不倫されたから復讐したい!?その方法を弁護士が解説
最終更新日: 2024年01月29日
この辛い思いを相手にも味合わせてやりたい
ダブル不倫なのにこちらだけ家庭を壊されたのは許せない
独身と偽っていた不倫男を懲らしめたい
不倫という違法行為の被害と受けたときは加害者に何かしらの痛手を負わせたいと考えるのは当然でしょう。ただ、何をすれば効果的なのか、何をしてはいけないのか、初めてのことで判断がつかないのではないでしょうか。
今回は不倫問題を数百件解決してきた不倫問題専門の弁護士が不倫の復讐方法について解説します。
不倫相手への主な復讐の手段
まずは不倫相手に対する報復についてです。やって良い報復、仕返しとやってはいけない報復がありますので以下見ていきましょう。
職場に知らせる
配偶者が職場の同僚と不倫をした場合、不倫を職場に知らせる報復が考えられます。
しかし、職場に不倫を知らせますとその方法や結果によっては、名誉毀損罪(刑法第230条1項)として3年以下の懲役・禁固又は50万円以下の罰金を科される恐れがあります。
また、不倫相手が失職することになった場合、数年分の給料相当額を損害賠償として請求される恐れもあります。
このように職場に不倫を知らせることは,かえって報復、制裁を受ける恐れがありますのでお勧めできません。
上司やコンプライアンス部など一部の人に不倫を報告するのであれば問題ないのではないかと思われるかもしれませんが、そこから多数の人に伝わる可能性がありますので、上記のような
不倫相手の配偶者に知らせる
ダブル不倫の場合、不倫相手の配偶者に不倫を知らせて、相手夫婦も破綻させる報復が考えられます。
ところが、不倫を知らせたのに、そのような行動に出た人に対して、恐怖と怒りを覚え、自分たち夫婦に対する敵と考えて相手夫婦が結束することがあります。その結果、不倫を知ったのに夫婦関係にはあまり影響せず、むしろ円満になることすらあるのです。
ダブル不倫の場合、不倫相手の配偶者もこちらの配偶者に慰謝料を請求できます。双方とも離婚しないときは慰謝料の金額はいずれも同じになりますので、慰謝料請求はしないことが通常です。
つまり、相手夫婦は破綻しないし、慰謝料請求も請求できないという状況になってしまうのです。もちろん狙い通り、相手夫婦が破綻することもあるでしょうが、このようなリスクがあることは承知しておく必要があります。
退職や転居をさせる
社内不倫の場合、不倫相手には職場を辞めさせる、不倫相手が近所に住んでいる場合は転居させる復讐が考えられます。
もっとも、退職や転居を強制する法律はありません。そのため、退職や転居をさせるためには、不倫相手にこれを了承させる必要があります。例えば、慰謝料を減額免除することで退職や転居を了承させられることもあります。
退職や転居をしなければ職場に不倫をばらすなどの脅しは、強要罪(刑法第223条1項)として3年以下の懲役刑を科されることになりますので厳禁です。
SNSで拡散する
不倫相手が特定できる内容で不倫に関してSNSに投稿し、拡散させる復讐が考えられます。
このような投稿をすれば不倫相手の知人、友人、親族も不倫の事実を知る可能性がありますし、不倫相手が今後知り合う人にも不倫の事実を知られるかもしれません。まさに社会的な制裁を受けさせることになります。
しかし、このようなSNSへの投稿は厳禁です。内容によっては名誉毀損罪(刑法第230条1項)や侮辱罪(刑法第231条)として逮捕され、刑事罰を科されることになるからです。
計画的にSNSに投稿するというよりも、怒りにまかせて勢いで投稿してしまうのですが、一度拡散すると収拾がつきませんので要注意です。
不倫の慰謝料を請求する
最後の復讐方法として、不倫相手に対する慰謝料請求があります。法律が認めている復讐方法です。
慰謝料請求については、後ほどもう少し詳しくご説明します。
不倫を復讐として職場に知らせられるケース?
