不倫の示談とは?示談書の作り方・金額・弁護士に頼む流れを解説
最終更新日: 2026年05月25日

配偶者の不倫が発覚したとき、「裁判にはしたくないが、きちんと解決したい」という方は多いです。そのような場合に活用できるのが「示談」です。
示談は、裁判を経ずに当事者間の合意で解決する方法であり、不倫問題の多くは示談によって解決されています。
ただし示談書の内容が不十分だと、後日「やっぱり追加で払え」「合意内容と違う」といったトラブルが起きることがあります。
本記事では、不倫の示談の意味・示談書に必要な記載事項・金額相場・弁護士に依頼するメリットを解説します。
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そもそも不倫は示談すべきか?
示談が向いている状況
不倫問題を裁判ではなく示談で解決することには、多くの場合メリットがあります。以下の状況に当てはまる方は、示談を検討する価値があります。
- 早期解決を優先したい(裁判は数カ月〜1年以上かかる)
- プライバシーを守りたい(裁判は原則公開)
- 相手がある程度誠実な態度を示している
- 証拠が揃っており交渉力がある
- 精神的・経済的な負担を抑えたい
示談より裁判が向いている状況
一方、以下の状況では示談より裁判に移行した方がよいケースもあります。
- 相手が示談を完全に拒否している
- 提示される金額が相場と著しくかけ離れている
- 一度示談したが相手が合意を守らない(示談破棄)
- 証拠が非常に強く、裁判で高額の認容が見込める
| 示談を選ぶ | 裁判に進む | |
|---|---|---|
| 相手の態度 | 誠実・交渉に応じる | 完全拒否・無視 |
| 証拠の強さ | 十分にある | さらに高額を狙える |
| 優先事項 | 早期解決・秘密保持 | 金額の最大化・公的決着 |
| 精神的負担 | 抑えたい | 覚悟がある |
※示談と裁判はどちらか一方だけという選択ではありません。示談交渉を試みた上で、まとまらない場合に裁判へ移行することもできます。
弁護士に相談しながら状況に合った方法を選びましょう。
不倫の示談とは
示談と裁判の違い
示談とは、不倫(不貞行為)によって生じた損害賠償(慰謝料)の問題を、裁判所を使わずに当事者間の合意で解決することです。
裁判では、判決が出るまでに数カ月〜1年以上かかることがあります。一方、示談は双方が合意すれば短期間で解決でき、精神的・経済的な負担も抑えられます。
| 示談 | 裁判(訴訟) | |
|---|---|---|
| 解決までの期間 | 数週間〜数カ月 | 数カ月〜1年以上 |
| 費用 | 弁護士費用のみ | 弁護士費用+訴訟費用 |
| プライバシー | 非公開 | 原則公開(傍聴可能) |
| 金額の決め方 | 当事者間の交渉で決める | 裁判官が判断 |
| 強制力 | 合意書の内容に従う(公正証書化で強制執行可) | 確定判決で強制執行可 |
| やり直し | 原則不可(清算条項があれば) | 確定判決後は原則不可 |
示談で決める内容
① 慰謝料の金額と支払い方法
示談の中心となるのが慰謝料の金額です。不倫の慰謝料相場は50〜300万円が一般的な目安で、以下の要素によって変わります。
- 離婚する場合:100〜300万円程度
- 離婚しない場合:50〜150万円程度
- 不倫期間・子どもの有無・証拠の強さによって増減
支払い方法は一括が基本ですが、分割払いにする場合は期限の利益喪失条項(分割払いを怠った場合に残金を一括請求できる条項)を入れることが重要です。
慰謝料の相場や減額交渉のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
② 接触禁止条項
示談書には、配偶者と不倫相手が今後一切接触しないことを定める「接触禁止条項」を必ず入れましょう。
接触の範囲(対面・電話・メール・SNS等)を具体的に記載し、違反した場合の違約金(例:100万円)も設定することで抑止力になります。
③ 口外禁止条項(秘密保持条項)
不倫の事実を第三者(職場・家族・SNS等)に口外しないよう取り決める条項です。
被害者側・加害者側ともに守るべき内容として双方に課す形が一般的です。違反した場合の違約金も設定しておきましょう。
④ 清算条項(蒸し返し防止)
「本示談書に定めるほか、一切の債権債務関係がないことを確認する」という清算条項は必須です。
この条項がないと、示談成立後に「やっぱり金額が少なかった」と追加請求される可能性があります。清算条項を入れることで、原則として事後の蒸し返しを防げます。
示談書の作り方と記載事項
示談書に必要な記載事項
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 当事者の特定 | 氏名・生年月日・住所 | 誰と誰の間の示談かを明確に |
