性格の不一致で離婚できる?具体例から進める方法や流れまで専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年11月29日

  • 性格の不一致で離婚できるのか?
  • 性格の不一致で離婚するには何をしたらいい?
  • 性格の不一致で離婚する方法や流れを知りたい

離婚を考える理由は、夫婦によってさまざまです。浮気されたり、金銭的な問題だったりというのが公によく聞く理由です。なかには性格の不一致という理由も存在しますが、浮気などとは違い、第三者から見ると具体的なイメージがしづらいものです。

そのため、性格の不一致で離婚できるか、離婚するためには何をしたらよいのだろうと考える方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、性格の不一致を理由として離婚したい場合において、離婚に詳しい専門弁護士がそもそもできるのか、具体例から離婚を進める方法と流れまでを解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 性格の不一致での離婚は相手の合意があればできる
  • 性格の不一致で離婚する主な方法は、協議離婚・調停離婚がある
  • 性格の不一致で離婚する流れは合意できる場合・できない場合で異なる

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚は性格の不一致が最も多い

夫婦によって離婚したい理由はさまざまですが、日本でもっとも多い理由は「性格の不一致」です。

裁判所が発表した令和2年の司法統計によると、離婚調停申立て数が全部で58,969件ほど挙げられています。その中でも、性格の不一致は全部で「25,544件」と最も多く、夫側からは9,240件、妻側からは16,304件、とされています。

性格の不一致では夫婦の片方だけに原因があるのではなく、お互いに何かしらの原因があり、今後夫婦として一緒に生活していくのが困難になった、というケースが考えられるでしょう。

出典:婚姻関係事件数ー申立ての同期別|司法統計|裁判所

離婚につながる性格の不一致の具体例

性格の不一致で離婚につながる具体的な例として、以下が挙げられます。

  • マナーに関する考え方・価値観の違い
  • 居住場所の希望が合わない
  • 夫・あるいは妻の仕事に対する姿勢
  • 生活費や稼ぎに対する不満・考え方の違い
  • 思想・信条に対する不満

上記項目に共通した内容として、夫婦間の考え方の違いをすり合わせられなかったときに、離婚につながっていると考えられるでしょう。

たとえば、マナーはお互いが育った環境など、人それぞれで違いがあります。居住場所に関しては、夫婦どちらかの意見を聞くと、片方の我慢が必要になるかもしれません。

また、仕事に対する姿勢や生活費・稼ぎに関しても、夫婦お互いに言い分があるでしょう。思想・信条は、育ってきた環境の違いも大きく影響してきます。

性格の不一致は話し合いで解消できる場合もあります。そうでなければお互いの意見が折り合わず、離婚が一番の解決策だと判断することもあるのです。

性格の不一致で離婚する方法

ここでは、性格の不一致で離婚する方法について、以下内容を具体的に説明していきます。

  • 協議離婚
  • 調停離婚

協議離婚

離婚の中でも大部分を占めるのが「協議離婚」です。

協議離婚とは、裁判所を通すことなく、夫婦の話し合いによって離婚条件を決めて、離婚届を提出する手続きのことです。

提示した離婚条件にお互いが納得できれば、役所に離婚届を提出して離婚できます。特別な手続きはほとんど必要ありません。条件さえ合意できれば、短期間で離婚が成立するでしょう。

協議離婚においては、本人同士の直接会話ではなく、弁護士を立てて、交渉を進めることもあります。たとえば、相手側との協議がなかなか進まず精神的なストレスもたまったとき、離婚協議書の書類の作成を依頼したいとき、相手側だけが弁護士を立てて交渉する必要があるときなどがあるでしょう。

弁護士に依頼することで、冷静な対応で相手との交渉を進められ、ストレスなく離婚を成立できる可能性が高まります。

調停離婚

「調停離婚」という離婚方法もあります。

調停離婚では、裁判所から依頼された調停委員が仲裁に入り、離婚に関する話を夫婦双方から聞いて、まとめていきます。

調停離婚は非公開で行なわれ、原則本人が裁判所に出頭することが必要です。

夫婦双方が同席すると、感情的になり話し合いがなかなか進まない可能性もあることから、夫婦の一方が調停委員と話している間、他方は呼び出されるまで控室で待機することになります。

