労災(労働災害)は専門の弁護士に相談!弁護士に依頼するメリットや費用を徹底解説
2023年03月08日
労災事故に遭ってしまったとき、弁護士への相談は必要なのでしょうか。
職場での過労が原因で過労死が発生した、労災事故に遭って怪我をしたら会社を解雇されてしまった、会社でのパワハラが原因でうつ病になってしまった、労災の怪我でのリハビリはいつまで続ければいいの等、労災事故に関連する悩みはたくさん存在します。
中には、労災申請は会社が進めてくれるから、誰かに相談をしなくても大丈夫だろうと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には、労災事故の多くについて、弁護士に相談することが望ましいといえます。
今回は、労災事故を専門の弁護士に相談することのメリットや、相談のタイミングについて詳細にご説明していきます。
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- 弁護士に依頼すべき労災のケースは、主に会社に損害賠償請求を考えている事案、交通事故に関係する労災事案、死亡や重度の後遺障害が残存した事案です。
- 弁護士に相談・依頼するタイミングは、早ければ早いほどよく、相談だけでもすることが大切です。
- 労災事故では、弁護士は、労災申請のサポートや後遺障害認定の支援、会社との交渉や裁判などの役割を担っています。
労災を弁護士に依頼すべき3つのケースと依頼のタイミング
通常、労災保険への申請手続は、会社が行ってくれることも多く、また、会社の協力が得られない場合にも、わかりやすい書式が用意されていることもあり、労働者本人が申請をすることは十分に可能です。
労働基準監督署や労働局の窓口でも、書類の記入方法や内容について親切に案内を受けられることも多く、窓口での相談にも大きな意義があります。
では、これを超えて、弁護士に労働災害の相談をするべきなのは、どのような場面なのでしょうか。
- 労災を弁護士に依頼すべきケース
- 弁護士への依頼のタイミング
労災を弁護士に依頼すべきケース
具体的に、労働災害を弁護士に依頼すべきケースについて見ていきましょう。
会社に損害賠償を行うべき事案
まず1つ目は、会社に損害賠償請求を行うべき事案です。
労災事故のすべてについて会社が法的責任を負うわけではなく、たとえば、会社に、その労災事故に対する安全配慮義務違反などが認められる場合には、会社への損害賠償が可能となります。
労働者が会社に損害賠償をする以上、労働者と会社側とは対立関係になるため、現実問題として、労働者が会社側の支援を得られないことも起りかねません。
また、損害賠償責任を負うか否かという点は法的な構成や事実の組み立てが非常に重要なポイントであり、適切な構成や主張ができなければ、結果が正反対になってしまうことすらあり得ます。
法律の専門家である弁護士に相談、依頼をすることで、労災申請をサポートしてもらいながら、会社への損害賠償についても適切なアドバイスを受けることが可能となります。
通勤中の交通事故の場合
通勤中の交通事故の場合も、「通勤災害」として労災保険の対象となり得ます。
ただ、交通事故の場合は、保険の関係が複雑に入り組んでおり、たとえば、加害者側の自動車保険からの一定の賠償のみを受け取って終了とされてしまうケースも散見されます。
二重に保険金を受け取ることができるわけではないのですが、自動車保険を受け取っている場合でも、労災保険からプラスして支給されるお金もあります。
損をしないためにも、専門家である弁護士の助言を受けることは大切です。
重度の後遺障害や死亡事故の場合
3つ目は、重度の後遺障害(いわゆる後遺症のことです)や死亡事故の場合です。
結果が重篤な場合、事故直後のご家族の混乱も大きいとは思いますが、だからこそ、早期に弁護士にバトンタッチをすることで、少しでも安心できる状況を作ることが肝要です。
また、後遺障害が残存する場合には、実態に見合った適切な障害認定(正確な用語ではないですが、後遺症認定などと表現されていることもあります。)を受けることが大切です。等級次第で給付される保険金額に大きな差が生じますし、今後の生活にも大きな影響が予想されます。
仮に適切な障害等級が認定されなかった場合には、審査請求などの不服申立ての手続が用意されていますが、そもそも等級認定が適切か否かを判断するためには、専門的な知識が不可欠です。
したがって、重度の後遺障害や死亡という結果が生じた事案についても、弁護士への相談が大切です。
弁護士への依頼のタイミング
では、弁護士への相談のタイミングはいつが良いのでしょうか。
