発信者情報開示請求に関する呪術廻戦の事例を徹底解説!すべきこと・対処方法も詳しく紹介
最終更新日: 2023年06月28日
- 著作権者と名乗る人から違法なダウンロードをしたと通知があった場合、どうすればよいのか
- 発信者情報開示請求の意見照会書を受けても、身に覚えがないなら無視してよいのか
- 違法アップロード・ダウンロードでトラブルとなった場合、弁護士に相談するべきか
インターネットでは現在話題の漫画やアニメ、映画等、様々なコンテンツの視聴が可能です。多くの利用者は正規の方法で日常的に視聴し、楽しんでいます。
しかし、一方で違法にアップロードされたコンテンツが多数あることも確認されています。違法と知っていても気軽な気持ちで利用したためにトラブルが起きたケースもあります。
そこで本記事では、多くの著作権問題に携わってきた専門弁護士が、「呪術廻戦」に関するトラブルを例に、適切な対応等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 違法なダウンロードをしたと通知されたら、自分や家族が疑われる行動をとっていないか確認する
- 著作権者側とトラブルとなった場合、自分1人で解決しようとするのはリスクが大きい
- 違法アップロード・ダウンロードのトラブルに関して、弁護士と対応をよく協議する
発信者情報開示請求に関する呪術廻戦の事例
人気漫画「呪術廻戦」がファイル共有に便利な「Torrent」と呼ばれるソフトウェアを使って違法にアップロードされました。そして、それらをダウンロードしたユーザーに呪術廻戦の作者である芥見下々氏名義で発信者情報開示請求の通知が送信されました。
ここでは、次の3つを取り上げます。
- 呪術廻戦とはどのような漫画なのか
- Torrentというクライアントソフトについて
- 発信者情報開示請求で何が問題となっているのか
それぞれを説明していきましょう。
呪術廻戦とはどのような漫画なのか
呪術廻戦とは、2018年から連載されている、人間の負の感情から生まれる呪霊(化け物)を呪術ではらう、呪術師達の活躍を描いたダークファンタジー・バトル漫画です。
宮城県仙台市出身の高校生・虎杖 悠仁(いたどり ゆうじ)が、両面宿儺(りょうめん すくな)という呪いの王の指を口にし、呪力を手にしたことからストーリーが展開していきます。
Torrentというクライアントソフトについて
Torrentは中央サーバーを設けないP2P方式で、BitTorrentネットワークを介し、ユーザー同士で直接ファイルをダウンロード・アップロードするクライアントソフトです。
Torrentの利用自体は合法であり、ファイル共有に便利でダウンロードが高速で行われる点にメリットがあります。
ただし、ファイルの中には著作権を侵害するような違法ファイルが含まれている可能性もあります。また、身元の特定やなりすまし被害に遭うリスクも想定できます。
発信者情報開示請求で何が問題となっているのか
Torrentを利用しているダウンロードユーザーに、呪術廻戦の作者である芥見下々氏名義で発信者情報開示請求の通知が送信され、ユーザーの一部が困惑する事態となりました。
実際に違法ダウンロードしたユーザーがいる一方、実際には違法ダウンロードをしていないユーザーに対しても通知されました。
また芥見下々氏および関係者と連絡をとりたくても、どのようにすればよいかわからない、といった声もありました。
発信者情報開示請求を呪術廻戦の作者名義で受けたらすべきこと
通知した人物が著作権を侵害された本人かどうかわからないので無視するという行動は早計です。こちらでは、突然の通知を受けた場合に確認するべき点を解説します。
書類が本物か確認
詐欺やいたずら目的で発信者情報開示請求に基づく通知のように偽った通知が送られるという可能性もあります。
著作権を侵害されたと主張する人、被害者の弁護士を名乗る人等から、違法ダウンロードや訴訟に関する通知、またはプロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書がきても、自分一人で解決しようとせず、著作権問題に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
弁護士は通知が本当に被害者やプロバイダから送られたものなのか、確認します。さらに、著作権問題に精通した弁護士であれば、有益なアドバイスを行います。
家族がやっていないか確認
たとえ自分が違法アップロード・ダウンロードを行っていなくても、家族の誰かが同じPCで違法行為を行っていた可能性があります。
また、違法とは知らずに子供が呪術廻戦の漫画を見たがって利用していたのかもしれません。自分は身に覚えがなくても、家族に利用したか否かを確認してみましょう。
そのときには冷静に家族と話し合うことが大切です。
呪術廻戦で発信者情報開示請求を受けた場合の対処パターン
被害者(著作権を侵害された側)がプロバイダに発信者情報開示請求を行った場合、プロバイダ側はIPアドレス使用者へ、発信者情報開示請求に係る意見照会書を通知します。
こちらでは、意見照会書の通知を受けた場合の対処法について解説しましょう。
身に覚えがない場合
意見照会書は開示請求を行った相手へ、情報を開示してもよいか、IPアドレス使用者本人に確認する書類です。
IPアドレスの使用者が開示を許可した場合、プロバイダ側はその同意に基づき情報を相手側に開示します。
違法アップロード・ダウンロードの身に覚えがないならば、開示の要求を拒否しても問題ありません。
ただし、仮に拒否した場合でも、拒否した本人と開示請求を行った相手方の事情も踏まえ、最終的に開示するかどうかはプロバイダ側が判断します。
また、プロバイダ側で任意開示を拒否した場合、開示請求を行った相手は裁判によって開示請求を求めることもできます。裁判所が開示するよう命じる判決を下した場合、IPアドレス使用者の情報は開示請求を行った相手に開示されます。
身に覚えがあるものの内容が事実と異なる場合
ダウンロードは行ったが、違法だとは思わなかった、という場合も意見照会書で開示を拒否することを検討することもあります。
ただし、著作権を侵害されたとする相手は、最終的に開示請求の訴えを提起する可能性があります。
情報が開示され氏名・住所を特定されたら、民事裁判の場合は拒否したことを理由に損害賠償額が増額されたり、刑事告訴されたりするおそれもあります。
このような事態とならないよう、事前に弁護士へアドバイスを求めた方がよいでしょう。
開示請求がすでに裁判手続で行われた場合は、弁護士の協力を得て自分の主張を法的書面にし、裁判所へ提出する方法もあります。
身に覚えがあり内容が正しい場合
違法アップロード・ダウンロードの事実を認め、著作権を侵害された側の主張が正しい場合、開示要求に応じ、早期に謝罪し相手方との示談を目指しましょう。
そのまま事態を放置していると、被害者(著作権を侵害された側)から告訴され、処罰を受ける可能性があります。
違法アップロード・ダウンロードに関しては、次のような刑事罰を科される可能性があります。
- 違法なアップロード:10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはそれを併科(著作権法第119条第1項)
- 違法なダウンロード:2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはそれを併科(著作権法第119条第3項)
非常に重い処罰を受けるので、弁護士をたて話し合いによる問題解決が図られるべきです。示談が成立すれば、加害者は被害者に賠償金を支払い、和解となります。
呪術廻戦などで発信者情報開示請求を受けたら弁護士に相談しよう
今回は多くの著作権問題に携わってきた専門弁護士が、呪術廻戦の違法アップロード・ダウンロードのトラブルを例に、開示請求を受けた場合の対応策について詳しく解説しました。
違法なアップロード・ダウンロードと知らずに行ってしまう場合もあるでしょう。しかし、著作権者から告訴された場合、重い刑事罰が科せられる可能性もあります。
違法アップロード・ダウンロードを疑われている、または違法と知りながら行い、著作権者とトラブルになった場合は、速やかに弁護士と対策を話し合いましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。