不倫慰謝料を請求された…まず何をすべきか【弁護士が初動対応を解説】
2026年06月03日

突然、相手の配偶者から電話がかかってきた。
弁護士名の入った封筒が届いた。
あるいはSNSで「慰謝料を払え」というメッセージが届いた
――そのような状況で、何をすべきかわからず頭が真っ白になっている方は少なくありません。
不倫慰謝料を請求された場合、初動の対応が解決の明暗を大きく左右します。焦って支払ってしまう・感情的に反論する・無視してしまうといった行動はいずれも状況を悪化させます。
本記事では、請求された直後に知っておくべき法的な基礎知識・やってはいけないこと・弁護士に相談すべきタイミングを、不倫問題を多数取り扱う弁護士が解説します。
【この記事のポイント】
- 慰謝料請求を無視すると訴訟されるリスクがある。届いたら内容を確認し、すぐ弁護士に相談する
- 請求額は「相場」があり、法外な高額請求は交渉・減額が可能。すぐに全額払う必要はない
- 示談書へのサインは弁護士確認後に。一度サインすると原則として取り消せない
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不倫慰謝料を請求される法的根拠
なぜ慰謝料を請求されるのか
不貞行為(配偶者のある人が配偶者以外の人と性的関係を持つこと)は、民法上の不法行為に該当します。
不貞行為によって精神的苦痛を受けた配偶者は、不貞を行った自分の配偶者だけでなく、不貞の相手方(あなた)に対しても損害賠償(慰謝料)を請求する権利があります(民法709条・710条)。
つまり、あなたが「相手の配偶者からも」請求される構造になっています。
これは法律で認められた権利であるため、請求自体は適法です。ただし、請求額が適正かどうかは別の問題です。
慰謝料を支払う義務がない・減額できる場合
すべての請求に支払い義務があるわけではありません。以下のようなケースでは支払いが不要になる、または大幅な減額が見込まれます。
| ケース | 法的な判断 |
|---|---|
| 肉体関係がなかった(食事・連絡のみ) | 不貞行為の要件を満たさず、原則支払い義務なし |
| 相手が既婚者と知らず、知る過失もなかった | 故意・過失がなければ不法行為責任を負わない |
| 最後の関係から3年以上経過している | 損害賠償請求権の時効により請求できない可能性(ただし、相手が不貞行為をいつ知ったかが重要となる) |
| 相手夫婦がすでに別居・婚姻破綻していた | 婚姻共同生活の平和を侵害したとは言えず減額・免除 |
| 不倫期間が短く主導は相手側だった | 責任割合に応じた減額が認められることが多い |
いずれのケースに当たるかは事実関係の整理が必要です。
請求書が届いた段階で弁護士に相談し、自分のケースがどの類型に該当するかを確認することが先決です。
不倫慰謝料の示談金の相場や、減額に向けた交渉の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
届く書類の種類と意味
内容証明郵便
内容証明郵便は、郵便局が「いつ、誰が、どのような内容を送ったか」を証明する形式の郵便です。
法的拘束力そのものはありませんが、「請求の意思を明確に通知した」という証拠になります。
これが届いた場合は、相手が法的手続きを視野に入れていることを意味します。
無視すると、次のステップとして訴訟に移行するリスクが高まります。届いたらまず内容を確認し、回答期限・金額・請求の根拠を把握してください。
弁護士名の通知書・受任通知
相手が弁護士に依頼した場合、「通知書」または「受任通知」と呼ばれる書面が届きます。
これらの書面には、相手本人への連絡は控え、今後は相手の弁護士に連絡するよう記載がありますので、相手の弁護士を通じたやり取りをすることになります。
通知書には通常、請求金額・支払い期限・交渉窓口(弁護士の連絡先)が記載されています。
この段階で、こちらも弁護士を立てることが最も効率的な対応です。
口頭・電話・SNSでの請求
書面ではなく、電話やSNSで直接連絡してくる場合もあります。
この場合、感情的なやり取りになりやすく、言質を取られたり、後から「認めた」と主張されるリスクがあります。
相手からの連絡には即座に応じず、内容を記録(スクリーンショット・メモ)したうえで弁護士に相談することをおすすめします。
請求されたときにやってはいけないこと
無視する・放置する
最も危険な対応です。内容証明や訴状を無視し続けると、相手が裁判を起こした場合に「欠席判決」が出て、給与や預金口座を差し押さえられる可能性があります。
「関わりたくない」という気持ちは理解できますが、放置するほど選択肢が狭まります。
感情的に反論・謝罪する
「そっちにも問題がある」「あなたの配偶者から誘われた」などの感情的な反論は、交渉を複雑にします。
また、過度な謝罪や「全額支払います」という口約束は、後の交渉で不利になります。対応はすべて書面または弁護士を通じて行うことが原則です。
金額を確認せずに支払う
相手から提示された金額がそのまま「正しい慰謝料額」とは限りません。
法外に高額な請求も珍しくなく、交渉によって大幅に減額できる事例は多数あります。
支払う前に必ず弁護士に金額の妥当性を確認してください。
示談書を確認せずにサインする
示談書(合意書)は法的効力を持つ文書です。