職場に不倫の事実を知らせると名誉毀損罪に問われる可能性があるとご説明しました。しかし、違法行為や犯罪ではなく、結果的に職場が不倫を知ることになるケースがあります。以下説明いたします。
合法的に不倫を職場に知らせる方法?
合法的に職場に不倫の事実を知らせることのできる場合があります。それは相手の住所がわからず、勤務先のみがわかる場合です。
不倫の慰謝料請求をする場合、まずは内容証明郵便にて書面を不倫相手に送ります。自宅がわかる場合は自宅に送りますが、自宅が分からない場合には職場に送らざるを得ません。
また、訴訟を起こした場合にも、自宅がわからない場合は、裁判所は職場に訴状を郵送します。
このようにして勤務先に不倫の慰謝料を請求する書類が届くことで、他の従業員の目に触れ、不倫の事実が職場に知られることがあるのです。
自宅が分からない場合に職場に送ることは法律も認めているところですから、本当は自宅を知っているのに知らないふりをして送ったという場合でない限りは、法的責任を問われることはありません。
不倫を職場にばらされたらクビ?
このようにして不倫を職場に知られてしまうと、同僚から冷ややかな目で見られたり、露骨な嫌がらせをされるかもしれません。職場から解雇されることもあるのでしょうか。
不倫は会社の業務とは関係がありませんので、原則、不倫を理由に懲戒解雇をすることはできません。
不倫を理由に懲戒解雇をするためには、不倫によって職場の風紀や秩序が乱され、職場の正常な業務運営を具体的に阻害する影響が生じていることが必要です。
例えば、業務時間内に職場を抜け出して不倫をしていた場合には懲戒解雇が認められることもあるでしょう。
また、採用担当社員が求職者と不倫をした場合には、会社の採用活動や評判に悪影響を与えることがありますので懲戒解雇が有効になる可能性はあるでしょう。
懲戒解雇は懲戒処分の中で最も重い処分ですから、不倫を理由に、懲戒解雇までは行かずとも減給や降格の処分はありえます。また、左遷、異動といった懲戒処分以外の処分もありえます。
不倫相手への復讐の王道は慰謝料請求
さて、様々な不倫相手への復讐方法を見てきましたが、王道は慰謝料請求です。以下、不倫の慰謝料請求についてご説明します。
慰謝料の相場
不倫の慰謝料の相場は、離婚する場合には200万円、離婚しない場合は100万円です。
そして、婚姻期間の長さや、不倫期間の長さ、もともと夫婦関係が悪化していたかどうかなどの事情によって慰謝料金額が上下します。
例えば、不倫が発覚しても離婚はしないケースで、不倫が1か月だけだった場合には慰謝料は基本となる100万円から下がり70、80万円になります。
不倫の慰謝料相場については以下の記事もご覧ください。
報復を受けたことは減額要素
不倫を職場にばらされたことによって、不倫相手が職場を辞めることになったり、何らかの処分を受けた場合や、不倫相手の夫婦が離婚したなど、報復によって一定の制裁を受け場合、そのことを理由に不倫の慰謝料が減額されることがあります。
もし、できるだけ高い慰謝料をとることを重視するのであれば、慰謝料請求以外の復讐は控えることが賢明です。
不倫をした配偶者への主な復讐
不倫相手への復讐について説明して参りましたが、次は、不倫をした配偶者への復讐についてご説明します。
離婚する
まずは、不倫をした配偶者と離婚する仕返しです。離婚によって不倫をした配偶者は、失ったものの大きさに気づかされた、自らの過ちを深く後悔することになるでしょう。
また、離婚時の不倫の慰謝料は300万円前後になることが多く、また、進め方次第では、財産分与についても不倫をされた配偶者に相当有利に取り決めをすることができますので、不倫をした配偶者は経済的にも大打撃を受けます。
さらに、子どもの親権も得ることができれば、不倫をした配偶者は子どもに月1回ほどしか会えなくなります。離婚をして最も辛いのは子どもに会えないことだと言う方は多いですから、この点も不倫をした配偶者に対する大きな復讐となります。