結論から言うと、弁護士への相談は早ければ早いほど良いです。
その理由は、次の2つです。
まず、早期に弁護士が状況を把握することで、今後の見通しを知ることができます。
労災事故発生直後は、治療に専念して頂くことになりますが、その間にも、たとえば労災保険の手続や、場合によっては会社との今後の雇用についての相談など、進めておかなければならないこともあります。
早期に弁護士に相談し、大きな見通しや今後の流れなど、全体図を示してもらうことで、より安心して治療に専念することができます。
次に、早期に弁護士が対応することで、不測の事態を避けることができます。
たとえば、労災事故に精通した弁護士であれば、後遺障害認定についても十分なアドバイスをすることができるので、治療中にも後遺障害を見据えた助言を受けることが可能です。
また、会社に損害賠償請求を予定している場合には、適切なタイミングで会社との交渉を行うことが可能ですし、労災隠しなどが疑われる事案では、証拠の収集方法を検討するなどの対策を講じることも可能です。
このように、弁護士への相談・依頼は、事故発生後から早ければ早いほどベターです。
迷われたら、まずは弁護士への相談予約をお取り下さい。
労災を弁護士に依頼するメリットと弁護士費用
これまで、労災を弁護士に相談すべきケースや、そのタイミングについて説明をしてきましたが、労災を弁護士に頼んだ場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
- 弁護士に依頼するメリット
- 弁護士費用
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットとしては、次の3つが考えられます。
労災保険への申請が適切にできる
冒頭でも記載しましたが、労災保険の申請は原則として会社が行いますし、労働者が対応しなければならない場合でも、わかりやすい書式や記載例などが用意されており、また労基署や労働局の窓口も丁寧に対応してくれるため、労働者本人での対応も可能です。
しかし、やはり労災事故に遭った労働者ご本人やご家族としては、治療に専念し、煩わしい手続から解放されたいということが本音ではないでしょうか。
弁護士に依頼することで、これらの労災申請手続の支援を受けることが可能になります。
実態に見合った後遺障害の認定を受けられる
労災によって後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を受けることとなりますが、この障害等級が1級違うだけで、保険給付額や、会社からの賠償金額に、数百万円単位で差が生じてしまうこともあり、後遺障害等級認定は、労災事故の中でも重要な手続です。
しかし、後遺障害等級が適切か否かは、労災保険における後遺障害の認定がどのような基準によって行われているのかを熟知している必要がありますし、医学的な知見も必要です。
さらに、労災保険が適切な認定をしなかった場合には、情報開示を経るなどしたうえで、審査請求と呼ばれる不服申立ての手続や裁判を起こすなどの対応が必要となる場合もあります。
このような専門的かつ複雑な内容を、被災者ご本人やご家族が行うことは至難の業であり、労災に精通した専門の弁護士への相談・依頼の大きなメリットの1つであるといえます。
会社への損害賠償を請求できる
発生した労災事故について会社側に安全配慮義務違反やその他の義務違反があれば、労働者は会社に対して、損害賠償をすることが可能です。
しかし、会社はすんなりと責任を認めてくれるのでしょうか。
また、実際に損害賠償できる金額はいくらなのでしょうか。
労働者本人や家族が、責任の有無を判断したり、責任がないと主張する会社側の責任を追及したり、具体的な損害額を積算することは難しいでしょう。
その結果、適切な賠償金を獲得できない可能性が極めて高いといえます。
労災に強い弁護士に依頼をすることで、会社への損害賠償請求をスムーズに行うことが可能であり、適切な損害賠償を受けられる可能性も大きく高まるでしょう。
弁護士費用
ここまで、弁護士に依頼するメリットをご説明しましたが、多額の弁護士費用が発生するのであれば、そもそも弁護士に依頼することが困難と考える方もいらっしゃるでしょう。
そこで、主な弁護士費用について確認していきましょう。
主な弁護士費用
一口に「弁護士報酬」といっても、いくつかの費目が含まれることが一般的です。
たとえば、主な弁護士費用としては、相談料、着手金、成功報酬、日当、実費等が考えられます。
