大麻は何グラムから捕まるのか?専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月21日

大麻は何グラムから捕まるのか?専門弁護士が解説

薬物犯罪では所持量は様々な面で重要な要素となります。我々弁護士に対しても、所持していた量が少ないから逮捕・勾留されないのではないか、不起訴となるのではないか、所持量が多いから執行猶予は付かないのではないかといったご相談は非常によくあります。

今回は大麻は何グラムから捕まったり、起訴されるのかについて専門弁護士が説明します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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大麻は何グラムから捕まるのか決まっている?

まずは、何グラムの大麻だと捕まり、有罪となるのか法律や裁判例について見てみましょう。

法律に何グラムか書かれている?

大麻取締法第24条の2第1項は、「大麻を、みだりに、所持し・・・た者は、五年以下の懲役に処する。」と規定しているだけです。

つまり、「大麻」を所持したということだけが犯罪の要件として規定されているのみであり、何グラムの大麻を所持したら犯罪という形では規定されていません。

したがって、法律上は何グラムであっても大麻を所持していれば犯罪が成立するということになります。

微量所持に関する裁判例

0.00031グラムの覚せい剤の所持で起訴された事件の裁判例があります。

裁判所は、「覚せい剤取締法は覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するためその所持等に関して必要な取締を行うことを目的とするものであるから、その法意にかんがみると、・・・(所持罪))に該当しないと解するのを相当とする。」と判断しました。

この裁判例は明言はしていませんが、極めて微量の覚せい剤ではその薬理効果を得られないので、覚せい剤取締法が規制する「覚せい剤」には該当しないと判断したものと考えられています。

確かに、上記のように微量の違法薬物について所持罪の対象ではないと判断した裁判例はありますがそれは少数派で、多くの裁判例では微量であっても所持の禁止されている違法薬物であるとして所持罪の成立を認めています。

例えば、0.0005グラムの覚せい剤でも薬理効果があると認定して「覚せい剤」に該当すると判断した裁判例があります。

10グラムや1グラムの大麻は微量か?

「微量の大麻」という表現がよく使われますが、起訴処分・不起訴処分や判決における量刑との関係ではどれくらいが微量といえるのでしょうか。

乾燥大麻をタバコのように紙に巻いて吸う場合、1回の使用料は大体0.5グラムから0.7グラムほどです。

そうすると、10グラムの乾燥大麻は14回から20回、使用することができます。これは一般的な感覚からしても到底「微量」とはいえないでしょう。

他方、1グラムの乾燥大麻であれば1、2回の使用をすることができます。これを微量というかどうかの一般的な感覚は人によって異なるでしょう。

しかし、0.01グラム以下の違法薬物について「微量」と評価している数々の裁判例を踏まえますと、1グラムであっても必ずしも「微量」ということはできないでしょう。

また、パケに残っていた量は例えば、0.3グラム程度だったとしても、パケの鑑定結果や関係者の供述から消費前の所持量を認定されるケースもありますから、逮捕時に所持していた量が「微量」であったとしても、起訴される量が「微量」になるとは限りません。

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大麻は何グラムから捕まる?不起訴になるケース

次に実際に大麻事件の当事者となった場合に不起訴処分となるのか、所持量は関係するのかについて説明します。

ごく微量の大麻所持で不起訴?

前記のとおり、ごく微量の違法薬物について所持罪を否定する裁判例はありますが、原則として、ごく微量の大麻であったとしても所持が禁止されている「大麻」に該当します。

もっとも、空のパケにカス程度の大麻が付着していた場合や、パイプにカス程度の大麻が付着していたというケースの場合、そのようなカスが「大麻」に該当するとしても、被疑者としては既に空になっていたパケやパイプを持っていたという認識しかなく、「所持」の意思が認められない可能性があります。

いくら「大麻」に該当するとはいえ、所持している認識がないのであれば、所持罪の成立を認めることはできません。

このようにカス程度の大麻所持の場合には、所持とはいえない(無罪)と判断される可能性があることから、逮捕されず在宅で捜査が進み、最終的に不起訴処分となるケースがあります。

大麻の多くは不起訴?

平成30年の覚せい剤取締法違反の起訴率が76.9%であるのに対し、大麻取締法違反の起訴率は50.8%と薬物事件の中でも起訴率が低くなっています。それ以前の統計も大麻取締法違反の起訴率は概ね5割から6割程度にとどまっています。

このように大麻取締法違反の不起訴率が高いことは比較的よく知られていますが、そこから直ちに微量の所持であれば不起訴になると考えることは危険です。

起訴処分とするか不起訴処分とするかについては担当検察官にある程度の裁量があります。検察官は、被疑者の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重等、様々な事情を考慮して、起訴するか不起訴とするかを判断します。

そのような考慮要素の一つとして所持量が含まれていることは確かでしょうが、大麻事件の場合、被疑者の大半が初犯であり、また約5割が20代と年若いことも不起訴率が高いことの大きな要因と考えられます。

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まとめ

以上、大麻所持における所持量の問題についてご説明しました。

初犯で所持量が微量の事件では、弁護士が検察官に対して有利な情状を提示することで不起訴処分となる可能性があります。

また、所持量が多いケースでは営利目的所持で逮捕・勾留され、営利目的の有無について徹底した取り調べがなされますので、弁護士による取り調べ対応が非常に重要となります。

大麻所持の容疑で被疑者、被告人となったときは、刑事事件の経験が豊富な弁護士にご相談ください。

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