迷惑行為は弁護士に相談すべき!企業が押さえるべき対策や刑罰など詳しく紹介
最終更新日: 2024年01月31日
- 自社サービスが多数のネットユーザーから迷惑行為を受け困っている。
- 商品を購入したと主張する人物がいきなり会社に押しかけてきてクレームを言ってきた。今後、どのように対応すればよいのだろう?
- 企業への迷惑行為を弁護士に相談すれば、どのようなサポートが得られるのだろう?
商品を購入した・サービスを受けたと主張する人が、企業の窓口にやってきて、不満や暴言を吐くようなトラブルもあります。
また、ネット上で企業や店舗が誹謗中傷されることもあるでしょう。
そのような場合に適切な対応をとらなければ、迷惑行為はますますエスカレートするおそれがあります。
そこで今回は、迷惑行為の解決に携わってきた専門弁護士が、企業や店舗が遭遇する迷惑行為の態様や、迷惑行為の加害者をどのような罪に問えるか等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 企業や店舗が遭遇する迷惑行為としては、主に暴言や威圧的態度、脅迫、長時間の拘束等がある
- 迷惑行為の実行者は、信用毀損及び業務妨害罪、威力業務妨害罪等に問われる可能性がある
- 迷惑行為を弁護士に相談し、解決を依頼すれば、アドバイスはもちろん和解交渉や法的措置も任せられる
企業に対する迷惑行為とは?弁護士が解説
企業や店舗に対する迷惑行為は、関係者への言葉の暴力から身体的な暴力にまで発展する可能性があります。
こちらでは、想定される主な迷惑行為について取り上げます。
暴言
企業の担当者や店長・店員などへの言葉の暴力です。
次のような言葉の暴力があてはまります。
- その程度のアフターサービスか!
- 店員のレベル低すぎだろ!教育実習ちゃんとやってるのか!
- 小学生でもできることだろ! 等
身体的な暴力を受けなくても、暴言を受けた側は精神的に疲弊し、うつ病の発症や離職に至るおそれもあります。
常識を超えたクレーム
クレームとは、顧客が企業や店舗に対し、商品・サービスへの批判や不満、良品との交換、追加サービスの提供等の要求をする行為です。
クレームの中には、企業や店舗の問題点や不注意に対する正当な批判・要求が含まれている場合もあるでしょう。
しかし、次のような常軌を逸したクレームも想定されます。
- 1日に何十回も執拗に電話連絡をする
- 企業の担当者や店長・店員に物を投げつける、暴力を振るう 等
このような問題行動はクレームと区別し、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」ということもあります。
威圧的な態度
暴言や暴力を行わなくても、「客である自分が無条件に偉い」と思い込み、企業や店舗に対する不満をつのらせ、威圧的な態度をとるケースです。
次のような行動があてはまります。
- 関係者が土下座するまで帰らない
- 本社から責任者を呼ばせ、謝罪させるまで店舗に居座る 等
このような迷惑行為は企業や店舗が困るだけでなく、他の客にも不快感を及ぼします。
威嚇や脅迫
企業・店舗側を脅す行為です。
- 「SNSや口コミサイトで、企業や店舗の悪口を言いふらす」と脅す
- 「お前ら全員訴えてやる!」と威嚇する
- 「担当者や店員、その家族に危害を加える」と脅す 等
こちらの迷惑行為は、窓口だけでなく、メール、電話等、様々な方法で行われる可能性があります。
長時間の拘束
顧客が延々と話しはじめ、企業や店舗側がそれに拘束される状態です。
次のようなケースが該当します。
- 閉店時間を過ぎているのに顧客が店内で延々と立ち話を続けている
- 長時間にわたり詳細な説明を求め、質問を繰り返すなどして店員を拘束する
- 電話で何度も同じ質問をしてオペレーターが対応に苦慮する 等
企業の窓口や店舗、オペレーターが1人の客の対応だけに拘束されると、他の客の迷惑となる可能性があります。
