公務執行妨害で不起訴はどうすれば獲得できる?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年09月13日

公務執行妨害で不起訴はどうすれば獲得できる?専門弁護士が解説

  • 職務質問をしてきた警察官に憤り、胸倉を掴んだら逮捕されてしまった
  • 公務執行妨害をしたらどのような刑罰を受けるのだろう
  • 逮捕されてしまったら、弁護士を立てるべきだろうか

公務執行妨害罪は、職務を行う公務員に対して、暴行または脅迫をすると成立する罪です。

公務員の職務を暴力で阻止しようとしなくても、暴言で公務員を恐怖させ職務に影響が出るおそれのある場合、本罪の成立する可能性があります。

公務執行妨害罪で有罪となったら、最長3年に及ぶ懲役刑または禁錮刑となる場合があるので注意しましょう。

そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、公務執行妨害罪の要件、弁護士にサポートを依頼する有効性等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 公務員が実際に暴力を受けなくても、公務執行妨害罪が成立する可能性はある
  • 公務執行妨害罪で逮捕された場合、どんどん刑事手続きが進んでしまう
  • 公務執行妨害罪で逮捕されたら、弁護士は不起訴・減刑のために尽力する

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

公務執行妨害とは?不起訴獲得は可能?

公務執行妨害罪とは、職務をしている公務員に対し、暴行または脅迫を加えた場合に成立する罪です。もちろん、本罪で逮捕されても不起訴になる可能性があります。

ただし、暴行または脅迫した相手が公務員だからといって、無条件に本罪が適用されるわけではありません。

公務員にあたる人は

「公務員」に当たる人とは国家公務員・地方公務員が対象です。

警察官をはじめ検察官や検察事務官、都道府県の職員、市区町村役場の職員、公立学校の教員、自衛官、消防士、刑務官等が該当します。

ただし、公務執行妨害罪で保護しているのは、公務員個人ではなく公務員が行っている「職務(公務)」です。

職務(公務)外で公務員を殴ったり、ケガをさせたりした場合、通常の暴行罪や傷害罪が適用されます。

職務とは

公務員が職務を行っていないと本罪は成立しません。

職務の内容は、警察官が行う強制力を伴う権力的な公務だけでなく、市区町村役場の職員が行う強制力を伴わない非権力的公務も含みます。

また、公務員が職務を執行中の場合だけでなく、職務の執行に着手しようとする場合、職務を終えたばかりの段階も職務に該当します。

暴行または脅迫となる行為とは

公務執行妨害罪となる「暴行」は、職務を行う公務員に対し殴る、蹴る等の公務員の身体への直接的な暴行だけではありません。

たとえば、警察官が乗車中のパトカーに投石する等、直接に公務員の身体へ加えられたものではない間接的な暴行も含まれます。

また、本罪の「脅迫」は公務員を畏怖させるのに十分な害悪の告知(例:殺す・ケガをさせる等)すべてを含み、害悪の内容や性質、告知の方法は問われません。

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公務執行妨害で不起訴にならなかった場合の法定刑

公務執行妨害罪で検察官から起訴され、有罪判決を受けた場合、3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金に処すると法定されています(刑法第95条)。

最長で3年の懲役刑または禁錮刑を受ける可能性があります。それぞれの刑の特徴は次の通りです。

  • 懲役刑:受刑者として刑事施設に収容され、強制的に労働へ従事する自由刑
  • 禁錮刑:受刑者として刑事施設に収容され、強制的な労働のない刑罰

いずれも3年以下なので、執行猶予付きの判決が言い渡される可能性はあります。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

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公務執行妨害で逮捕されるとどうなる?不起訴は目指せる?

公務執行妨害罪で逮捕されると、刑事手続きがどんどん進められていきます。

その過程で逮捕された被疑者は何らかの対応をとらないと、長期間の勾留や検察から起訴されてしまう可能性があります。

釈放される可能性もある

逮捕された本人は「被疑者」とされ、一般的に警察署で警察官から取り調べを受けます。

ただし、捜査機関から被疑者は逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断され、住所不定でなかった場合、早期に釈放される可能性があります。

逮捕された本人は早期の釈放を希望したいところですが、そのまま勾留されてしまうおそれもあるでしょう。この段階で弁護士と面会できれば、早期釈放を捜査機関に要求してもらえます。

