グループホームでよくあるトラブルとは?回避方法や施設の選び方とともに解説

最終更新日: 2022年10月13日

グループホームでよくあるトラブルとは?回避方法や施設の選び方とともに解説 グループホームとは、介護保険法の「認知症対応型共同生活介護」の指定を受けて、要支援2以上の認知症高齢者を対象にした小規模の介護施設です。専門スタッフから介護サービスやケアを受けながら共同生活を送ることで、認知症の進行を遅らせることを目指しています。 しかし、グループホームには高齢と認知症に起因する特有のトラブルが付きものです。そこで今回は、介護に関わるトラブルを多数解決に導いてきた専門弁護士が、グループホームでよくあるトラブルや回避方法・施設の選び方について解説します。

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この記事を監修したのは

弁護士 南 佳祐
弁護士南 佳祐
大阪弁護士会 所属
経歴
京都大学法学部卒業
京都大学法科大学院卒業
大阪市内の総合法律事務所勤務
当事務所入所

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グループホームでよくある4つのトラブル

ここでは、グループホームでよくあるトラブルを4つ解説します。

  • 騒音トラブル
  • 利用者同士の相性によるトラブル
  • 認知症の人が引き起こすトラブル
  • 金品等の紛失トラブル

では、1つずつ解説します。

騒音トラブル

グループホームでよくあるトラブルの1つ目は、騒音トラブルです。

高齢になると、耳が遠くなって音が聞こえづらくなる人が少なくありません。それにより、テレビやラジオの音量を無意識に上げたり、話し声が大きくなったりします。その結果、本人に自覚のないまま大きな音を出してしまい騒音トラブルに発展するのです。

利用者同士の相性によるトラブル

グループホームでよくあるトラブルの2つ目は、利用者同士の相性によるトラブルです。

人は年齢を重ねると、一般的に頑固になりがちです。そのため、グループホームでは対人トラブルが起こりやすいと言われています。また、利用者同士の相性が悪いと、仲間外れや陰口、喧嘩になることもあります。ほんの些細なきっかけから大きなトラブルに発展するケースもあるので、細心の注意が必要です。

認知症により引き起こすトラブル

グループホームでよくあるトラブルの3つ目は、認知症の人が引き起こすトラブルです。

グループホームでは、認知症の人から暴言を浴びせられたり、理不尽な暴力を受けたりすることがあります。

頭ではその原因が認知症であることを理解していても、トラブルに巻き込まれた当事者の立場としては「病気だから仕方ない」と簡単に割り切れないことが、このトラブルの難しいところです。

金品等の紛失トラブル

グループホームでよくあるトラブルの4つ目は、金品等の紛失トラブルです。

グループホームでの金品等の紛失トラブルは、主に2種類あります。1つは、持ち主本人の勘違いです。実際はなくなっていない物を「なくなった」と思い込み、他の利用者を犯人扱いしてしまうことがあります。

もう1つは、認知症が原因で実際に持ち去ってしまうことです。自分の物と思い込んで持ち去るケースもあり、この場合は職員や家族がいくら説明しても納得してもらえないことが少なくありません。

グループホームでのトラブルを回避する方法【施設側】

ここでは、グループホームの施設側の立場でトラブルを回避する方法を2つ解説します。

  • 利用者と積極的にコミュニケーション
  • 健全な精神状態で利用者と接する

それでは、一つずつ説明していきます。

利用者と積極的にコミュニケーション

1つ目は、利用者と積極的にコミュニケーションを取ることです。

利用者と積極的にコミュニケーションを取ることで、利用者の性格などを理解して職員同士で共有することができます。

利用者とコミュニケーションを取るときには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 利用者本人の話をなるべく聞く
  • 利用者に何かあったら、すぐ施設に報告する

