倉庫の立ち退き料の相場とは?金額の決め方や内訳・相場を知る方法をまとめて解説

最終更新日: 2022年06月29日

 

倉庫の立ち退き料の相場とは?金額の決め方や内訳・相場を知る方法をまとめて解説

  • 倉庫における立ち退き料の相場について基礎知識を整理したい
  • 倉庫における立ち退き料の相場の決め方と内訳を知りたい
  • 倉庫における立ち退き料の相場を知りたいときに気をつけるべきポイントとは

倉庫から立ち退きを求められても、保管してある大量の商品や、機械を運ぶにも多額の費用を要しますし、代わりの倉庫をすぐに見つけられるものではありません。このような倉庫の立ち退き事案において、どの程度の立ち退き料であれば、双方が納得して合意に至るのでしょうか。

今回は、立ち退きに関する問題を数多く解決に導いてきた弁護士が、倉庫における立ち退き料の相場の決め方と内訳、相場を知るためのポイントについて解説します。

この記事を監修したのは

弁護士 篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
立教大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 卒業
金沢市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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倉庫における立ち退き料とは?相場の計算前に知っておくべき基礎知識

倉庫における立ち退き料の相場について解説する前に、基礎知識として以下の2つを紹介します。

  • 立ち退き料の意味
  • 法律上立ち退き料の支払い義務はあるのか?

それでは、1つずつ解説します。

立ち退き料の意味

知っておくべき基礎知識の1つ目は、立ち退き料の意味です。

賃借人が立ち退きを行う場合、賃借人には新しい物件を探すための費用や引越し代などがかかります。立ち退き料とは、オーナー都合により、賃借人に物件からの退去を求めるときにその補償金として支払う費用のことです。

法律上立ち退き料の支払い義務はあるのか?

知っておくべき基礎知識の2つ目は、法律上立ち退き料の支払い義務はあるのか?ということです。結論から言うと、法律上はオーナーが賃借人に立ち退き料を支払う義務はありません。特に、賃借人に契約違反があった場合には、オーナーが一切の立ち退き料を支払わなくて済む場合があります。

とはいえ、オーナー都合で賃借人に立ち退きを要求するときは、立ち退き料を支払うのが通例です。

日本の法律では、賃貸借契約では賃借人に有利な法律になっており、賃借人の納得を得られないときは、裁判所の手続きである強制執行が認められない限りオーナーが賃借人を強制的に立ち退きさせることはできなくなってしまい、かえってオーナーにとって不利益な結果となります。

そのため、オーナーとしては、賃借人の納得を得るために、説得的な正当事由はもちろんのこと、十分な立ち退き料の提示が不可欠となります。

なお、立ち退き料も法律上明確に決まっているわけではありません。立ち退き料の計算方法については、こちらの記事をご覧ください。

倉庫における立ち退き料の相場の決め方と内訳

ここでは、倉庫における立ち退き料の相場の決め方と内訳を解説します。

相場の決め方

倉庫の立ち退き料の相場は、基本的にはオーナーと賃借人の双方の話し合いにより決定します。

アパートの立ち退き料においては、ある程度の相場観が存在します。しかし、倉庫においては立ち退き料の相場を明確に決めることが難しく、倉庫の広さや規模、在庫の数量、設備の移転費などから決めていくことになります。

倉庫の立ち退き料は、賃借人に発生する経済的損失額を計算し、オーナーと賃借人が話し合って数か月分の賃料と移転費用を立ち退き料とすることが多いです。交渉がまとまらないときは、裁判によって立ち退き料を決める方法もあります。

立ち退き料の内訳

立ち退き料の内訳を、以下の表にまとめます。

引越し費用

・引越しに必要な資材費や輸送費

・倉庫内に大きな機械を設置しているときは、その移転費も必要

新しい倉庫の契約

にかかる費用

・立ち退き後に、新たな倉庫と賃貸借契約を行って使用するための費用

・倉庫を借り始める月の家賃、礼金、不動産業者への仲介手数料など

慰謝料・迷惑料 急な立ち退きを要求するときや、賃借人が代替物件を探すことが困難なときは、通常の立ち退き料に加えて、慰謝料・迷惑料を上乗せするとよい

倉庫における立ち退き料の相場を知るためのポイント

ここでは、倉庫における立ち退き料の相場を知るためのポイントを3つ紹介します。

  • 過去の判例を確認する
  • 倉庫は居住者の生活を予定していない
  • 弁護士に相談する

それでは、1つずつ解説します。

過去の判例を確認する

倉庫における立ち退き料の相場を知るためのポイントの1つ目は、過去の判例を確認することです。

立ち退き料の相場の目安を知りたいとき、過去に類似の判例があれば参考にできます。また、「正当事由」がどこまで認められるかも確認できます。

たとえば、倉庫賃貸借の解約について、賃貸人側のほうが建物を使用する必要性が大きいとして、約3年分の賃料にあたる100万円を立ち退き料とすることで正当事由が認められた事例があります(大阪地判昭和59年11月12日判例タイムズ546号176頁)。

ただし、倉庫の規模や当時の状況、裁判官の判断により立ち退き料の相場は大きく変動します。過去の判例だけでは立ち退き料の相場を決められないので、裁判ではどのような事情が考慮要素となっているのかなど、あくまでも参考程度に考えておく方が無難でしょう。

倉庫は居住者の生活を予定していない

倉庫における立ち退き料の相場を知るためのポイントの2つ目は、倉庫は居住者の生活を予定していないということです。

基本的に、倉庫は居住者の生活を予定していません。そのため、立ち退きによって生活空間が奪われることはありませんし、代替物件の提供も比較的容易である場合も考えられます。そのため、倉庫の立ち退きは、比較的正当事由が認められやすい傾向にあります。

ただし、倉庫からの立ち退きによって賃借人の業務に損失が出るとき(たとえば、高額の移転費を要する什器類の搬出など)は、その損失を考慮して立ち退き料を上乗せすることが必要となる場合もありますので、交渉の工夫次第で立ち退き料の増額を狙うことも可能でしょう。

弁護士に相談する

倉庫における立ち退き料の相場を知るためのポイントの3つ目は、弁護士に相談することです。

法律的な専門知識がないと判断が難しい場合は、弁護士に相談することが確実な方法です。法律的な専門知識がないと立ち退き交渉をスムーズに進めることは困難です。

また、賃借人の立ち退き交渉は、弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)に定める法律事件に該当するため、報酬を受け取る前提で弁護士以外の第三者が代理で交渉することはできません。

立ち退き交渉の経験が豊富な弁護士に相談すれば、法律的な判断をしてもらえます。

まとめ

今回は、倉庫における立ち退き料の相場の決め方と内訳、相場を知るためのポイントについて解説しました。

倉庫の立ち退き料の相場は法律で明確に決まっておらず、倉庫の規模や過去の判例などをもとに決定していくことになります。ただし、立ち退き料の決定や賃借人との立ち退き交渉は、法律的な専門知識や経験がないと難しいことがほとんどです。立ち退き交渉が難航したときには、裁判所に提訴して強制執行するという場合も法的知識がないと実施できません。

倉庫の立ち退き料の相場については、まずは賃貸の立ち退きに詳しい弁護士にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご不明な点があるときやもっと詳しく知りたいときは、下にある「LINEで無料相談」のボタンを押していただき、メッセージをお送りください。弁護士が無料でご相談をお受けします。

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