不正アクセスで不起訴になるには?弁護士が解説する対応の流れ
最終更新日: 2026年04月20日

不正アクセス事件を起こしてしまった場合、「逮捕されるのか」「前科がついてしまうのか」と不安になる方は多いでしょう。
しかし、適切な対応をとることで、不正アクセス事件でも不起訴処分を獲得できる可能性はあります。
本記事では、不正アクセス禁止法違反の基本から、逮捕後の流れ、不起訴になるための具体的な対応策まで、詳しく解説します。
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不正アクセスで不起訴処分を獲得できる可能性はある
不正アクセス禁止法違反の疑いで捜査を受けたからといって、必ずしも起訴されて有罪になるわけではありません。
被害者との示談が成立している、初犯である、被害が軽微である、本人が深く反省しているなどの事情が考慮されれば、検察官の裁量によって不起訴処分となる可能性は十分にあります。
不起訴になれば刑事裁判は開かれず、前科もつきません。
そのため、事件化してしまった場合は、早期に不起訴獲得に向けた活動を始めることが重要です。
そもそも不正アクセスとは?問われる罪と罰則
インターネットの普及に伴い、不正アクセス事件は身近な犯罪となっています。
ここでは、どのような行為が罪に問われるのか、その罰則について確認しましょう。
不正アクセス禁止法で禁止される行為
不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)では、他人のIDやパスワードを無断で入力してネットワークに侵入する行為(識別符号窃用型)や、システムの脆弱性を突いて侵入する行為(セキュリティ・ホール攻撃型)を禁止しています。
他人のSNSアカウントへの勝手なログインや、他人のIDを使ってオンラインゲームに接続する行為などが該当します。
また、不正アクセスを目的として他人のパスワードを取得したり、保管したり、第三者に提供したりする行為も処罰の対象です。
不正アクセス禁止法違反の罰則
不正アクセス行為そのものを行った場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
また、他人のIDやパスワードを不正に取得した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
不正アクセスによってデータを改ざんしたり、金銭的な被害を与えたりした場合は、電子計算機損壊等業務妨害罪や詐欺罪など、さらに重い別の犯罪が成立する可能性もあります。
軽い気持ちの行為でも逮捕される可能性がある
「元交際相手のSNSを覗き見した」「ゲームのアカウントを勝手に使った」といった、ほんの出来心や軽い気持ちで行った行為であっても、被害者が警察に被害届を出せば捜査が開始され、逮捕されるリスクがあります。
サイバー犯罪は通信記録(アクセスログ)などの客観的な証拠が残りやすいため、言い逃れが難しい性質を持っています。
不正アクセスで逮捕されてから不起訴までの流れ
もし逮捕されてしまった場合、どのような手続きが進むのでしょうか。
刑事事件の基本的な流れを解説します。
警察による捜査と送検(逮捕後〜72時間)
警察に逮捕されると、警察署の留置場に入れられ、最長で48時間の取調べを受けます。この間は家族であっても面会することはできません。
警察は捜査の結果、さらに身柄を拘束して捜査を続ける必要があると判断した場合、事件の記録と被疑者の身柄を検察官に引き継ぎます。これを「送検」と呼びます。
検察官は送検から24時間以内に、引き続き勾留(身柄拘束)が必要かどうかを判断します。
検察による勾留請求と捜査(送検後〜最大20日間)
検察官が勾留の必要があると判断し、裁判所がそれを認めると、原則として10日間、最大で延長を含めて20日間の勾留が決定します。
この期間中、検察官は被疑者や被害者への取調べ、証拠の精査を行い、起訴するかどうかの判断材料を集めます。
身柄拘束が長期化すると、会社や学校を休まざるを得なくなり、社会生活に多大な悪影響を及ぼします。
検察官による起訴・不起訴の判断
勾留期間の満了までに、検察官は事件を起訴するか、不起訴にするかを決定します。起訴されれば刑事裁判へと進み、有罪率が非常に高い日本の司法制度においては前科がつく可能性が極めて高くなります。
一方、不起訴と判断されれば、その時点で身柄は解放され、事件は終了します。前科がつくこともありません。
※不正アクセスによる逮捕後の具体的な流れや問われる罪についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
不正アクセスで不起訴処分を獲得するための対応
不起訴処分を勝ち取るためには、逮捕後、あるいは捜査機関から連絡を受けた直後から迅速に行動することが求められます。
速やかに弁護士に相談する
最も重要かつ有効な対応は、刑事事件に詳しい弁護士に一刻も早く相談することです。
逮捕直後の72時間は家族でも面会できませんが、弁護士であればいつでも接見(面会)し、法的なアドバイスを提供できます。
取調べにおける黙秘権の行使や供述の仕方など、適切な対応を知ることで、不利な調書を作成されるのを防ぐことができます。
被害者との示談交渉を進める
不正アクセス事件において不起訴を獲得する上で、被害者との示談成立は非常に大きな要素となります。
被害者に謝罪し、精神的苦痛や実害に対する示談金を支払うことで、「処罰を望まない」という合意(宥恕条項)を得ることが目標です。