利用者と普段から交流しておくことで、トラブルを事前に回避できるだけでなく、トラブルが発生しても利用者に応じた対応ができるでしょう。

健全な精神状態で利用者と接する

2つ目は、健全な精神状態で利用者と接することです。

職員も人間なので、いつも良好な精神状態でいられるとは限りません。それでも、利用者にイライラした状態で接することは避けた方がよいでしょう。

不機嫌な態度で利用者に接すると、利用者や他の職員などに悪影響を与えかねません。また、利用者の悪口も、施設の雰囲気を悪くしてしまいます。

職員が健全な精神状態で利用者と接することができるよう、施設側も職員のメンタルヘルスを向上できるよう気を配ることが必要です。

グループホームでのトラブルを回避するための施設選び【利用者側】

ここでは、利用者がグループホームでのトラブルを回避するための施設選びを3つ解説します。

  • 過去にトラブルがなかったか確認
  • ユニットケア方式の施設では人間関係のトラブルに注意
  • 利用者と職員との関係性

では、1つずつ解説します。

過去にトラブルがなかったか確認

1つ目は過去にトラブルがなかったか確認することです。

グループホームを見学するときに、利用者同士で問題が起こっていないか直接質問してみましょう。また、利用者同士のトラブルが過去にあった場合は、具体的な事例を紹介してもらい、そのトラブルにどう対処したか聞いてみましょう。

その回答が的確であれば、そのグループホームは普段から利用者に目を配っていて、職員同士の連携も取れている可能性が高いでしょう。

ユニットケア方式の施設では人間関係のトラブルに注意

2つ目はユニットケア方式の施設では人間関係のトラブルに注意することです。

ユニットケア方式とは、少人数のループ(ユニット)単位で介護や生活支援を行う方式のことです。きめ細やかな介護を受けられることがメリットですが、利用者同士が接する頻度が高く関係性が濃くなることがデメリットにもなり得ます。なぜなら、ふとしたことで利用者同士の仲が悪くなっても、簡単に距離を置けないからです。

そのため、ユニットケア方式の施設に入居するときは、対人関係へのトラブル回避力に特に注目する必要があるでしょう。

利用者と職員との関係性

3つ目は利用者と職員との関係性です。

利用者と職員との関係性がよければ、その分トラブルは少なくなります。そのため、施設を見学するときには、利用者と職員との関係性を推測するために、以下のポイントを確認することがおすすめです。

  • 職員が利用者の話をしっかり傾聴しているか
  • 利用者が気持ちよくいろいろなことを話せているか
  • 利用者にも職員にも自然な笑顔が多く見られるか

施設の人の話を聞くだけでなく、利用者など施設に関わる人全体を注意深く観察するとよいでしょう。

グループホームでトラブルが発生したときの対応

最後に、グループホームでトラブルが発生したときの対応を、施設と利用者の立場から解説します。

では、1つずつ解説します。

施設側

初めに、施設の立場からグループホームでトラブルが発生したときの対応について解説します。

職員が利用者から相談を受けたときには、まずは相談者の話を傾聴することが大切です。それから他の利用者や職員への事実確認や調査を行い、事実を明らかにします。

事実の把握後はトラブルへの対応策を立案して、相談者や他の利用者、さらには職員に十分に説明するようにしましょう。利用者と特定の利用者・職員との間のトラブルであれば、居室などの配置の変更も有効な手段です。

職員だけで解決できない問題であれば、公的な相談窓口や弁護士に相談することも検討しましょう。

利用者側

次に、利用者の立場からグループホームでトラブルが発生したときの対応について解説します。

トラブルが発生したら、まずはグループホームの職員に相談しましょう。もしグループホームの職員とトラブルになった場合は、グループホームの施設長や相談員などに相談するとよいでしょう。

この相談を受けて、施設側は事実確認を行った上で様々な視点から改善策を検討して実施してくれるはずです。それでも事態が進展しない、もしくは職員に相談できないときには、市区町村の介護保険課や社会福祉協議会の相談窓口に相談しましょう。

まとめ

今回は、グループホームでよくあるトラブルや回避方法・施設の選び方について解説しました。

グループホームは認知症の高齢者が共同生活を送っており、トラブルが起こることは十分想定されます。ただ、利用者と職員同士が日頃から十分コミュニケーションを取り、施設の雰囲気が良好であれば、トラブルを減らすことは可能です。

職員や利用者だけでは解決できないトラブルが発生したときは、介護に関わるトラブルを多数解決に導いてきた専門弁護士に相談することがおすすめです。弁護士に相談することで、トラブルが早く確実に解決できる可能性が高まることでしょう。

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