離婚届を書いてくれない夫や妻への対処法を弁護士が解説
最終更新日: 2026年06月18日

離婚を決意したのに、相手が「離婚届に署名しない」「ハンコを押してくれない」という状況は珍しくありません。
結論からお伝えします。相手が最後まで署名を拒否し続けたとしても、離婚調停・離婚裁判という法的手続を経れば、相手の同意なしに離婚することができます。
裁判所の判決や調停調書があれば、相手の署名なしで戸籍に離婚を届け出られます。
この記事では、離婚届を書いてくれない理由ごとの対処法から、調停・裁判の費用・期間・流れ、有責配偶者(浮気した側)が拒否している場合の取り扱いまで解説します。
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離婚届を書いてくれないよくある理由
相手が離婚届の署名を拒否する背景にはいくつかのパターンがあります。理由によって有効な対処法が変わるため、まず相手の本音を把握することが重要です。
離婚条件に納得していない
財産分与・養育費・親権など、離婚の条件に不満があり、条件が整うまで署名しないケースです。
この場合、条件交渉がまとまれば署名を得られる可能性があります。
離婚したくない(修復を望んでいる)
相手がまだ夫婦関係の継続を望んでいる場合です。
話し合いで離婚の意思が固いことを冷静に伝えながら、条件面での歩み寄りを模索することが有効なことがあります。
世間体や子どもへの影響を心配している
「離婚は恥ずかしい」「子どもへの影響が心配」という感情から躊躇しているケースです。
こうした懸念を正面から受け止め、子どもの養育方針や面会交流のあり方について具体的に提案すると話が前進することがあります。
意図的に拒否して離婚を引き延ばしている
財産隠しや時間稼ぎを目的として、意図的に署名を拒否しているケースです。
この場合は話し合いの実効性が低く、早期に弁護士に相談して法的手続に移行することを検討してください。
夫や妻が離婚届を書いてくれないときの対処法
まず話し合い(協議離婚)で解決を目指す
離婚の第一歩は夫婦間の話し合いです。協議離婚は双方が合意すれば理由を問わず成立し、費用もほぼかかりません。
感情的にならず、条件面を具体的に示しながら冷静に交渉することが重要です。
協議離婚の具体的な進め方や準備すべきことについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
弁護士に交渉を依頼する
直接交渉が難しい場合、弁護士が代理人として相手方と交渉します。
弁護士が間に入ることで感情的な対立が緩和され、合意に至るケースが少なくありません。
また、仮に協議が決裂しても、そのまま調停・裁判へ移行できます。
離婚を拒否されている、
話し合いが進まない。
対応方法を弁護士に
ご相談ください。
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離婚届を書いてくれないときのNG行動
夫婦の話し合いが行き詰って焦りだし、軽率な行動をとらないようにしましょう。
こちらでは、離婚を協議するときにとってはならない行動4つについて解説します。
感情的になる
自分の主張する離婚条件が配偶者から拒否されても、冷静に話し合いを続ける必要があります。
夫婦間で口論になると、離婚の手続きがますます進まなくなります。
あくまで協議は離婚を成立させるための方法の1つと考え、うまくいかなかった場合の措置を事前に検討しておけば、焦りは感じなくなるでしょう。
相手を批判する
話し合いが進まずにいきり立ち、配偶者の過去の浮気等を掘り返すのは禁物です。
自分が容認できない離婚条件を主張する配偶者に対し、「浮気したあなたに離婚条件を語る資格はない!」と、すでに解決していた過ちを持ち出し、批判するのは避けましょう。
離婚の話し合いが行き詰っても、配偶者の過去の過ちを批判するのではなく、未来志向で話し合いを進める努力が必要です。
何度も促す
夫婦の話し合いが進まないからといって、毎日離婚について話し合いを働きかけると、配偶者はうんざりしてしまいます。
そのようなときは、まず自分が別居する等して配偶者と距離をおき、1か月に1回程度協議の場を設け、話し合いを継続した方がよいでしょう。
配偶者が自分との話し合いになかなか応じない場合は、弁護士を立てて、交渉を促す方法も有効です。
離婚届を勝手に出す
一刻も早く離婚したいからといって、離婚の合意がないまま勝手に離婚届を出しても無効です。
まして離婚届を偽造して提出すれば、次のような刑事罰を受ける可能性があります。
- 有印私文書偽造罪:離婚届の署名・押印を偽造した場合に適用、3か月以上5年以下の懲役(刑法第159条第1項)。
- 偽造有印私文書行使罪:偽造した離婚届を市区町村役場に提出した場合に適用、3か月以上5年以下の懲役(刑法第161条第1項)。
- 電磁的公正証書原本不実記載罪:市区町村役場の職員に嘘の申立をして、戸籍等へ間違った記載をさせたとき適用、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第157条第1項)。
離婚届を書いてくれないときの法的手続
相手が協議に応じない場合、以下の法的手続を段階的に進めることになります。
ステップ1:離婚調停の申立て
調停は、家庭裁判所に申立てを行い、調停委員が間に入って離婚条件を話し合う手続です。
- 申立方法:
相手の住所地を管轄する家庭裁判所に「夫婦関係調整調停申立書」と必要書類(戸籍謄本など)を提出します。自分で申立てることも可能です。 - 費用(実費):
