労災の申請や損害賠償請求はどこに相談する?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月22日

・仕事中に怪我をしてしまい労災保険への申請方法を教えて欲しい
・労災で仕事を休みましたが、賃金は補償されるのでしょうか
・パート・アルバイトでも労災の対象になりますか
・通勤途中での交通事故の場合にはどのような手続が必要でしょうか

労災事故に巻き込まれたとき、次のような悩みをどこに相談すればよいかわからないことがあるかもしれません。
この記事では、どこに、このような悩みを相談するべきなのか、詳しく紹介していきたいと思います。

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  • 労災事故にあった場合のよくある相談内容やその回答について説明しています。
  • 主に、労基署と弁護士を中心に、具体的な相談内容に適した相談窓口について説明しています。
  • 弁護士に労災事故を依頼するメリットや理由について説明しています。

この記事を監修したのは

弁護士 南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部卒業
京都大学法科大学院卒業
大阪市内の総合法律事務所勤務
当事務所入所

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労災に遭ったら相談すべき内容

冒頭にも記載したとおり、労災事故に遭った場合には様々な疑問が浮かぶことでしょう。
その中でも、以下の3つが典型的な相談例です。

  • 労災保険の申請や手続はどのようにすればよいのか。
  • 後遺症が残ってしまったが、何らかの補償を受けることはできるのか。
  • 保険だけでなく、会社からも補償などを受けることはできないのか。

以下、それぞれを検討していきましょう。

労災保険給付の申請

まず、労災保険給付の申請についての相談です。

労働者を雇用する会社(事業主)は、労災保険への加入が義務付けられています。
そのため、実際に労災が発生した場合には、労災保険に対する請求を行うことが可能です。

この手続は、原則として、会社が主導して行いますが、担当者が手続に精通していないこともありますし、場合によっては、労災保険への請求手続に会社が非協力的なこともあります。

こういった場合、申請の窓口である「労働基準監督署」に対して、相談をしてみることが大切です。

またインターネット上にも、労災申請のための書式や記載例などが準備されており、これらの情報にアクセスすることでも、十分に労災申請のための知識を得ることができます。

後遺障害に関する給付の申請

労災事故において、後遺障害の認定を適切に受けることは極めて重要なことです。
そのため、後遺障害に関する給付の申請についての相談も数多く寄せられています。

やはり、申請の窓口である以上、労基署への相談は重要です。
もっとも、労基署への相談内容の中心は、申請の「手続」であり、労働基準監督署に相談をしても、個別具体的な障害等級認定を受けるためのアドバイスを受けることは原則としてできません。

そこで、後遺障害認定を受けるにあたっては、労災事件に精通し、後遺障害等級認定の仕組みや基準を熟知した弁護士に相談をすることが重要になってきます。

弁護士は、必要十分な資料(医学的な証拠)を収集し、適切な障害等級認定を受けられるように支援することが可能です。

会社への損害賠償請求

労災保険からは、慰謝料などの精神的損害の補填はなされません。
また、休業を余儀なくされたとしても、休業損害として事故前の100%の賃金が補償されているわけでもありません。
(この点については、以下の記事で詳しく説明しています。)

こういった損害について補償を受けるには、会社に対する損害賠償請求が必要です。
もっとも、損害賠償請求をするための法的根拠を検討したり、証拠を収集保全したりすることは、極めて専門的な領域であり、なかなか一個人のみで進めていくことは困難です。

したがって、会社への損害賠償請求についての疑問やお悩みは、弁護士に相談するべきといえるでしょう。

労災を相談する窓口は?

これまで、労災事故についての主要な相談内容について検討してまいりましたが、労災事故についての相談の窓口として考えられるのは、主に、労働基準監督署、社労士、弁護士です。

労働基準監督署

労働基準監督署は、労災保険給付や障害等級認定の申請を取り扱っている公的機関です。
労基署、監督署などと省略して呼ばれることもあります。

労基署は、上記のとおり、労災保険給付などの申請の窓口ですから、労働者が労災保険給付などの申請について疑問がある場合には、まず労働基準監督署の窓口に相談をして、必要書類などの準備を行うことが合理的かつ確実な方法です。

また、労働環境が劣悪だったり、違法な条件で雇用されている場合などは、労働基準監督署に申告することで、行政指導などを会社に対して求めることも可能です。

社労士

社労士は、社会保険労務士の略称で、労働や社会保険分野の専門家です。
したがって、労災の手続申請などについて詳しい知識を有しており、労災保険の申請の際の相談窓口となってくれるでしょう。

弁護士

上述したとおり、弁護士には、特に適切な後遺障害を認定してもらうための活動や、会社への責任追及の場面での役割が期待されています。

労災を弁護士に相談するメリット

弁護士に依頼するメリットとしては、次の3つが考えられます。

労災保険への申請が適切にできる

労災保険の申請は原則として会社が行いますし、労働者が対応しなければならない場合でも、わかりやすい書式や記載例などが用意されており、また労基署や労働局の窓口も丁寧に対応してくれるため、労働者本人での対応も可能です。

しかし、やはり労災事故に遭った労働者ご本人やご家族としては、治療に専念し、煩わしい手続から解放されたいということが本音ではないでしょうか。

弁護士に依頼することで、これらの労災申請手続の支援を受けることが可能になります。

実態に見合った後遺障害の認定を受けられる

労災によって後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を受けることとなりますが、この障害等級が1級違うだけで、保険給付額や、会社からの賠償金額に、数百万円単位で差が生じてしまうこともあり、後遺障害等級認定は、労災事故の中でも重要な手続です。

しかし、後遺障害等級が適切か否かは、労災保険における後遺障害の認定がどのような基準によって行われているのかを熟知している必要がありますし、医学的な知見も必要です。

さらに、労災保険が適切な認定をしなかった場合には、情報開示を経るなどしたうえで、審査請求と呼ばれる不服申立ての手続や裁判を起こすなどの対応が必要となる場合もあります。

このような専門的かつ複雑な内容を、被災者ご本人やご家族が行うことは至難の業であり、労災に精通した専門の弁護士への相談・依頼の大きなメリットの1つであるといえます。

会社への損害賠償を請求できる

発生した労災事故について会社側に安全配慮義務違反やその他の義務違反があれば、労働者は会社に対して、損害賠償をすることが可能です。

しかし、会社はすんなりと責任を認めてくれるのでしょうか。
また、実際に損害賠償できる金額はいくらなのでしょうか。

労働者本人や家族が、責任の有無を判断したり、責任がないと主張する会社側の責任を追及したり、具体的な損害額を積算することは難しいでしょう。
その結果、適切な賠償金を獲得できない可能性が極めて高いといえます。

労災に強い弁護士に依頼をすることで、会社への損害賠償請求をスムーズに行うことが可能であり、適切な損害賠償を受けられる可能性も大きく高まるでしょう。

まとめ

今回は、労災事故にあった場合の相談先や、相談先に合った相談内容について確認をしました。

中でも、弁護士への相談が、適切な補償を受けるためには重要な手段であることが、おわかりになっただろうと思います。
この記事を読んで、弁護士に相談しようと考えた方は、当事務所までご連絡いただければ幸いです。

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