| 不貞行為の確認 | いつ・誰と・どのような行為があったか | 事実確認として記載 |
| 慰謝料の金額 | 金額・支払期限・支払方法 | 分割の場合は期限の利益喪失条項も |
| 接触禁止 | 禁止する接触の範囲・期間・違約金 | SNS・LINE等も明示する |
| 口外禁止 | 禁止する範囲・違約金 | 第三者の範囲を明確に |
| 清算条項 | 「本件に関し一切の債権債務なし」 | 必須。蒸し返し防止に不可欠 |
| 合意日・署名捺印 | 作成日・署名・捺印 | 各自1通ずつ保管 |
示談書の各条項の書き方や注意点については、こちらの記事も参考にしてください。
示談書を公正証書にする必要はあるか
示談書は私文書でも法的効力はありますが、慰謝料の支払いが含まれる場合は「強制執行認諾文言付き公正証書」にすることをおすすめします。
公正証書にしておけば、相手が支払いを怠った場合に裁判を経ずに給与・預貯金を差し押さえることができます。
一方、接触禁止・口外禁止の違約金については公正証書化しても直接の強制執行はできません(金銭債権として別途請求が必要)。
公正証書化の手続きや必要性については、以下の記事でも詳しく解説しています。
示談交渉の流れ
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| ① 証拠の確認 | 不貞行為の証拠を整理・評価する | 弁護士相談時 |
| ② 弁護士への依頼 | 代理人弁護士が窓口となる | 依頼後すぐ |
| ③ 内容証明の送付 | 請求金額・接触禁止を通知する | 依頼後1〜2週間 |
| ④ 相手の回答・交渉 | 相手が弁護士を立てる場合も | 1〜4週間 |
| ⑤ 示談書の作成 | 双方合意の内容を書面化する | 合意後1〜2週間 |
| ⑥ 公正証書化(任意) | 慰謝料支払いを強制執行可能にする | 示談書作成後1〜2週間 |
| ⑦ 支払い・解決 | 合意した金額の支払いをもって完了 | 期限内 |
示談交渉の全体の手順と注意点については、以下の記事でより詳しく解説しています。
示談交渉に弁護士が入るメリット
① 感情的なトラブルを避けられる
不倫問題は感情が激しく揺れ動く場面です。本人同士が直接交渉すると、言い争いや脅迫的言動、合意内容の記録漏れなどのトラブルが起きやすいです。
弁護士が代理人として交渉することで、冷静かつ法的に有効な形で解決を進められます。
② 適正な金額で合意できる
弁護士は証拠の評価・相場・交渉戦略を踏まえた上で示談金額を交渉します。本人交渉では相場より低い金額で合意してしまうケースも少なくありません。
弁護士費用を支払っても、増額分でカバーできることがほとんどです。
③ 法的に有効な示談書を作成できる
清算条項・接触禁止条項・期限の利益喪失条項など、後日のトラブルを防ぐための条項を適切に盛り込んだ示談書を作成します。
不備のある示談書は、後から「合意は無効だ」と争われるリスクがあります。
④ 相手が無視した場合の対応もできる
相手が内容証明を無視したり、示談を拒否したりした場合、調停・訴訟への移行をスムーズに進められます。弁護士がいれば手続きが迅速です。
示談破棄・蒸し返しへの対処
示談成立後に相手が「やっぱり示談は無効だ」と主張するケースがあります。
清算条項が入っていれば、原則として追加請求はできません。ただし「詐欺・強迫による示談」「錯誤無効」などを主張される場合は、弁護士への相談が必要です。
また「接触禁止に違反した」「口外した」などの示談違反があった場合は、違約金条項に基づいて追加請求できます。
よくある状況と対応例
【ケース①:証拠あり・相手が任意に示談に応じたケース】
▶ 状況
妻の不倫が発覚。LINE履歴とホテルの領収書という明確な証拠があった。離婚はしない方針だが、不倫相手に謝罪と慰謝料を求めたかった。直接交渉は避けたかったため弁護士に依頼。
▶ 対応
弁護士が内容証明を送付。相手は弁護士介入を受けて任意に交渉に応じた。接触禁止・口外禁止・清算条項を含む示談書を作成し、慰謝料の支払いを公正証書化した。
→ 結果:慰謝料100万円・接触禁止(違反時50万円)・口外禁止の示談成立。公正証書化で未払いリスクにも備えた。
【ケース②:相手が示談を拒否したが調停で解決したケース】
▶ 状況
夫の不倫相手に内容証明を送ったが「関係を否定する」「払わない」と一切無視された。証拠はLINEのスクリーンショットのみで確実性にやや不安があった。
▶ 対応
弁護士が証拠の有効性を評価し、調停申し立てに移行。調停委員を通じて事実関係が確認され、相手も否定し続けることが難しい状況に。最終的に減額を条件に示談に応じた。
→ 結果:調停で慰謝料70万円・接触禁止の合意成立。調停調書が債務名義となり、公正証書と同等の強制執行力を持つ。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