迷惑行為に関係する刑罰を弁護士が紹介
客だからといって、企業・店舗に対する迷惑行為が許されるわけではありません。
迷惑行為をした客が、刑事責任を追及されるケースもあります。
ここでは迷惑行為をした場合、問われる可能性がある刑罰について説明します。
信用毀損及び業務妨害罪
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、企業・店舗の信用の毀損や業務を妨害した場合に適用される刑罰です。
企業や店舗、そこに従事する人達について、SNSや掲示板サイトで誹謗中傷したり、裏情報やうわさを投稿・拡散したりする行為が該当します。
本罪で有罪となれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります(刑法第233条)。
威力業務妨害罪
実力行使を行い、企業・店舗の業務を妨害した場合に適用される刑罰です。
企業に何回も執拗な迷惑電話をかける、毎日のように店舗へ来て抗議する等して、業務遂行に支障を与える行為が該当します。
本罪で有罪となれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります(刑法第234条)。
強要罪
企業や店舗側の意思決定の自由を脅かし、関係者の身体活動の自由を侵害した場合に適用される刑罰です。
脅迫や暴行を用いて、店員を土下座させる、企業の担当者に謝罪文を強要するなどの行為が該当します。
本罪で有罪となれば、3年以下の懲役に処される可能性があります(刑法第223条第1項)。
脅迫罪
企業の担当者・店員本人およびその親族の生命や身体、自由、名誉、財産に害を加えると告知し、脅迫した場合に適用される刑罰です。
担当者・店員等が恐怖心を抱くような内容・方法で告知した場合、脅迫罪で告訴できます。
本罪で有罪となれば、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります(刑法第222条第1項)。
暴行・傷害罪
企業の担当者・店員等に暴力を振るった場合に適用される刑罰です。
被害者が負傷したかどうかによって、問われる刑罰が異なります。
- 被害者が負傷しなかった場合→暴行罪:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料(刑法第208条)
- 被害者が負傷した場合→傷害罪:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第204条)
迷惑行為に対して企業がすべきことを弁護士が解説
客の迷惑行為があったからといって、企業や店舗が過剰に慌てれば、他の業務に影響が出てしまう可能性もあるでしょう。
迷惑行為があったときは、その内容を確認して法令等に則り冷静に対応すべきです。
詳細確認
迷惑行為の状況を対応した担当者・店員に確認します。主に次のような内容をよく確認しておきましょう。
- 迷惑行為の内容:執拗な迷惑電話か、店を訪問し店員等を長期間拘束したか等
- 企業や店舗に損害があったか:客が施設や備品を破壊したか等
- 迷惑行為に対応した従業員等が負傷したか
- 他の客に迷惑がかかったか
- 迷惑行為をした客が「また訪問する」「また電話をかける」等と再度の迷惑行為を予告したか 等
迷惑行為は1度だけにとどまらず、何回も行われ、エスカレートする可能性もあります。
次回以降の迷惑行為に備えるため、対策を協議しましょう。
冷静な対応
再度の迷惑行為に備えるため、対策を協議します。
たとえば、顧客からの執拗な電話による嫌がらせの場合は、これ以上続けると法的措置をとる等と告げ、迷惑行為をやめるよう警告します。
また、お客に殴られて店員等がケガした、店内の設備や備品が破壊されたなどの場合は、相手方に損害賠償の請求を検討しましょう。
迷惑行為が明らかに犯罪行為に該当する場合は、刑事告訴も適切な対応といえます。
弁護士への相談