「清算条項(これ以上請求しない旨の条項)」「接触禁止条項」「守秘義務条項」などの内容を十分に確認しないままサインすると、後から不利な条項に気づいても原則として取り消せません。
必ず弁護士に内容を確認してもらってからサインしてください。
示談交渉の進め方や示談書の確認ポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
不倫慰謝料の相場
相場の目安
不倫慰謝料に法定の「定価」はありませんが、裁判所の判例から導かれる適正な相場があります。
相場を知ることで、請求額が適正かどうかを判断する基準になります。
| 状況 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 不倫が原因で離婚に至った場合 | 150万円〜200万円程度 |
| 不倫があったが離婚していない場合 | 100万円〜150万円程度 |
請求額が相場より高い場合
500万円・1,000万円といった法外な請求額を提示してくる場合もあります。
しかし、裁判所が認める慰謝料額は上記の相場の範囲に収まることがほとんどです。
高額請求に対しては、弁護士が法的根拠を示しながら減額交渉を行います。減額交渉の具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
弁護士に依頼すべき理由と相談のタイミング
なぜ弁護士が必要か
不倫慰謝料問題を個人で対応しようとすると、以下のリスクがあります。
- 適正相場を知らないまま高額の慰謝料に合意してしまう
- 不利な条項が含まれた示談書にサインしてしまう
- 相手の弁護士と直接交渉して不利な言質を取られる
- 感情的なやり取りで交渉が決裂し、訴訟に発展する
弁護士に依頼することで、相手との窓口がすべて弁護士に切り替わり、精神的な負担が大幅に軽減されます。
また、証拠の評価・請求の妥当性の判断・示談書の作成・減額交渉のすべてを一括して任せることができます。
不倫問題で弁護士に依頼するメリットや費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
相談すべき最良のタイミング
最も重要なのは「請求された直後・相手と連絡を取る前」に相談することです。
一度でも「支払う意思がある」と口頭で伝えてしまうと、その後の交渉が難しくなります。
- 内容証明・通知書が届いたらすぐに弁護士に相談する
- 相手に弁護士が付いている場合はこちらも弁護士を立てる
- 相手から直接連絡があった場合は「弁護士に相談中」と伝えてその場では回答しない
よくある質問(FAQ)
Q 内容証明が届いたら必ず支払わなければなりませんか?
A 内容証明自体に法的拘束力はなく、届いただけで支払い義務が確定するわけではありません。
ただし無視すると訴訟に発展するリスクがあります。まずは弁護士に内容を確認してもらい、対応方針を決めることが重要です。
Q 相手が既婚者だと知らなかった場合でも支払う必要がありますか?
A 既婚者であることを知らず、かつ、知らないことに過失もなかった場合(相手が独身と偽っていたなど)は、故意・過失がないとして慰謝料支払い義務が認められないことがあります。
ただし「知らなかった」という主張が認められるかは状況次第なので、弁護士に事実関係を整理してもらうことが先決です。
Q 請求された金額が高すぎる場合、減額できますか?
A 交渉によって減額できるケースは多数あります。
裁判所が認める慰謝料の相場は離婚なしで100〜150万円程度が目安で、法外な高額請求は弁護士が法的根拠を示して減額交渉を行います。
Q 示談書(合意書)にサインした後でも取り消せますか?
A 原則として、合意した内容を後から取り消すことは非常に困難です。
再度交渉する場合も一度成立した合意書の存在を前提に相場より高めの慰謝料を払わなければならないこともあります。示談書へのサインをする前に弁護士に相談する方が安全です。
Q 家族や職場に知られずに解決できますか?
A 弁護士を通じた交渉(裁判外の話合い)をする場合、基本的に家族や職場に知られることはありません。
訴訟(裁判)に発展した場合は郵便物等から発覚するリスクが上がります。
弁護士を立てて早期に示談交渉を進めることが、情報漏洩リスクを最小化する最善策です。
Q 慰謝料請求の時効はいつですか?
A 不倫慰謝料の請求権には「損害と加害者を知った時から3年」の消滅時効があります。
相手が3年以上前に不倫の事実とあなたの存在を知っていた場合、時効を主張できる可能性があります。
ただし時効の起算点の判断は複雑なため、弁護士に確認してください。
まとめ
不倫慰謝料を請求された場合にまず取るべき行動は、「冷静に内容を確認し、すぐに弁護士に相談する」この一点に尽きます。
- 内容証明・通知書は無視せず、内容と請求額を確認する
- 感情的な反論・即座の支払い・示談書への確認なしのサインは避ける
- 弁護士に依頼して相手との窓口を切り替え、減額交渉・示談書作成を任せる
請求額が相場内かどうか、支払い義務があるかどうかは、専門家でなければ正確に判断できません。
一人で抱え込まず、早期に弁護士に相談することで解決の選択肢が大きく広がります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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