費用です。
調停期日への同席や出張時に請求される可能性があります。日当の相場は1日あたり約3~5万円です。
日当をどのように扱うかは契約によって異なりますが、調停不成立となった場合、着手金と同様に返金されない可能性が高いです。
法律事務所の中には、「調停期日の出席〇回までは無料、〇回以降は1日あたり〇万円」と、無料となる上限回数を設定しているところもあります。
離婚調停不成立後の弁護士費用
調停不成立となった場合に支払う必要がある費用は、主に着手金や日当です。
調停不成立の段階で離婚問題の解決を諦めてしまえば、以後、弁護士費用はかかりません。
一方、引き続き裁判(離婚訴訟)で解決を目指すケースもあるでしょう。裁判を行うときの着手金は33〜66万円が相場です。
調停の代理人であった弁護士に依頼し続けるのか、それとも別の法律事務所の弁護士を選任するかによって、弁護士費用の負担は次のように変わるでしょう。
- 調停の代理人弁護士が続投する場合:調停の着手金額分が控除される可能性があります。
- 別の弁護士に依頼する場合:新たに着手金の支払いが必要です。
離婚調停不成立時の弁護士費用の注意点
支払ったお金が調停不成立で無駄にならないか心配な人は、弁護士との契約前に弁護士費用の内容をしっかり確認しましょう。
弁護士費用の不明点や疑問点を解消してから契約を締結することが重要です。
依頼前の確認
法律事務所の中には開設しているホームページやサイトで、弁護士費用を明示しているところもあります。
ただし、ホームページに掲載されている費用はあくまで目安であり、弁護士に相談した際の見積もりと差がある場合があるので注意が必要です。
また、調停が長期化すると懸念されるのが日当の負担です。
調停期日に弁護士を同席させ、依頼者に代わって主張や証拠の提示を任せられますが、日当が約3〜5万円はかかってしまいます。
調停期日に弁護士を同席させる回数が増えれば、その分、請求される金額はどんどん増えていきます。
日当に無料対応の上限回数が設けられている場合は、上限内であれば追加費用を抑えられます。
契約書内容の確認
弁護士と相談し代理人を依頼するときは、契約書を交わします。
契約書の内容を隅々まで確認し、弁護士費用に不明な点がないか確認しましょう。
「実費」はどのように請求されるのかも確認する必要があります。
実費とは、弁護士が依頼を遂行するために実際に必要となる経費です。たとえば、通信費や印刷代、交通費、調停申立費用、収入印紙代、郵便切手代等があげられます。
実費はケースによって数万円を超える可能性もあります。弁護士費用にどのくらい実費が上乗せされるのか不安な場合は、実費の目安等を質問しておいた方がよいです。
別居や婚姻費用の支払い義務
調停が長期化し、調停不成立となると、弁護士費用の負担のほか、生活費などの費用負担も発生するため、注意が必要です。
夫婦がすでに別居している場合、毎月の生活費等の負担も考慮しなければなりません。
- 家を出て生活している側:賃貸住宅の場合は家賃、日々の生活費、子どもと同居していれば教育費など
- 家に残った側:家を出た配偶者よりも収入が高い場合は、婚姻費用の支払いなど
婚姻費用とは夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用です。たとえ別居している状態でも、夫婦には互いの生活を保持する義務があります。
そのため、収入の高い方が低い方に婚姻費用を支払わなければなりません。
婚姻費用を毎月どのくらい負担するかは夫婦の話し合いで決めます。
婚姻費用の算定には、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を参考にするのもよい方法です。
具体例をあげ、婚姻費用の月額(目安)を算定すると次の通りになります。
- 婚姻費用を支払う側:給与所得者(正社員)年収800万円
- 婚姻費用を受け取る側:給与所得者(パートタイマー)年収150万円、子1人同居(6歳)
→月額約14万3,000円
つまり、離婚成立するまで婚姻費用を支払う側は、毎月14万円以上を支払う必要があります。
離婚調停不成立時の弁護士費用の節約ポイント
調停が確実に成立するのであれば安心して弁護士費用を支払えますが、相手の同意がなければ調停は不成立となってしまいます。
調停不成立であっても、できるだけ金銭的な負担を抑えたいときは、様々な対応を検討してみましょう。
費用体系の確認
法律事務所のWebサイトで公表している、弁護士費用の費用体系をまず確認しましょう。
費用体系を参考に調停不成立となった場合、支払う必要がある費用(目安)を算定してみます。
- 着手金:約11~55万円
- 成功報酬金:不成立のため0円
- 日当:1回約3万円
- 実費:総額約2万円
調停期日が2回開かれ調停不成立となった場合、支払う弁護士費用は約19〜63万円です。
調停不成立となった場合の負担が大きいと感じるのであれば「法テラス(正式名称:日本司法支援センター)」に相談してみるのもよい方法です。
法テラスは離婚等の法律問題に悩む多くの方が、気軽に法律相談を受けられる窓口となっています(法務省所管の法人)。
法テラスでは無料相談だけではなく、経済的に余裕のない人を対象として「民事法律扶助制度」を設けています。
法テラスと提携している弁護士を代理人にすれば、調停の費用負担を抑えられ、かつ直接弁護士に費用を支払う必要はありません。
法テラスが費用を立て替え、利用者は法テラスに毎月分割返済していく形をとります(約5,000〜1万円の返済)。
ただし、利用者の収入等が一定額以下で、調停による紛争解決の見込みがあることが条件です。
少なくとも相手が離婚を嫌がり、最初から調停に出席しない旨を表明しているときは、民事法律扶助制度の利用は困難でしょう。
参考:無料法律相談・弁護士等費用の立替 | 日本司法支援センター
無料相談
法律事務所の中には、初回無料で相談を受け付けているところもあります。
初回無料相談を利用すれば、自分のニーズに合った弁護士・法律事務所か否かがわかります。
- 弁護士が質問に親切・丁寧な返答を行う
- 費用体系を詳しく説明している
- 追加費用の可能性も隠さず説明している
- 調停を有利に進めるコツをわかりやすく説明している
- 格安の「サポートプラン」が用意されている
サポートプランとは法律事務所の弁護士をアドバイザーとして利用できるプランです。費用の目安は約11万円で、サービス内容は次の通りです。
- 相談時間は3時間
- サポート期間は3か月
依頼者自身で協議や調停による解決を目指せます。たとえ和解できなくとも、大きな出費とはならないでしょう。
サポートプランから弁護士対応に切り替える場合、着手金から支払った分の費用が差し引かれる場合もあります。
離婚調停不成立時の弁護士費用が気になる方は春田法律事務所まで
今回は離婚問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、調停不成立時の弁護士費用として支払う費用・支払わなくてよい費用等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は離婚問題に強い法律事務所です。まずは弁護士と、弁護士費用についてもよく話し合ってみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。