顧客から迷惑行為を受けた、どのように対応すべきかわからない、法的措置をとりたいという場合、まずは弁護士に相談しましょう。
弁護士は迷惑行為の内容や企業・店舗の状況をよくヒアリングしたうえで、次のようなアドバイスを行います。
- 客の行動が迷惑行為に当たるか
- 迷惑行為に対して警告する方法
- 迷惑行為をした客と和解する方法
- 迷惑行為をした客を訴えたいときの方法
- 刑事告訴する方法 等
上記について手順やメリット・デメリットを詳しく説明します。企業・店舗側が弁護士に代理人を任せるときは、委任契約を締結しましょう。
迷惑行為を弁護士に相談するメリット
迷惑行為を弁護士に相談し、代理人を依頼した場合、弁護士は問題解決のため、依頼者の希望に沿った対応を行います。
ここでは、弁護士に相談・依頼するメリットを説明します。
事前の対策準備
これ以上の迷惑行為をされないよう、弁護士はケースに合わせた対処法を提案します。
たとえば、迷惑行為が企業や店舗側の関係者に対する暴力を伴うものであれば、次のような対策の準備に移ります。
- 依頼者に刑事告訴を行うかどうかの確認
- 刑事告訴した場合の手続きの流れの説明
- 刑事告訴するための証拠の収集:暴力を受けた店員の(医師が作成した)診断書、暴力を振るわれた画像や動画等
- 告訴状の作成
弁護士に委任すれば、告訴状の作成や証拠の収集、捜査機関との調整まで全てを任せられます。
代理交渉
企業・店舗側が相手と穏便に問題解決をしたいのであれば、弁護士は「和解交渉」を進めます。
弁護士が代理人となれば、ケースに応じた和解金(示談金)の額や、交渉の段取りを把握しているので、迷惑行為をした顧客と円滑に話し合いができます。
和解交渉のとき、弁護士は依頼者の意見を聴きつつ、次の条件を相手方と取り決めます。
- 迷惑行為をした顧客に損害があった場合は、返金、同等の物品と交換する
- 顧客が執拗な電話や店舗訪問、迷惑行為をしないと約束させる
- 顧客企業・店舗側に損害を与えていたときは、賠償金額・支払方法を決定する
- 顧客が今後迷惑行為をしたときは、企業・店舗側は訴訟や刑事告訴をする 等
和解条件がまとまったら、弁護士は和解合意書(示談書)を作成します。
慰謝料請求訴訟・刑事告訴
顧客からの迷惑行為が非常に悪質で、企業・店舗の信用、店員等に深刻な影響を与えたときは、弁護士のサポートを得て法的措置を取りましょう。
弁護士は迷惑行為をした客への賠償請求額や、どのような刑罰に問えるのかなどの点について依頼者へ詳しく説明します。
依頼者の同意のうえで、弁護士に次のような手続きの委任が可能です。
- 迷惑行為をした客に損害を賠償させたい→損害賠償請求訴訟の提起
- 刑事責任を追及したい→警察等に刑事告訴
弁護士は被害者である会社・店舗側に立って、法的措置による問題解決に全力を尽くします。
迷惑行為に関する弁護士費用
弁護士に相談・依頼する場合は、弁護士費用がかかります。
弁護士費用の額は法律事務所が自由に設定できるので、費用に差が出てきます。
弁護士費用の目安は次の通りです。
(1)着手金
弁護士に依頼する場合に必ず支払う費用です。
- 和解交渉の場合:15~20万円程度
- 訴訟の場合:20~30万円程度
(2)成功報酬
弁護士が和解を成功させ、または勝訴したときに支払う費用です。
- 和解成立の場合:20~50万円程度
- 勝訴の場合:経済的利益の10~16%程度
上記のように、成功報酬を「経済的利益の〇%」という形で設定している事務所が多いです。
迷惑行為でお悩みなら当事務所の弁護士に相談を
今回は迷惑行為の問題解決に尽力してきた専門弁護士が、迷惑行為を弁護士に相談するメリット等を詳しく解説しました。
お客様だからといって迷惑行為に目をつむれば、どんどん行為がエスカレートし、取り返しの付かない事態になるかもしれません。早期に弁護士と相談し、有効な対策を検討しましょう。
弁護士のサポートを受け、迷惑行為の解決を進めましょう。