よくある質問
Q. 示談書は自分で作れますか?
A. 形式上は自分で作成することも可能です。ただし清算条項・期限の利益喪失条項・接触禁止の違約金など、後日のトラブルを防ぐ重要な条項を漏れなく盛り込むには専門知識が必要です。
後から「あの条項がなかった」と後悔しないよう、弁護士に内容確認・作成依頼することをおすすめします。
Q. 示談した後に追加請求できますか?
A. 清算条項がある示談書を交わした場合、原則として追加請求はできません。示談後に「金額が少なかった」と感じても、清算条項がある以上、新たな事実(示談後の違反行為など)がなければ再請求は困難です。
示談前に適切な金額かどうか弁護士に確認することが重要です。
Q. 相手が示談書にサインしない場合はどうなりますか?
A. 相手が示談を拒否する場合は、調停・訴訟に移行することになります。
調停は家庭裁判所での話し合いであり、調停委員が間に入るため任意交渉より合意しやすい場合があります。調停でも合意できなければ訴訟提起となります。
Q. 不倫相手だけに示談を求めることはできますか?
A. できます。配偶者には請求せず不倫相手のみに示談を求めることは可能です。
ただし不倫相手が「配偶者が既婚と知らなかった」と主張する場合は請求が認められいケースもあります。証拠によって相手の認識を立証することが重要です。
Q. 示談金の相場はいくらですか?
A. 離婚する場合は100〜300万円、離婚しなない場合は50〜150万円が目安です。不倫期間・子どもの有無・証拠の強さ・相手の資力などによって変わります。
相場より高い金額を求めすぎると交渉が長引くこともあるため、弁護士と適正額を見極めることをおすすめします。
慰謝料が払えない場合の対処法については、以下の記事もご覧ください。
Q. 示談交渉中に相手が弁護士を立てた場合はどうすればよいですか?
A. 相手に弁護士がついた場合、本人が直接交渉することは難しくなります。こちらも弁護士を立て、弁護士同士で交渉することが適切です。
弁護士なしで相手の弁護士と交渉するのは不利になるため、できるだけ早く弁護士に相談してください。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 示談とは | 裁判を使わず当事者の合意で解決する方法。早期・非公開での解決が可能。 |
| 示談金の相場 | 離婚する場合:100〜300万円 / 離婚しない場合:50〜150万円が目安 |
| 示談書の必須条項 | 慰謝料・接触禁止・口外禁止・清算条項(蒸し返し防止)は必ず入れる |
| 公正証書化 | 慰謝料の支払いが含まれる場合は強制執行認諾文言付き公正証書を推奨 |
| 弁護士依頼のメリット | 感情的トラブル回避・適正金額での交渉・法的に有効な示談書の作成 |
| 相手が拒否した場合 | 調停・訴訟へ移行。弁護士がいればスムーズに対応可能 |
| 時効に注意 | 慰謝料請求権は不倫と相手を「知った時」から3年で消滅。早めの対応を |
時効の仕組みや時効を止める方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
不倫の示談は、適切な証拠と正しい示談書があれば、裁判よりも早く・低コストで解決できます。
ただし示談書の内容が不十分だと後日のトラブルにつながります。示談を考えている方は、まず弁護士に相談のうえ、適正な金額と法的に有効な書面で解決することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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