調停前置主義という制度があり、離婚で裁判をしたいと思っていても、いきなり裁判をすることはできないため、まずはこの調停を申立てて解決を図ることが必要です。

調停で話がまとまらずに、不調に終わる場合には離婚そのものを諦めるか、離婚訴訟を提起して裁判で解決、という流れになるでしょう。

ただし、離婚訴訟を提起するためには、民法で定められている以下の「法定離婚事由」が必要です。法定離婚事由とは以下の内容を指します。

  • 相手に不貞行為があったとき(第三者との性行為)
  • 相手から悪意で遺棄されたとき(正当な理由なく、同居や扶助の義務を放棄されること)
  • 相手の生死が3年以上にわたって不明であるとき(失踪その他の行方不明)
  • 相手が強度の精神病にかかり、回復が見込めないとき
  • 婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

上記のような理由がない場合、離婚訴訟を提起することはできません。性格の不一致は「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまる可能性があります。しかし、「婚姻を継続し難い重大な事由であるとは言えない」と裁判官に判断されることもあるでしょう。

性格の不一致で離婚する流れ

性格の不一致で離婚する流れについて、以下4点を具体的に説明していきます。

  • 相手との交渉
  • 合意書の作成
  • 離婚届を提出
  • 合意できない場合

相手との交渉

性格の不一致を理由として離婚する場合、まずは相手との交渉が必要です。

相手との交渉では、離婚の成立手続き周りや慰謝料の条件についてもしっかり定めていきましょう。

場合によっては、相手方があなたとの性格の不一致を感じていない可能性もあります。そのような場合は、こちら側が離婚したいという意思を明確に伝えることが必要です。

相手側からの離婚の合意が取れたら、離婚条件を決めます。子どもがいる夫婦であれば親権者を決めなければいけませんし、慰謝料・養育費や財産分与などの条件もしっかりと話し合うことが大切です。

特に、お金に関しては交渉の時点で明確に決めておかないと、のちのちトラブルにつながる可能性が高くなります。交渉の抜け漏れが発生しないようにするためにも、専門弁護士に代理交渉の依頼をすることをおすすめします。

合意書の作成

離婚の合意が取れ、離婚条件も決まった後は、「協議離婚合意書」を作成します。

合意書を作成しておくことで、相手側が「内容を覚えていない」「合意内容を間違って覚えてしまった」「そもそもお互いに合意したという確証がない」などという事態を防ぐことができます。

作成した合意書を公正証書として残し、トラブルを未然に防ぎましょう。

公正証書とは、依頼を受けた公証人が作成する文書のことで、きわめて証明力が高いものです。公正証書にすると原本が公証役場に保管され、写しが夫婦それぞれに渡されます。

特に、養育費や財産分与、慰謝料など金銭の受け渡しがある場合には、公正証書が有効です。「金銭の受け渡しが守られないときには直ちに強制執行する」という内容を公正証書に記載しておくことで、通常は裁判の判決が必要な強制執行を裁判なしで行うことが可能になります。

令和3年全国ひとり親世帯等調査によると、母子家庭が養育費をもらえているのは28.1%です。父子家庭では8.7%しか養育費をもらえていません。公正証書にしておけば養育費支払い義務者に強制執行をすることも可能ですし、強制執行があることで支払いを促すことにもつながります。

離婚届を提出

協議離婚合意書を作成した後は、離婚届を役所に提出します。

離婚届には2名の見届け人が必要です。18歳以上(成人)であれば、誰でも見届け人になれます。夫婦それぞれに1名ずつ選出する必要はなく、夫側の知人2名や妻側の知人2名でも問題ありません。離婚の見届け人になったからといって、法的に責任を負うこともありません。

離婚届の見届け人が必要な状況は、協議離婚のときだけです。調停離婚・離婚訴訟の結果による離婚の場合には、離婚届の見届け人を立てる必要はありません。

合意できない場合

離婚協議で、話し合って合意に至らない場合は、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。離婚調停では、2名の裁判所から選出された調停委員が夫婦それぞれに話を聞くため、夫婦が顔を合わせて話し合うこともありません。