勾留期間は最大20日間

警察は逮捕・留置した被疑者を、48時間以内に検察官へ送致します(身柄送検)。

検察官は被疑者を引き続き留置施設・拘置所に拘束する必要があると判断した場合、裁判所に勾留請求を行います。

裁判所から勾留請求が認められた場合、最長20日間も勾留されてしまう可能性があるので注意しましょう。当然、勾留期間中は自宅に戻れない状態となります。

起訴の判断がなされる

検察官が被疑者を起訴(刑事裁判にかける)か、不起訴(刑事裁判にかけない)かを決めます。

不起訴と判断されれば、被疑者は刑事裁判にかけられず、それまで勾留されていたならば身柄を解放され、有罪になる可能性もありません。

一方、起訴された場合は刑事裁判が行われ、裁判所から有罪か無罪かが言い渡されます。ただし、起訴されたら日本では99%の確率で有罪になるので注意が必要です。

起訴されると裁判が開かれる

刑事裁判に進むと被疑者は「被告人」と呼ばれます。

起訴された場合は基本的に刑事裁判が公開の法廷で行われ、裁判官が慎重に検察側・被告人側の主張を聴き、有罪か無罪かを審理していきます。

我が国の刑事裁判において、有罪判決が言い渡される可能性は非常に高いです。

しかし、被告人は犯行を真摯に反省している、被告人は捜査に協力的だった、公務員のケガ等が軽微だった、等の事情を考慮し「執行猶予付き判決」が言い渡される可能性もあります。

執行猶予とは、有罪判決による刑の執行を一定期間猶予する制度です。執行猶予の期間中(1年〜5年)は、被告人は刑務所に入らず通常の社会生活を送れます。

さらに、執行猶予の期間を無事に経過すれば、裁判官からの刑の言渡しの効力は無効となります。

公務執行妨害で不起訴を目指すときにすべきこと

検察官から不起訴処分を受ければ、刑事裁判とはならず前科も付きません。不起訴処分となる可能性を高めるには、弁護士の弁護活動が必要不可欠といえます。

こちらでは弁護士に相談し、サポートを依頼するメリット等について解説します。

すぐに弁護士に相談する

公務執行妨害罪で逮捕された場合、なるべく早く弁護士に相談した方がよいでしょう。

弁護士を私選弁護人として立てれば、逮捕直後から被疑者との面会が可能です。

弁護士と面会し、逮捕後どのように手続きが進むのか、それに対し弁護士はどのような対策ができるのか等をわかりやすく教えます。

勾留前に弁護士へ依頼できるならば、早期の釈放を要請してもらえて、すぐに自宅へ戻れる可能性もあります。

ただし、逮捕された本人は警察からスマートフォン等を取り上げられているので、弁護士を検索し依頼する方法が取れません。

この場合は、警察から連絡やニュース等の報道で逮捕を知った家族が、弁護士に相談・依頼しましょう。

一方、逮捕された本人は警察官に「国選弁護人」を呼ぶようお願いできますが、国選弁護人は自由に選べず、勾留後に選任されます。

そのため、早期の釈放は期待できない点に注意しましょう。

反省の態度を示す

被疑者本人が犯した罪をしっかり反省しなければいけません。「弁護士に任せておけば、自分は何もしなくてよい。」というわけではなく、反省の姿勢も大切です。

被疑者本人は公務執行妨害を真摯に反省し、積極的に捜査へ協力する態度を示しましょう。

弁護士の早期の対応と、被疑者本人の誠心誠意の反省・謝罪で、検察官が不起訴処分をする可能性もあります。

否認する場合は不起訴処分を求めて戦う

公務執行妨害罪での逮捕が、全く身に覚えがない場合は不起訴処分を得るため、徹底的に戦いましょう。

被害者・目撃者による犯人の特定が間違っている可能性もあります。

取り調べのとき、警察官の厳しい口調と圧力に負け、やってもいない罪を自白してしまうと、取り返しが付かない事態になるかもしれません。

ただし、弁護士を立てれば、弁護士は無罪となる証拠を懸命に探します。また、早めに弁護士と面会ができれば、無実のときの取調べ対応についても、弁護士としっかり打ち合わせができるので安心です。

まとめ

今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、公務執行妨害罪の要件、逮捕後の刑事手続きの流れ、弁護士を立てるメリット等について詳しく解説しました。

公務執行妨害罪で有罪となれば、最長3年の懲役刑または禁錮刑を言い渡される可能性があるので、決して軽い罪とは言えません。

しかし、逮捕された本人が真摯に反省し、被害者へ謝罪するとともに、問題解決へ積極的に協力すれば不起訴処分や、起訴されても執行猶予付き判決を受ける可能性があります。

公務執行妨害罪に問われたら、速やかに弁護士へ相談し、今後の対応策を検討してみてはいかがでしょうか。

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