労災で支給される金額はいくら?給付の種類・計算方法・シミュレーションを弁護士が解説
最終更新日: 2026年06月03日

労災事故に遭ったとき「実際にいくらもらえるのか」という疑問は切実です。
労災保険にはさまざまな給付があり、休業中の生活補償から後遺障害・死亡時まで幅広くカバーしています。この記事では、給付の種類・計算方法・具体的な金額シミュレーションを弁護士がわかりやすく解説します。
春田法律事務所では、労災事故の給付額試算や会社への損害賠償請求について初回無料相談を承っています。
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労災保険で受け取れる給付の種類【一覧表】
労災保険の給付は、大きく5種類に分類されます。
| 給付の種類 | 対象 | 内容 | 支給形式 |
|---|---|---|---|
| 療養(補償)給付 | 治療中の全員 | 治療費・薬代・通院費など | 現物給付(窓口負担なし) |
| 休業(補償)給付 | 仕事を休んでいる方 | 給付基礎日額の80%を支給 | 月払い |
| 障害(補償)給付 | 後遺障害が残った方 | 等級に応じた年金または一時金 | 年金(1〜7級)/ 一時金(8〜14級) |
| 遺族(補償)給付 | 死亡事故の遺族 | 遺族数に応じた年金+特別支給金 | 年金+一時金 |
| 傷病(補償)年金 | 1年6ヶ月経過後も未治癒の方 | 傷病等級に応じた年金 | 年金(休業給付から自動切替) |
給付申請の手順や必要書類については、こちらの記事で図解つきで確認できます。
給付の計算方法と実際にもらえる金額
休業補償給付:月収30万円なら1日いくら?
休業補償給付は、仕事を休んでいる期間の生活費を補う給付です。給付基礎日額の80%が支給されます(休業給付60%+特別支給金20%)。
給付基礎日額の計算式
【計算例:月収30万円の場合】
| 計算項目 | 金額 |
|---|---|
| 直近3ヶ月の賃金合計 | 90万円 |
| 暦日数(例:1〜3月) | 91日 |
| 給付基礎日額 | 約9,890円 |
| 1日あたりの給付額(80%) | 約7,912円 |
| 1ヶ月(30日)の受取額 | 約23万7,000円 |
月収30万円の場合、休業中は月約23〜24万円が受け取れる計算です。
給料との差額(約6万円/月)は、会社に安全配慮義務違反がある場合、損害賠償として別途請求できます。
支給は休業4日目から
最初の3日間(待機期間)は給付されません。ただし業務災害の場合は、この3日間について会社が平均賃金の60%を支払う義務があります(労働基準法第76条)。
療養給付:治療費はどこまでカバーされる?
治療に関する費用は原則として全額カバーされます。
給付の対象となる主な費用
- 診察費・検査費・処置費・手術費
- 入院費(個室など差額ベッド代は対象外)
- 薬代・医療器具・装具費
- 通院交通費(電車・バスの実費)
- 柔道整復師・はり・きゅうなどの施術費(条件あり)
労災指定病院で受診した場合:窓口での支払いは一切不要です。病院が直接労基署に請求するため、立て替えが不要です。
指定外の病院で受診してしまった場合:一旦自己負担になりますが、申請することで全額が返還されます。
労災指定病院の探し方は、こちらの記事をご覧ください。
障害補償給付:後遺障害等級別の給付額一覧
後遺障害が残った場合、等級に応じた給付が支払われます。1〜7級は年金払い、8〜14級は一時金払いです。
【給付額の目安:給付基礎日額9,890円(月収30万円相当)の場合】
| 等級 | 主な該当例 | 年額または一時金 | 障害特別支給金(別途・一律) |
|---|---|---|---|
| 1級 | 両上肢・両下肢の完全麻痺、植物状態 | 約310万円/年 | 342万円 |
| 2級 | 一上肢・一下肢の完全麻痺 | 約274万円/年 | 320万円 |
| 3級 | 両眼失明、咀嚼・言語機能喪失 | 約242万円/年 | 300万円 |
| 7級 | 一手の5指または4指の欠損 | 約130万円/年 | 159万円 |
| 8級 | 一眼失明、脊柱変形 | 約497万円(一時金) | 65万円 |
| 10級 | 一手の母指・示指の欠損 | 約299万円(一時金) | 39万円 |
| 12級 | 局部に頑固な神経症状(むち打ち等) | 約154万円(一時金) | 20万円 |
| 13級 | 一眼の視力著しく減退 | 約100万円(一時金) | 14万円 |
| 14級 | 局部に神経症状を残すもの | 約55万円(一時金) | 8万円 |
注意:
上表は労災保険からの給付額のみです。慰謝料・逸失利益は労災保険から支給されません。会社への損害賠償として別途請求できます(後述)。脊髄損傷の後遺障害等級と申請から認定までの手順については、以下の記事をご覧ください。
族補償給付:遺族が受け取れる金額の目安
労災で亡くなった場合、遺族は遺族補償年金と特別支給金を受け取ることができます。
遺族補償年金(給付基礎日額9,890円の場合)
| 受給資格者の人数 | 年間受取額の目安 |
|---|---|
| 1人(妻の場合) | 9,890円 × 155日分 = 約153万円/年 |
| 2人 | 9,890円 × 201日分 = 約199万円/年 |
| 3人 | 9,890円 × 223日分 = 約220万円/年 |
| 4人以上 | 9,890円 × 245日分 = 約242万円/年 |