ただし、離婚は自分の生活、人生も大きく変えてしまいますので、復讐という観点だけで判断することは控えましょう。
離婚を拒否して婚姻費用を請求する
次の復讐方法は、離婚をするではなく、離婚を拒否することです。不倫をして夫婦関係を破綻させた場合、不倫をした配偶者からの離婚請求は認められません。つまり、不倫をされた配偶者が同意しない限り離婚はできないのです。
そして、例えば、不倫をしたのが夫で、妻は専業主婦の場合、別居を開始すると、夫は妻に対して生活費を支払うことが法律上求められています。これを婚姻費用といいます。この婚姻費用の支払いは、一方が亡くなるか離婚が成立するまでの間、毎月続きます。
不倫をした配偶者にとって終わりが見えない毎月の婚姻費用の支払いはとても厳しい報復となります。
離婚をして欲しいのであればと、通常よりも相当高い慰謝料や財産分与、養育費の条件を提示して、それを飲まない限りは離婚しないと不倫をした配偶者に対して通告しておきましょう。
夫婦間契約を結ぶ
離婚も別居もしないという場合にも何かしらの復讐をしたいと考えるでしょう。その場合には夫婦間契約がお勧めです。離婚をせずに夫婦を続けていく条件として、不倫をした配偶者に以下のような内容の契約をつくらせるのです。
- 求められたら直ぐに携帯を見せること
- 携帯電話のGPS情報を共有すること
- 再び不倫をしたら離婚すること
- 離婚するときの慰謝料は500万円とする
- 財産分与は不倫をした配偶者には2割だけ分与すること
- 養育費は通常の金額の1.5倍とすること
夫婦間契約は法的効力が否定されることがありますので、作成する際には必ず弁護士に相談しましょう。
仕返しに不倫をする(報復不倫)
配偶者が不倫をしたことへの報復として不倫をするケースがあります。
自分も配偶者以外の異性と関係をもちたいけれど我慢しているのに不公平だ、この辛い思いを配偶者にも味合わせてやりたいという動機から報復不倫はなされます。
予め配偶者に自分も不倫をすると宣言して不倫するケースもあれば、配偶者には知られないように不倫をするケースもあります。
少なくとも法的観点からは報復不倫はお勧めできません。離婚することになったときは、お互いに慰謝料を請求できるはずですが、最初に不倫をした方が不倫の事実を否定し、かつ不倫の証拠もなくなっていたときには、自分だけが不倫をした責任を問われることになります。
また、最初に不倫をした配偶者の方が悪いと考えているのに、裁判所はどっちもどっちという判断をして、最初に不倫をされた配偶者に有利な判断はしてくれない可能性もあります。
このように報復不倫をしてしまいますと、法的には自分も加害者になってしまい、被害者としての立場が薄まってしまうのです。
独身と偽っていた不倫男への復讐
妻がいながら独身であると身分を偽り、独身女性と交際する男性はよく見られます。相手女性としては真剣に交際しており、将来の結婚も考えていたにもかかわらず、既婚者と判明したときには男性不信になってしまうでしょう。
このような場合に、不倫をしていた男性に対してどのような報復方法があるのでしょうか。
まずは、不倫をしていた男性の妻に不倫の事実を知らせることです。これによって、かえって不倫の慰謝料を請求される可能性はありますが、既婚者と知らなかった場合には原則として慰謝料を支払うことにはなりません。
また、独身であると偽って肉体関係をもたされていたことを理由に、男性に対して慰謝料請求をする仕返しも可能です。例えば、両親に紹介をして、さらに婚約までしていたような場合には慰謝料は200万円以上になる可能性もあります。
まとめ
以上、不倫相手や不倫をした配偶者への復讐について解説しました。
不倫相手への報復は間違った方法と取るとかえって仕返しを受ける恐れがありますし、配偶者への報復は法的知識の有無によってその効果は大きくことなります。
不倫相手や不倫をした配偶者への復讐をお考えの方は、復讐に出る前に不倫問題専門の弁護士にご相談ください。