初期に係る費用としては、相談料や着手金が考えられますが、相談料や着手金を無料として完全成功報酬型を採用している法律事務所もあります。
ご相談の際には、報酬の体系について、きちんと確認し、わからないことは説明を求めるようにしてください。
なお、それぞれの項目の具体的な内容や説明については、以下の記事も参考になりますので、ご確認ください。
労災でも弁護士費用特約が使える場合がある
弁護士費用は、基本的には依頼者が弁護士に対して支払う費用です。
ただ、自動車保険などに付保されている「弁護士費用特約」が、労災事故でも利用可能な場合があります。
弁護士費用特約の利用が可能であれば、上限はあるものの、まずは弁護士費用特約で弁護士費用が支払われることになるため、弁護士への相談・依頼への経済的負担が大きく軽減されます。
まずは、加入の保険に弁護士費用特約が付いているかどうか、労災事故でも使えるのかどうかを確認することが大切です。
保険代理人店や保険会社の担当者に連絡をすれば教えてくれますので、ぜひご確認ください。
なお、自動車やバイクを持っていないので、自分には弁護士費用特約はないと考えていらっしゃる方もおられます。
しかし、これは勘違いで、火災保険や家財保険に弁護士費用特約が付いていることは多く、クレジットカードにも付帯している場合もあります。
そのほか、海外旅行保険、医療保険、自転車保険、単独型弁護士費用保険などが利用できることもあります。
自動車やバイクを持っていない方でも、これらの保険を調べてみる価値はあるでしょう。
また、ご本人が契約者ではなくても、家族(たとえば、同居の親族や別居の未婚の子など)の弁護士費用特約が使えるケースもあります。
ご家族も含め、幅広く保険を確認してみることが重要です。
さらに、複数の弁護士費用特約を利用できるとなった場合、弁護士費用特約を複数利用することが可能です。
どちらから使うのか等は保険会社同士の調整も必要になりますが、単純に上限額が合算されるようなイメージを持っていただければよいでしょう。
労災に強い弁護士の選び方
ここまで、労災に弁護士が必要な理由やそのメリット、依頼のタイミングなどについて説明いたしました。
では、労災に強い弁護士はどのようにして判断をすればよいでしょうか。
以下の3点が特に重要です。
- 見通しを適切に説明してくれる
- 迅速に対応してくれる
- 料金体系を明確に説明してくれる
見通しを適切に説明してくれる
労災事故が起きた直後は、身体のことや今後の生活のことなど、みなさん不安でいっぱいだろうと思います。
そういった状況を理解したうえで、現時点ですべきことや、今後の流れ、会社への損害賠償請求の可否などの見通しを、具体的に示してくれる弁護士がおすすめです。
このように見通しを示してくれる弁護士は、労災事故の事件についての自らの経験をもとに説明をしている可能性が高く、経験豊富なプロフェッショナルであるといえるでしょう。
迅速に対応してくれる
労災事件は、解決までの時間が比較的長くかかる事件類型です。
もっとも、初動を速やかに行うことは重要です。
また、事件に要する期間が長いからこそ、迅速にレスポンスをくれる弁護士でなければ、不安になることも多いかもしれません。
料金体系を明確に説明してくれる
最後に、料金体系の説明を適切にしてくれることです。
労災事件は、労災申請や後遺障害の認定手続、会社との交渉や裁判など、やるべき内容が多岐にわたる分野ともいえます。
だからこそ、料金体系がわからなければ、いったいどのくらいの費用がかかるのか想定できず、不安を抱えてしまいます。
具体的な手続を踏まえたうえで、どういった料金体系を採用しているのか、どの程度の費用がかかるのか、追加での支払の可能性があるのか等を、十分に説明してくれる弁護士かどうか、確認をすることが大切です。
労災に強い弁護士ができること
労災に強い弁護士が主として行うべき役割について、ご説明します。
主として、
労災申請段階(後遺障害についての申請も含みます)では、
- 労災申請の手続サポート
- 申請が認められなかったときの審査請求または再審査請求の代理人
- 労災に該当しないと判断された場合には、国に対する訴訟(裁判)
労災認定後の段階では、
- 会社に対する損害賠償請求の交渉
- 上記交渉で合意に至らない場合には、会社に対する訴訟(裁判)
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、労災事故に遭った場合に、弁護士に相談・依頼することのメリットやタイミング、弁護士ができることについて、説明をいたしました。
この記事が、みなさまの不安を少しでも取り除く役に立てば幸いです。