これに加えて遺族特別支給金300万円(一括)が支給されます。
過労死・死亡事故の場合、会社への損害賠償(逸失利益・死亡慰謝料)は労災給付とは別に請求できます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【ケース別】具体的な受取額シミュレーション
以下はすべて月収30万円(給付基礎日額9,890円)の方を想定したシミュレーションです。
ケース1:骨折で2ヶ月休業した場合
| 給付の種類 | 計算 | 受取額 |
|---|---|---|
| 療養給付(治療費) | 実費全額 | 全額給付 |
| 休業補償給付(60日分) | 7,912円 × 60日 | 約47万4,700円 |
| 労災給付の合計 | 約47万円+治療費 |
月収との差額(約6万円/月 × 2ヶ月 = 約12万円)は労災保険では補填されません。会社に安全配慮義務違反があれば、この差額分を休業損害として損害賠償請求できます。
ケース2:後遺障害14級が認定された場合
むち打ちや関節の神経症状など、比較的軽度の後遺障害が認定されるケースです。
| 種類 | 金額 |
|---|---|
| 障害補償一時金(56日分) | 約55万円 |
| 障害特別支給金(一律) | 8万円 |
| 労災給付の合計 | 約63万円 |
| 【別途請求可能】後遺障害慰謝料(弁護士基準) | 110万円程度 |
| 【別途請求可能】逸失利益 | 年収・労働能力喪失率による |
14級でも、損害賠償を合わせると受取総額が2倍以上になるケースが多くあります。
ケース3:後遺障害1級(要常時介護)が認定された場合
脊髄損傷や高次脳機能障害など、最重度の後遺障害が認定されるケースです。
| 種類 | 金額 |
|---|---|
| 障害補償年金(年額) | 約310万円/年 |
| 障害特別支給金(初回のみ) | 342万円 |
| 介護補償給付(常時介護) | 最大約17万円/月 |
| 【別途請求可能】後遺障害慰謝料(弁護士基準) | 2,800万円程度 |
| 【別途請求可能】逸失利益 | 数千万〜1億円超のケースも |
1級の場合、慰謝料・逸失利益だけで1億円を超えるケースも珍しくありません。労災給付だけで解決せず、弁護士に損害賠償請求の可否を確認してください。
高次脳機能障害の後遺障害等級認定の手順と基準については、こちらの記事で詳しく解説しています。
労災給付だけでは不十分な理由
労災保険は手厚い制度ですが、以下の損害は一切補填されません。
| 労災保険で出ないもの | 会社への損害賠償で請求できるか |
|---|---|
| 慰謝料(精神的苦痛への賠償) | 〇 請求できる |
| 休業損害の差額(給料の約20%分) | 〇 請求できる |
| 逸失利益の一部(年金との差額) | 〇 請求できる |
| 将来の介護費用(一部) | 〇 請求できる場合がある |
会社に安全配慮義務違反などがある場合、労災給付に上乗せして損害賠償を請求できます。特に後遺障害が残ったケース・死亡事故では、損害賠償額が労災給付を大幅に上回ることがあります。
給付に上乗せできる会社への損害賠償請求については、以下の記事で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 給付金に税金はかかりますか?
かかりません。労災保険の給付金は全額非課税です(所得税・住民税ともに課税対象外)。受け取った金額がそのまま手元に残ります。
Q. 有給休暇を使っていても給付は受けられますか?
有給休暇を使用した日は「賃金を受け取っている」とみなされるため、休業補償給付は支給されません。有給休暇を使い切った後の休業から支給対象になります。
ただし、有給休暇を使ったこと自体は会社への損害賠償(休業損害)の請求に含めることができます。
Q. 退職後でも給付は受けられますか?
受けられます。在職中に発生した労災であれば退職後も給付請求が可能です。
ただし以下の時効がありますので注意してください。
| 給付の種類 | 時効 |
|---|---|
| 療養・休業補償給付 | 2年 |
| 障害・遺族補償給付 | 5年 |
Q. いつから給付が始まりますか?
休業4日目から支給が始まります。
最初の3日間(待機期間)は労災保険からは給付されませんが、業務災害の場合は会社が平均賃金の60%を補償する義務があります(労働基準法第76条)。療養給付は受診した初日から適用されます。
まとめ
| 状況 | 受け取れる主な給付 |
|---|---|
| 治療中 | 療養給付(実費全額)+ 休業補償給付(給料の約80%) |
| 後遺障害が残った | 障害補償給付(等級に応じた年金または一時金) |
| 亡くなった | 遺族補償年金 + 遺族特別支給金300万円 |
ただし、慰謝料・逸失利益・休業損害の差額は労災保険では補填されません。
会社に安全配慮義務違反がある場合、これらを損害賠償として請求することで、受け取れる総額が大きく変わります。
「自分のケースでいくら受け取れるか」は、ケガの程度・収入・後遺障害の有無によって大きく異なります。
まずは弁護士への無料相談で、給付額と損害賠償額の目安を確認することをおすすめします。
受け取れる金額を最大化するために弁護士に依頼するメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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