収入印紙1,200円+郵便切手(裁判所ごとに異なるが数千円程度) - 弁護士費用の目安:
弁護士に依頼する場合、着手金は40万〜60万円程度が一般的です。また、着手金とは別に成功報酬が発生します。 - 期間の目安:
調停が成立する場合、平均3〜6か月程度。長引くと12か月以上になることもあります。 - 調停調書の効力:
調停が成立すると「調停調書」が作成されます。これは確定判決と同等の効力があり、相手の署名なしで離婚の届け出が可能です。
離婚調停の流れ・費用・必要書類については、こちらの記事でわかりやすく解説しています。
ステップ2:調停不成立→審判または離婚訴訟へ
調停で合意できない場合、次の2つの手続があります。
審判離婚
裁判官が職権で離婚を審判する手続ですが、当事者どちらかが異議を申し立てると効力を失います。
実務上は活用されるケースが限られます。
離婚訴訟(裁判離婚)
裁判官が双方の主張・証拠を審理し、判決で離婚の成否を決定します。判決が確定すれば、相手の同意は不要で離婚が成立します。
- 弁護士費用の目安:
着手金30〜60万円+成功報酬(別途) - 期間の目安:
1〜3年(争点の複雑さによる)
離婚訴訟の流れや費用・訴えられた場合の対応については、こちらの記事でまとめています。
裁判で離婚が認められる「法定離婚事由」
離婚訴訟では、以下のいずれかの法定離婚事由(民法770条)が必要です。
- 不貞行為(浮気・不倫)
- 悪意の遺棄(生活費を渡さない、家出して帰らないなど)
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由(DVや長期別居なども含まれる)
「離婚したい気持ちがある」だけでは法定離婚事由として認められません。証拠の収集・整理が重要です。
有責配偶者(浮気した側)が署名を拒否している場合
自分が浮気をした側(有責配偶者)からは、原則として離婚を請求できないとするのが従来の判例です。
ただし、
①別居期間が長期(おおむね10〜20年程度)
②未成熟の子どもがいない
③離婚により相手方が精神的・経済的に苛酷な状況におかれない
などの条件を満たす場合には、有責配偶者からの離婚請求が認められることがあります。
一方、相手が有責配偶者(浮気した側)で署名を拒否しているケースでは、不貞行為という法定離婚事由がある以上、訴訟を起こすことで離婚できる可能性が高いです。
有責配偶者(不倫した側)でも離婚を成立させるための交渉術については、こちらの記事で解説しています。
費用と期間の目安一覧
手続 | 実費 | 弁護士費用目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
協議離婚 | 離婚届用紙のみ | 依頼する場合40〜80万円 | 〜数か月 |
離婚調停 | 収入印紙1,200円+郵便切手数千円 | 50〜100万円 | 3〜12か月 |
離婚訴訟 | 印紙(財産額等による) | 60〜100万円以上 | 1〜3年 |
※弁護士費用は事案の複雑さ・依頼内容によって異なります。まずはご相談ください。
離婚調停にかかる費用の内訳や節約方法については、こちらの記事で詳しくまとめています。
よくある質問
Q:調停や裁判で離婚が成立した場合、相手の署名なしで戸籍に届け出できますか?
A:できます。調停調書または確定判決(審判書)を持参のうえ、市区町村役場の窓口に届け出れば離婚が戸籍に反映されます。
Q:弁護士なしで離婚調停を申立てることはできますか?
A:可能です。申立書の書式は家庭裁判所の窓口やウェブサイトで入手できます。
ただし、相手に弁護士がついている場合は対等な交渉が難しくなるため、弁護士へのご相談をお勧めします。
Q:相手が行方不明で離婚届が出せない場合はどうすればよいですか?
A:相手の住所が不明でも、最後の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を申立てることができます。
相手が特別送達を受け取れない場合は「公示送達」で手続を進めることも可能です。
Q:子どもがいても裁判で離婚できますか?
A:はい。法定離婚事由があれば、子どもの有無にかかわらず裁判で離婚できます。
ただし、未成年の子どもがいる場合は親権者を決める必要があるため、親権に関する主張・証拠の準備も並行して行うことになります。
Q:別居中でも婚姻費用(生活費)を請求できますか?
A:請求できます。別居後も婚姻関係が続く限り、収入が多い側は少ない側に婚姻費用を支払う義務があります。
調停申立と同時に「婚姻費用分担調停」を申立てることが一般的です。
まとめ
- 相手が離婚届の署名を拒否しても、調停・裁判を経ることで離婚できます
- 調停の実費は1,200円(収入印紙)と僅かな郵便切手のみで、弁護士なしでも申立可能です
- 裁判で離婚が認められるには「法定離婚事由」の立証が必要です
- 有責配偶者(浮気した側)が拒否している場合も、被害者側であれば不貞行為を理由に訴訟で離婚できます
- 調停調書または確定判決があれば、相手の署名なしで戸籍への届出が可能です
離婚届の拒否が続く場合、早期に弁護士へご相談ください。
交渉の段階から対応することで、調停・裁判に至らずに解決できるケースも多くあります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
職員が丁寧にお話を伺います初回無料
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