調停離婚では、裁判所に申立てるときの印紙代や切手代が3,000円程度必要です。

また、調停では専門弁護士に依頼して対応してもらうことも可能です。相手との話し合いを落ち着いて、冷静に進めることもできますし、こちら側に有利な条件を提示することも可能です。

性格の不一致による離婚を弁護士に相談するメリット

性格の不一致で離婚をお考えなら、弁護士への相談をおすすめします。ここでは弁護士に相談するメリットについて、以下3点を具体的に説明していきます。

  • 慰謝料請求の相談が可能
  • 相手への交渉を依頼できる
  • 的確なアドバイスを受けられる

慰謝料請求の相談が可能

1つ目のメリットは、慰謝料請求の相談が可能なことです。

性格の不一致を理由とする離婚では、必ずしも慰謝料が発生するとは限りません。離婚で慰謝料が発生するのは「どちらかに有責事由(婚姻関係を破綻させた責任)があるとき」とされています。

配偶者から不倫や暴力があった場合は、責任がどちらにあるのかがはっきりしています。ですが、性格が合わないから、という理由にした離婚、どちらに責任があるのか明確ではありません。

性格の不一致と一言でいっても、さまざまなパターンがあります。離婚事案に詳しい弁護士に依頼すれば、個別の事情を詳しく調査し、相手側に慰謝料を請求できるかを判断してくれます。

特に離婚に強い弁護士であれば、法律知識はもちろん、離婚実績も豊富なため過去の成功事例を元に、あなたにとって最適な提案が可能でしょう。

相手への交渉を依頼できる

2つ目のメリットは、相手への交渉を依頼できることです。

離婚での交渉は、非常に重たい話を相手にしなければならず、精神的なストレスが溜まります。特に、性格が合わない相手だと感情的になったり、交渉の仕方もわからずに進めるのは非常に辛いものです。早く離婚したいと考えているのになかなか交渉が進まずにイライラしてしまいます。

このようなとき、弁護士に交渉を依頼できるのは大きなメリットです。こちらの希望を弁護士に伝えれば、自分が相手と直接顔を合わせることなく、スムーズな交渉を進められる可能性が高まります。個別の事情によっては、予想よりも自分に有利な条件での離婚が可能かもしれません。

的確なアドバイスを受けられる

3つ目のメリットは、的確なアドバイスを受けられることです。

離婚は、離婚届を出しておしまい、というほど単純なものではありません。親権や慰謝料、年金分割、財産分与のことなど、決めなければいけないことが山ほどあります。早く離婚したいからといって、これらを適当に決めてしまうと離婚後後悔することになるかもしれません。

しかし、離婚を考えるほどですから、落ち着いていられるわけはなく、どこかで焦ってしまうことも考えられます。

離婚に強い弁護士は、離婚手続きのときにどのようなポイントを押さえるべきか、何を決めておかなければならないのかを熟知しており、依頼者に的確にアドバイスしてくれます。

法律の専門家である弁護士から的確なアドバイスを受けられるのは、大きなメリットであると言えるでしょう。

性格の不一致で離婚を考えているならまずは弁護士へ無料相談を

本記事では、性格の不一致を理由とした離婚ができるのか、離婚を進める方法と流れまでを解説しました。

性格の不一致で離婚する夫婦は多く、そのほとんどが協議離婚です。協議を進めるためには、離婚条件など決めなければいけないことは多く、本人同士では交渉がうまくいかないケースが多々あります。

そもそも慰謝料をもらえるのか、親権・養育費をどのように決めたらいいのかなど、法律に詳しくないとわからないことも多いでしょう。

離婚に強い弁護士に依頼すれば、代理交渉の依頼・書類作成だけでなく、あなたに有利な条件で、離婚を成立するためのアドバイスも受けられます。性格の不一致で離婚を考えているなら、当事務所の弁護士に無料相談してみてはいかがでしょうか。

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