ただし、加害者本人が被害者と直接交渉することは困難であり、警察も連絡先を教えてくれません。弁護士を介して誠実に交渉を進める必要があります。
反省の意と再発防止策を示す
検察官に不起訴と判断してもらうためには、本人が深く反省しており、再犯の恐れがないことを示す必要があります。
謝罪文の作成や、インターネットの利用環境の見直し、家族による監督体制の構築など、具体的な再発防止策を提示することが効果的です。
身に覚えがない場合は無実を主張する
もし不正アクセスを行った事実が全くない場合や、Wi-Fiのただ乗りなどで意図せず巻き込まれたような場合は、安易に罪を認めてはいけません。
弁護士と連携し、アクセスログの解析やアリバイの証明など、客観的な証拠を集めて無実(嫌疑不十分)を主張し、不起訴を目指します。
不起訴にならなかった場合のリスク
万が一、起訴されてしまった場合には、人生に大きな影響を与えるリスクが生じます。
前科がつき、職業上の信用を失う
起訴されて有罪判決を受ければ、たとえ罰金刑であっても「前科」がつきます。
前科がつくと、一部の国家資格の取得や職業に制限がかかる場合があるほか、就職や転職の際に不利になることがあります。
また、逮捕や起訴の事実が実名で報道されれば、現在の職場を解雇されるなど、社会的信用を失う恐れがあります。
※前科が付くことによる仕事への影響については、こちらの記事をご覧ください。
懲役刑や罰金刑が科される
不正アクセス禁止法違反の法定刑は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。
被害が大きく、示談も成立していないような悪質なケースや、同種の前科がある場合は、実刑判決を受けて刑務所に収監される可能性もゼロではありません。
不正アクセス事件で弁護士に相談するメリット
不正アクセス事件を穏便に解決するためには、弁護士のサポートが不可欠です。
逮捕・勾留の回避や早期釈放を目指せる
弁護士は、警察や検察に対して、被疑者に逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがないことを客観的な証拠とともに主張します。
これにより、在宅捜査への切り替えや、勾留請求の却下による早期釈放を実現し、日常生活への影響を最小限に抑える活動を行います。
被害者との示談交渉を円滑に進められる
前述の通り、加害者本人が被害者と接触することは困難です。
弁護士であれば、警察を通じて被害者の連絡先を入手し、冷静かつ論理的に示談交渉を行うことができます。
示談が早期に成立すれば、不起訴処分の可能性は飛躍的に高まります。
取調べへの適切な対応をアドバイスしてもらえる
密室での取調べでは、捜査官の誘導に乗ってしまい、事実とは異なる不利な供述調書にサインしてしまうリスクがあります。
弁護士から事前にアドバイスを受け、定期的な接見で精神的なサポートを得ることで、自身の権利を守りながら適切に取調べに対応することができます。
※不正アクセス事件において弁護士に依頼するメリットや、逮捕回避・示談の重要性については、こちらの記事も併せてご確認ください。
不正アクセスに関するよくある質問
不正アクセス事件に関して、よく寄せられる疑問にお答えします。
Q. 初犯でも実刑判決を受ける可能性はありますか?
A. 初犯であり、被害が比較的軽微で示談が成立していれば、不起訴や罰金、あるいは執行猶予付きの判決になる可能性が高いです。
しかし、組織的で悪質な犯行や、被害額が極めて大きい場合、別の重大な犯罪を併発している場合は、初犯でも実刑判決を受ける可能性があります。
Q. 家族や恋人のSNSアカウントにログインした場合も罪になりますか?
A. はい、罪になる可能性が高いです。
相手の許可なくIDやパスワードを勝手に入力してログインする行為は、たとえ家族や恋人同士であっても不正アクセス禁止法違反に該当します。
「浮気調査のため」といった理由は正当化されません。
Q. 警察から呼び出しを受けたら必ず逮捕されますか?
A. 必ずしも逮捕されるわけではありません。
逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば、「在宅事件」として、日常生活を送りながら必要な時だけ警察署へ出向いて取調べを受ける形になることも多いです。
呼び出しには誠実に応じることが大切です。
Q. 不起訴になれば、会社に知られずに済みますか?
A. 逮捕されず在宅捜査のまま不起訴となった場合、あるいは早期釈放されて出勤への影響がなかった場合は、会社に知られずに解決できる可能性は十分にあります。
ただし、身柄拘束が長期化して無断欠勤が続いたり、実名報道されたりした場合は、会社に発覚するリスクが高まります。
まとめ
不正アクセス行為は、発覚すれば逮捕や前科のリスクを伴う重大な犯罪です。
しかし、事件を起こしてしまった場合でも、早期に被害者との示談を成立させ、反省の態度を示すことで、不起訴処分を獲得できる可能性は残されています。
不起訴になれば前科を回避し、これまで通りの社会生活を送ることが可能です。
警察から捜査を受けている、あるいは逮捕されてしまった場合は、手遅れになる前に、速やかに刑事事件の実績が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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