立ち退きに伴う弁護士費用は経費にできる?できる費用とできない費用を審判例も含めて解説

2022年01月28日

立ち退きに伴う弁護士費用は経費にできる?できる費用とできない費用を審判例も含めて解説・立ち退きに伴い弁護士を使いたいが弁護士費用は経費にできるのか
・立ち退きに伴う弁護士費用のうち経費にできるものとできないものを整理したい
・立ち退きに伴う弁護士費用と経費について参考になる判例はないか

賃貸物件において、賃借人が賃貸人からの支払い要求に応じない・賃借人が居座るなどのトラブルが発生したときは、賃借人と立ち退き交渉を行わないといけない場合があります。しかし、立ち退き交渉には法律的な判断が必要な場面も少なくなく、賃貸人自らが立ち退き交渉することは困難です。

その場合、立ち退き交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することが考えられますが、弁護士費用は金銭的負担になります。しかし、立ち退きに伴う弁護士費用の中には経費として計上でき、節税につながる費用があります。

そこで今回は、立ち退き問題に精通した弁護士が、立ち退きに伴う弁護士費用に関する前提知識と、弁護士費用のうち経費にできる費用とできない費用について解説します。

この記事を監修したのは

弁護士 篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
立教大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 卒業
金沢市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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立ち退きに伴う弁護士費用は経費にできる?押さえておくべき前提知識

ここでは、立ち退きに伴う弁護士費用は経費にできるかみていく前に押さえておくべき前提知識を2つ紹介します。

  • 弁護士費用の内訳
  • 立ち退き料と成功報酬金

それでは、1つずつ解説します。

弁護士費用の内訳

押さえておくべき前提知識の1つ目は、弁護士費用の内訳です。弁護士費用の内訳を3つ紹介します。

  • 相談料
  • 着手金
  • 成功報酬金

相談料

弁護士費用の内訳の1つ目は、相談料です。

相談料とは、弁護士に法律相談を行うときに発生する費用のことです。法律相談では、弁護士から法律的な解決方法やアドバイスをもらえます。相談料は、日本弁護士連合会の旧基準に合わせて30分5,000円から1万円に設定している事務所が多いです。

一方で、最近では相談料を無料としている事務所も増えてきています。少しでも弁護士費用を抑えたいときは、無料相談ができる事務所も検討しましょう。

依頼をした後は、同じ案件では相談料はかからない事務所がほとんどです。ただし、依頼した案件と別件で相談するときは、新たに相談料が請求されることが一般的です。

着手金

弁護士費用の内訳の2つ目は、着手金です。

着手金とは、弁護士に相談後、正式に依頼するときに発生する費用のことです。着手金は委任契約後に指定された口座に振り込む事務所が多いですが、依頼当日に現金で支払う事務所もあります。

注意点としては、着手金は手付金や内金ではありません。そのため、弁護士の途中解任や問題の未解決があっても着手金は原則返還されません。着手金の金額は、定額または依頼者の経済的利益の〇%としていることが多いですが、着手金無料の完全成功報酬制を採用しているところもあります。

成功報酬金

弁護士費用の内訳の3つ目は、成功報酬金です。

成功報酬金とは、依頼した仕事の一部または全てが完了した後に事務所に支払う費用のことです。依頼者が得られた経済的利益の〇%と設定するのが通常です。また、経済的利益である立ち退き料が代理人である弁護士の口座に入金されるときは、その中から成功報酬金を相殺することが多いです。

弁護士費用は、一括支払いのほか、分割払いに対応してくれる事務所もあります。資金面に不安があるときは、分割払いのできる事務所の利用を検討しましょう。

立ち退き料と成功報酬金

押さえておくべき前提知識の2つ目は、立ち退き料と成功報酬金についてです。ここでは、立ち退き料の相場と弁護士費用のうちの成功報酬金について解説します。

立ち退き料の相場

立ち退き料の相場は法律で決まっていません。そのため一概には言えませんが、新規契約金や引越し費用などに個々の事案で生じうる損失等を考慮して決定されます。

ただし、賃貸人の都合で急に立ち退きを要求する場合は、相場よりも立ち退き料の金額が上乗せされることがあります。反対に、賃料の滞納が何か月も続くといった賃借人に明らかに非がある理由で立ち退きを要求するときには立ち退き料を支払わないこともあります。

着手金がない成功報酬型を採用している事務所も存在

事務所によっては事前に着手金を支払う必要がなく、立ち退き料の一部を成功報酬金として事務所に支払うといった成果報酬型を採用していることもあります。立ち退き料に対して不安があるときや、まとまったお金がすぐに用意できないときは、成果報酬型を採用している事務所に依頼することもひとつの手段です。

立ち退きに伴う弁護士費用のうち経費にできる費用とできない費用

ここでは、立ち退きに伴う弁護士費用のうち、経費にできる費用とできない費用をそれぞれ解説します。

立ち退きに伴う弁護士費用のうち経費にできる費用

立ち退きに伴う弁護士費用のうち経費にできる費用は、立ち退き料を決めるためにかかった相談料・着手金・成功報酬金です

また、弁護士に資産の譲渡に関する契約書の作成を依頼したときは、その弁護士費用も譲渡費用として経費にできます。

立ち退きに伴う弁護士費用のうち経費にできない費用

立ち退きに伴う弁護士費用のうち経費にできない費用としては、立ち退きに遺産分割が関係した場合の費用となります。

譲渡資産を相続したときの遺産分割に関わる裁判によって生じた弁護士費用は、譲渡費用や取得費に該当しないため、経費にはできません。

立ち退きに伴う弁護士費用と経費に関する審判例

国税不服審判所の昭和54年6月29日裁決では、立ち退き料を得るためにかかった弁護士費用も経費と認める決定が出ています。

まとめ

今回は、立ち退きに伴う弁護士費用に関する前提知識と、弁護士費用のうち経費にできる費用とできない費用について解説しました。立ち退きに伴う弁護士費用や契約書の作成費のほか、立ち退き料を経費にできます。

立ち退き交渉は、賃貸人本人が賃借人と交渉することも可能です。

ただし、賃貸人が賃借人に立ち退き要求を行うには正当事由が必要で、その正当事由を賃借人に説明しなければなりません。また、適切な立ち退き料を設定するには、過去の判例や相場を参考にしながら、十分に検討する必要もあります。さらに、立ち退き交渉が難航したときには、裁判所に提訴して強制執行を行ってもらうことも視野に入れないといけません。これらを滞りなく行うことは、法律知識のない一般人には困難です。

立ち退き交渉が難しいと感じた場合には、一度、専門の弁護士へ相談してみてください。

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